すべては愛のために Beyond Borders

「すべては愛のために Beyond Borders」
2003 イギリス マンダレイ・ピクチャーズ+キャロット・ピクチャーズ 127分
監督:マーティン・キャンベル
出演:アンジェリーナ・ジョリー、クライヴ・オーウェン、ライナス・ローチ他
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これも、評価は分かれるだろうな。前半は難民救済に賭ける男女の話、
なかなか衝撃的で、後半は恋愛モノになっちゃって、ラストで主張が少々
薄くなったかな。アンジェリーナのキャラが濃すぎ、という意見にも
肯ける部分もある。チェチェンでのラストは「自業自得」
という見方もあるけど、そこまでいっちゃったら可哀想
かもしれない。

1980年代の半ばから話が始まり、約10年間を追う。冒頭のチャリティー
パーティー、主催者はサラ(アンジェリーナ)の義父の慈善家。そこに
一人の青年医師(ニック)が一人の黒人少年を連れて乱入してくる。
エチオピアの難民キャンプでは一日に30人が死んでいくというのに
この偽善は何だ、政権が共産化したといって援助を打ち切った慈善家を
なじっていった。ドン引きの聴衆からバナナが1本投げ込まれるところは
衝撃的な場面だ。
現実に衝撃を受けたサラは、夫に4万ポンドを借り、単身エチオピアの
難民キャンプに向った。そこには想像以上の悲惨な光景が繰り広げられ
ていた。
サラはニックを追って、カンボジア、チェチェンへと出かける。ロンドンの
国連高等難民弁務官事務所のスポークスマンにも選ばれた。
カンボジアでは親友のエリオットがクメールルージュに殺される。
チェチェンではニックはゲリラに誘拐される。しかし、ニックを愛してしまった
サラはどこにいようと探し出すと宣言して、彼を追う。
そして、ニックを見つけ出し、赤十字のキャンプを目指して逃げるのだが、
追っ手が近づき、傷ついたニックはサラだけを逃そうとするが・・・。

ロンドンに家庭がある(帰るところがある)お金持ち女の身勝手な行動と
するか、(エチオピアでの衣装とか香水とか)、次第に成長・自立していく
過程の一環として敢えて描いているのか。
難民の実情に少しでも迫り訴える映画なのか、青年医師とその世界に
共振してしまった人妻の恋物語としたかったのか。

私は最初と最後に奏でられるピアノ曲「子供の情景」が何かを語りかけて
いたように感じた。3箇所の難民キャンプとサラの家庭で、またニックと
サラの間に生まれた子供とか、子供がキーになっていたように感じた。

お金持ちが難民救済に手を出して、どうやって映画を終わりにするのだろう、
と心配したが、ブラックマンデーで義父が破綻し、夫も失業する、という
状況を作り、ラストは「カチッ」である。カンボジアで援助物資を運ぶトラックを
運転していた義足の青年が、その「カチッ」のいわれを話し、伏線としている。

私は、ニックが、這ってサラのもとに行き、サラの身代わりになるのかなあ、と
思ったりしたのですが、それじゃ映画が終わらないですもんね。

こういう地味な映画は興行的には全然ダメなんだろうな。アンジェリーナの
ナイスバディが出てくるわけでもないし。難民の存在を考えさせる映画と
しては良かったけど、その割りにストーリーがちょいと薄かったかな。
ナミビア、タイ、モントリオールにロケして画面の変化は面白かったし、
バナナのシーンとか効いているシーンもあっただけに尻つぼみ
はもったい無かったな。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
Tracked from 茸茶の想い ∞ ~祇園精.. at 2007-03-11 12:49
タイトル : 映画「すべては愛のために」
原題:BEYOND BORDERS 1980年代から1990年代、ロンドンから紛争で難民の溢れるエチオピア、カンボジア、チェチェンと哀しくも真実の愛を求め続けて駆けめぐる。 セレブな人妻サラ(アンジェリーナ・ジョリー)は、青年医師ニック(クライヴ・オーウェン)の演説に魅了... more
by jazzyoba0083 | 2007-03-11 11:20 | 洋画=さ行 | Trackback(1) | Comments(0)