ガール・オン・ザ・トレイン The Girl on the Train

●「ガール・オン・ザ・トレイン The Girl on the Train」
2016 アメリカ Amblin Partners,DreamWorks,Marc Platt Productions,Reliance Entertainment.113min.
監督:テイト・テイラー 原作:ポーラ・ホーキンズ『ガール・オン・ザ・トレイン』(講談社文庫刊)
出演:エミリー・ブラント、レベッカ・ファーガソン、ヘイリー・ベネット、ジャスティン・セロー、ルーク・エヴァンス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
開巻からしばらく、人間関係が掴みづらく、「痛い女」の話か、と思わせておいて、(いわゆるミスリードを誘うという
手段)半ばあたりから人間関係が整理され、筋が見えてくる。そのあたりから面白くなってく。そして本当に悪かった
のは誰か、が明かされる仕組みだ。中盤から展開する「重層的」な物語の構成は、見ごたえがあったが、なにせ、
真犯人がチンケな「エロ男」だったのが残念。全体を覆う雰囲気、キャメラワーク、音楽そして何よりキャスティングが
魅力的だったから余計に結末のがっかり感が強い。原作があるので仕方がないとえば仕方がないのだが。

子供が出来ないことから離婚となり、アルコール依存となってしまう主人公レイチェルを演じたエミリー・ブラントは、
終始暗い(暗すぎる)主人公の性格を上手く演じていたと思う。これが全体の物語のミスリードを誘う要因になるわけ
だから、その暗さは重要だったわけだ。その旦那(真犯人)トムの次の妻となったアナ(ファーガソン)は
レイチェルが妻だった頃の愛人。晴れて結婚し、子供も出来たが、トムは子守に通っていたメガン(ベネット)に
手を出す。メガンは夫のいる身。 

ある日、メガンが失踪しテレビ新聞で通う大ニュースになる。もう職もないのに、毎日同じ時間にNY行きの電車に
乗っているレイチェルは、かつて自分が住んでいた家の近くのベランダで失踪したメガンが、カウンセリングを受け
ていた医師と抱き合ってキスをしているところを目撃する。犯人は医師ではないか、事情を聞かれる医師だが、
帰される。次に疑われたのが、メガンの夫。かなりのDV夫であったため彼も警察に事情を聞かれる。
しばらくしてメガンは撲殺死体となって発見される。さらにレイチェルにも疑いの目が向けられるのだ。

開巻からしばらくの、このレイチェル、後妻で愛人だったアナ、生まれた子供の子守メガンの関係が判然としない。
まああえて判然としない構図に置いて、やがて霧が晴れるようにメガン殺しの犯人が見えてくるという形をとったの
だろう。ネタばらしだが子守に来ていて不倫関係になるトムとメガン、メガンが妊娠し、トムに堕ろせ、と云われ
喧嘩となり、トムがメガンを殺害した、という「映画のネタとしてはなんだかな、」の結末となるわけだ。

レイチェルは結婚生活に破綻してアル中になり、その大きな原因はトムが作ったのだった。だから作品中では
痛い女(の部分もあるけど)哀れな女性、そして愛人から正妻になり子供もなしたアナも、トムに裏切られた
被害者だ。そして、ラストの結末は、レイチェルとアナによるトムへの絶対的復讐となる。

冒頭にも書いたとおり、「重層的」構図には面白さを感じるし演者もいいし、ラストのカタルシスもああしか
出来なかったのだろう。残念だったのは殺されたメガンを含め、トムというたった一人の「エロ&DV男」に駄目に
された結末は結末としていささか迫力不足というか、映画的魅力が薄いな、と感じたのだった。
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<ストーリー>
世界45か国でベストセラーとなった小説を映画化したミステリー。とある夫婦の姿を車窓から眺めていた“目撃者”
だったヒロインが、人妻の死によって疑いの目を向けられるようになる様がつづられる。
エミリー・ブラントが事件に巻き込まれていく主人公を、キーマンとなる人妻を若手注目株のヘイリー・ベネットが
演じる

レイチェル(エミリー・ブラント)は愛する夫と離婚し、傷心の日々を送っていた。落ち込む彼女にとって、通勤
電車の窓から見える“理想の夫婦”だけが慰めだった。その二人は、かつてレイチェルが夫のトム(ジャスティン・
セロー)と暮していた家の近くに住んでいる。その家で今は、トムと妻のアナ(レベッカ・ファーガソン)が、
生まれたばかりの娘と新しい生活を始めている。

ある朝、レイチェルはいつもの車窓から、“理想の妻”が不倫している現場を目撃する。翌日、夫婦の様子が気に
なったレイチェルは、確認するため駅を降りる。しかし、彼らの家へ向かったところから記憶がなくなり、気が
つくとレイチェルは自分の部屋で大けがをして倒れていた。そして間もなく、“理想の妻”の死体が発見される。
レイチェルは、あの日の空白の時間のおかげで、周囲から疑惑の目を向けられる。レイチェルが記憶を取り戻
そうとすると、関係者たちの思わぬ秘密が明らかになっていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:44% Audience Score:49% >
<KINENOTE=69.0点>



by jazzyoba0083 | 2018-11-05 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)