2007年 06月 14日
さらば冬のカモメ The Last Detail
1973 アメリカ コロムビア映画 104分
監督:ハル・アシュビー 原作: ダリル・ポニックサン
出演:ジャック・ニコルソン、ランディ・クエイド、オーティス・ヤング他
<1973年度アカデミー賞3部門ノミニー カンヌ映画祭男優賞受賞作品>
観た後に、うっちゃられ感のある「アメリカン・ニューシネマ」の佳作。
海軍の基地で、隊長婦人の肝いりで実施されていたポリオの募金箱に手をかけた
だけで、懲戒除隊と8年の刑を食らってしまった、18歳の少年兵を、ノーフォークから
ポーツマスまで護送する、その途中で起きるさまざまな事件を描く。
バダスキー(ニコルソン)とマルホール(ヤング)は、部隊の中でも不良下士官と
して知られていた。ある日、ラリー・メドウズ(クエイド)という18歳の少年兵を
ボストンの近くの基地まで二人で護送しろ、と命じられる。
メドウズは、40ドルほどが入った募金箱に手を伸ばしただけで、懲戒除隊と
8年の刑を言い渡されたのだった。その理不尽に、思わず罵るバダスキーだったが
2日でいけるところを1週間も時間があり、しかも日当が出るので、ユックリ
遊びながら行き、帰りはNYででも遊んでくるか、と気軽にでかける。
しかし、護送の途中、酒も女もしらない少年を、このあと刑務所から出てくると
26だぞ、といいながら、大人への道を、教えていく。大酒を喰らい、
売春宿に行き、陸軍とケンカをし、すき放題を繰り広げていく。最初は戸惑って
いたラリーも、次第に彼ら二人を親友とみなすようになる。
しかし、二人の放蕩な旅はまた、ラリーに人生の未練も教育してしまったのだ。
冬のバーベキューガーデンから逃げ出すラリーを必死に押さえつける二人。
そして、彼をポーツマスの海軍刑務所に届けたのだった。
任務を遂行した二人に、達成感のかけらもなかった。二人は帰りに何処に
よって楽しんでいくかを語りながら刑務所をあとにしたのだった。
3人の道行きを、淡々としかもウィットとユーモア、それに愛情のありかを
示しながら映画は進む。「人生の楽しみを教えたことが、未練を教えて
しまった」という、救いがたい友情の発露に、観終えたあとの、大いなる
打っちゃられ感があるのです。それがアメリカン・ニューシネマたるところだな。
少年兵をやったランディ・クエイドは、あのデニス・クエイドのお兄さんだ。
ニコルソンは70年に「ファイブ・イージーピーセス」を、69年には
「イージーライダー」というニューシネマの傑作にも出演している。
尚この映画の詳しい情報は
こちらまで。