紳士協定 Gentlman's Agreement

●「紳士協定 Gentleman's Agreement」
1947 アメリカ Twentieth Century Fox. 118min. (B&W)
監督:エリア・カザン 製作:ダリル・F・ザナック
出演:グレゴリー・ペック、ドロシー・マクガイア、ジョン・ガーフィールド、セレステ・ホルム、
   アルバート・デッカー、ジェーン・ワイアット、アン・リヴェール他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
この年のオスカー作品賞、監督賞・助演女優賞受賞作品である。しかし、日本での公開は1987年というから
エリア・カザンを巡る何かがあったのかと邪推したくなる。
日本では赤狩りの際のエリア・カザンの仲間を売り、かつ保身に走った態度を持って、過去の作品まで否定
してかかる向きが多いようだ。確かにあの時の彼の行動は許されるものではないだろう。
しかし、本作や「欲望という名の電車」、「波止場」、「エデンの東」などの優れた作品まで否定することは
ないと私は思う。トータルのエリア・カザンという人間は決して好きではないのだが。

本作は、反ユダヤ主義についての取材を非ユダヤ人であるグレゴリー・ペックが8ヶ月間ユダヤ人になってみて
その感想を連載としてルポルタージュする、その中で、社会や恋人や家族や友人たちとの間で生まれる軋轢や
理解について考えさせる構造になっている。確かにユダヤ人になりすます、という方法はあざとい風に思えるが
これはザナックが仕入れて来た原作の小説にあったわけで、何もカザンが悪い訳でもない。

それよりも、トランプに代表されるようなアメリカ社会を分断する不寛容な差別主義の時代にあって、私は
ラスト近くにペックの母親が語る、ユダヤ人だけではなく黒人も含め人間は法の前には平等であるという
建国の父たちの、アメリカ憲法の趣旨を訴える姿に、今一度考えさせられた。今こそ、アメリカ人はこの
映画を観るべきではないのか。婚約者がペックの前妻の息子にとった「あなたはユダヤ人じゃないの」
(だから良かったね)ということを思わず口にし、ペックに嫌われるのだが、彼女の心情に思いを致して、
そこをどうしていけば良い社会を作れるのか、という大きな命題を提示しているように思える

時代を考えるとオスカーの作品賞、監督賞を獲得したのも理解出来る。ただし、助演女優賞を獲った
セレステ・ホルムは、確かに役回りとして重要な脇役ではあったし演技も良かったが、これは本人が悪い
のではないが、突然のペックに対するプロポーズは、物語の中で浮いていた。回収もないし。
ペックにとっては本作でオスカー主演男優賞を獲らず、1962「アラスカ物語」で受賞したのは本人の
名誉のためには良かったのかもしれない。

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<ストーリー>
反ユダヤ主義に対して果敢な挑戦を行なったジャーナリストの姿を通し、アメリカ社会の恥部を描く。
1947年度アカデミー作品賞、監督賞、助演女優賞(セレステ・ホルム)を受賞。製作はダリル・F・
ザナック、監督は「ラスト・タイクーン」のエリア・カザン、原作はローラ・Z・ホブスン、脚本は
モス・ハート、撮影はアーサー・ミラー、音楽はアルフレッド・ニューマンが担当。

妻に先立たれ、幼い息子トミー(ディーン・ストックウェル)と老いた母(アン・リヴェール)との
暮らしが続く人気ライターのフィリップ、通称フィル(グレゴリー・ペック)は、週刊スミスの編集長
ミニフィ(アルバート・デカー)の招きでカリフォルニアからニューヨークに移り、早速反ユダヤ主義の
記事を依頼された。

この記事の発案者は、ミニフィの姪キャシー(ドロシー・マグワイア)で、フィルは彼女に心を動かされる。
ともかく今回の仕事は厄介だった。幼馴染みでユダヤ人のデヴィッド(ジョン・ガーフィールド)に
相談しようかとさえ悩んだ末、フィルは自分自身でユダヤ人になり切ることにする。

社の幹部との昼食会で、ユダヤ人だと名乗ったため、噂はあっと言う間に広まった。真実を知っているのは、
母、トミー、ミニフィ、キャシーだけだ。フィルの秘書も実はユダヤ人だが、それが知れると雇ってもらえ
なかったとフィルに告白する。フィルがユダヤ人と知ると、人々は急によそよそしくなる。

そんなおり、社の同僚のアン(セレステ・ホルム)のパーティに出席し、フィルはキャシーに求婚する。
そしてキャシーはフィルを姉ジェーン(ジェーン・ワイアット)に紹介するため、コネチカットの家を
訪れたりしていると、デヴィッドが帰国。彼をユダヤ人だからと罵ったり、フィル達のハネムーン先の
ホテルがユダヤ人を理由にキャンセルしたりと、現実にこの問題は大変根深かった。

このことがこじれ、フィルとキャシーの間にも溝ができた。そしてようやくフィルの記事が発表された。
内容の素晴らしさが評価されると共に、実はユダヤ人でなかったとフィルに対する見方も変わる。
差別や偏見に目をそむけていたキャシーは、デヴィッドに悩みを打ち明け、彼の助言でフィルとやり直しを
決意。デヴィッドもコネチカットの山荘をかりて人生をやり直す決心をした。(キネマ旬報)

<IMDb=★7.2>
<Metascore=No Data>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:82% Popcorneter:78%>
<KINENOTE=71.0%>
<映画com=3.5/5>



by jazzyoba0083 | 2025-07-09 23:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)