アリスの恋 Alice doesn't live here anymore

●「アリスの恋 Alice dosen't live here anymore」
1974 アメリカ Warner Bros.Pictures,114min.
監督:マーティン・スコセッシ
出演:エレン・バーステイン、クリス・クリストファーソン、ビリー・グリーン・ブッシュ、ジョディ・フォスター
    ハーヴェイ・カイテル、ローラ・ダーン他
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<1974年度アカデミー賞主演女優賞受賞作品>


スコセッシというとNYを舞台にした「タクシードライバー」やオスカーを獲った「デパーテッド」など、癖の
強い映画の印象だが、こんな愛すべきコメディも作っていたのね。デ・ニーロとライザ・ミネリの
「ニューヨーク・ニューヨーク」も素敵な映画だったけど。

エレン・バーンステインにオスカーを獲らせてしまった佳作であります。スコセッシならではのカメラ
ワークとか音楽の使い方(選曲)なども優れているが、やはり脚本がいいのですね。それとエレンの
体当たりというか、なりふり構っちゃられないわよ!っていう雰囲気が良く表れた演技が素晴らしい。
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貧乏な未亡人親子のロードムービーだが、この二人がものすごいキャラクター!!特に12歳の息子の
トムのませガキっぷり。言うことはイッチョマエの大人だし、皮肉も凄い。憎めないんだけどね。これは
母親のアリスが甘やかしてきた躾の無さに尽きる。アリスが自分も子供目線で子供と付き合うから
躾なんてできやしない。このこましゃくれた小僧に、まともにやりあうアリスが面白い。
それとこんな時期からDVってあったんだな(ハーヴェイ・カイテルの役どころ)とビックリもしたりした。
オープニングの35ミリ映画を模した映像の中、8歳のアリスが歌を歌うシーンは「オズの魔法使い」の
オマージュかパロディか?トムのガールフレンドとして登場する男の子と見まがう少女オードリィーを
演じているのは、2年後にスコセッシの「タクシードライバー」で娼婦役をやる、ジョディ・フォスターだ!
彼女もいい感じだ。

コカコーラの配送車の運転手の旦那は、アリスの賢明な主婦業に感謝もなければ感激もないし、夜の
お相手もおざなり。長男はこましゃくれて言うことは聞かないと。もともと歌手になりたかったアリス、
私の人生はこんな風になる予定じゃなかった・・・と思うのだった。

ある日、夫がトラックの運転中交通事故で死亡。未亡人となったアリスはトム(夏休み中)と二人で
街を出て、夢見ていたモントレーで歌手になるため移動を始めた。途中の町でも歌手の職はないかと
探していると1件のピアノバーが雇ってくれることに。
しかし、ベン(カイテル)という男が近寄ってきて、最初は拒否していたアリスだったが、ベンの積極的な
攻撃についに撃沈、男女の仲になる。だが、ベンには妻がいて、ある日その妻がおどおどとアリスを
訪ねてきて、夫とどういうことになっているの?と尋ねる。しかしそこにベンが現れ、妻を殴り小突きまわし、
アリスにも暴力を振るい、「おれをなめるなよ、今夜も1時に待っているからな」と言い捨てて妻と
出ていった。唖然とするアリス。なんて私は男運がないの?と。モントレーに行くために貯めた金も
ベンへのプレゼントで消えていた。

すぐにその街を出たアリスとトムはツーソンにやってきた。そこで、アリスはレストランのウエイトレスと
して働くことにする。そのレストラン、賑わっているのがが、ガサツな人間と変なウエイトレスが集まって
いるところで、猛烈に忙しい上に、ガサツな点がアリスをさらに疲れさす。
このレストランでもアリスはデヴィッド(クリス・クリストファーソン)という男から盛んにモーションをかけられ
る。必死に逃げ回るが、デヴィッドはトムと仲良しになり経営している牧場で馬に乗せたり、で、そのうちに
アリスとも仲良くなっていく。しかし、デヴィッドと家に遊びに来ていたトムがあまりにも言うことを聞かない
ので、尻を叩くと、アリスはなんで私の子を叩くの!と怒り出ていってしまう。しかしどう見てもデヴィッドの
行為は正しい。だめなのはしつけが出来ないアリスなのに。トムには父親が必要なのだ。

ケンカして飛び出してきたアリスだが、デヴィッドを愛している気持ちは変わらない。いつものように
レストランで忙しく働いているとデヴィッドがやってきて、君に戻ってほしい、という。
アリスは私には誕生日までにモントレーに行って、歌手にならなくちゃ、というと、デヴィッドは、おれも
キミとモントレーにいくさ。牧場なんて売ればいい、と言ってくれた。思わずレストランの中で抱き合う二人。
客からは暖かい拍手が・・・。

ツーソンでギター学校に通うようになるトムの悪友になる女の子がジョディ・フォスター。レストランの
同僚ウエイトレス、フローを演じたダイアン・ラッドの怪演も面白い上に迫力がある。
最近は「ナショナル・トレジャー」などで悪役をやっているクリス・クリストファーソンも、さすがに若い!
「私には守ってくれる男がいつも必要なの」という一人のおばさんになりかけた(35歳)の女性の
ハチャメチャだけど、色んな人と出会って、とりあえず夢に向かう姿が、心地よく描かれる。面白く観ました。
この映画の情報はこちらまで。
Tracked from ☆彡映画鑑賞日記☆彡 at 2009-03-20 20:44
タイトル : アリスの恋
 コチラの「アリスの恋」は、「ディパーテッド」でアカデミー賞の監督賞と作品賞を受賞した男臭い映画の多いマーティン・スコセッシ監督には、ちょっと珍しい女性が主人公の作品です。しかもそれだけではなく、当時の女性ってものを結構的確に捉えてるんじゃないかな?と....... more
by jazzyoba0083 | 2009-03-18 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback(1) | Comments(0)