ヴェルミリオ Vermiglio

●「ヴェルミリオ Vermiglio」
2024 イタリア・フランス・ベルギー Cinedora and more. 119min.
監督・脚本・(共同)製作:マウラ・デルペロ
出演:トンマーゾ・ラーニョ、ジュゼッペ・デ・ドメニコ、ロベルタ・ロヴェッリ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
内外での評判が非常に高い作品で、いかにもヨーロッパの映画祭好みの一作だ。この映画を
傑作!と絶賛できる人は、相当欧州映画がお好きなのだろう。暗い作品である。寒風が
ヒューヒューと吹いている。脱色したような色彩のスクリーンには山村の夏も出てくるが
太陽の感じがが無い。前半のテンポに比べ後半が怒涛のように展開する。私にはやや苦手な
タイプの映画だ。映画に世俗派と原理派という分け方があるのなら、本作は間違いなく
原理派であろう。(2024ヴェネツィア国際映画祭審査員大賞)

結論からいうと、この女流監督は「男」の世界というものは、「女」を搾取する上で成り立つ
ということを言いたかったのだろうと思われた。10人の子沢山の一家の長たる父親が示す世界観と、
彼の娘ルチアとアダ、チリから引っ越して来た同年代のヴェルジニアの世界観が対比され、
長男ディノの存在が加わる。そこにルチアと結ばれる事になる文盲の脱走兵ピエトロの
物語が不穏さを掻き立てる仕組みだ。

父親は村人からマエストロと呼ばれる学校の唯一の先生で学があると目されている。
しかし、性に関しては底が抜けているというか、秘密のアルバムを持ち、多産DVかと思うほど
高齢の母親に子どもを作らせる。何せ娘ルチアの子どもと自分の直近の子ども両方に両乳を
含ませるという状況だ。家父長制の頂点に君臨する父の下、女性も従うのが当たり前で男あっての
社会であり人生と考えている。だが、映画の中で、ルチアやアダ、ヴェルジニアらの若い世代の
女性は古い生き方に穴を開ける歩みを始める。そのきっかけとなるのがルチアと結婚するも、
終戦後帰郷、すぐに帰ると言い残したまま、故郷のシチリア島で、隠してた妻に射殺されるという
事件が起きたことだった。ここから映画の中の若い女性の覚醒が始まるのだ。

北イタリア。アルプスの麓にあるヴェルミリオという村が舞台だ。時は第二次世界大戦の
欧州戦線がまもなく終わる頃。時計が止まったかのような、戦争が遠くのことのように感じられる
この山中の田舎の村でのある家族の出来事の一節を描写する。考えてみれば戦争そのものが
男性なのだ。本作、ラストシーンは暗転する途中の寝室。何を暗示しているのか、考えてみると
よいだろう。こうしたラストも欧州映画っぽい。

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<ストーリー>
第2次世界大戦末期の1944年、アルプスの高地にある山間の村ヴェルミリオを舞台に、地元教師の
家族間の複雑な関係や秘密、戦争の影響を繊細に描いた作品。
戦地から脱走した兵士ピエトロが村にやって来る。やがて、ピエトロと教師の長女ルチアはお互いに
強く惹かれ合うが、平穏な家族の日常に波紋が広がる。(Filmarks)

<IMDb=★6.0>
<Metascore=85>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:94% Popcornmeter:94%>
<映画com=4.5/5>


by jazzyoba0083 | 2025-09-07 22:30 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)