牛泥棒 The Ox-Bow Incident

●「牛泥棒 The Ox-Bow Incident」(日本劇場未公開)
1942 アメリカ Twentieth Century-Fox 75min.
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
出演:ヘンリー・フォンダ、ダナ・アンドリュース、メアリー・ベスヒューズ、アンソニー・クイン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
いわゆる西部劇というより、西部を舞台にした人間ドラマとも言うべき、一風変わった
テーマを持つ。この映画を観ると、今のアメリカ人の根源は西部開拓時代とあまり変わって
いないな、と思えてくる。主役のヘンリー・フォンダの立ち位置が今一つ明確でなく、単なる
狂言回しになっているのが惜しい。

主役はむしろ冤罪で吊るし首になるダナ・アンドリュースであり、彼が書いた家族に当てた
最後の手紙だ。あそこまで諦観を極め、無法者のやりたい放題にさせるのはいささかモヤモヤは
残るが、無罪の三人を吊るし首にしてしまった自警団の町人や、傍観していたヘンリー・フォンダ
らは、ダナが妻に書いた手紙の内容に心を打たれ、自分がしたことに悄然とするのだ。

何人たりとも法の下では平等であり、法によってのみ裁かれるわけで、それが機能していない
時代のアメリカを敢えて戦時中に描いて見せて、正義とは何か、を考えさせている。良くこんな
「敵を憎まず」みたいな映画をこの時期に作ったな、と思う。
あの3人を殺してしまった町の自警団の男たちは一生、負い目を背負って生きていかねばならない
だろう。そう思うことが観た人の唯一のカタルシスなのだ。罪を憎んで人を憎まず、まるで
キリストのような態度を取られたことは、西部の荒くれ者たちは銃で撃たれたより衝撃を受けた
ことだろう。80分に満たない映画とは思えない重く考えさせるものを持つ映画だ。

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<ストーリー>
1885年、ネバダ州のある町にギル・カーターと相棒のアート・クロフトという2人の男が
やって来る。その頃、町の牧場主が殺され、牛が盗まれるという事件が起きる。
町の長老デイヴィスは法にのっとった裁判を主張する。しかし怒った町の男達は私刑を前提に
自警団を組織し、犯人探しに乗り出し、カーターとクロフト、デイヴィスも同行する。

やがて、牛を連れ野宿していたマーティン、フアン、アルヴァの3人の男達が犯人として捕ら
えられる。
3人は無実を主張するが、自警団の男達は裁判を経ずに自分たちの手で裁きを下すこと(私刑)
を主張する。デイヴィスやカーター、クロフトなど7人が裁判にかけることを主張するが、
私刑を主張する多数派に押し切られ、3人は縛り首となった。

そこに保安官がやって来る。彼は牧場主が死んでいないことと、犯人が捕まったことを伝えた。
3人は冤罪だったのだ。
自警団の男達はショックのあまり、酒場で皆茫然としていた。彼らの前でカーターは、
デイヴィスが預かったマーティンの手紙を読み上げる。それには自分を処刑する者達への非難の
言葉はなく、人間の良心の尊さが記されていた。(wikipedia)

<IMDb=★8.0>
<Metacritic=No Data>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:91%>
<KINENOTE=74.0点>
<Yahoo!映画=4,2/5>





by jazzyoba0083 | 2022-05-24 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)