護られなかった者たちへ

●「護られなかった者たちへ」
2021 日本 松竹映画東京撮影所 134分
監督:瀬々敬久 原作:中山七里
出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、倍賞千恵子、林遣都、永山瑛太、緒形直人、吉岡秀隆、
   岩松了、三宅裕司、鶴見辰吾、原日出子、波岡一喜、奥貫薫、井之脇海他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
原作は未読。この内容は活字で読んだ方が主張が伝わるんじゃないかな、と感じた。
肝である「カンちゃん」が男女を入れ替え、映画では女性(清原果耶)となったことで
真犯人の正体が明かされたときの驚きはあったものの、犯行に関する物理的不整合
感じられた。その上、緒方直人のセリフなどに見られたように、生硬いストレートな
文章を読み上げた感じのものが数か所見られた点も残念な点だ。
大きな焦点となっている生活保護という側面を取り扱った原作を映像化した気概は買い
たいが、腑に落ち方がストレート過ぎるため、もう少し人物像などにひねりが欲しいところ。

ラストシークエンスの佐藤健の独白の内容と阿部寛の未発見の息子の結びつきなども
原作が有るのかもしれないが、出来過ぎな感じだ。

私が邦画を見る時に感じ、ここでも何回となく書かせてもらっているが、日本の場合、
テレビでよく見る俳優が映画に出るのが普通なので、(映画のギャラだけでは食って
いけないんだろうか)テレビドラマで付いたイメージを引きずってしまい、シンパシーを
感じられなくなる恨みがあるのだ。確かに本作での佐藤健や阿部寛の演技は素晴らしいと
思うし、清原果耶も頑張っていたが、主なキャストは殆ど毎クールどこかのテレビ局の
ドラマの主役級で活躍しているので、イメージを引っ張ってしまう。その辺り、損している
なあと思う。安藤サクラとか、黒木華とか、テレビにあまり出てほしくないなあ。
その点、佐藤浩市、役所広司は殆どテレビで出ないので映画を見ていても面白さをストレート
に感じることが出来る。私が映画館に邦画をあまり見に行かないのはその事が大きな
原因になっている。(阿部寛と清原果耶はこの後、「異動辞令は音楽隊!」でも共演。
阿部の場合、はぐれ刑事という点もそっくり)

社会派ミステリーとしての価値は有るとは思うが、映画としてどうか、と言われると、
うーむ、となってしまうタイプの映画だ。

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<ストーリー>
東日本大震災から10年後、仙台市の保健福祉事務所課長・三雲忠勝が、手足や口の自由を
奪われた状態の餓死死体で発見された。
三雲は公私ともに人格者として知られ、怨恨が理由とは考えにくいが、物盗りによる犯行の
可能性も低く、宮城県警の刑事・笘篠らの捜査は暗礁に乗り上げる。
一方、三雲の死体発見の数日前、一人の模範囚が出所していた。男は過去に起きたある出来事の
関係者を追っていた。男の目的はいったい何なのか。(キネマ旬報)

<KINENOTE=75.2点>
<映画com=3.8/5>




by jazzyoba0083 | 2023-03-28 23:20 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)