ワン・フロム・ザ・ハート One form the Heart(佳作再見シリーズ)

●「ワン・フロム・ザ・ハート One from the Heart」
1982 アメリカ Zoetrope Studios.Dist.Columbia Pictures.100min.
監督・(共同)脚本:フランシス・フォード・コッポラ  音楽:トム・ウェイツ
出演:フレデリック・フォレスト、テリー・ガー、ナターシャ・キンスキー、ラウル・ジュリア、レイニー・カザン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
「佳作」と振ったが、異議のある方もいらっしゃると思う。確かにアメリカでの評価も低いし、興行的にも失敗して
いるし、実際映画を観ても、なんだかなあ、の部分はあることは確かだ。だから巨匠コッポラの作品群の中でも
「失敗作」に分類される作品なのだろう。しかし、だ。どこか捨て置け無い愛らしさもあるのだ。気になっちゃうのだ。

今から13年前に観ていてその感想もこのブログにあるので興味のある方はブログ内検索をして頂きたいと思うが、印象
は大きく変わるものではない。トム・ウェイツとクリスタル・ゲイルが歌うジャジーな歌声が映画をリードする。
ミュージカルというには出演者たちは歌わないから無理があると思われる方もいらっしゃるだろう。

全編コッポラが所有していた「ゾーイトロープ・スタジオ」セットで作った物語は、大人のファンタジーという感じで、
現実にはあり得ないシーンもあるので夢物語なのだろう。ストーリー自体はどうということはない、むしろ陳腐な
もの。5年の同棲にお互いの欠点ばかり目に付き始めたカップルがラスベガスを舞台に他の男女と付き合ってみるが、
やっぱり元サヤがいいなあ、というハッピーエンド。

色彩は鮮やかで、クレーンなどを多用した(いまならドローンがあるのになあ)カットも美しく、とにかく歌が良い。
タイトルも歌詞の一節から取られている。が、一方で歌が演技と有機的な結合に至らず浮いてしまっている感じも
受ける。さして美人でないところがいいテリー・ガーはこれ以前に「未知との遭遇」でドレイファスのエキセント
リックな妻を演じているのが記憶にある。フレデリック・フォレストはコッポラとは「地獄の黙示録」で一緒に
仕事をしている流れか。この主役の二人に存在の重さがないのが痛々しい感じ。若々しいエキゾチックなサーカス女
を演じるナターシャ・キンスキーが存在感を示している。

内容も演技もどうってことない作品なのだが、なぜか惹かれてしまう。不思議な作品なのだ。
今回観て一番感じたのは、スタジオシーンの各所にデイミアン・チャゼル監督の「ラ・ラ・ランド」が本作を
リスペクトしているんじゃないか、と思われるシーンがいくつかあったこと。ラスベガスの車道いっぱいに
広がって踊って歌うシーンとか。書き割りの前でのガーとジュリアのダンスシーンとか。
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<ストーリー>
7月4日の独立記念日を明日に控えたラスベガスの街。旅行社に勤めるフラニー(テリー・ガー)は、ごったがえす
観光客をよそにショウ・ウィンドウのディスプレーに精を出していた。同じ頃、フラニーの同棲相手ハンク
(フレデリック・フォレスト)は、モーと共同経営している自動車解体工場にいた。明日はフラニーとハンクが
5年前に出逢った日でもあった。
夜になると、フラニーはボラボラ島行きの航空券を、ハンクは家の権利書を互いにプレゼントする。どうも、
しっくりといかない。その後、ささいな事から喧嘩になり、フラニーは出ていった。ハンクはモーの所へ、
フラニーは旅行社の同僚マギーのアパートに。

翌日、またショウ・ウィンドウでディスプレイを手直ししていたフラニーに、ピアニストだというレイ
(ラウル・ジュリア)が話しかける。一方、ハンクはサーカス一座の踊り子らしきライラ(ナスターシャ・
キンスキー)に心を奪われ、9時に会うことを約束する。とあるレストランに入ったフラニー、支配人に
売春婦と間違われて憤概する。と、そこへ来合わせたウェイターこそ、レイだった。ショー・タイムの
合間はウェイターをしているのだという。2人は話し込み、おかげでレイはクビになる。

その後、2人はステージで踊り始め、そのまま沿道に飛び出し、通行人も一緒に踊り出す。ライラと会った
ハンクは工場に連れてゆき、夢のような一時をすごした。フラニーのことが気になったハンクはモーと一緒に、
マギーのアパートに。マギーとモーは互いに惹かれあう。マギーからフラニーの居所を聞き出し、モテルから
フラニーを奪取。家についたが、フラニーはカンカンで、ボラボラ島に行くと言って去る。
マッカーラン空港に駆けつけたハンクは、フラニーにもどってくるよう訴えるが、彼女は飛行機に乗り込んで
しまった。傷心の思いで家にたどりつき、暖炉の前でたたずんでいるハンク。そこへ、彼女が帰ってきた。
2人は抱きあう。(KINENOTE)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:50% Audience Score:62%>
<Metacritic=57>
<KINENOTE=62.9点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-05 22:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)