鯨が来た時 When the whales came

●「鯨が来た時 When the whales came」
1989 イギリス Golden Swan,101min.
監督:クライヴ・リーズ
出演:ポール・スコフィールド、マックス・レニー、ヘレン・ピアース、ヘレン・ミレン他
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静かに時が流れる101分。基本はファンタジーなのだが、実在する島や第一次世界大戦
なども織り込まれ、お子さま向けの映画ではない。

1914年のイギリス南西部のシリー諸島が舞台(現実にある島で、ロケも全てここで行われた
という)。対岸のサムソン島から来たバードマンと呼ばれる耳の不自由な老人が、主人公と
いえば主人公。島の住民が遠ざけている彼と、ダニエル、グレイシーというふたりの子供が、
バードケイビングを通して親しくなり、やがて耳の不自由さを乗り越えて心の交流が始まる。

島は貧しく、難破船の漂着や、高級木材の漂着などを歓迎した。やがて第一次世界大戦が
始まる。グレイシーの父は、義憤にかられ、海軍に入隊する。グレイシーと女2人の生活に
なった妻は一人で漁に出たりするが、なかなか芳しくない。グレイシーとダニエルは、2人
で漁に出て、海流に流されやむを得ず、老人も絶対に近づくな、と言っていたサムソン島に
着くことになる。上陸してみると井戸は枯れていて、廃墟には、一角鯨の角が飾れられて
いた。島中大騒ぎとなったが無事に島に戻ったダニエルとグレイシーは、両親から酷く
叱られたのだった。特にダニエルの父は彼を理解しようとせず、その叱責は度を越すもの
であった。
やがて、グレイシーの父が作戦中に行方不明になった、との知らせが・・・。悲嘆に暮れる
妻とグレイシー。彼らがサムソン島に渡ってから、島に不幸が目立ち始めたのだった。
島の呪いか。
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ある日、海岸に一角鯨が漂着する。片や、ダニエルの兄たちは、バードマンをスパイだとして
彼の家に火をつけてしまった。
島への漂着物は島の住民の等しい財産として分ける、というしきたりに従い、肉としようと
する住民に、バードマンは、サムソン島の悲劇を語り始める。かつてサムソン島にも
同じように一角鯨が漂着、彼らはそれを殺し分配しようとした。そして一角のツノを本土に
売りに行った連中の乗った船は難破し、バードマンの父も遭難して死亡したのだった。
加えて疫病が発生、生きていた皆は島を引き上げていった。最後まで残ったのがバードマンの
母と彼だった。しかし、井戸まで枯れては生きていけず、今の島に引っ越してきたのだった。

それ以来、サムソン島は呪われているのだ、だからこの鯨も海に戻さないと呪いがこの島に
かかる、と力説する。島民は何とか理解し、鯨を海に戻した。しかし、その後をおって鯨の
大群が押し寄せた。島民たちはかがり火を焚き、海に向かって振り続け、鯨の大群を
追い払うことに成功した。

そして呪いは解けたのだ。バードマンはサムソン島に帰っていった。ダニエルが追いかけて
島にいってみると枯れていた井戸には水が満々と・・・。バードマンも耳が聞こえるようになった
だろう。そして、一艘の帆船が島に流れ着いた。そしてその船には、行方不明のグレイシーの
父の姿が・・・

イギリス映画だからかな、トーンはどこか寒々しく、使われている色も茶とか黒、白が多い。
小さな貧しい漁村に起きた不思議な話と、日々の普通の暮らし。静かに流れる時間とごく
普通の生活が、逆に映画にリアリティを与え、ファンタジーの浮つくところを押さえている。
なかなか見っけモンの一作であった。
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by jazzyoba0083 | 2008-09-06 23:30 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)