Somewhere

●「Somewhere」
2010 アメリカ、フランス、イタリア、日本、ドイツ Focus Features and more. 98min.
監督・脚本:ソフィア・コッポラ
出演:スティーブン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポンティアス、ララ・スロートマン、
   ミシェル・モナハン、ベネチオ・デル・トロ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
いかにもソフィア・コッポラらしい映画。いかにもヴェネツィアで金獅子賞を取りそうな内容。いかにも
評論家受けしそうで大衆受けしそうにない映画

中身の空っぽなハリウッドスター(スティーブン・ドーフ)の話を、娘(エル・ファニング)との
ロサンゼルスでのホテル(ビッグスター御用達のシャトー・マーモント)暮らしと、スター本人を取り巻く
人物との交渉を描くことにより、妻と事実上離婚しているスターの、その空っぽぶりを描く。最後に本人が
妻に電話で「俺は空っぽな男だ」とつぶやくが、妻は「今頃何言ってるの」状態で(無言だが)電話を切って
しまう。
唯一の心の拠り所は11歳になって大人の感情も少し分かるようになってきた娘(エル・ファニング)の
存在だったのだが・・・。

無駄に?長いシーン、意味があるのか?というシーン、階段から落ちて左腕を骨折しギプスをすること
になった不自由に感じるメタファー。大体、開巻、固定カメラで空き地をフェラーリでぐるぐる4周する
様子をひたすら写しているシーンがあるが、冒頭からこの映画はただものではないぞ、という感じだ。

ジョニー・マルコというこのハリウッド俳優は界隈ではかなり評価されているらしく、途中でミラノに
表彰式に参加するため娘と飛ぶシークエンスがある。白バイで先導されてホテルに行くくらいのVIP
待遇だから、相当なものだろう。ロスで滞在中のホテルでもルームサービスの徹底ぶりは彼の地位を
物語る。彼はメソッド式演技を学んだわけでもなく、オーディションを受けまくり今の地位を築いたので
実力はあるのだろう。が、常識があるわけでもなく、女と酒と煙草が好きで、だらしがない。
11歳の娘がいる部屋に女を連れ込んで、その女と3人で朝食を食べるというバカな父親だ。

彼の名声にたかるハリウッドの有象無象。意味のないパーティー。いつも誰かに見られているのでは?と
いう精神的不安定。ホテルの部屋にデリバリーされるポールダンスの双子。
娘がバレーを習い、スケートを習い、母とは離れてもダメな父親がそばにいるにも関わらず、きちんと
大人になっていくのと反対に、父親のダメっぷりが目立つのだ。

彼も薄々自分は空っぽなんじゃないか、名声だけでたかってくる人々の中でスポイルされいるのでは
ないか、と感じてはいた。娘が2週間のキャンプに出かけた後、彼はフェラーリで田舎に出て、
(娘のキャンプ場に近づいている?)キーが付いたままクルマを降りて歩き出すところで映画は終わる。
だからどうした、ということなんだけど。

内容というより雰囲気を楽しむタイプの映画かな。なんだか見ちゃうんだな。98分というギリギリの
上映時間も巧妙である。最後に「俺は空っぽだ」と語らせてしまうのは、いかがかとは思うけど。
嫌いじゃない、このオフビート感。

ジョニーを演じたスティーブン・ドーフ、ユアン・マクレガーによく似ているので最初は見誤ったが、
私の映画の視界にはなかなか入ってこない俳優さんで、フィルモグラフィーを見てもB級映画が多くて
馴染が薄かったが、本作では空っぽの男がフィットしていた。

今や大女優の道を歩き始めたエル・ファニング。現在27歳。11歳のこの頃は透明感があっていい。
姉のダコタは失速気味だが、妹は作品にも恵まれれば、いずれは賞を獲る女優さんになるのだろう。

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<ストーリー>
ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ(スティーヴ・ドーフ)は、ロサンゼルスのホテル
“シャトー・マーモント”で暮らしている。フェラーリを乗り回し、パーティで酒と女に溺れる彼の日々は、
表面的な華やかさとは裏腹に、孤独で空虚だった。

そんなある日、彼の元を前妻レイラと同居する11歳の娘クレオ(エル・ファニング)が訪れる。
夜までクレオを預かり、スケートリンクで優雅にターンするその姿に拍手を送るジョニー。クレオを家へ
送り届けると、乱痴気騒ぎに明け暮れるいつもの毎日が彼を待ち受けていた。

新作の取材対応や特殊メイクの型取りなど、俳優としての仕事をこなすものの、どこか落ち着かない。
隣室の女と情事を済ませて部屋を出ると、そこには再びクレオが荷物を抱えて立っていた。
レイラが家を空けるため、しばらくジョニーのもとで暮らさなければならないという。
ジョニーの友人サミー(クリス・ポンティアス)を交え、ゲームに熱中する3人。

数日後、授賞式に参加するため、クレオを伴ってイタリアを訪れるジョニー。だがクレオが寝た隙に、
ジョニーは部屋に女を招き入れ、翌日の朝食は3人が顔を揃えることに。
盛大な授賞式に参加したものの、ジョニーとクレオは疲れ果てて逃げ帰ってゆく。

シャトーで過ごす穏やかな2人の時間。ジョニーの肩にもたれ、うたた寝するクレオ。ジョニーが寝ている
間に朝食の支度をするクレオ。そして、他愛のない会話。それは、本来なら父と娘が触れ合うごく普通の
風景だった。やがて訪れる別れの日。悲しんで泣くクレオを抱き寄せるジョニー。
別れ際、一緒にいられないことをクレオに謝罪する。一人きりで部屋に帰ると、たまらずレイラに泣き
ながら電話する。しかし……。ジョニーはホテルをチェックアウトして、フェラーリをどこかへ走らせて
行く。そして彼はフェラーリを捨て、もう一度歩き始められる場所に辿り着くのだった……。
(キネマ旬報)

<IMDb=★6.3>
<Metascore=67>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:71% Popcornmeter:48%>
<KINENOTE=70.6点>
<映画com=3.5/5>




by jazzyoba0083 | 2025-06-03 22:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)