最前線物語 The Big Red One

●「最前線物語 The Red Big One」
1980 アメリカ Lorimar Productions. 113min.
監督・脚本:サミュエル・フラー
出演:リー・マーヴィン、マーク・ハミル、ロバート・キャラダイン、ステファーヌ・オードラン、
   ボビー・ディ・シッコ、ケリー・ウォード、ジークフリート・ラウㇶ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
映画好きだが、サミュエル・フラーは初見。というかそれ以前に彼の名前を知らなかった。俳優と
して出た映画は何本かは観ているようだが、記憶にない。本作は先日、NHKBSで放映されいて、
録画してあったので観てみた。冒頭から30分位の北アフリカ戦線で、ドイツ軍の戦車としてアメリカ軍の
M4シャーマンが出てくるので萎えて、止めようかと思った。一旦止めて調べてみることにした。
(ドイツ軍は終始一言も喋らないのでドイツ人が英語を喋るとかの萎えは無かったのだが)

映画評などをネットで読むと、本作、本国や欧州での評価が高く、ええっ、という感じだったが、
B級映画の名匠(というのがあるのかどうかは知らないが)らしく、本作も結構な評価を受けている。
低予算らしく、自身の体験に基づくとはいえ、戦争映画を撮ろうというのだからアイデアはあったのだろう。

アメリカ陸軍を代表する第一歩兵師団(赤い1の肩章が目印なので、通称The Big Red Oneと呼ばれた)
第16連隊第一分隊のアフリカ~欧州戦線の転戦の様子を兵士個人目線で描くのだが、なにせ低予算なので、
それぞれの戦線での戦いは分隊レベル。それよりアップを多様し、映像で個人の心情に迫る工夫が
見せ所だろう。主役のリー・マーヴィンがそれによく応えている。

ノルマンディー上陸作戦も敵味方30人くらいの戦いのレベルで描くし、ラストの絶滅収容所も並ぶ焼却炉と
一人のユダヤ人少年にスポッㇳを当てて描き切っている。そのアイデアと時々ハッとするアングルは買いたい
と思うが、戦闘のシーンは脱力系を狙っているのではないかと思えるほどのタイミングのズレや迫力の無さに、
知らない人は冒頭30分のダルダルさで離脱したくなるのではないか。
軍曹が戦線ごとに無線で連絡を取りあう少尉は最後まで登場せず、コントを見ているようだった。
そういうものだと分かって観ていくと監督の狙いが理解出来るし、絶滅収容所からエンディングへの持って
行き方、描き方も納得できるだろう。前線の兵士は所詮取り替えがきく消耗品である、とじわりと伝わる。

だが何回もいうが開巻からラストシーンまでどこかオフビートを感じてしまう描き方は好悪が分かれると
思う。邦題は良く考えたと思うほどの叙事詩的な映画ではある。
「プライベート・ライアン」や「フューリー」を想起される方も見えるだろうが、あそこまでの迫力と
深堀りは・・・。別物として評価したほうが良いだろう。

エンディングまで生き残る4人の若者と新兵のカイザーを入れた5人と分隊を率いる軍曹の兵士目線の戦争が、
転戦していく北アフリカ、フランス、再び北アフリカ、シチリア島、ノルマンディー、ベルギー、
チェコスロバキアの絶滅収容所、そして終戦と転戦の節目ごとにエピソードを配して描写されていく。

開巻の若き日の軍曹の第一次大戦のエピソード(伏線)がラストシーンで回収される仕組みは良かった。
また観終わってから分かったのだが、軍曹が終戦を知っていて刺したドイツ兵は、全滅した部隊を装って
分隊を待ち伏せしたものの失敗し逃亡したドイツ軍兵士シュローターだったのも伏線回収の下り。でも
しっかり観ていないと分からないのは困ったものだ。

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<ストーリー>
1918年、第一次大戦の終了時、4時間前に終戦になったことを知らない軍曹(リー・マービン)が、
1人のドイツ兵を殺してしまった。
そして第2次大戦の1942年、若い4人のヤンキー兵を率いた彼の姿があった。いずれも屈託のない素直な
若者たちだ。まだ幼さを残すが、狙撃の腕は抜群のグリフ(マーク・ハミル)、痔が悩みのタネである
農家の息子ジョンスン(ケリー・ワード)、音楽好きでサックス吹きの下町っ子ビンチ(ボビー・ディ・
チッコ)、文学青年でヘミングウェイにカブれている小説家志望のザブ(ロバート・キャラダイン)らだ。

彼らが所属するのは歩兵第16中隊の第1狙撃兵分隊である。軍曹が「殺人ではない、ただ殺すだけだ」と
悟したことが影響したのか、彼ら4人は、苛酷な戦場にいても、悲愴感ひとつなく、まるでハイスクール
生活を楽しんでいるようだった。
彼らは北アフリカ戦線からナチス管理下にある南仏ヴィシー地区に上陸し、解放した連合軍とともに
北アフリカに戻り、そこからドイツ軍と連合軍が激しい戦闘を行なっているシシリー島へと向かった。

どこへ行っても不思議に生き残った4人は、ついに最大の戦闘ノルマンジー上陸作戦に参加した。そして、
ここでも生き残った彼らは、ユダヤ人のゲットー解放までを共に迎えるのだった。それは軍曹が語る
「戦場では生き残ることがモラルだ」という言葉が彼らの中に強く入り込んでいたためだったのかもしれない。
(キネマ旬報)

<IMDb=★7.1>
<Metascore=77>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:90% Popcornmeter:78%>
<KINENOTE=68.6点>
<映画com=3.0/5>


by jazzyoba0083 | 2025-08-13 11:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)