或る殺人 Ananomy of a murder

●「或る殺人 Anatomy of a murder」
1959  アメリカ コロムビア映画 160分 モノクロ
監督・製作:オットー・プレミンジャー 原作:ロバート・トレイバー
音楽:デューク・エリントン
出演:ジェームズ・スチュワート、リー・レミック、ベン・ギャザラ
    ジョージ・C・スコット、アーサー・オコンネルほか。


1959年度ヴェネチア国際映画祭 男優賞、NY批評家協会賞
男優賞、脚本賞 受賞作品。

160分と長い映画で、観るのに覚悟がいた。全体的に法廷劇なのだが、
シチュエーションの割りにはなかなか面白く観る事が出来た。
アカデミー賞にもノミネートされてはいたが、この年はベンハーが圧勝
の年だった。

さて、映画だが、舞台は五大湖に近いミシガン州。サンダーベイという
リゾートで繰り広げられた殺人事件とそれの法廷劇。
検事から弁護士に転じたポリー・ビーグラー(J・スチュワート)は、
さっぱり売れない弁護士で、秘書や相棒(A・オコンネル)に給料も
払えない。ある日、趣味である釣りから帰ってくると、酔っ払った
相棒パーネルが、ある殺人事件があり、きっと弁護の依頼が来るから
絶対に受けろ、と言う。言っていた矢先に電話がかかってきた。
クライアントは、ローラ・マニオン。夫ので陸軍中尉のマニオンが
ローラをレイプしたバーニー・クウィルを殺害したので弁護して欲しい、
という内容だった。
さっそく、依頼を受けて、拘置所にマニオンに会いに行く。そして妻の
ローラにも会う。ところがこのローラ、再婚である上、どこかアバズレ風で
これじゃ、レイプが本当かどうか、判ったもんじゃない、実はバーニーとは
不倫の仲だったのでは?と疑わせる。ローラは本当にレイプされたのか
どうかはラストまで明かされない。
検事側は、切れ者ダンサー(スコット)を投入し、マニオンを第一級謀殺で
有罪に持ち込もうと、証人を次から次へと用意する。
一方、ビーグラーは、心神耗弱で善悪の判断が出来なかったので無罪だ
と主張する。この間のスチュワートとスコットのやりあい、そして、ちょっと
オトボケな裁判長の裁判劇が始まる。「異議あり!!」のやりあい、そして
法廷での権謀術数渦巻く中、観ている方は、どうやらマニオンはローラに
愛想を尽かし始めていて、ローラは寂しさを紛らすために、酒場に行き、
バーニーと良い仲になっていたのではないかと疑いを持たされる。
その浮気を知ったマニオンが逆上してマニオンを射殺したのではないかと。

裁判は、ビーグラーの見事な弁護で、陪審員は彼に心神耗弱で無罪を
言い渡す。しかし、次の日、トレーラーハウス住まいのマニオン夫妻を
訪ね、報酬を貰おうとすると、すでに夫妻の姿は消えていた。やっぱり
まともな夫婦じゃなかったんだ、と納得。
真相は結局藪の中ではあったが、法廷でのやり合いを観ているだけで
面白い。映画の中で、レイプされたと主張するローラのパンティが
見つからないという点が、重要な部分になるのだが、検事がローラに
あなたは普段、パンティをはかないのでは?とか、裁判長がパンティと
いう言葉はいかがか、何か言い換えは出来ないか、としたり、この時代に
よくこんな映画を作れたな、と思った。証言でローラがそのパンティは
ナイロンで脇がレースで白かピンクだった、と証言するのだが、後に
法廷に証拠でそのパンティが出てくるのだが、どんなにイロっぽいもの
だと思っていたら、いわゆるデカパンで、時代を痛切に感じてしまった。

ジョージ・C・スコットやA・オコンネル、女性の秘書が良い味を付けて
いましたね。それと何といっても音楽をデューク・エリントンが担当、
自らも酒場でスチュワートと連弾するシーンに登場していました。
いかにも59年製らしい。あえてモノクロとしたプレミンジャーの手法や
モダンなタイトルなど新しいサスペンスを予感させます。
ローラを演じたリー・レミックは「酒とバラの日々」でジャック・レモンと
共演、アルコール中毒を演じていましたね。
長いですが、50年代という時代の雰囲気を味わうのには実に良い映画
だと思います。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Tracked from DVDジャンル別リアルタ.. at 2007-02-02 11:08
タイトル : 或る殺人
妻を犯した知人を復讐のため殺害した夫。検察側は、妻と知人は前々から不倫関係にあったと主張する。果たして真相は…。裁判で弁護士と検察のが激しく衝突する!ジェームズ・スチュワート主演で贈る法廷サスペンス。... more
by jazzyoba0083 | 2006-07-15 17:25 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)