翔んで埼玉

●「翔んで埼玉」
2018 日本 製作委員会 配給:東映 106分
監督:武内英樹
出演:二階堂ふみ、GACKT、伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、中尾彬、京本政樹他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
昨年の今頃、「ボヘミアン・ラプソディー」と並んで映画界の評判を独占した邦画、映画ファンとして
見ると突然降って湧いたような現象だったと記憶している。さて、当時シネコンに行くまでの気持ちは
無かったがWOWOWで放映してくれたのを機に、どんなものだったのか確認の意味もあり観てみた。

ギャグマンガが原作なので、単に笑えればいいのだが、その点では「埼玉」という絶好のディスりねたを
持ってきたプロデュースサイドの勝利だったろう。個人的にも関東圏の人ほどではないにしろ、分かるネタ
が多く、恐らく埼玉を中心点として距離があればあるほど入りの悪い映画になっていたのではないか。
それがある程度の臨界点を超えると、そうまでヒットするなら観ておくか、という人たちを巻き込むヒット
の法則に乗っかったといえるのだろう。

都庁前の戦闘からラストまでがいささか長く感じた。あの辺りをもう少し短くまとめるともっと面白さも
凝縮されたのではないか。埼玉と千葉が手を組んだ以降は埼玉バンザイになることは容易に想像で出来た
ので、それ以降はさっさと畳んだほうが効果的ではなかったか。

魔夜峰央がマンガに描いたのは昭和50年代の末のこと。その頃「ダ埼玉」という言葉や「チバラギ」などの
東京を取り巻く県をイジった言葉が出来てきたように記憶する。それをなぜ今映画にして、それがヒット
したのか、ということを考えてみるのも面白いかもしれない。「不寛容」とか「差別」「格差」という
ワードがヒットしそうである。

人間が普遍的に持つ「人をおちょくる快感」と「おちょくられる快感」。それを傍観する楽しみ、そういう
原初的な快楽を楽しませてくれる映画だった。埼玉には申し訳ないが、日本国中こうした地域間の言い合い
みたいなものは存在するのであり、埼玉をディスり埼玉がディスられるのは結局自分の問題であるのだろう。

東京と埼玉、という図式に加え、千葉対埼玉、埼玉県内の市の争いなども上手く取り上げられ、その争点
も、海のない埼玉が海水を県域に地下トンネルを作って「埼玉産サザエ」を育てるとか、出身タレント合戦
とかのアイデアも面白い。
出演者の衣装や設定をゴシック風ベルばら風宝塚風に設定し、都市伝説であることを強調するが、それが
一層埼玉の存在を際立たせることになっていた。リアルな土地名や名物、人名、企業名も出てくるので
リアリティも感じさせる作りになっていて、面白い。

単純なコミックでないこところにこの映画の妙味があるのだろう。そうした趣旨では面白く観させてもら
ったが、映画全体の出来としてどうかといわれると、過大な評価は出来ない。しかしこうした映画を作った
視点は評価しなければならないだろう。

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<ストーリー>
『パタリロ!』の作者・魔夜峰央による埼玉県が徹底的に蔑まされ虐げられた架空の世界を舞台にした
伝説のギャグ漫画を、「テルマエ・ロマエ」の武内英樹監督が主演の二階堂ふみとGACKTをはじめ豪華
キャストを迎えて実写映画化したエンタテインメント・パロディ・コメディ。
共演は伊勢谷友介、ブラザートム、麻生久美子、島崎遥香、京本政樹。
 
埼玉県民は東京都民からひどい差別を受けており、東京へ入るのにも通行手形が必要で、手形がなければ
即強制送還という屈辱の日々を送っていた。東京の超名門校・白鵬堂学院でも、都知事の息子で生徒会長の
壇ノ浦百美によって埼玉県人は容赦ない迫害にあっていた。
そんなある日、アメリカからの帰国子女・麻実麗が転校してくる。容姿端麗で洗練された立ち居振る舞いの
彼だったが、実は隠れ埼玉県人で、埼玉解放戦線のメンバーだった。
しかし、そんな麗にいつしか心惹かれてしまった百美は、正体がバレて追われる身となった麗と行動を共に
していくのだったが…。(allcinema)

<KINENOTE=73.9点>



by jazzyoba0083 | 2020-01-27 22:30 | 邦画・新作 | Trackback(2) | Comments(0)