ザ・プレイヤー The Player

●「ザ・プレイヤー The Player」
1993 アメリカ Avenue Pictures Production,Guild,Spelling Entertainment
124min.
監督:ロバート・アルトマン 原作・脚本:マイケル・トルキン
出演:ティム・ロビンス、グレタ・スカッキ、フレッド・ウォード、ウーピー・ゴールドバーグ
    ピーター・ギャラガー、ブライオン・ジェームズ、ヴィンセント・ドノフリオ他
カメオ出演:ジュリア・ロバーツ、ブルース・ウィルス、バート・レイノルズ、ジョエル・グレイ
        アンジェリカ・ヒューストン、ジョン・キューザック、シェール、ジャック・レモン
        ピーター・フォーク、スーザン・サランドン、ミミ・ロジャーズ、ハリー・ベラフォンテ
        ジェームズ・コバーン、スコット・グレン、ロッド・スタイガー、ニック・ノルティ
        パトリック・スゥエイジ他多数。
    <1992年度ゴールデン・グローブ 作品賞、主演男優賞受賞作品>
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WOWOWのアルトマン没後1周年記念特集の1つ。前回観た、「ショート・カッツ」も
アルトマンらしい刺激と風刺に満ちた長編であったが、今回も実にアルトマンの味が出た
秀作。群像劇、とまでは行かないので、「ショート・カッツ」よりストーリーが判り易く、
作品のダイナミックな魅力がダイレクトに伝わってくる。長年ハリウッドで生活してきた
映画人ならではの風刺や皮肉が利いていて、これに殺人事件のミステリーと、ラブストーリー
映画会社の経営内部抗争などが上手く絡み合い、秀作となった。
「ショート・カッツ」とキャスティングが重なっているところが多く、アルトマンファミリー
なのだなあ、と判る。主演のティム・ロビンスは「ショート・カッツ」では、浮気をしている
白バイ警官を演じていた。

また、12人ものオスカー受賞者を始めとしたカメオ出演も豪華で、これだけ見ていても
楽しい。シドニー・ポラックまで出てくるんだから。これだけの数のオスカー俳優が出た映画は
空前絶後だそうな。

ハリウッドの映画会社で、売り込まれた脚本のうちどれを映画化するかの責任者である
グリフィン・ミル(ティム)は、1日に125本の電話を受け、1年に5万本の作品の売り込みを
受ける。その中で映画化できるのは12本。だから、うらみも買うし、敵も作る。
忙しい中にも順風満帆のグリフィンの元に、最近、「お前を殺す。裏切られた作家より」と
いう絵葉書が何枚か送られて来ていた。

過去のスケジュールの中で、約束していて会っていない作家を探し出す。そこにはケイハン
(ドノフリオ)という名前があった。彼の恋人ジューン(スカッキ)から、彼の居所を
パサディナであることを聞き出し、「自転車泥棒」を上映中の映画館で、彼を見つけ出し、
映画終了後、ロビーで声を掛ける。約束を破ったグリフィンを罵るケイハンを、カラオケが
付いている日本料理店で一杯おごりながら、なだめたりすかしたり。
結局和解できず、彼が絵葉書脅迫状の犯人だとの特定も出来ず、ケイハンは去っていく。
自分のローバーに乗ろうとしたところ、ケイハンから声を掛けられ、一度会社に来てくれ、
話は聞く、というがケイハンの怒りは収まらず、言い争いの最中、押されて、グリフィンは
転倒、頭に来たグリフィンはケイハンを水溜りに押し付ける。殺す気は無かったものの、
ケイハンは死んでしまう。

その場を離れ逃げたグリフィンは、普段の生活に戻っていく。会社では、社外から主力
銀行の頭取の息子が送り込まれ、また20世紀フォックスからラリー・レヴィー(ギャラガー)
が移籍してきた。首が危なくなり焦るグリフィン。

一方、殺してしまったケイハンの妻に一目惚れしてしまったグリフィンは、彼女に接近、
ガールフレンドのボニーを裏切りつつあった。
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ケイハンを殺したが、脅迫状は止むことはなかった。人違い殺人を犯してしまったのだ。
パサディナ警察の女刑事スーザン(ウーピー)と相棒は、グリフィンが臭いと、つきまとうが
なかなか尻尾を出さない。

グリフィンへの脅迫はついにクルマの中にガラガラヘビを仕込まれるまでになり、恐怖に
おののいた彼は、殺したケイハンの妻ジューンの元に。ジューンも真実を知らないまま
彼に惹かれていく。そして、グリフィンはガールフレンドにNY出張を譲り、彼女がいない間に
メキシコに行こうとするが、怪しまれているのを知り、行き先をネバダ砂漠あたりの温泉に
切り替える。ついにジューンを落とすことに成功する。

そんなころ、一人の作家が映画化を売り込んできた。グリフィンは陳腐なアイデアを
ワザと買い、これを20世紀フォックスから来たラリーに報告、ラリーが気に入ったところで
手を引き、映画化させておいて失敗させ失脚させようと企んだ。

パサディナで駐車場の前に住んでいるという夫人が殺人を目撃したので、警察まで来い
と呼び出される。顧問弁護士は、刑事事件専門の弁護士を彼につけて、面通しに
臨ませる。目撃者は、なんと刑事を指名、グリフィンは難を逃れた。

1年後、社長は失脚、しかし銀行家の息子は淋病で入院、グリフィンはまんまと社長に
納まったのだ。そしてくだんの映画の試写会。無名な俳優で、しかも悲劇的な結末、
と言って譲らなかった作家の作品は、ジュリア・ロバーツとブルース・ウィリス主演で
ハッピーエンドに仕立てられていた。作品の改変に意義を唱えたかつてのガールフレンド
ボニーは、ラリーからクビを宣告される。社長であるグリフィンに助けを求めるが、
彼は応じない。ロールスロイスのカブリオレを運転して家に帰るグリフィン。クルマの電話に
出た男は新しい作品をってきた作家で「もう絵葉書専門はやめたよ」という。誰だかは判らない。売り込まれた映画のタイトルが「プレイヤー」という。グリフィンの犯罪をそのまま映画化した
もの。家でグリフィンを待っていたのはおなかが大きいジューンだった。まだ真実を知らず
偽りの幸福に浸っている。そしてそこにエンドマーク。

結局、脅迫犯は判らずじまい。この映画のハイライトは、試写会のシーン。陳腐な
エンディングになってしまった映画に喝采する重役連中。そして、実際の映画の
エンディングも、この試写会の映画のエンディングにダブらせる。ハッピーエンドだって?
と言わせるかのように。

映画通の人は、私以上に楽しめるはず。アルトマンという人は、実に独特の世界観を
映像化できる人だったのだなあ。他の作品も観たくなった。
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8分にのぼる冒頭の長まわしは、映画史に残る。「最近の映画は、1カットが短くて」
なんて登場人物に云わせての批判も入れながら。
ケイハンとジューンという恋人同士を演じたドノフリオとスカッキはその後結婚し、離婚する。
これがリアリティ???
この映画の詳しい情報は

こちら
まで。
by jazzyoba0083 | 2007-12-14 23:55 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)