ファーザー The Father

●「ファーザー The Father」
2020 イギリス・フランス Les Films du Cru (present),Film4 (present).97min.
監督・戯曲原作・脚本:フロリアン・ゼレール
出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、
   ルーファス・シーウェル、イモージェン・プーツ、オリヴィア・ウィリアムズ他

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<評価:★★★★★★★★★☆+α>
<感想>
一昨年のオスカーで主演男優賞と脚色賞を獲った作品なれど、当時日本で観ることは
叶わなかったため年間ランキングに入れられなかったが、今回観てみて、もし観てい
たら、必ずベスト3位内には入れていただろう素晴らしい作品だった。

特に構成が素晴らしい。ある種のサスペンスの感じさえする。一体本当の事は何だろう、
パリに行ったというのも実は真実なのかどうかは不明だ。
自分の戯曲を脚色し、演出したフロリアン・ゼレールは、自分が描きたかった世界を
自分の感性に従い、アンソニー・ホプキンスの名演に助けられて、完璧に描ききったと
感じたのではないか。

観客は知らぬ間にアンソニーの世界に入り込み、どれが本当の自分の世界なのかが分から
なくなっていく。認知症になったことはないので、その世界観がどういうものなのか、
分からないが、恐らく自分を失っていくということはこういうことなのだろう。
「自分は誰で、何をしていて、目の前のこの人は誰なんだ」という状況が、活写されて
いた。それは私など高齢のものには笑えない話であり、それを支える家族にとっては
戸惑いと苦労の状況であるということ。100分に満たない、舞台劇を観るような締まった
ドラマは満足感たっぷりだった。あっという間の97分であった。

アンソニーに対応する娘のオリビア・コールマンの出来も素晴らしく、基本的には二人の
親子の演技が「認知症」に対する映画が持つ意味を十分に伝えきっていた。

ラスト、養護施設の窓へパーンするとそこには森の鮮やかな緑が。それがラストシーンだ。
この描写には伏線があり、アンソニーが全身の葉っぱが落ちていくような感じなんだよ、
という独り言に対する回答とみることが出来るだろう。人生の哀愁をつくづく感じてしまう。

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<ストーリー>
世界30カ国以上で上演された舞台をアンソニー・ホプキンス&オリヴィア・コールマン
共演で映画化。

ロンドン。独り暮らしを送る81歳のアンソニー(アンソニー・ホプキンス)は、認知症に
よって記憶が薄れ始めていたが、娘のアン(オリヴィア・コールマン)が手配する介護人を
拒否していた。
そんなある日、アンが新しい恋人とパリで暮らすと知ったアンソニーはショックを受ける。
ところが、アンと結婚して10年以上になると語る見知らぬ男がアンソニーの自宅に突然現れ、
ここが自分とアンの家だと主張するのだった。

アンソニーにはもうひとつ気がかりなことがあった。もう一人の娘、最愛のルーシーはどこに
消えたのか。現実と幻想の境界が崩れていくなか、やがてアンソニーはある“真実”に
たどり着く……。(キネマ旬報)

<IMDb=★8.3>
<Metacritic=88>
<Rotten Tomatoes=Tomaometer:98% Audiece Score:92%>
<KINENOTE=79.1点>
<映画com=3.9/5>



by jazzyoba0083 | 2022-05-14 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)