戦場のアリア Joyeux Noël

●「戦場のアリア Joyeux Noël」
2005 フランス / ドイツ / イギリス / ベルギー / ルーマニア Nord-Ouest Films and more.117min.
監督・脚本:クリスチャン・カリオン
出演:ダイアン・クルーガー、ベンノ・フユルマン、ギヨーム・カネ、ゲイリー・ルイス、
   ダニー・ブーン、ダニエル・ブリュール他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
感動の映画、ではある。実話をベースに脚本は書かれているそうだが、出来過ぎではないか、と
思ってしまう恨みが残る。機関銃や戦車、毒ガス、航空機など近代兵器の実験場となった
第一次世界大戦西部戦線。だが、塹壕の泥濘や極寒、またヘルメットを装着する前の話で、戦場は
今以上に過酷であった。そういう状況でのエピソードはこれまでも何本も映画になってきた。
思うに、この時代の映画って軍装や軍備の時代考証と美術に掛けるお金が半端じゃないだろうから、
大変だと思う。

そうした戦線でクリスマスに奇跡のような停戦があった、とは聞いたことはあった。この度映画で
(ちょっと古めの映画ではあるが)観てみて、改めて人間は戦争をするものではないな、とか戦争は
所詮一般市民が苦しむものなのだな、とか、争いをするのは人間という動物の捨てられない性だな
とかの思いはあったので、製作の目論見は当たっていたとはいえるのだろう。
また、5カ国が集まって作ったことでどこの国も悪とは描けない事情もあったように思う。
みなキリスト教徒である英仏独なので祈りが重なる部分が大きいのだろうが、イスラムだったら
どうだろうか、と思わずにはいられない。

歌唱吹き替えバレバレのダイアン・クルーガーはドイツ出身だけあってドイツ語もフランス語も
英語も達者なメリットを活かしていたし、それぞれが母国語で話しているのは好ましい(というか
それが出来なければ本作製作の意味は無くなってしまうのだが)。英国軍がスコットランド兵だった
のも音楽的(バグパイプ)にいい効果だった。

クリスマス休戦になって、また撃ち合うのか、それは嫌だなと思っていたら、三カ国の軍隊ともに
移動させられるだけで、ホッとした。休戦が終わっての象徴として、兄をドイツ軍に殺された弟が、ド
イツ軍将校のお付の兵卒を銃殺することで描いた。これはこれで良かった。クリスマスミサを主催した
従軍司祭のクビを飛ばしに来る司教の、およそキリスト者とは思えないものいいは、現代のトランプを
想起させるに十分だ。
まだどこか騎士道が残っている時代のお話で、現代のハイテク化された戦争では凡そ考えられない、ある
意味人間的な光景であった。兵隊の服装もそれぞれのお国ぶりが出ていて時代を感じた。

アリアを歌った2人はその後どうなったのだろう。それぞれの軍を率いた将校らはどうなったのだろう。
嘘でもいいから描いて欲しかった。

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<ストーリー>
1914年、第一次大戦下。フランス・スコットランド連合軍と、ドイツ軍が連日砲弾を鳴り響かせている
フランス北部の村。クリスマスだけは家族のもとへ帰りたいと兵士の誰もが願っていたが、戦況は
熾烈さを増す一方。

ある日、ソプラノ歌手のアナ(ダイアン・クルーガー)はドイツ軍司令部へ赴き、戦地の皇太子陛下の
ために聖歌を捧げたいと申し出る。たった一晩だけでも、徴兵されたテノール歌手の夫ニコラウス
(ベンノ・フュルマン)に会うための無謀な計画だったが、その願いは聞き届けられる。

ドイツ軍の塹壕には兵士達のために何万本というクリスマス・ツリーが届く。スコットランド軍の
駐屯所からは、バグパイプの音色や兵士達のコーラスが響いてきた。
そして、御前コンサートから戻ったニコラウスがドイツ軍の塹壕からノーマンズ・ランドへクリスマス・
ツリーを手に歩み出て、すばらしいテノールを響かせる。堰を切ったように各国の兵士が集まり始め、
バクパイプでの伴奏に乗せて、ドイツ軍とスコットランド軍の『聖しこの夜』の合唱がこだまする。
偵察していたフランス軍も遅れまいと現れる。そして、各国の中尉たちは3カ国の代表としてクリス
マス一夜限りの休戦をすることに合意し、シャンパンで乾杯を交わした。

兵士たちも銃を傍らに置き、互いに片言の外国語で温かい交流を深める。そして、アナが『アヴェ・
マリア』を寒々とした大地に響かせ、パーマー神父(ゲイリー・ルイス)のもと、宗派を超えたミサが
行われた。こうして戦場でのクリスマスは終わった。
この一夜の出来事は、すぐに軍司令部の知るところになった。中尉たちは厳しい処分を受け、兵士達は
いっそう過酷な任務につき、銃を手にするのだった。(キネマ旬報)

<IMDb=★7.6>
<Metascore=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% Popcornmeter:89%>
<KINENOTE=70.2点>
<映画com=4.1/5>


by jazzyoba0083 | 2025-10-11 22:30 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)