マクファーランド 栄光への疾走

●「マクファーランド 未来への疾走 Mcfarland,USA」
2015 アメリカ Mayhem Pictures,Walt Disney Pictures.129min.
監督:ニキ・カーロ
出演:ケヴィン・コスナー、マリア・ベロ、モーガン・セイラー、マルタ・イガレータ、マイケル・アグエロ、セルヒオ・アベラル他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
貧困層の子供らが通う中学や高校、やる気の無さ、暴力、家の事情での不登校などが蔓延する程度の低い学校。
ここを舞台にし楽器、音楽やスポーツを通して、少年少女のやる気を出させ、相応の結果を出す、というプロットの
映画はたくさん見てきた。こうした映画は実話に基づいていることが多く、本作もまさにそれである。製作が
ディズニーだし、安心して見ていられる上、ハイライトは感激のシーンなので、誰でも胸が熱くなるだろうし、
涙が溢れるかも知れない。当たり前のような(予定調和っぽい)ストーリー(実話なんだけど)に驚くことはない
けど、そこは実話が持つチカラ、最後が大体分かっていても、感激して見終えることが出来る。本国での評価も高い。
アメリカではこうした話はゴロゴロしているんだろうなあ。

本作のユニーク(魅力)な点は、カリフォルニアの移民農家の子どもたちが主人公で、普段から登校前、下校後に走って
畑に行って過酷な収穫作業を手伝っていることから、「持久走」には普段から鍛えられていて、そこに目を付けた新任の
コーチ、ケヴィン・コスナーが「クロスカントリー部」を作った。7人の青年たちを鍛え上げてく様子が描かれて行くの
だが、子供らが好むと好まざるとに関わらずやらなくてはならなかった家の仕事と学校のスポーツが不可分であったことだ。
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前任の高校でやる気のないアメフト部の部員に体罰を加えたことからクビになり、カリフォルニア州のマクファーランド
高校にやっと採用されたジム・ホワイト(ケヴィン)。
カリフォルニアの地図を見ると分かるが、LAのちょっと北にベイカーズフィールドという大きな街がある。そこから
さらに北にいくとマクファーランドがある。住民の殆どはメキシコ系で、地元のアーモンドとかキャベツやアーティ
チョークなどの大農場に働く貧しい農業従事者が主な住民で、英語が通じない、という奇妙な環境だ。

こうしたいくつもの映画の例に漏れず、やる気のない生徒、荒れる生徒、親の事情で学校に来たり来なかったりする
生徒など問題児だらけ。その中でジムは本来のアメフトのコーチ補佐になるが、主任コーチと意見が合わず、辞めて
しまう。体育の時間にグランドを走らせてみると、やたら早い子供がいる。そこに目をつけたジムは自分も経験のない
クロスカントリー部を作ることを決心する。7名の部員が必要なのだが、部員集の紆余曲折も描かれる。
子供らは一家の収入を支える一人として期待されている労働者でもあったのだ。だがジムはスポーツでいい成績を挙げ
れば、大学に行ける、大学に行けば農業も勉強できるし、更にいい収入も約束され、家族を安心させられるぞ、と
部員を必死に集める。

こうして凸凹ではあるが7人のチームが出来た。コーチも選手も経験のないジャンルのスポーツに手探りで挑む。
交流大会でメタクソにやられると、やはり部員には悔しさが溢れる。そのチカラで州大会予選をなんと4位で
通過。こうなると街でも放っておかず、ヒスパニック系の陽気さも手伝って、お祭り騒ぎとなっていった。
一方、治安の悪いやさぐれた街に引っ越してきたことに妻や子供は早く引っ越したいと思っていたのだが、長女が
15歳の誕生日を迎えると知ると、地元の人達は総出で、ジムの家で長女の成人(メキシコでは女子は15で成人)式
をマリアッチn生バンドも入れたり料理を手伝ったり、大きなパーティーを開いてくれた。
感激するジム一家。マクファーランドの人たちを見直した一瞬だ。しかし、そのパーティーのあとで長女がよそ者に
暴力を振るわれる、という事態が発生、激怒したジムは、ライバル校で、ジムをコーチに誘っていたパロアルト高校に
職場を移そうと決心した。

その後に開かれた州大会本戦。揃いのジャージが作られ街中が応援に着て見守る中、7人の生徒は、お互いに補い
会い、見事にカリフォルニア州の高校対抗第一回クロスカントリー大会で優勝してしまう。ジムと7人の子供らの
奮闘、そして親の理解がこの偉業を達成させたのだった。ジムはライバル校へ行くのを止め、マクファーランド校に
残ることに決めた。

映画では7人のその後が実際の今の人物を紹介する形で描かれるが、7人はいずれも大学に進み、それぞれひとかどの
人物になっていた。そしてマクファーランド高校はその後カリフォルニア州でクロスカントリーの強豪校になったの
だった。
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底辺にいる生徒と優秀な(というより子供思い)の教師との成長の話は、繰り返すが、珍しくないが、いまアメリカが
抱える多様性という問題や、貧富の差という問題、教育の問題など、示唆に飛んだ内容で、アメリカにはまだ知らない
部分があるんだな、と勉強もさせてもらった。7人の生徒役がみな生き生きとしていた良かったし、ケヴィンの抑制の
効いた演技も全体のバランスの中で良かったと思う。日本の中学生や高校生に見てもらいたい作品である。
女流監督のニキ・カーロはこのあと「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」という話題作をモノして
いるが、本作でも丁寧な作り込みが感動を呼ぶ。
日本では劇場未公開となってしまったので、是非DVDなどで学校上映会があるといいかなあ、と。

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<ストーリー>
コーチも部員も経験ゼロからスタートした高校の陸上クロスカントリー部が、やがて全米屈指の強豪チームとなった
奇跡の実話を映画化。「ドラフト・デイ」などのK・コスナーが、貧困の中で希望を失っていた生徒たちに正面から
ぶつかり、やる気を引き出していく主人公役を熱演。人種も文化も言葉すら違う教師と生徒たちが、衝突しながらも
やがて信頼を築き上げていく姿が爽やかな感動を呼ぶ。
エンドロールでは実際のコーチや部員たちの姿、そしてマクファーランド高校クロスカントリー部の栄光の記録も
映し出される。(WOWOW)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:88%>
<KINENOTE=71.6点>




by jazzyoba0083 | 2019-01-29 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)