さらば冬のカモメ  The Last Detail

●「さらば冬のカモメ The Last Detail」
1973 アメリカ コロムビア映画 104分
監督:ハル・アシュビー 原作: ダリル・ポニックサン
出演:ジャック・ニコルソン、ランディ・クエイド、オーティス・ヤング他
<1973年度アカデミー賞3部門ノミニー カンヌ映画祭男優賞受賞作品>
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観た後に、うっちゃられ感のある「アメリカン・ニューシネマ」の佳作。
海軍の基地で、隊長婦人の肝いりで実施されていたポリオの募金箱に手をかけた
だけで、懲戒除隊と8年の刑を食らってしまった、18歳の少年兵を、ノーフォークから
ポーツマスまで護送する、その途中で起きるさまざまな事件を描く。

バダスキー(ニコルソン)とマルホール(ヤング)は、部隊の中でも不良下士官と
して知られていた。ある日、ラリー・メドウズ(クエイド)という18歳の少年兵を
ボストンの近くの基地まで二人で護送しろ、と命じられる。
メドウズは、40ドルほどが入った募金箱に手を伸ばしただけで、懲戒除隊と
8年の刑を言い渡されたのだった。その理不尽に、思わず罵るバダスキーだったが
2日でいけるところを1週間も時間があり、しかも日当が出るので、ユックリ
遊びながら行き、帰りはNYででも遊んでくるか、と気軽にでかける。

しかし、護送の途中、酒も女もしらない少年を、このあと刑務所から出てくると
26だぞ、といいながら、大人への道を、教えていく。大酒を喰らい、
売春宿に行き、陸軍とケンカをし、すき放題を繰り広げていく。最初は戸惑って
いたラリーも、次第に彼ら二人を親友とみなすようになる。

しかし、二人の放蕩な旅はまた、ラリーに人生の未練も教育してしまったのだ。
冬のバーベキューガーデンから逃げ出すラリーを必死に押さえつける二人。
そして、彼をポーツマスの海軍刑務所に届けたのだった。
任務を遂行した二人に、達成感のかけらもなかった。二人は帰りに何処に
よって楽しんでいくかを語りながら刑務所をあとにしたのだった。

3人の道行きを、淡々としかもウィットとユーモア、それに愛情のありかを
示しながら映画は進む。「人生の楽しみを教えたことが、未練を教えて
しまった」という、救いがたい友情の発露に、観終えたあとの、大いなる
打っちゃられ感があるのです。それがアメリカン・ニューシネマたるところだな。

少年兵をやったランディ・クエイドは、あのデニス・クエイドのお兄さんだ。
ニコルソンは70年に「ファイブ・イージーピーセス」を、69年には
「イージーライダー」というニューシネマの傑作にも出演している。
尚この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-06-14 22:45 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)