ソウルの春 12.12: THE DAY

●「ソウルの春 12.12: THE DAY」
2023 韓国 Hive Media 142min.
監督:ファン・ジョンミン、チョン・ウソン、イ・ソンミン、パク・ヘジュン、キム・ソンギュンン、  
   チョン・マンシク、チョン・ヘイン、イ・ジュニョク他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
全斗煥によるクーデターと光州事件を題材にした韓国映画は近年よく製作される。現代韓国民主化の
原点ともいうべき時代であり、忘れてはならないという韓国国民の強い思いを感じる。結果が悲劇で
あるのにこういう映画を作っていく韓国映画界とこれをささえる国民を思う。

本作は2023年の韓国最大のヒットとなった。全編緊張感で貫かれ、結果が分かっていても緊張する。
冒頭事実に多少脚色した旨断りの字幕が入るが、観終わってWikipediaで粛軍クーデターや「ハナ会」の
ことを調べてみると、本作はほぼ史実に則って製作されてるのが分かった。

どこかで白馬の騎士が現れるんじゃないか、と思わせる緊迫ぶりのラストだが、結果は「悪」が勝つ
史実。
1979年10月、朴正煕大統領が身内に暗殺されるという非常事態が勃発、映画はここから始まる。
陸軍を中心とする私的組織「ハナ会」に所属する朴正煕(「ハナ会」を黙認)~全斗煥の保安司令部兼
合同捜査司令部司令官に対して、陸軍参謀総長と彼に三顧の礼で就任した首都警備司令官が、全斗煥ら
ハナ会のクーデターを阻止しようとするも、歴史が語るように叶わない「ソウルの春」であった状況が
語られる。

全斗煥に対抗しようとする首都警備司令官側の第八空挺団司令と副官のくだりあたりから、急にセンチ
メンタルになってきて、それまで事実を積み上げてドキュメンタリータッチが心地よかったのにその
あたりが残念だった。それと韓国はキムとかチョンとかイとかチェとか同じ苗字が多い上に登場人物も
多いので、どっちが味方なのかこんがらがることがある。

ファン・ジョンミンの全斗煥は、狐のようなずる賢いやつで、いやな男。こんな男を韓国は大統領に
戴いていたんだ、とおそらく韓国国民も、切歯扼腕だろう、その演技というか存在感は凄いものがあった。
全斗煥はこの後光州事件を経て、専制性を確立していくわけだ。韓国がクーデターの時、ハナ会メンバーで
第9師団司令官だった盧泰愚の時代を経て金泳三からの文民政治になるまで、軍部が掌握した暗黒の
時代だったことを恥じ、それらが起こした光州事件を恥じ、本作のように自虐的に歴史を観ている人が
多いのだと思う。だから大ヒットしたのだと思う。あの暗黒の時代にも正義を求めた人間がいたという
事実に一縷の救いを感じているのかもしれない。

韓流映画は最近あまり見なくなったが、この時期の映画と朝鮮戦争がらみの作品は割と観ている。
本作も観ていて気分のいい映画ではないが、韓国という国の出来上がり方と今を、新大統領が誕生した
年だからこそ、今一度観てみるのも良いだろう。日本の戦前もそうだけど、政治に軍をコミットさせると
国が滅ぶという歴史を今一度振り返ってみることを促す映画でもある。

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<ストーリー>
「粛軍クーデター」「12.12 軍事反乱」などとも言われる韓国民主主義の存亡を揺るがした実際の
事件を基に、一部フィクションを交えながら描く社会派エンターテインメント。
“独裁者”とも呼ばれた大韓民国大統領が、側近に暗殺される。首都警備司令官イ・テシンは、その隙を
ついてクーデターを決行したチョン・ドゥグァンの野望を阻止しようとする。

1979年10月26日、“独裁者”とも呼ばれた大韓民国大統領が、自らの側近に暗殺される事件が発生。
国中に衝撃が走る中、日に日に民主化を期待する国民の声が高まっていく。
しかし、暗殺事件の合同捜査本部長に就任したチョン・ドゥグァン保安司令官(ファン・ジョンミン)は、
陸軍内の秘密組織“ハナ会”の将校たちを率い、自らが新たな独裁者として君臨しようと、12月12日に
クーデターを決行。
これに対して、高潔な軍人として知られる首都警備司令官イ・テシン(チョン・ウソン)は、部下の中に
ハナ会のメンバーが潜む圧倒的不利な状況下、自らの軍人としての信念に基づき、“反逆者”チョン・
ドゥグァンの暴走を食い止めようと立ち上がる。(キネマ旬報)

<IMDb=★7.6>
<Metascore=No Data>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:No Data Popcornmeter:98%>
<KINENOTE=80.9点>
<映画com=4.0/5>



by jazzyoba0083 | 2025-06-04 22:15 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)