アラバマ物語 To Kill A Mockingbird

●「アラバマ物語 To Kill A Mockingbird」
1962年 アメリカ Universal Pictures 129min.
監督:ロバート・マリガン 製作:アラン・J・パクラ 脚本:ホートン・フート
撮影:ラッセル・ハーラン 音楽:エルマー・バーンスタイン
出演:グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ロバート・デュバル他

<1962年度アカデミー賞主演男優賞、脚本賞、美術監督・装置賞受賞作品>
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映画「カポーティ」に登場する彼とともに名作「冷血」の取材に当たった、カポーティの幼馴染み
ハーパー・リー。この映画の中に彼女のピュリッツアー賞受賞の小説「マネシツグミを殺すために」を映画化した「アラバマ物語」のプレミア試写会の様子があり、その中でカポーティは
「騒ぐほどの映画じゃないね」と嘯くシーンもあったりもする。その為このハーパー・リーが
書いた小説「マネシツグミを殺すために」を映画化した「アラバマ物語」も是非観てみたいと思っていた。

正月休みに新星堂に行くと、なんと500円でDVDが売っているじゃあありませんか!速攻
購入し鑑賞しました。500円ていい時代だなあと思う反面、ちょっと安すぎじゃないか?
ま、ライツフリーになってしまったためなんだけど。だからこのDVDには冒頭のパラマウント
映画のロゴが省略されている。こっちにはライツがあるからだな。

閑話休題。この映画や原作を調べていくといろんなことが判って面白かった。
・1960年に発表されたこの「マネシツグミを殺すために」は、ハーパー・リーの幼いころを
 ベースにした話。
・アメリカでは大ベスセラーになり、聖書の次によく読まれた本と云われている。様々な教科書
 にもたくさん採用されているという。
・ハーパー・リーはこの小説でピュリッツアー賞を獲得した。
・隣に夏の間だけくる男の子は、カポーティがモデル。(そっくりじゃないかな。)
・映画「アラバマ物語」は、最初メジャーな映画会社が興味を持たなかった。
 ×いち弁護士のさえない話など、恋もなし、活劇もなしでは大衆受けしないというのが理由。
・アメリカ映画協会(AFI)が2003年に実施した「もっとも偉大な映画のヒーロー」で
 インディ・ジョーンズやジェームズ・ボンドを抑えて、この映画の主人公アフィカス・フィンチが
 堂々の1位になった。
・更に最近「アメリカ脚本家協会」が選出した、脚本化された映画のベスト100を選んだが、
 「風と共に去りぬ」などを押さえ、1位となったのがこの映画である。
・アフィカス・フィンチのモデルになったのはハーパー・リーの実際の父親アマサ・リーで、
 グレゴリー・ペックは、アマサに会い、いろいろと吸収した。アマサはこの映画の完成を
 見ずして他界。ハーパー・リーは亡き父の形見の時計をグレゴリーに進呈したのだが、
 この映画で生涯唯一のアカデミー主演男優賞を獲得したグレゴリーは授賞式のこの時計を  着けて登壇。「オスカーを貰うより、この時計を貰ったことのほうが嬉しかった」と語った。
・ユニバーサル映画は、最初ハーパー・リーに映画の脚本化を願い出たがハーパーが断った
 ため、劇作家のホートン・フートが脚本を担当することになった。
・舞台となったアラバマ州モンロービルは、ロケをしようとするにはあまりにも近代化されて
 いたため、ユニバーサルは屋外に1932年当時のモンロービルのセットを作ってしまい、
 当時の南部の町並みの雰囲気を出すことに成功した。
・映画でハーパー・リーのモデルといわれるスカウトを演じたメリー・バーダムはオーディション
 で選ばれた。「サタデー・ナイト・フィーバー」「バード・オン・ワイヤー」などの監督ジョン・
 バーダムは、彼女の実兄である。
・隣に住む精神障害者ブーを演じた名優ロバート・デュバルは、この映画がデビューとなる。

以上は、この映画や原作をよく知る人には当たり前のエピソードだろうが、私にとっては
ヘエーの連続でした。

1932年、恐慌の傷跡癒えないアラバマ州の田舎町。やもめの弁護士アティカス・フィンチ
(グレゴリー・ペック)は、穏健な長男ジェルと活発な長女スカウト(ハーパー・リーがモデル)
と黒人のメイドの4人暮らし。街の人のための仕事なら、農作物での謝礼にも不平を言わない
正義の人であり、二人の子供は、ちょっと歳をとった父を遊び相手としては不満ながらも
弁護士としては尊敬していた。二人は父親のことをファーストネーム、アティカスと呼んでいた。
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そんなアティカスにある日、農夫の娘を強姦した黒人トムを弁護するよう依頼が来る。
誰かがやらねばならない仕事だ。アティカスは引き受けることにする。
普段は尊敬のまなざしを向けている街の人たちも、たちまち彼と家族を白眼視するようになる。
学校では子供同士のいじめも受ける。
一方、隣に住むディルは夏の間にだけ来る友達(カポーティがモデル・顔がそっくり!)。
子供たちの興味は、近所に住むブーを云われる不思議な男のこと。ジェムはディルに
「ブーは身長2メートルを超え、猫やねずみを捕らえて生で食い、歯は黄ばんで、目は
飛び出ている」と言って脅す。
そうこうしているうちにトムの裁判が始まる。黒人を誘惑した女がその事実を消すために
彼を陥れようとウソをついていることは明白なのだが、白人だらけの裁判ではアティカスが
どんな雄弁を振るおうとも、有罪は免れなかった。失望するアティカス。傍聴に来ていた
ジェムとスカウトも、がっかりする。アティカスはトムに対し、控訴するから決して絶望するな
と言い聞かせた。
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自宅に帰るとシェリフがやってきて、トムは刑務所に送られる途中、逃亡。保安官補佐の
制止を聞かなかったため、威嚇射撃を受けたのだが、それが致命的なところに当たり
死亡した、というのだ。
愕然としながら、トムの家族に事実を告げに行った。そこに強姦された娘の父が酔っ払って
やってきてアティカスにつばを吐きかけた。だまってその父を睨み、顔についた唾を拭き、
毅然として現場を去るアティカス。見つめるジェム。

そしてその年のハロウィン。ジェムとスカウトが変装して会場に向かおうとするものの、
いったん家に帰ろうとした。後から、強姦を受けたと証する娘の父親が、二人の子供に
ナイフを持って襲い掛かった。危機一髪の彼らを誰かが救った。

男は大怪我を負ったジェムを家まで送り届けた。駆けつけた保安官に、スカウトは、
「あの人が助けてくれたの」と説明、あの人とは誰なのか、と問う保安官。するとドアの陰に
隠れていた男を指差し、あの人よ!と。
そこにはブーの姿が。ブーはジェムやスカウト、ディルと遊びたかったのだ。
ブーの家の庭には大きい節穴がある木があるのだが、そこには二人の兄妹を模して
刻んだ木の人形や、壊れた懐中時計、ナイフなどが隠されていた。これらもブーからの
二人へのプレゼントだったのだ。そして兄妹は命も救われたのだった。

保安官は、アティカスに「まさか自分の息子を容疑者として裁判にかけるつもりでは
ないだろうな」という。
「ユーエル(強姦されたとウソをついた娘の父)は転んで自分で自分を刺したのだ。
これは応報だよ。罪のない男を死に追いやったんだ。誰かが罪を背負わなくてはいけない」と。
正義感あふれるアティカスだが、今回は保安官の言葉に従うのだった。

1962年だから、当然カラーで撮れたのだが、1932年の雰囲気を出すために敢えて
モノクロとしたが、この目論見は当たっていて、ふっと本当に1932年の映画を観ている
ような気になっている。
パクラ=マリガンコンビの作風は、スカウトの視点で全体を描くことにより、より確かな
客観性を獲得している。映画は後半からぐっと締まってきて、裁判でのアティカスの長い
台詞からトムの死亡、唾をかけられるアティカス、ハロウィンの出来事、ブーの登場と
面白さを増していく。
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子供の視点から、アティカスの行動を描き、人種差別、博愛精神、行われなければ
ならない正義などを訴える。また、ブーや子供のころむやみに怖かった暗闇を通して、
大人になり知識を得ていくにしたがって、人間として形成されいくところを描いた。
つまり人種差別もブーも暗闇も「無知が故、教育を受けていないが故の不幸」であると
云いたかったのではないか?
今の世にこういう父親像を描いてもウソっぽくなってしまうが、’62当時は理想の父親として
すべてのアメリカ人に受け入れられたのだろう。それはアメリカ人にとって今も。そこには
キリスト教的博愛主義が貫かれているような気がする。それが重要なバックボーンに
なっていると思う。
誰が見てもグレゴリー・ペックのアティカスは素晴らしい。ぜひ日本でも中学で見せてほしい。
(高校生ではひねていて正面から捕えてくれないだろう。今の日本では)
「今でもジェム、ディル、ブーそしてアティカスがいた時代を思い出す」という云うラストの台詞は
単なるノスタルジーだけではない何かを感じさせるのだ。
なおこの映画の詳しい情報は

こちら
まで。
こちらでも詳しいストーリーが見られます。
Commented by samurai-kyousuke at 2008-01-06 16:01
初めまして、samuraiと申します。
一年前に書いた記事なんですがトラックバックさせて頂きました。グレゴリー・ペックさんはハマり役でしたね。
by jazzyoba0083 | 2008-01-03 23:45 | 洋画=あ行 | Trackback(2) | Comments(1)