カリートの道 Carlito's Way

●「カリートの道 Carlito's Way」
1993 アメリカ Universal Pictures ,Epic Productions.145min.
監督:ブライアン・デ・パルマ  原作:エドウィン・トレス「カリートの道」「それから」
出演:アル・パチーノ、ショーン・ペン、ペネロープ・アン・ミラー、ジョン・レグイザモ、ルイス・ガスマン他
カリートの道 Carlito\'s Way_e0040938_22225688.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
時々B級をやっちまう愛すべきブライアン・デ・パルマが「スカーフェイス」以来10年ぶりに再び
アル・パチーノと組んで作った、これはなかなか愛すべき一作。悪の道から結局抜け出せなくて命を
落とす中年ギャングをパチーノが好演。彼の役どころはプエルト・リコ人なのだが、ラテンの血がそう
させるのか、人が良いというか、義理に厚いというか、所詮悪に徹しきれなかった「哀れ?」な男、
カリート・ブリガンテを演じる。結局カリートの足を引っ張り命を落とすきっかけを作ってしまう
組織付きの弁護士に若きショーン・ペン。彼の弁護で30年の刑期を5年で刑務所から出てくることが
出来たため、カリートは彼に借りがある。昔の恋人で再び焼けぼっくいに火がつくダンサー・ゲイル
(実は本格的なミュージカルに出る夢があるのだが上手くいかない。その辺りの人生のありようが
カリートと似ていて2人は意気投合するのだが)にペネロープ・アン・ミラー。この3人を中心に物語が
回っていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
かつてNYを牛耳っていた顔役カリートはもう刑務所に戻るのは懲り懲りと、足を洗うことを決め、
昔の恋人ゲイルと、バハマのパラダイス島でタクシー会社を経営しようとしていた。
しかしさしあたりの資金がない。たまたま従兄弟たちの抗争に巻き込まれそこで大金を手にする。
しかし、銃を手にし、人を殺めてしまう。泥沼から抜けられないカリートの転落人生の幕開けだった。
一方、組織付き弁護士クレインフェルド(ペン)は、コカイン中毒がひどくなり、言動もおかしく
なってきていた。そんなおり、彼は刑務所船に収監されているマフィアのボスから脱獄させろと
要求される。窮した彼はそれをカリートに相談する。刑期を縮めてくれた弁護士には借りがあるから
返さなくてはならないと、気が進まない仕事だったが、引き受けた。

ボスは買収した刑務官の手引きで夜間、船を抜け出て川を泳ぎ沖のブイまで来た。そこへ弁護士所有の
ボートで助けにいったのだった。だがクレインフェルドは引き上げたボスを殴り殺し、同乗して手助け
していたボスの長男も殺してしまう。ボスには二男がいた。クレインフェルドはもちろん、その場にいた
カリートもマフィアから命を狙われる。
バハマへの脱出の直前、検事からクレインフェルドがマフィア親子を殺したと証言すれば取引に
応ずると云われ、更にクレインフェルドがカリートが犯行に手を貸したと証言する録音を聞かされ
彼は弁護士に裏切られたことを知った。司法取引を断り、カリートはマフィアの手で弁護士が殺される
ように仕組んだ。クレインフェルドは病院に警官に化けて侵入してきたマフィアの二男に射殺される。

グランドセントラル駅でマイアミ行きの列車に乗ろうと約束していたカリートとゲイルだったが、
ゲイルが用心棒役のパチャンガと来てみるとカリートの姿が見えない。彼はそのころ地下鉄の中で
マフィアに追い回され、下車したグランドセントラル駅でも追跡劇が続いていたのだ。銃撃戦も
あったが、なんとか列車の乗車口で待っていたゲイルと合流。しかし、裏切ったパチャンガに
銃で2発撃たれてしまう。パチャンガも、殺される。泣き叫ぶゲイル。キャスターに乗せされ
救急車に急ぐカリートの目にパラダイス島の写真が見えた。そして彼はゆっくりと瞼を閉じたのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
どこか日本の任侠映画を観るような人生観。悪だが憎めない人柄、義理人情に厚いが故に命を落とし、
愛し愛される女を泣かす。しょうもない人生だが、なぜか彼の顔にはすべきことはした満足感があった
ような表情が見えた。アル・パチーノ、いい感じだ。カリートにしてみれば必死の日々だった
必死の日々を彼なりの(Carlito's way)方法で生きたのだ。誰がどう言おうと。ラストに流れる
ジョー・コッカーの「You are so beautiful」が切なく胸に迫る。不器用だけど自分なりに必死に
信じる道を生きた・・・。ほとんど高倉健の世界じゃないか?

映画は、開巻、モノクロでラストシーン(カリートが撃たれて担架に乗せられていくところ)から
始まる。その時はラストで絶命することは予想できなかった。映像の組み立て方がデ・パルマらしく
ダイナミックで緩急の付け方も上手く、長い映画だが、飽きることはなかった。
カリートの道 Carlito\'s Way_e0040938_22230545.png
<ストーリー>
1975年、ニューヨーク。カリート・ブリガンテ(アル・パチーノ)は、組織のお抱え弁護士クレイン
フェルド(ショーン・ペン)の尽力で、30年の刑期を5年で終えて出所した。かつては麻薬王として
ならした彼も、今度こそ足を洗い、バハマのパラダイス・アイランドでレンタカー屋を営むことを夢
見ていた。
だが、従兄弟の麻薬取引のトラブルに巻き込まれたカリートは、心ならずも手を血で染める。彼は
昔なじみのサッソ(ホルヘ・ポルセル)のディスコに、死んだ従兄弟の金を投資し、儲けを貯め始める。
街はすっかり様変わりし、信頼していた仲間のラリーン(ヴィーゴ・モーテンセン)は検事となって
偵察にきたうえ、チンピラのベニー・ブランコ(ジョン・レグイザモ)がのしていた。

昔の恋人であるダンサーのゲイル(ペネロープ・アン・ミラー)と再会したカリートは、彼女への愛に
生きることを誓う。その頃、コカインと汚れた金に溺れていたクレインフェルドは服役中のマフィアの
ボス、トニー(フランク・ミヌッチ)に脅され、脱獄の手引きをさせられる。彼に恩義があるカリートは
断りきれずに手を貸す。だがクレインフェルドは深夜のイーストリヴァーで、脱獄したトニーとその息子
フランクを殺す。
間もなく彼はマフィアに命を狙われて重傷を負う。一方、ノーウォーク検事(ジェームズ・レブホーン)は
カリートに、クレインフェルドの犯行を証言すれば免罪にすると司法取引を持ちかける。検事は、彼が
カリートをハメようと虚偽の証言をしたテープを聞かせた。カリートは取引に応じず、裏切り者の
クレインフェルドをマフィアに殺させるように仕向けてカタをつけた。

ゲイルと落ち合うグランド・セントラル駅へ急ぐカリートは、追って来たトニーのもう一人の息子ヴィニー
(ジョゼフ・シラーヴォ)一味と構内で壮絶な銃撃戦を演じる。ゲイルと列車に乗り込もうとした瞬間、
カリートは寝返った用心棒のパチャンガの手引きでベニーに撃たれ、静かに息絶えた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:91% >
<Metacritic=65>
<KINENOTE=75.8点>





by jazzyoba0083 | 2019-04-01 23:10 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)