RRR (Rise Roar Revolt)

●「RRR (Rise Roar Revolt)」
2022 インド DVV Entertainment. 179min.
監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
出演:N・T・ラーマ・ラオ・Jr.、ラーム・チャラン、アジャイ・デーヴガン、アーリーアー・バット、
   レイ・スティーヴンソン、アリソン・ドゥーディー他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
遅ればせながらシネコンで鑑賞。まだシネコンで演っているということは入る客がいる
ということで、実際平日の午後、高齢者を中心に結構入っていた。

3時間の大作で、本編には途中、「Intermission」が表示されるが、日本では休憩は入らない。
映画の流れ的に行って、トイレに行く人がいるかいないかに関わらず、あそこ(あと50分位
残したところ)では一息入れた方が観客には親切だと感じた。それほど怒涛の内容で、
テレビ番組でウッチャンが「全編クライマックス」と言っていたが、それがあながち大げさでは
ないことが観れば分かる。
久しぶりのインド映画だったが、(「きっと、うまくいく」以来)ここまでの物語性を持ち、
かつボリウッドの特徴である踊りや歌、活劇などもふんだんに盛り込まれていて、満腹感この
上ない作品は初めてお目にかかった。

インド映画というと「ムトゥ 踊るマハラジャ」で止まっている人も多かろうが、本作は観る
べきだ。ボリウッド恐るべし。テレビなどでは「ナートゥダンス」がクローズアップされるので
あのような楽しい脳天気なインド映画か、とおもったらさにあらず。インドが英国の植民地で
あった1920年(第一次世界対戦が終わった直後あたり)のインドでの民族自決運動を様々な
アスペクトから表現したもので、あっとびっくりな人間関係があったり、トラとの対決や、
格闘や戦闘シーンには必ずスローモーションが使われ、表現の強調が行われるなどエンタメ性
サービス満点だ。インド映画のお約束みたいなものだけど、これがストーリーに乗ってズバズバと
はまっていくので心地よい。
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また映像に安っぽさを全く感じないのもいいし、VFXの出来も良い。脚本が良くて画像が
良くて、俳優が良ければ、いい映画にならないはずがない。(インド人の若い男性は顔が似て
いるので困るんだけど)

そうテンポが凄く良いのだ。次々とストーリーが転換しシーンも切り替わっていくので飽きると
いうことがない。目先の派手さに目を奪われがちだが、ストーリーもしっかりしていて、英国
占領軍の総督一派と娘、主人公の2人の友情関係と恋愛事情、英国の圧政に苦しむ部族の長の親子の
心の交流、そしてインド国民の民族自決に懸ける思いや決意といったものが、時に歌に乗せて
時に印象的なセリフに乗せて、観客の心に飛び込んでくる。

日本人にとって人情味たっぷりの浪花節的勧善懲悪な世界は分かりやすく、アクの強い映画では
あるが「エブエブ」なんかよりベタだけど、よほど観やすく理解しやすく素直にエンタメとして
楽しいだろう。言い方は大げさかもしれないが、「こういうのが映画なんだよなあ」と思って
しまう。私が今年これまで観た映画の中では一番印象的な作品だった。

ラストのこれもお約束の集団ダンスでは背後にインドの英雄たちの横顔が映し出される。
日本的に見たら愛国心を煽る相当国粋的な映画なのかもしれない。が、なにせ植民地の人々の
独立に向けたRRR(起て!吼えよ!抵抗せよ!)だからね。

いやあ、観てよかったよ。大画面で。恐らくもうすぐすると配信系やWOWOWあたりで放映する
だろうが、テレビ画面ではあのダイナミックな光景は味わえないだろう。そこは「トップガン・
マーヴェリック」もしかり。みんさん映画館へ行きましょう!
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<ストーリー>
「バーフバリ」シリーズのS・S・ラージャマウリ監督がインド映画史上最高の製作費を投じて
撮り上げたアクション・アドベンチャー超大作。
英国植民地時代のインドを舞台に、それぞれに大きな使命を負った2人の男が出会い、深い友情と
過酷な宿命の狭間で繰り広げる葛藤と闘争の行方をケレン味あふれるアクション満載に圧倒的な
スケールで描き出す。主演はN・T・ラーマ・ラオ・Jrとラーム・チャラン。

 1920年、英国植民地時代のインド。ゴーンド族の不屈の男ビームは、英国軍に連れ去られた
村の少女を奪還すると心に誓った。
一方、ある大義を胸に秘め、英国政府の下で警察官として働くラージュ。互いに対立する2人だった
が、運命に導かれるように出会い、相手の素性も知らぬままに列車事故から少年を救い出すために
協力する。これを機に友情を育み、強い絆で結ばれていくビームとラージュだったが…。
(allcinema)

<IMDb=★7.8>
<Metascore=83>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:95% Audience Score:94%>
<KINENOTE=84.6点>
<映画com=4.4/5>




by jazzyoba0083 | 2023-04-27 17:00 | Trackback | Comments(0)