宇宙人東京に現る

●「宇宙人東京に現る」
1956 日本 大映東京 87分
監督:島耕二 脚本:小國英雄
出演:川崎敬三、刈谷ともみ、山形勲、平井岐代子、見明凡太郎、南部彰三、フランク・熊谷、
   川原侃二、岡村文子、小原利之他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
YouTubeで映画を観たのは初めてかもしれない。そういう時代なんだな。角川シネマコレクションの
2週間限定配信をみつけて鑑賞。SF特撮映画としては日本では初になるのだそうだ。色が綺麗で
また古い時代の音声は録音が悪くてセリフが聴き取れないことが多いのだが、本作はエンハンス処理
が施されていて、ノイズも目立つがセリフがきちんと聴き取れたこともメリットだった。

さて、製作は1955年。今から70年も前の作品だ。今思えば確かにありきたりのストーリーではあるが、
その後の「ウルトラマン」などの空想科学映画に比べても、作り物がたくさん出てくるわけではないので、
薄っぺら感がないのが良かった。本作公開の約1年前に製作された怪獣が日本を荒らしまくるという
「ゴジラ」タイプの映画ではなく、地球の危機(原水爆に明け暮れて人類が地球を壊すという)を見かねた
善良なる宇宙人が地球を救いに来るというパターンで、なかなか面白く観た。
逆に言ってしまえば、まだ特撮技術が無かったに等しい時代なのだから、ということも出来るだろう。
だからモノクロだけど「ゴジラ」の評価がストーリーを含めて高いのだ。

黒澤映画を長く支えた脚本家小國英雄の筆がいいのだろう。またこうした映画にしては、キャメラ
アングルやトラック、パーンなどの映像や色彩が配慮されていて、安っぽさを排除していた。
俳優は山形と川崎以外は知らない方々で、セリフは上手いとは言えない。が、老学者3人という組み
合わせが全体を締めていた。
人工衛星という単語が出てくるが、ソ連のスプートニク1号が世界初の人工衛星として打ち上げに成功
したのが1957年(本作公開の翌年)だから、科学の考証はかなりきちんとしていたと感じた。
東京タワーらしき姿も見えるが塔の完成は1958年の完成だから、映画製作時はまだ工事中だった。
故に本作は相当先進性に富んでいた、といえるのだ。

岡本太郎の色彩指導によるパイラ人は、いかにも人が入っているヒトデ形の宇宙人だが、基本的に
彼らは地球人に姿を変えるので、その造形はあまり苦にならない。そればかりか、最初のうちに
海中から姿を半分くらい現しては消えるみたいな使い方は上手かった。

結局先述のようにパイラ人は、山形勲が発明したウリウム101なる物質を使った強力な爆発物で、
地球に衝突するRという小惑星を粉砕して地球人を救う。彼らは遠い宇宙で地球を見ていて危なっか
しいその星を愛するあまり助けに来たのだった。宇宙道徳という言葉を使う立派な生物なのだ。
逆に当時の世界は米ソ冷戦による原水爆競争に明け暮れ、この前戦争が終わったばかりなのに、
宇宙人も眉をひそめる状況であったわけだ。今なら宇宙に存在を許されないと消されてしまうだろう。
宇宙人に叱られる地球人。良い主張を持つ映画だ。

「宇宙人」と「よい子が住んでるよい街は~」という童謡の取り合わせが時代を感じさせた。
内外の評価は高くないが楽しいひとときだった。

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<ストーリー>
宇宙の中のパイラと呼ばれる星から地球を観測していたパイラ人は、近頃地球上で頻々と起る原子雲を
見つけ、自分達がその昔、原子力の破壊力を戦争に使う使わないで苦労したことを思い出した。
そして、おろかな地球人に、自分達が如何に原子力を平和的に使ったかを知らせる為に宇宙船に乗り
地球に近づいた。そんなことを知らない地球では空飛ぶ円盤が現われたといってさわぎ、東京城北
天文台長の小村博士や助手の磯辺徹、小村の従弟で物理学者の松田博士等が怪円盤研究に腐心していた。

宇宙船では地球への連絡地を日本と決め、次々とパイラ人の使者を送ったが、その形の奇怪な為に
人々は恐れて近づかなかった。業を煮やしたパイラ人はその一人を銀子という名の日本の女に変身
させて地球に送った。銀子は松田博士の家に入り込むことに成功した。

パイラ人特有の明晰な頭脳を持つ銀子は博士が密かに発見していた、原水爆以上のエネルギーを持つ
爆発物ウリュウムの方程式を読みとり、博士に自分の正体を打明けながら、地球上にその研究を発表
するのは狂人に刄物だから止めろと注意した。博士は方程式を焼き捨てた。

その頃、新天体Rが現われ、地球と衝突する軌道を進みつつあった。世界は驚愕し、R破壊の為に
各国の原水爆が一せいに発射された。しかしいずれも不成功であった。
某国の手先は松田博士を誘拐し、方程式を書かせようとした。危いところをパイラ人の使者達に
救われた博士は、地球上には残さない約束で銀子に方程式を書いて渡した。
パイラ人によってウリュウムが作られ、その爆発力でRは消え、地球は救われた。銀子は宇宙船に
乗って地球を去って行った。(キネマ旬報)

<IMDb=★4.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:-- Popcornmeter:26%>
<KINENOTE=57.3点>
<映画com=3.7/5>
<Filmarks=3.2/5>


by jazzyoba0083 | 2025-12-03 10:20 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)