2018年 04月 10日 ( 1 )

●「ミルドレッド・ピアース Mildred Pierce」
1945 アメリカ Warner Bros. 109min.
監督:マイケル・カーティス
出演:ジョーン・クロフォード、アン・ブライス、ジャック・カーソン、サガリー・スコット
   イヴ・アーデン、ブルース・ベネット他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
びっくりするほど面白い映画だった!NHKBSで放映され、評価を観ると極めて高いので
録画し、このほど鑑賞。いやあ、よく出来た物語だわ。傑作だ。原作があるとはいえ、
映画的手法、映像表現法、出演者の役どころの起き方など全体の作劇の完成度の高さ、
参りました。
さすがは「カサブランカ」のマイケル・カーティス。この人の映画、日本で劇場未公開作品
が多いんだなあ。

主演のジョーン・クロフォードは、本作でオスカーの主演女優賞を受賞している。作品賞は
タイミング悪く「失われた週末」とぶつかって、ものすることが出来なかったが、
音楽が大時代的なところはあるが、こんにち観てもなんら古さを感じない物語である。
アメリカの映画には未見のこうした隠れた名作がまだまだたくさんあるんだろうなあ。

太平洋戦争が終結した年の10月(!)に公開された、ジェームズ・M・ケインの小説の
映画化。
結婚に失敗した普通の主婦が、娘のため、とウエイトレスをして必死に頑張り、レストランを
チェーン店にまで拡大したものの、娘は自分を振り向いてくれない。そして彼女を取り囲む
別れた夫、不動産屋、金の亡者で名家の出身だけ、という男(彼が主人公ミルドレッドと
その娘を食い物にする)そうした男たちとの関係。ミルドレッドの幸せはどこにあるのか、
一流のサスペンスでありながら、親子(娘に裏切られ続けるも、憎んだりしつつも見捨てる
ことが出来ない母性)や男女の実相に思いを致させせる複合的な魅力を多層的エピソードで
描いた重厚な作品である。悲しい女の性、といってしまえばそれまでだが、ハッピーエンドで
はない結末に、ミルドレッドはこれからどうするのだろうか、いや、彼女のことだから人生を
前向きに生きていくに違いない、と思いを致したのだった。

冒頭のクレジットが波に洗われて消えては変わるという洒落たスタート。
LAの海辺の一軒家、蝶タイの男が何発かの銃で撃たれ死んだらしい。倒れた男の横に
投げ捨てられるリボルバー。そして家の前から走り去る一台のクルマ。
シーンは切り替わって店が並ぶ桟橋。一人の女がいましも海に飛び込もうとする。
警戒していた警察官が金属の手すりを警棒で叩き、女に言う「いまから泳ぐつもりだろう。
止めて家に帰ったほうがいい。あんたが泳ぐと俺も泳がなくてはならんからな」。
女は自殺を諦め、夜の闇に消えてく・・・・。なかなか味な開巻である。

一方男が殺され家に先程の自殺志願の女性と1人の男がやってくる。女は男を家に閉じ込め
警察に連絡する。女に下心があった男はしばらくすると自分がどこからも出られないことを
知り、加えて、リビングに男の死体を発見する。窓を破って外に出ると、そこにパトカーが
駆けつけた。事情を話し、中に死体があるぞ、と教えるのだった。当然彼も逃げた女も
犯人かも知れない。

殺されたのは最近結婚したミルドレッドの二番目の旦那だったのだ。警察署で殺人者として
刑事に連れられて来たのは、なんと別れた最初の夫バートであった。ミルドレッドは叫ぶ、
「この人は犯人じゃないわ!」

ここからミルドレッドによる取り調べ刑事に対する自分のこれまでの人生の説明が始まる。
これが映画の進行となる。彼女の告白に過去の画がシンクロしていくという形だ。
このように、映画の見せ方が非常に上手い映画だと思う。観ている人をどう引っ張って
いけば飽きさせることがないか、に腐心した監督の力量だ。キャメラも良い。
古い映画なので、出演者は知らない人ばかりだし、すでにジョーン・クロフォードを始め
ほとんどのキャスト・スタッフは鬼籍に入っている。ただ、貧乏が嫌いでお嬢様扱いされ
たいばっかり、母親に嘘をついて裏切り続ける長女ヴィーダを演じたアン・ブライスは
今年90歳でご存命のようである。ミルドレッドは結局この娘に振り回されてしまったのだ
な。

詳細なストーリーはWIKIPEDIAに詳しく記載されています。
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<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:84% Audience Score:91% >





by jazzyoba0083 | 2018-04-10 23:15 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)