蜘蛛の巣を払う女 The Girl in the Spider's Web

●「蜘蛛の巣を払う女 The Girl in the Spider's Web」
2018  アメリカ  Columbia Pictures, Metro-Goldwyn-Mayer Pictures. 115min.
監督:フェデ・アルバレス
出演:クレア・フォイ、スヴェリル・グドナソン、シルヴィア・フークス、レイキース・スタンフィールド他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
スティーグ・ラーソンの「ミレニアム」三部作は、スウェーデン版もとても面白かったが、何より、
デヴィッド・フィンチャー監督がルーニー・マーラをリスベット役に据えて作ったハリウッド版が
原作未読ながら、オリジナルの持つおどろおどろしさを上手く演出でき、ルーニーもはまり役では
なかったか、さすがフィンチャー演出と大変感心して観た覚えがある。

本作はラーソン亡き後、デヴィッド・ラーゲルクランツが書いた「ミレニアムⅣ 蜘蛛の巣を払う
女」の映像化で、ハリウッド版「ドラゴン・タトゥーの女」の続編に当たる。しかし主役を始めと
してキャストや演出は全て入れ替わり、続編というにはいささか語弊がある出来となっていた。

この映画はこの映画としてみれば、アクションや小ネタも含めまあまあのハリウッドアクション
映画と見ることは出来るだろう。だが、「ドラゴン・タトゥーの女」の続編と称するにはいささか
テイストを異にしていると感じる人は多いだろう。まず映像のテイストの多くを背負うルーニー・
マーラの存在がクレア・フォイに変わっていること。また前作で描かれたフィンチャー的おどろ
おどろしさが無く、スタイリッシュなハリウッドのアクション映画となったこと。ストーリーも
ありがちな構成で、よく言う「普通に面白い」にとどまる作品になったとの印象が強い。

クレア・フォイも健闘していたと思うが、なにせ線が細いしリスベットのハッカーにして過激な
バイオレンスも辞さない闘士としては存在が薄い。姉の存在、ビランであった父親、その影響下を
脱し逃亡した妹リスベットと、その虜にさせられ父の跡を継いだ姉。この構図に全世界の核爆弾を
アクティベイト出来る装置を巡り、装置のソフトを持つNSA、いかにも何かありそうな女ボス、
そしてリスベットの彼氏にして新聞ミレニアムの記者ミカエルが絡む展開だ。
物語自体は嫌味なく(無さすぎるくらい)分かりやすく(わかり易すぎるくらい)に繰り広げ
られていく。カーチェイスの出来もそう悪いものでもない。ただ悪い言葉でいえばご都合主義的な
展開は、これまでの「ミレニアム」シリーズ(映画版)では無かったことだったと思う。

フィンチャー版の続編を期待して来るとがっかりする人が多いのではないか。これはこれとして
観られるのなら、それはそれで幸せだと思う。全くの別物としてみれば、だ。だがそう見る人が
多いとも思えない。ちょっと残念な作品となってしまった。

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<ストーリー>
背中にドラゴンのタトゥーを入れた天才ハッカー、リスベットの活躍を描く、スウェーデン発の
ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズの続編となるサスペンス・ミステリー。核攻撃プロ
グラムの奪還に挑むリスベットが16年前に生き別れた双子の姉妹カミラと対峙する。
『ブレス しあわせの呼吸』のクレア・フォイがリスベット役を力演する。

天才ハッカーのリスベットに仕事が舞い込む。それは人工知能研究の世界的権威であるバルデル
博士からのもので、自らが開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻して
ほしいというものだった。
天才的なハッキング能力を持つリスベットには簡単な仕事のはずだったが、16年前に別れた双子の
姉妹カミラによる罠が張り巡らされていた。(Movie Walker)

<IMDb=★6.1>
<Metacritic=43>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:40% Audiene Score:36% >
<KINENOTE=73.3 点>




Tracked from ここなつ映画レビュー at 2019-12-25 16:07
タイトル : 「蜘蛛の巣を払う女」
超絶面白かった!そして何と言ってもわかりやすい。話はわかりやすかったのだが、原作とその映画化の関係はすこし複雑である。本作は、2012年日本公開の「ドラゴン・タトゥーの女」の続編である。主演のリスベットをルーニー・マーラが、共に捜査を進めるジャーナリストのミカエルをダニエル・クレイグが演じており、デビッド・フィンチャーが監督であった。これは小説「ミレニアム・シリーズ」の中の第1作「ドラゴン・タトゥーの女」の映画化ということになるのだが、この「ミレニアム・シリーズ」の映画化というのは既にスウェーデン版...... more
by jazzyoba0083 | 2019-12-13 22:19 | 洋画=か行 | Trackback(1) | Comments(0)