2008年 04月 15日
華麗なる恋の舞台で Being Julia
2004 アメリカ Serendipity Point Films,104min.
監督:イシュトヴァン・サボー 原作:サマセット・モーム「劇場」
出演:アネット・ベニング、ジェレミー・アイアンズ、マイケル・ガンボン、ブスース・グリーンウッド
<2004年度ゴールデングローブ 女優賞受賞作品、アカデミー賞主演女優賞候補>
時々書くことだが、こうした佳作に会えることが、映画観の醍醐味でもある。まったく観る気も
なく、WOWOWの月刊誌にもノーマークだったが、奥さんが見て、面白いよ、と薦めて
くれて、観たら、なんと!超面白い。といか、アネット・ベニングのお芝居にノックダウンだ。
原作が原作だけに、ストーリーは磐石なのだが、さすがにゴールデングローブを獲り、
アカデミーでも候補になるだけの、眼をいささかもスクリーンから放させないアネットの演技。
女優がテーマなのだが、アネットの女優魂にも重なって見えてしまう。
『1938年、ロンドン。ジュリア・ランバート(アネット)は女優として演劇界の頂点に立ち、
興行主兼舞台監督の夫マイケル(ジェレミー)との結婚生活も順調で満ち足りた日々を
送っていた。
しかし、変化のない生活に不満を感じずにはいられなかった。ちょうどそんな時、親子ほども
年の離れたアメリカ人青年トム(ショーン・エヴァンス)がジュリアの前に現れる。
彼女の熱烈なファンだというトムと瞬く間に恋に落ちるジュリア。
求めていた刺激を得て喜びに浸る彼女だったが、ほどなくトムは若い女優エイヴィス
(ルースー・バンチ)に心移りしてしまう。しかも、あろうことか、トムはジュリアにエイヴィスを
今度の新作で使ってほしいと願い出るのだった…。』(by allcinema)
ベッドの中で、トムからエイヴィスを、次の劇のオーディションにいれて欲しい、と頼まれる。
何かしらを感じるジュリア。トムに激しい嫉妬を感じるジュリアだが、エイヴィスの才能を認め、夫にも私の後を継ぐ人材よ、とかいって薦める。何かたくらみがあるのだ。実はエイヴィスは
夫のマイケルとも通じていたのだ。
新しい劇の練習が始まった。オーデションを通ったエイヴィスは、準主役の抜擢。練習では
ジュリアはエイヴィスが目立ったほうがいい、といって自分の立ち位置を変え、衣装を地味に
し、新人を心から売り出そうとしているかのようだった。
そして初日を迎えた。舞台に現れたジュリアは派手な衣装を着けて、セリフはアドリブ
ばかり。エイヴィスを笑いものにし、自分は喝采を浴びるように仕立てていった。
夫も劇作者も、始めはなんと言うことをしてくれるのか!と激怒していたが、観客には
バカ受け!
まんまとしてやったりのジュリア。劇中のセリフで自分の浮気がばれたことを知った夫は
妻のアドリブを激賞する。
「リアリティは舞台にこそある」と「戦争と舞台はなんでもあり」と教えた亡くなった恩師が
狂言回しのように現れ、ジュリアを鼓舞する。また、付き人のエヴィー(ジュリエット・
スティーヴンソン)が、映画の中で一番の、ジュリアを知っている人物として訳知りに
振る舞い、にやりとさせて好い。
原題どおり「ジュリアであること」のため、根っからの女優根性を披露するジュリア。
快哉を叫びたいほど見事な女優っぷりである。トムとの恋も、恋敵で新人女優を潰すのも
「女優」なのだ。息子がいう「かあさんのセリフは、いつもどこかで聞いた事がるんだよ」と。
そんな息子も、新しい芝居での母の見事な演技に、客席からスタンディングオベーションを
送るのだった。「女優」の嫌なことろ、素敵なところを全て演じきったアネットに拍手だ!
邦題で、安い映画では?と思っている方、判り易い佳作を是非お勧めしたいですね。
この映画の詳しい情報は
こちらまで。
『女であること、恋をすること、私であること。 大人の恋は、 軽やかで美しく、 ちょっと意地悪で ドラマチック。 人生は華やかな 舞台のように。』 コチラの「華麗なる恋の舞台で」は、2/10公開になったサマセット・モームの「劇場」をイシュトヴァン・サボー....... more