500ページの夢の束 Please Stand By

●「500ページの夢の束 Please Stand By」
2017 アメリカ Allegiance Theater,2929 Productions. 93min.
監督・ベン・リューイン   原作戯曲・脚本:マイケ・ルゴラムコ
出演:ダコタ・ファニング、トニ・コレット、アリス・イヴ、マリケル・スタール=デヴィッド他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
自閉症の若い女性の頑張りと、少し開けた未来を描いた佳作だとおもう。日本ではキノフィルムの
配給だが、いかにも同社が扱うような雰囲気がある。おそらく大型シネコンなどでは上映しずらい
作品ではなかったか、私の知る範囲では名画座・単館系の上映になったのだと思う。が、隠れた
佳作と評価したい。

昨今ダッチロール状態のダコタだが、(妹のエルの方が売れてしまっている)ここでは自閉症の女性の
感性と独特の動きを好演し、観ている人に共感を呼ぶものに仕上がっている。
この手の難病ものは興行的に当たり外れが激しいのでキャストとストーリーを天秤にかけて配給も
悩むんだと思う。昔にはダスティン・ホフマンとトム・クルーズの「レインマン」という傑作もあった
し「アイ・アム・サム」も忘れがたい。
それらに比べれば小品だし、話題も少ないが、観ている人はダコタを応援し、彼女の前進にきっと
カタルシスを感じるだろう。

ダコタと彼女の姉を演じたアリス・イヴ、そして施設のケアワーカーをしているトニ・コレットが
ダコタを支える。そして何気にトニ・コレットの息子や「シナボン」の同僚がなかなか味わい深い所を
演じている。

彼女が「スター・トレック」脚本コンテストにエントリーするという夢を持って500ページ近い脚本を
パソコンで作成するが、間に合わないと自分でロスのパラマウントスタジオへ持ち込むべく、彼女に
とっては人生初の大冒険に出かけるのだ。当然、バスに乗れない、お金の勘定が上手くいかない、
簡単にだまされる、意思が的確に伝わらない、などの困難を乗り越えなければならない。その壁は
健常者が思うより高く厚いものなのだろう。悪いやつも登場する。

途中で交通事故にあい、病院から脱走する際に綴じていない脚本が外階段で散乱してしまい、そのため
彼女はコピー屋のゴミ箱から反故紙を取り出し、またイチから書き出すのだ!

最後にはケアワーカー親子や妹に見守られ、一人でパラマウントスタジオの係に脚本を届けるのだが、
係は「郵送」「消印のあるもの」しか認められないという。しかし彼女は脚本を投入する専用のポストに
投げ入れて出てきたのだ。

観ている人はダコタに対して「だめだよ、それじゃあ」とか「そこじゃない」とか共感しながら応援して
いる自分を発見するだろう。

脚本は入選することは叶わなかったが、ダコタ(役名:ウェンディ)の脚本の執筆とSFからLAまでの
大旅行は彼女にとって大きな自信となり、ウェンディの人生の前進に少し役立ったことが分かる。
それはラストシークエンスでのウェンディの「人の目を観て話すことができる」自信に満ちた表情と
行動で分かるようになっているのだ。短い映画なのでチャンスがあれば一度ご覧になるといいと思う。

原題は本人が気を静める時に自分に言い聞かせる言葉。「スタンバイお願いします」。
「スター・トレック」から本人が取ったのであろう。
邦題もなかなか味わい深いのではないか。

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<ストーリー>
ダコタ・ファニングが『スター・トレック』が大好きな自閉症の少女を演じる青春ドラマ。
『スター・トレック』の脚本コンテストに応募するため、愛犬を連れて初めての一人旅に出た少女が、
旅先で出会う人々との交流を通して、成長していく姿を描く。
『マイレージ、マイライフ』のダニエル・ダビッキが製作を務める。

自閉症を抱えるウェンディは『スター・トレック』が大好きで、自分なりの脚本を書くのが趣味。
ソーシャルワーカーのスコッティの協力を得て、アルバイトを始めた彼女はある日、『スター・
トレック』の脚本コンテストが開催されることを知り、渾身の作を書き上げる。
だが、郵送では締め切りに間に合わないと気付き、愛犬と一緒にハリウッドへ向かう。
(Movie Walker)

<IMDb=★6.7>
<Metacritic=49>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:58% Audience Score:69%>
<KINENOTE=74.8点>





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Tracked from 象のロケット at 2019-11-25 04:22
タイトル : 500ページの夢の束
アメリカ・サンフランシスコの湾岸地域。 若い女性ウェンディは自閉症で、唯一の肉親である姉オードリーが結婚してからは、自立支援ホームで暮らしている。 大好きな「スター・トレック」の脚本コンテストに応募しようとしたが、もう郵送では締切に間に合わない。 彼女はロサンゼルスまで脚本を持って行こうと決心し、バスに乗ることに…。 ロードムービー。... more
by jazzyoba0083 | 2019-11-17 20:30 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)