父はフロリダを夢見て Floride (Florida)

●「父はフロリダを夢見て Floride (Florida)」
2015 フランス Gaumont (presents) 110min.
監督・(共同)脚本:フィリップ・ル・ゲ  原作戯曲:フロリアン・ゼレール
出演:ジャン・ロシュフォール、サンドリーヌ・キベルラン、ローラン・リュカ、
   アナマリア・マリンカ、クレモン・メテイエ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
一昨年、オスカーでアンソニー・ホプキンスが主演男優賞を獲得し、作品も脚本賞を
獲った「ファーザー」とは元にしている戯曲が同じ。原作は未読なれど、フランスの
原作ということを想像すると、内容は本作に近いのかもしれない。イギリス版は重厚
で、何と言ってもアンソニーの演技と複雑に構成された脚本が出色だったのだが、
原案が持つテイストは、こちらに近い気がする。製作は本作の方が5年早い。

「ファーザー」はもちろん名作だったが、こちらはこちらで面白かった。フレンチ
テイストで。どこからが認知症の自分の世界なのか、実際に起きている話なのか、
つまりリアリティと夢の中の境目が分からないように作ってある。そのテイストが
イギリス版と決定的に違うのだ。何よりも屋外のシーンと登場人物の多さでテイスト
の差異が明確になるだろう。

自分はまともだと思っていること、事故死した下の娘がまだ存命でフロリダで元気に
しているということ、暮らしているのが娘の家だということ(本人は自分の家だと
思っているが)。認知症独特の直前の記憶がおぼろで、過去のことはよく覚えている。
行動は傍目で観るとそうおかしくはないがどこか辻褄があっていない、それらは
「ファーザー」と同じ。作品全体がこちらのほうが明るく、認知症を表現しながらも
明るさを失わないタッチで描かれている。だから悲劇も明るさに包まれる。まるで
フロリダの太陽のように。フロリダに向かう飛行機のビジネスクラスに座る老紳士の
映像に騙されてしまうのだなあ、まず。 本作は残念ながら日本では劇場では公開
されなかった。ミニシアターでも。面白いのになあ。「ファーザー」をご覧になった
人は是非本作も観てみることをおすすめしたい。二人の主人公のボケっぷりの差異が
きっと興味深いと思うし、記憶の曖昧さが観ている人をも巻き込んで何が真実なのか
分からなくなるという具合の描き方の違いにもきっと趣を感じるだろう。


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<ストーリー>
話題作「ファーザー」と同じ原作戯曲をフランスのベテラン男優、J・ロシュフォール
の主演で映画化。認知症になった老男性は、現実と妄想の境界線が曖昧になっていき……。

自ら「ファーザー」を監督したF・ゼレールによる戯曲を、同作の5年前に「屋根裏部屋
のマリアたち」のP・ル・ゲ監督が映画化。「髪結いの亭主」などに出演してきた名優
ロシュフォールは撮影当時、本作での役より年上の84歳だったが、渾身の熱演を見せた
本作が最後の作品に。ほとんどの場面が屋内だった「ファーザー」が認知症の主人公の
恐怖・不安を強調したのに対し、本作はさまざまな場所を舞台とし、周囲の人々の人間模
様も描き、人情ドラマ風。「ファーザー」と比べてみたい。WOWOWの放送が日本初放送。

80歳代の男性クロードは認知症で、自分の一軒家でひとり暮らしをする。彼の会社の経営
を受け継いだ娘キャロルは父親が心配。頑固で他人に手助けされるのを嫌うクロードは
メイドとトラブルを起こし、新たにクロアチア出身のイヴォナが彼の世話をすることに。
クロードは過去と現在の区別ができなくなりがちだが、キャロルの妹が暮らす、米国の
フロリダ州に行くことを夢見る。しかし実はキャロルの妹は9年前に亡くなっていて……。
(WOWOW)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:No Data Audience Score:50%>



by jazzyoba0083 | 2022-05-31 23:15 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)