サブスタンス The Substance

●「サブスタンス The Substace」
2024 フランス、イギリス、アメリカ Workinf Title and more. 142min.
監督・脚本:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド、エドワード・ハミルトン=クラーク、
   ゴア・エイブラムス、オスカル・ルサージュ他

サブスタンス The Substance_e0040938_17181441.jpg

<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
己が姿の衰えを嘆き、何とか抗おうとするという物語は永遠にあり続けるものなのだ。ましてやそれが
俳優ともなれば、その気持はよく理解出来る。古くは「ドリアン・グレイの肖像」や、「ベニスに死す」
「笑ゥせぇるすまん」などなど枚挙にいとまがないほどだ。本作も50歳を迎えて容貌が衰えたことを
きっかけにテレビのエアロビ番組のメインを降ろされる主人公エリザベスが、「サブスタンス」という禁断の
若返り法に手を出して、その結果・・・というSFホラーというべき映画だ。
観た人たちから良かったよ、という声を聞き、オスカーやゴールデングローブを賑わした作品でもあるので、
ずっと観たかった。やっとチャンスが巡ってきた頃には1日一回の上映で、スクリーンも小さめとなっていた。

今年のオスカー授賞式の冒頭司会のコナン・オブライエンが自らの登場シーンでパロディとして使ったので
記憶にある方も多いかもしれない。まさに脱皮のような現象が起きるのだ。いつでも若くありたいという
人類普遍の欲望を、「トータル・リコール」や「エイリアン」も真っ青な特殊メイクを駆使して、ラスト
あたりになるとクドくなるほどのこれでもか感がでできてしまうほど、徹底しておどろおどろしく、かつ
えげつなく人間の若さと栄光への欲望が描かれる。 私もここまで徹底してえげつないとは思わなかった。

主人公エリザベスがこうまでして若さを手に入れたかった背後にはテレビ社会(だけではない)男性社会
生きるいわば性を売り物にしなくてはスターの座を確保出来ない女性の立場、さらに変身したスーへの
男性陣の称賛は、ルッキズムそのもの。この監督はフランスの女性で、このSFホラーを通して女性たちの
若さへの飽くなき欲望だけではなく、それを裏で支えているものを告発しているように見える。

「サブスタンス」から2人は同じ人物だからね、と念をつかれても、若いほうがその状態を保ちたいが
為に古い自分を蔑ろにしていく。結果は2人は同一人物だから若い方だけが存在することは許されず、
「停止」を選ぶことで更に怪物化していくという結末だ。大団円の辺りはもうお笑いか!ともツッコミ
たくなるような、おどろおどろの畳み掛け。映画はハリウッドの「ウォーク・オブ・フェーム」の栄光を
表す星から始まるのだが、エリザベスの怨念はスライム状態になって自分の星(スター)のところま這って
いって溶ける。それを掃除のおじさんの清掃機が洗っていく・・・

映像の使い方、カットの仕方(編集)キャメラアングルなど、観たことにない斬新なタッチの中で進む
ホラーは、どこか浮世離れしていて、イイ感じて見進めたのだが、ラストでなんだか★一つくらい落とした
やり過ぎ感が出た感じだった。ただ体がデミ・ムーアの体の変化が一本の指先だけだったり、片足の
先だけであったり、クアリーの崩れ方も歯が抜けたり、耳が落ちたりと、細かい表現があって、その細かさ
がさらに恐怖を掻き立てるという上手さも感じた。また「サブスタンス」の秘密の裏側が金銭がからんでいる
のかいないのかも含め一切説明されないのも、むしろ潔くて主旋律を際立たせていたと感じた。

全体的に眺めればありえないことのオンパレードで、ツッコミどころも多数だけど、主題は際立つという
この脚本、演出が上手いのだろう。

デミ・ムーアも若き彼女を演じたマーガレット・クアリーもそれぞれの役柄を熱演していたと思う。
特にデミ・ムーアはあえてたるんだ腰回りや張りのない胸をさらけ出してのそれこそ体当たりの熱演で
あった。(撮影の時は61歳!だったのだそうだ)CGも使っていたのかな。

今年度、印象に残る一作になりそうだ。

サブスタンス The Substance_e0040938_17183883.jpg

<ストーリー>
カンヌ国際映画祭脚本賞受賞、第82回ゴールデングローブ賞にてデミ・ムーアが主演女優賞を受賞した、
狂気のホラー・エンターテインメント。50歳を迎えて容姿の衰えを理由に仕事が減少した元人気女優
エリザベスは、再生医療“サブスタンス”に挑戦する。
すると、彼女の上位互換体“スー”が現れ、若さと美貌を武器にスターダムを駆け上がっていくが……。

50歳の誕生日を迎えた往年の人気女優エリザベス(デミ・ムーア)は、容姿の衰えを理由に仕事が減少する。
そこで、ある再生医療“サブスタンス”に挑戦する。
すると、治療薬を注射するやいなや、エリザベスの背を突き破り、上位互換体“スー”(マーガレット・クアリー)
が出現。一つの心をシェアする二人には“一週間ごとに入れ替わらなければならない”という絶対的なルールが
あった。ところが、若さと美貌に加え、エリザベスの経験を武器にたちまちスターダムを駆け上がったスーは、
次第にそのルールを破り始める。(キネマ旬報)

<IMDb=★7.2>
<Metascore=78>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:75%>
<KINENOTE=77.5点>
<映画com=3.9/5>


by jazzyoba0083 | 2025-06-09 11:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)