午前4時にパリの夜は明ける Les passagers de la nuit

●「午前4時にパリの夜は明ける Les passagers de la nuit」
2023 フランス Nord-Ouest Films=Arte France Cinema. 111min.
監督・(共同)脚本:ミカエル・アース
出演:シャルロット・ゲンズブール、キト=レイヨン・リシュテル、ノエ・アビタ、
   メーガン・ノータム、エマニュエル・ベアール他

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<感想:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
フランス映画らしい人間関係の綾を基本的には心優しく描いたヒューマンドラマ。
原題は主人公エリザベート(ゲンズブール)がよく聴いていて、やがて勤めることなる
ラジオ局の深夜番組のタイトル<夜の乗客>から取っている。

1981年5月21日。パリ。ミッテランの左派政権誕生の日から映画は始まる。
作品のあちこちには当時の映像が作品の流れを壊さないように上手く挿入され、映画館で
上映されている作品にも、こだわりがある。また当時の地下鉄やパリの町並みなどが35ミリ
サイズで差し込まれ、アーカイブであることははっきり分かる。また役者の着ているもの、
音楽もまた当時の雰囲気を演出する。

映画によく出てくる、曰くある一家。エリザベートの夫は女の元に走っていて、離婚が決まって
いる。高校生位の自分の行く道を見失っている長男と政治に入れ込み政治の世界を目指す長女が
いる。長男は色々と問題を抱えているが子どもたちは基本的にいい子だ。
というかこの映画に出てくる人たちは、みな善人。話としては明るいものではないが、性善説に
立った内容は、観終わって清々しくなないけど、どこか心温まるものを感じさせる。当時の
フランス的個人の独立と繋がりの「人間らしさ」が心に沁みる。

物語のキーになるのが、一家に飛び込んでくる正体不明の18歳の女の子タルラだ。どこか
中東系の顔立ち。彼女を家で保護することから、離れようとしていた3人の心が一つになろうと
する様子がストーリーとなっていく。人が人のことを思う、人に良かれと思って行動することの
温かさ、大切さを私は感じた。タルラはやがて置き手紙をして消えてしまうが、彼女が残した
手紙にこそ、この作品の主張があるように感じたのだった。81年に始まった作品は88年で
終わるのだが、この間の変遷は、社会的背景も踏まえて読み解く必要があるだろう。
ラスト、丘の上の広場でタルラを入れた4人が輪になって笑う姿が本作の総括と見える。

シャルロット・ゲンズブールはもちろん演技を感じさせない演技で存在感を放つが、タルラを
演じたノエ・アビタは美しく、かつ儚げな不幸を抱えた現代少女を上手く演じていた
パンチがあるタイプの映画では感じないが、しみじみと心に来る佳作だである。

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<ストーリー>
1981年、パリ。離婚が決まったエリザベート(シャルロット・ゲンズブール)はひとりで
子どもたちを養うことになり、ヴァンダ(エマニュエル・ベアール)がパーソナリティーを
務める深夜ラジオ番組『夜の乗客』で、リスナーからかかってきた電話を引き継ぐ、電話受付の
仕事に就く。

そこで、家出をして外で寝泊まりしているという少女、タルラ(ノエ・アビタ)と出会う。
エリザベートはタルラを自宅に招き、ともに暮らし始める。エリザベートは、自身の境遇を
悲観していたこれまでを見つめ直す。
同時に、ティーンエイジャーの息子マチアス(キト・レイヨン=リシュテル)も、タルラの
登場に心が揺らいでいく……。(キネマ旬報)

<IMDb=★6.9>
<Metascore=69>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Audience Score:62%>
<KINENOTE=71.3点>
<映画com=3.5/5>




by jazzyoba0083 | 2024-05-04 10:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)