検察側の罪人

●「検察側の罪人」
2018 日本 東宝 123分
監督・脚本:原田眞人  原作:雫井脩介『検察側の罪人』(文春文庫刊)
出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、酒向芳、八嶋智人、キムラ緑子、松重豊、山崎努他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
原田眞人監督の作品については、このところ欠かさず観るようにしている。「関ヶ原」「日本の一番ながい日」
「駆込み女と駆出し男」など、世間の評価は分かれるものの、個人的に好みの作品が続いていた。(過去の作品の
中にはなんだかなあ、というものもあったことは確か)それだけに、今回の作品も「骨太のミステリ」と期待して
初日の初回に出かけた。

結論を先に言ってしまうと、「大したことは無かった」というか「期待が外れた」。なぜか。
まず、原作は未読ということをお断りしておかなくてはならないが、原作の大きな流れは把握しているつもりだ。
映画はその原作とはかなり翻案されている。特にエンドについては、評価が大きく分かれるだろうし、原作者が
意図した「検事(人間と置き換えても良い)の持つ正義」とは何か、「罪と罰とは何か」という回答を出して
いないからだ。
勘ぐるに、木村をビジュアル的にも悪役で終わらせることにジャニーズ側、特に藤島ジュリーが反対したのでは
ないか。おそらく原田監督も本意ではなかったのでは、と信じたい。このエンドが映画を大きくスポイルしている。

それと、文庫本で上下600枚を超える長編を、翻案した上に、新しいストーリーも詰め込んだため、幾筋もの
ストーリーが錯綜し、木村対二宮という正義の構図がぼやけてしまった点を指摘しておきたい。加えてその
詰め込み過ぎがセリフの多さを生んでしまい、必死に聞き取ろうとしていても、何を喋っているのか理解できない
部分があった(スクリーンがVive Audioであった点もあろうが)。これが「話題の多層化による空中分解」に拍車を
かけた。
さしずめ、インパール作戦白骨街道のストーリーとそれに結びつく平岳大との部分は、木村の司法修習生同期の
話を発端に持ってこないのならカットしたほうが分かりやすかった。

これらにより、役者として油が乗り切ってきた木村や二宮の演者としての良さが見えてこず、まるでテレビの
二時間サスペンスを観ているような気分だった。

ジャニーズや原田監督がお好きな方はご覧になれば良いが、原作のように木村演ずる検事は、罰を受けなくては
ならない。そうしないと彼との事件を担当する(弁護士となってから)二宮の最後の叫び声が活きないのだ。
畢竟、原作が一番謳いたい「正義を行うことの葛藤」が見えてこないのだ。

映画が終って、帰る人々が、どこか不満そうに見えたのは穿ち過ぎだろうか。しかし、藤島ジュリーのチカラにより
暮れの賞取りレースにはガンガンに出てくるに違いない。ww。
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<ストーリー>
雫井脩介の同名ベストセラーを「無限の住人」の木村拓哉と「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」の二宮和也の
主演で映画化したミステリー・サスペンス。ひとつの殺人事件を巡り、容疑者として浮上した男を自らの正義感
からあらゆる手段で追い詰めていくエリート検事と、そんな上司の捜査方針に次第に疑問を抱き始める後輩検事の
対立の行方をスリリングに描き出す。
共演は吉高由里子、平岳大、大倉孝二、松重豊、山崎努。監督は「日本のいちばん長い日」「関ヶ原」の原田眞人。

 東京地検刑事部のエリート検事・最上のもとに、彼に心酔する若手検事・沖野が配属されてくる。さっそく2人で
都内で発生した老夫婦殺人事件を担当することに。すると最上は、被疑者の一人である松倉という男に激しく反応する。
松倉はすでに時効を迎えている未解決殺人事件の重要参考人だった。
最上は今回の事件も松倉の犯行と確信し、なんとしても松倉を有罪にしなければならないとの強い思いに囚われていく。
そんな最上の意を汲み、松倉から自白を引き出すべく取り調べに力が入る沖野だったが…。(allcinema)




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by jazzyoba0083 | 2018-08-24 10:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)