2018年 03月 09日 ( 1 )

「人間の値打ち Il capitale umano(Human Capital)」
2013 イタリア Indiana Production Company,Motorino Amaranto. 109min.
監督:パオロ・ヴィルズィ
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、ヴァレリア・ゴリノ、
   ファブリツィオ・ジフーニ、ルイジ・ロ・カーショ、ジョヴァンニ・アンサルド、マティルデ・ジョリ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
面白かった!ロバート・アルトマンとかポール・ハギスが作りそうな、ある出来事が伏線となり様々な人間の心の
中身を剥ぎ取って見せて行き、一点に収束していく群像劇。それぞれの登場人物にまつわるプロットが上手く
出来ていて、重なる部分をきちんと見せて関連性を認識させるという丁寧な作り方も良かった。内容がいかにも
イタリア的で、アメリカ映画が描く俗物像とは少しシニカルに、アイロニカルに表現されている感じだった。

人間の実相はこんな感じ、という、嫌な言い方をすれば「あからさまな身も蓋もない」表現で、金銭にまつわる、
見栄にまつわる、嘘にまつわる、愛憎にまつわる「嫌な面」をたっぷりと見せてくれる。まさに欲望と打算である。
映画は3人にハイライトを当てつつ進み、最終章で全てを回収する仕組みとなっている。

原題Human Capital とは死亡保険金を算出するときなどに使われる経済用語で、「人的資本」と訳される。
このタイトルが絶妙だ。ラストに最初に出演者の誰かに撥ねられて死んだ男の補償金についての説明が
淡々となされるのだが、彼の残りの人生や社会的地位や労働によって得べき金額などを合算し出す金額が
示される。死んだ男は顔さえ映らない。だが金持ち連中は、そのことよりも我が身可愛さであたふたとする。
この死んだ男は何かのメタファーなのだろう。邦題の「人間の値打ち」も良く付けたと思う。このタイトルも
アイロニカルだ。

いわば「人間のいやらしさ」を浮かび上がらせた作品。その描き方が一流で見事。だが、きちんとカタルシスを
置くことも忘れてはいない。が、金持ち、そこそこ、貧乏というそれぞれの居場所において彼らが取る行動に
いろんなことを考えさせられる。自分の嫌な部分に手を突っ込まれるような「素敵な」映画だった。
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<ストーリー>
イタリア・アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞など7冠に輝いたミステリー。クリスマス
イヴ前夜、イタリア・ミラノ郊外で一件のひき逃げ事故が起こる。この事故をきっかけに、経済格差のある3つの
家庭に隠された秘密が浮かび上がる。

イタリア・ミラノ郊外。町で小さな不動産屋を営むディーノ(ファブリツィオ・ベンティボリオ)は娘のセレーナ
(マティルデ・ジョリ)、後妻で心療内科医のロベルタ(ヴァレリア・ゴリノ)と暮らしている。

ある日、ディーノは富豪のボーイフレンドの家に遊びに出かける娘を送り届ける。そして、屋敷の主人である
ジョヴァンニ・ベルナスキ(ファブリツィオ・ジフーニ)に近づき、ベルナスキが手がける投資ファンドへの
参加をほのめかす。出資金額は総資産の20%以下が出資の条件であるにも関わらず、一攫千金を目論んだディーノ
は銀行から70万ユーロもの大金を借り、ファンドに参加する。

ベルナスキの妻カルラ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)は何不自由ない生活を送っているが、夫からは
アクセサリーのように扱われ、自分の居場所を見出せず空虚な日々を送っていた。
ある日、カルラは町にある唯一の劇場が老朽化のため取り壊されそうになっているのを知ると、再建のための
出資を夫に頼み、劇作家や評論家を巻き込んで自ら運営委員会を立ち上げる。

金持ちの子女が集まる高校に通うセレーナは、ボーイフレンドはいるが、本当の愛とは何かはまだ知らずにいた。
そんなある日、継母ロベルタの勤務先で不思議な少年と出会う。それから半年後のクリスマスイヴ前夜。
一件のひき逃げ事故が起こる。それをきっかけに、ディーノ、カルラ、セレーナの思惑と欲望が明らかになって
いく。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:82% Audience Score:77% >




by jazzyoba0083 | 2018-03-09 23:03 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)