カメラを止めるな!

●「カメラを止めるな!」
2018 日本 ENBUゼミナール 96分
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、秋山ゆずき、細井学、市原洋、山口友和他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
現在(2018年8月)日本の邦画界を席巻しているといっていい作品を、こうした映画はあまり観ない
私だが、まずはともあれ観てみないと論評も出来ないと、シネコンへ出かけた。入りさすがにいい。
こうした形でヒットしてきた作品としては「この世界の片隅に」以来の邦画界の騒ぎ、と言えよう。

なぜにこの映画がかくも大衆の心を掴んだのかを確認する意味もあっでの鑑賞だった。本来私は
ホラーとかオカルトは観ないのだが。しかし、これはホラーという形を借りたコメディなので、怖くは
無い。むしろ後半では客席から笑い声が上がっていた。そしてラストのエンドロールの頃には、なぜ
この映画が客を呼ぶのか分かるような気がした。

まず、低予算を逆手に取った企画の勝利。前半37分のワンカットワンシーンのホラー(らしき)映画の
計算された「大学映研並みの、素人くささと、間の悪さ、出来の悪さ」。そして前半の作品に埋められた
伏線という爆弾が、素晴らしい爆発を魅せる後半の仕掛けの上手さ。これに尽きるのではないか。
殆ど名前を知らない役者が上手いなあ、とも思わせない演技が活きていいる。こんな映画はこれまで
なかったから、評論家を初めとして絶賛されるのだろう。

この映画だけはネタバレは出来ないので、是非映画館に行ってほしいし、その価値はあると思う。
但し、前半37分のワンカットワンシーンの「出来の悪い」オカルトには敢えて辛抱してもらわないと
いけない。そのカタルシスは後半にどっと来るのだから、我慢のし甲斐はあると断言できる。
そして映画好きの映画愛が画面に溢れるのだ。

こうした映画は絶対好きだろうなあ、と思っていた町山智浩氏も、やはり大絶賛。年末に「キネ旬」や
「映画芸術」「映画秘宝」がどういうランキングにしてくるかが見ものだ。「秘宝」は絶対に上位だろう
なあww。

本作はENBUゼミナールという演出家・俳優養成スクールの7作目の作品で、監督の上田慎一郎氏は、舞台で
同様の仕掛けを観て着想し、12人の役者をオーディションなどで招集、俳優からも資金を集めて(250万から
300万)製作。セリフは役者が決まってからの当て書きの部分が多く、前半37分のワンカットもシナリオと
トラブルがないまぜになったできとなっているという。で上田監督は大のホラーファンで、ホラーには映画の
いろんな要素がはいっているでしょ?とのたまっている。その愛や、良し!やりすぎのホラーはお笑いになる
ということをよく知っている人だ。低予算映画あるある、俳優&事務所あるあるも、くすぐったい。

当てた上田監督には大手から大金を注ぎ込んだ作品のオファーが来るだろう。でも絶対にこのいい意味で
チープでアイデアと映画愛に溢れた作品を忘れてほしくない。

だんだん中身が漏れてくる時期になるが、あえてネタバレはしない。それほどこの映画はアイデアがキモ
なのだ。96分、あっという間。
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<ストーリー>
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018ゆうばりファンタランド大賞を受賞したサバイバル・コメディ。
山奥の廃墟に来た自主映画クルーはゾンビ映画の撮影を開始。やがて本物のゾンビが現れクルーを襲撃しても、
監督は嬉々として撮影を続行するが……。
ワンシーン・ワンカットで描かれる思わぬ事態に直面する撮影隊の様子と、その裏側をコミカルに描写。
監督・俳優養成スクールENBUゼミナール主催のシネマプロジェクト第7弾として制作された。
監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」内の1編「猫まんま」を手がけた上田慎一郎。
劇中内の作品「ワン カット オブ ザ デッド」は、ゆうばり叛逆映画祭2018特殊効果賞、優秀作品賞を受賞した。

ゾンビ映画撮影のため、山奥にある廃墟にやってきた自主映画のクルーたち。監督は本物を求めてなかなかOKを
出さず、ついに42テイクに至る。と、本物のゾンビが現れ撮影隊に襲いかかった。次々とクルーの面々はゾンビ化
していくが、監督は撮影を中止するどころか嬉々として撮影を続行。
37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービーを撮った彼らとは……。
(Movie Walker)





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by jazzyoba0083 | 2018-08-17 13:20 | 洋画=か行 | Trackback(4) | Comments(0)