ビューティフル・マインド A Beautiful Mind (名画再見シリーズ)

●「ビューティフル・マインド A Beautiful Mind」(名画再見シリーズ)
2001 アメリカ Universal Pictures,DreamWorks,Imagine Entertainment. 134min.
監督:ロン・ハワード 原作:シルヴィア・ネイサー
出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、クリストファー・プラマー、ポール・ベタニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ロン・ハワードの(今の所の)勲章となっている名作。彼の最近の作品、往時のキレがなくなっているようで
主要な作品は殆ど観ているファンとしては、残念だ。
本作は、2001年のオスカー主要部門を総なめし、日本でも高評価を持って迎えられ、興収も良かったと記憶して
いる。確かに、作劇も上手く、(脚色が上手く)、演出も冴えているし、出演者もラッセル・クロウを初め
オスカー助演女優賞に輝いたジェニファー・コネリーの熱演も光る。脇もエド・ハリスや、クリストファー・
プラマーらを配し、スキのない映画となっている。

この映画を観るまで純粋文系(苦笑)である私は、ジョン・ナッシュの存在を知らなかったし、ましてや「ゲーム
理論」「ナッシュ均衡」などという言葉も、ボキャブラリーストックに入ってなかった。こういう人もノーベル賞を
取れるんだなあ、と思ったのが初見の素直な所。それと、やはり本作をご覧になった方殆どが異論がないところで
あろうが、「統合失調症」の夫を愛し、受け入れ、支えた妻のアリシアの壮絶な半生も大きな見どころの一つであろう。
ジェニファーが賞を獲ったのもうなずけるというものだ。

プリンストン大学院に奨学生として進んできたナッシュは天才ではあるが、どこか変わっている。天才というのは
得てしてそういうものだ。
「世の中のすべてを支配する心理を見つけたい」と、授業にも出ず、一人図書館の窓ガラスに数式を書き込み懊悩
する日々が続いた。

時は戦後まもなくで、彼らの目指す就職先はMITに置かれていたウィラー研究所(軍事研究をする)であった。授業にも
出ず論文も出さないようなナッシュを担当教授も推薦するわけにも行かなかったが、ある数理を証明し、それだけで
ウィラー研究所への推薦入所を獲得した。

こうしてウィラーで主に敵の暗号を解読する作業を担当するようになったナッシュのもとに、パーチャという秘密機関の
男が現れ、ソ連が可搬式の原爆をアメリカに持ち込もうとしている、その場所を特定し、未然に防ぎたいから
協力してくれ、と申し出てくる。このころウィラーでMITの授業も持っていたナッシュは聴講生の一人であった
アリシアと知り合う。「蓼食う虫も好き好きよ」というアリシアと愛し合うようになる。

こうして前半の物語は、ある種の奇人天才とその歩む道が、原作とはかなりかけ離れた脚色らしいが、ロン・ハワード
らしい作劇の中でスリルとサスペンスの要素を織り込んで、観ている人をぐいぐいと引き込んでいく。

ところが、であった。それが後半のナッシュと「統合失調症」との闘い、それを支えるアリシアの壮絶な人生へと繋がる。
「え!そうだったの?」の連続だ。この病気の治療や薬もまだまだの時代にナッシュの苦闘も並大抵ではなかった。
この映画は後半こそ、ナッシュとアリシアの人生の壮絶さが描かれていて、見どころとなっていると言える。
(ラストはちょっとバタバタではあったが)

とにかく本作は、物語そのものの面白さに加え、「統合失調症」を映画的に表現し、ナッシュとアリシアの人生の闇と
光を上手く表現したことが光る。ラッセル・クロウとジェニファー・コネリーも良い。加えてエド・ハリスの存在が
スパイスとして活きている。クリストファー・プラマーはその怪しさが観客にミスリードを誘う風貌で面白い。

本作により「統合失調症」(当時は「精神分裂病」と言われていた)の側面を映像化し、理解を深めたという貢献も
あっただろう。ナッシュは、病が寛解し、プリンストンの教壇に復し、「ゲーム理論」でノーベル経済学賞を受賞する
のだが、その時であっても、ナッシュには妄想・幻影が見えていたのだ。

この映画を、「統合失調症」を抱えながらもノーベル賞を獲得した天才数学者の壮絶な人生に感動して観るか、彼を
支えきった妻アリシアの壮絶な半生を感動して観るか、病気に対して思いを寄せて観るか、さまざまな見方がある
だろう。完成した作品を観たナッシュは「実際とは離れすぎ」と言っていたそうだが。wikipediaなどによると実際は
もっと壮絶だったようだ。

残念なことに2015年夫妻が乗ったタクシーが事故を起こし、ふたりとも天に召されてしまった。
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<ストーリー>
プリンストン大学大学院の数学科から優秀な成績でウィーラー研究所に進んだナッシュ(ラッセル・クロウ)は、
周りに変人扱いされながらも数学の研究に没頭。ある時、諜報員パーチャー(エド・ハリス)にソ連の暗号解読を
依頼される。世界の危機を救うことに喜びを感じ、密かにスパイ活動を続けるナッシュ。

そんな彼にとって講師の仕事はつまらないものだったが、聴講生のアリシア(ジェニファー・コネリー)と愛を
交わすようになり、2人は結婚する。結婚後も極秘でスパイの任務は続いていたが、プレッシャーは大きくなり、
命の危険を感じる出来事も重なる。
やがてナッシュは幻覚に悩まされるようになった。大学に勤めながらの、静かで長い闘いの日々。そして彼は老人に
なり、思わぬノーベル賞の報せを受け取る。幻覚症状は治っていないものの、ナッシュは穏やかな心を手に入れており、
受賞のあいさつで妻への感謝を述べるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:93% >






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by jazzyoba0083 | 2018-08-21 23:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)