ポワゾン Original Sin

●「ポワゾン Original Sin」
2001 アメリカ Metro-Goldwyn-Mayer Pictures.116min.
監督:マイケル・クリストファー 原作:ウィリアム・アイリッシュ
出演:アントニオ・バンデラス、アンジェリーナ・ジョリー、ジョーン・プリングル、アリソン・マッキー、トーマス・ジェーン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆-α
<感想>
同じ原作に基づいたトリュフォーの「暗くなるまでこの恋を」のリメイクとは、観終わってから気がついた。
原作のアイリッシュはヒッチコックやトリュフォーの原作に用いられたミステリ作家で、本作のオリジナルは
未見だが、おそらく原作はもう少しまともな感じがする。また「暗くなるまでこの恋を」の粗筋をネットで拾って
読んでみると、特にエンディングあたりで大きく異なり、「品を失った」感じが推察できる。

マイケル・クリストファー監督はその後、監督としては大成していないところをみると、この程度が限度だった
のだろう。しかし、褒めておかなくてはならない点もある。画作りだ。彼は二人のトレンド俳優を使って古い
オリジナルをスタイリッシュに仕上げたいと思ったに違いない。舞台となるキューバのシーン、構図が計算され
ローキーの深みのある映像は、ステディカム、ドリー、レール移動、クレーンなど多彩な手法を使って作り上げて
いて、それは美しい。そしてテレンス・ブランチャードの音楽もカリプソを中心にして、いい感じのまとめ方だった。

だが、映画は映像が綺麗で、音楽が良くてもいい映画にはならない。どんでん返しにつぐどんでん返しだが、
多くのレビュアーが書いているように、ラストでコメディになってしまった恨みがある。それとバンデラスが
いわゆる毒婦のアンジーに、全財産を投げ売って、殺人まで犯して入れあげるモチベーションが深掘り出来てい
ないので全体に薄っぺらい。さらに主役の二人に深みを感じないので、せっかくの原作が生きなかった点が
惜しい。トータルとして観られないものではないが、「映画の出来」としては低い評価にとどまらざるを得ない。

印象的なのはRotten Tomatoesでの批評家の採点が12%なのに対し、一般鑑賞者の採点が61点という乖離だ。
まあアンジーのヌードを拝めるという点はあるとしても、大衆が求める映画とクリティックスに耐えうるものは
往往ににして一致しない、ということだ。そんな映画はいくらでもある。
当時アンジーの入れ墨はどうやって消したのだろうか。まだ入れてなかったのかな。

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<ストーリー>
ウィリアム・アイリッシュの小説をアンジェリーナ・ジョリー主演で映像化したミステリー・ロマンス。
19世紀のキューバを舞台に、欲望と犯罪に彩られた男女の愛の駆け引きを官能的に描き出す。

19世紀後半キューバ。コーヒー輸出業で成功したルイスは、新聞の交際欄で妻を求めていた。愛の存在を
信じないルイスは、この地の富の象徴であり仕事を円滑に運ぶための手段になるアメリカ人女性を求め、
そんな彼の要求に、ある女性が応えた。アメリカからやってきたその女性はジュリアと名乗り、事前に
送られていた写真とはあまりにちがう、眩しいほどに美しい女。女を外見で選ぶ男かどうか試した、
と言うジュリアだが、ルイスもまた彼女を財産目当ての女かどうか試していた。彼は手紙では、自分は
平凡な勤め人だと書いていたのだ。かくして恋に落ちたふたりの情熱の日々が始まるが……。
(Movie Walker)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=12% Audience Score:61%>
<KINENOTE=58.0%>



by jazzyoba0083 | 2018-11-26 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)