2007年 11月 28日
うつくしい人生 C'est quoi la vie?
1994 フランス サロメ 115分
監督・脚本:フランソワ・デュペイロン 撮影:永田鉄男
出演:エリック・カラヴァカ、ジャック・デュフィロ、イザベル・ルノー他

これは絶対にハリウッドでは作らない種類の映画であり、いかにもフランス映画らしい。
良きにつけ悪しきにつけ。ヨーロッパ映画は苦手、という人は(私もどちらかというと
そちらだが)観ないほうがいいかも知れない。
映像が美しい。全編黄色というか黄金色がかかった色調。これが収穫時期の南フランスの
山間の田舎の風景に絶妙な味を出している。そしてストーリー。普通の農村に生きる
ある男の、「うつくしい人生」に覚醒する物語を淡々と描いていく。ドラマチックなことなど
起きるはずもない田舎の人々の苦労と暖かい人情が、それゆえ浮かび上がる。
ニコラは農家の長男。家には祖父母と父母、それに妹がいる。自分の身の振り方を
決めかねているニコラだが、ある日、父が貧困がゆえに首をつって自殺してしまう。
さらに飼っていた牛が狂牛病の疑いで、没収されてしまう。絶望の淵に立たされる一家。
元気だった祖父も、次第にボケていってしまう。祖父母を養老院に入れた家族だったが、
住み慣れた家を離れ、古い家に引越し、出直すことにする。
親切な農家に、金はあるときに、という約束で、妊娠した牛を譲ってもらう。ニコラは
祖父母を養老院から出し、チーズを作り、小麦をつくり、農業で生きていこう決める。

そんなニコラは、クルマに乗せたことから、二人の子持ちの元オペラ歌手、マリアと
出会う。そして、山の上で民宿のようなことをして暮らしているこの未亡人を愛する
ようになる。マリアも、農業に自分の生きる道を見つけ、必死にがんばるニコラを
好ましく見つめている。さらに、農機具修理をしている親友、心の支えになってくれている。

普通の暮らしの中の喜怒哀楽を、愛情や友情で包んで見せ、人生って捨てたもんじゃない
と思わせるのはフランス映画の常道。クルマでいうとダッヂやクライスラーでなく、
ルノーって感じかなあ。チカラでなく情ってことかな。しみじみ、味わいたい映画です。
尚この映画の詳しい情報は
こちらまで。
私はこの映画、公開当時劇場で観賞したのですが、非常に感動して、普段はプログラムなど買わないのに買って帰ったほどでした。その年に観た映画で一番好きな作品だったのですが、何故かDVD化されず、残念に思っていました。今年、NHK-BSで放送してくれた時は、本当に嬉しかったです。
私はこの作品を観るまで、フランス映画って自分は肌に合わないと思っていたのですが、考えを改めました。
美しいフランスの山村の風景と、そこで暮らす人々の実直な生き方に素直に感銘を受けました。jazzyさんも書かれてますが、人生って捨てたもんじゃないと、思わせてくれる作品でした。

