ランド・オブ・プレンティ Land Of Plenty

●「ランド・オブ・プレンティ Land Of Plenty」
2004 アメリカ・ドイツ 124分
監督・原案・脚本・ヴィム・ベンダース
出演:ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール、ウェンデル・ピアース他
ランド・オブ・プレンティ Land Of Plenty_e0040938_2014877.jpg
ランド・オブ・プレンティ Land Of Plenty_e0040938_20143373.jpg

最近、WOWOWの映画で外れ(個人の趣味的に)が多いので、視聴は厳選
しうようと覚悟を決めました。で、ヴィム・ヴェンダース。
9・11以降のアメリカの姿を映画のテーマとしては初めて取り上げたんじゃ
ないかな。

かといって、「WTC」とかの事件そのもののドキュメンタリー風ではなく、
あの事件がアメリカという国に落とした影を、アイロニカルに静かに描くもの。

ポールは、ロサンゼルスで、個人的にテロを警戒するパトロールを実施して
いる。ベトナムでのトラウマが、あの事件で呼び覚まされてしまったのだ。
大型バンに天井から突き出るテレビカメラを備え、ヘッドセットでいつも街の
様子を記録している。ドンキホーテのような、滑稽さえ漂う。しかし、本人は
テロリストから母国をまもろうと真剣。真剣だけに滑稽だし、また考えさせられる。

一方、アメリカ生まれでアフリカで育ったラナが、テルアビブから10年ぶりに
祖国に帰ってきた。母から預かった伯父(ポール)への手紙を渡すためだ。
彼女は身寄りがないので、修道所の経営するホームレス支援施設に入り
伯父を探す。

その伯父は、町の中で大きな洗剤を抱えてターバンを巻いた男を発見、
テロリストかも知れない、と追跡する。一旦は見失うが、その男がある日、
ハマーに乗った男に射殺される。背後にはCIAがいるかも、と疑うポール。
その射殺された男が運び込まれたのがラナが滞在する伝道所。そこで二人は
対面を果たす。
射殺事件の背後には何かある、と見えない影を追い続けるポール。

ラナとポールは、殺された男をニューヨークの兄の元に届けるため、
大陸横断の旅にでる。そしてグランドゼロを見るのだった。
結局、殺された男は単に、イカれた若者に射殺されただけで、背後関係
なんてないし、洗剤もポールの思い過ごしにすぎなかったのだ。

どなたか書いてありましたが、ポールは現代アメリカのメタファー、であり
ラナは新時代を生きようとするアメリカ。
ヴェンダースは、アメリカを糾弾するのではなく、静かに希望を託す描き
かたをしたのだろう。

傑作だったのは、ポールの「監視車」の屋根には常に星条旗。携帯の
呼び出し音はアメリカ国家。ちょいと病んでいるかも、と思わせます。
尚この映画の詳しい

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2006-12-12 23:50 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)