⚫「ノッティングヒルの恋人 Notting Hill」(再見)
1999 アメリカ Polygram Filmed Entertainment,Working Title Films and more. 123min.
監督:ロジャー・ミッシェル 製作総指揮・脚本:リチャード・カーティス
出演:ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、リス・アイファンズ、ジーナ・マッキー、ティム・マキナニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
11年ぶりの鑑賞。その時のブログは下にリンクを張っておきますが、感想としてはあまり変わりがない。
凄いストーリーではないのにすごく「居心地の良い」作品。ほのぼのとする、というか心が暖かくなると
いうか。初見も冬だったが、寒い季節に見たくなるような映画なのだろう。

やはり脚本が良いのだと思う。リチャード・カーティスというイギリスの(生まれはニュー・ジーランド)
脚本家、監督は、「ラブ・アクチュアリー」、「フォー・ウェディング」「アバウト・タイム」「ブリジット・
ジョーンズ」シリーズ、「Mr.ビーン」シリーズなどを手がけている。それぞれ観ているが、イギリスの風味を
上手く活かした手堅い作品を創っている。ヒュー・グラントとも数作共にしており、彼の使い所のツボを心得て
いる感じだ。そこに当時勢い最高潮の典型的なアメリカ生まれのハリウッド女優ジュリア・ロバーツを
女優という役柄で放り込む。周りをシュアな演技をするイギリスの俳優たちで固め、舞台も全てロンドンだ。
こうしたシチュエーション(ドラマの設定)とロケーション、イギリス流ヒューモアとウィットそして
配役の妙が、「逆シンデレラの王道的」ストーリーを、観る人に心地よいものにしていると感じる。

この映画を観ていると、「一目惚れ」「住む世界の、価値観の違い」などを感じる。ロンドンにやってきた
ハリウッドの人気女優はロンドンの旅行書専門店を訪れるのだが、その店主(ヒュー・グラント)に
一目惚れ。作品の経過と共に分かるのだが、彼女が置かれた不自由な生活の反動もあったのだろう。
権謀術数渦巻くハリウッド生活で心が荒んでしまった女優にとって、ロンドンの普通な心地よい男性は
心に空いた穴にすっぽりハマったのだろう。

そして気はいいが、ハリソン・フォード似の男に女房を寝取られた、結構チキンな男。住む世界も、持っている
物差しも全然違う女性に恋し、傷つき、悩む。一方の女優も、男を好きになるのだが、周囲の事情がなかかなか
彼女を好きにさせず、その状況が男を傷つけ、また自身をも傷つけてしまう。

初デートが妹の誕生祝いをする友人宅のディナーで、男はそこで結構自分のことを女優に教えるのだが、彼女は
ラストまで、ハリウッド女優としか分からない(観ている人は)。ということは、この映画はどちらかというと
男性側の目線の映画である、といえるのだろう。

男女の抱える落差からお互いが悩む、ぞれぞれの心境に観客はシンパシーを感じつつ、もどかしさを感じたり
共感を覚えたりしていく仕組みだ。さらに、男を取り巻く家族や友人たちが、サイドストーリーを展開しつつ
男を支え、あるいは男に愛情が如何にあるべきかを教え、それがまた心を暖かくしているのだ。ラストには
ちゃんと彼らの幸せも示唆されているところがニクい。

女優は2度めの男のとのすれ違いの後に、オスカーを獲るという設定だが、ジュリア・ロバーツ自身も翌年の
作品「エリン・ブロコビッチ」で主演女優賞を獲得する。
個人的にはあまり得意でない女優さんだが、所見のときも書いたが、本作ではいい味が出ている。キャスティングの
妙、ということかもしれない。イケメン、ヒュー・グラントは彼の持ち味はこうでしょ、という良い側面が
出ている。両者とも年齢を重ね、それぞれベテラン中のベテランになっているが、主役を張るというより、
主役級が集まる映画のメンバー的ポジションとなっている。

女優は、最初のデートの時、老いた女優の惨めさを切々とみんなに披露するのだが、それが現実となりつつある
ジュリア自身、今、どう思うのだろうか。

本作で触れておかなければならないのは音楽だろう。主題歌でありエンディングで効果的に使われる"She"。
冒頭は作者自身でもあるシャルル・アズナブール、ラストはエルビス・コステロが歌い上げる。
また男の心を表現する手段として、ビージーズ「傷心の日々」のアル・グリーンバージョン、などなど
いい曲がいいタイミングで(別の言葉で言うと「ベタな感じで」)効果的に使われている。

また映像の構成としてみた場合、屋内と屋外、アップとロングのリズムがいい。またドローンが無かった時代に
俯瞰のズームバックをどうやって撮ったんだろう?というショットなど、画の方もなかなか魅せた。

ジュリアの役どころが女優なので、デミ・ムーアやパトリック・スウェイジ、メグ・ライアンなどが実名で
出てくるところもニヤリポイント。

ところで、この映画を観た方はみなさん気がつくと思うけど、ヒュー・グラントのアパートの玄関に置かれた
振り袖女性の等身大パネル。誰でしょう?ネットを調べてみると、当時の富士フィルムの「お正月を写そう!」
の宣伝でカメラ屋さんの店頭に置かれたパネルらしく、女性はスティーヴン・セガールの娘さん、藤谷文子さん
らしいですね。それにつけてもこの映画では、サボイホテルのなかなかセンスの良いフロントマンのおじさんの
頬にキスをする「タキヤマ」なる日本人らしき人物も描かれていますが、脚本家は何を意図して日本を
入れ込んだのか、マーケティングなのか、そのあたりはよくわからなかったですね。
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<ストーリー:結末まで触れています>
アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)はハリウッドの大女優。そんな彼女がロンドンのノッティングヒルに
ある書店に足を運ぶ。店主のウィリアム(ヒュー・グラント)は突然のことにびっくり。さらに彼は買物の
帰りに偶然アナとぶつかり、ジュースをかけてしまう。慌てた彼は服を乾かすよう申し出て、アナを家に招く。

何とか彼女を送り出して間もなく、彼女が戻って来てウィリアムにキスをして立ち去る。夢のような時が
過ぎて数日後、ウィリアムに電話があったとルームメイトのスパイク(リス・エヴァンス)から聞かされる。
早速アナが宿泊しているホテルに向かい、雑誌記者と偽り部屋に入る。ウィリアムは妹の誕生日パーティーに
アナを誘い、彼女も誘いに応じる。その後もデートを重ねる二人。

ところがある晩二人がアナの部屋に行くと、有名俳優の恋人が彼女の帰りを待ち構えていた。彼氏の存在に
ショックを受けたウィリアム。そして半年後。マスコミのほとぼりが冷めるまで家に置いて欲しいとアナが
突然やって来る。だがそれも同居人スパイクが口を滑らせたことでマスコミが殺到。アナは二度と会わないと
言い残し、雑踏の中へ消える。
一年後。アナの撮影現場を訪れたウィリアムは気持ちを伝えられない。彼女が店に来てもつれない態度を
取ってしまう。それを見かねた友人たちは一丸となってウィリアムをホテルに送り届ける。記者会見場に
もぐりこんだ彼は、再び記者になりすまし彼女に告白。アナもプロポーズに応え、会場は結婚会見に早代わり。
二人はロンドンでゆったりと時を過ごすのだった。

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:83% Audience Score:79% >





by jazzyoba0083 | 2018-02-15 22:55 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)