2018年 04月 15日 ( 1 )

ある愛の詩 Love Story

●「ある愛の詩 Love Story」
1970 アメリカ Paramount Pictures. 100min.
監督:アーサー・ヒーラー  原作・脚本:エリック・シーガル 音楽:フランシス・レイ
出演:アリ・マッグロー、ライアン・オニール、レイ・ミランド、ジョン・マーリー、キャサリン・バルフォー他
e0040938_23570690.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
公開当時、私は高校3年生。一方アメリカ映画といえば、圧倒的にニューシネマを支持していたので、
翌年大学に入ってからも、友人と「卒業」「イージーライダー」「俺たちに明日はない」などについては
語ったが、本作について語るなんてことは軟派すぎて恥ずかしかった。大学ものなら「いちご白書」だ。
チャラい映画なんか観ていられるか、という青春の独善。青春の特権だけど。
しかしながら、映画好きとして、最近食わず嫌いだった西部劇を観始めているが、決して近づかなかった
本作も、観ておくか、と鑑賞に及んだ次第。「男と女」や「白い恋人達/グルノーブルの13日」のフランシス・
レイは大好きだけど、この映画のテーマは余り好きでなく、アンディ・ウィリアムズらがカバーした歌詞付きも
好きでなかった。(今でもだけど)

この映画を観ている間、ずっと「卒業」のことを考えていた。「卒業」は、本作とはシチュエーションは違うが、
世間に対峙しようとする青年の青春らしい向こう見ずさを含んだ純粋さが、いろんなメタファーを含んで私の心を
掴んだ。一方本作。
純粋は純粋だ。悲しくなるくらい純粋な愛の物語。大富豪の息子にして頭が切れるしかも美男の青年オリバー
(オニール)が、オックスフォードの姉妹校ラドクリフ女子大の女学生ジェニファー(マッグロー)を深く
愛するも、ああ、運命の神は、オリバーから彼女を奪うのだ、というストーリー。2人が移動につかうのが
「卒業」が赤いアルファロメオであるのに対し、本作では黒いMGだ。両方共なぜかオープンカー。

オリバーは大富豪の父とことごとく対立し、ジェニファーと結婚するために親子の縁を切る、とまでい言い出す。
ボンボンに何が出来る、と思うも、彼は地道にバイトをしながら学費を稼ぎロースクールを3番の成績で卒業、
NYの有名な弁護士事務所に務めることが出来た。2人はそこそこ恵まれた暮らしができるようになった。
その陰では、ピアノを学んでいたジェニファーはパリへの留学を諦め、父の望む挙式も出来ず田舎に置いてきて
しまったという犠牲もあった。やがて子供も出来て明るい未来が待っているかに見えた。
しかし、揺るぎない愛情で固く結ばれた2人に残酷にも神は別れを強いる。24歳のジェニファーが白血病と判明、
余命幾ばくもないと分かったのだ。愛する妻に最高の治療を受けさせたいオリバーは、嫌っていた父に頭を下げ
5000ドルを借りた。「女で失敗したか」と聞かれ、イエスと答えるオリバー。金は借りても同情は不要というのは
オリバーの微かな挟持だったのだろう。

ジェニファーは病院のベッドでオリバーに抱かれて天国へと旅立った。事後に知ったオリバーの父は何故真実を
教えてくれなかったのか、と言い寄るが、オリバーは「愛とは決して後悔しないことだ」(これはもともと
ジェニファーがオリバーに語った言葉。それをその時、彼は自分のものとしたのだ)と言って去っていった。

さて、アメリカン・ニューシネマの嵐?が吹き荒れるこの時代、この純愛映画が特に日本でヒットしたのは何故
だろうか。日本で言えばこの時代、学生運動が吹き荒れていた。東大安田講堂事件は本作が公開される前年の
出来事だ。学生運動はそれから2年後「あさま山荘事件」をもって大衆の支持を一気に失っていく。社会的には
第一次石油ショックがあり、世の中全体として閉塞感に満ち、アメリカはベトナムでにっちもさっちも行かなく
なっていた。そうした閉塞感から反発するアメリカン・ニューシネマが出てくる一方、その反動として純愛を
描くものが出てきてもおかしくはない。フランシス・レイの癒やされる美しい音楽と、「愛」こそ全て、
信じることこそ全てということを純粋に描いた作品が出てくるのも必然だったのだろう。ニューシネマの世界
でも、「愛」こそ全て「友情」や信じる心こそ全てという主張も底面から覗けば見えては来る。しかし真正面から
純愛を描くことの「反抗」こそアメリカンニューシネマのエネルギーの根幹だったことを思うと、この「ある
愛の詩」はあの時代にあって異質なものだったに違いない。ラブストーリーとしてはありふれた話である。
(荻昌弘氏は「椿姫」のアレンジだ、と指摘している)

映画評論家の荻昌弘氏は、愛と死を対比することによる「反戦映画」と捉えている。しかし、それは穿ち過ぎ
ではないか。むしろ、「愛は素晴らしいが残酷でもある」という一人の青年の悲痛な叫びのみを汲めばそれでいい
のではないのか。それを何枚もの濾紙を通して映画にしてみせた純愛映画なのではないか。当時の疲弊した青年
たちはこうしたひたすら純粋な考え方に身を置いてみたかったのではないか、そうした心境にドライブを掛けた
のがフランシス・レイの音楽だったのだ。(雪の中のでのBGMはまるで韓流恋愛ドラマの音楽のようだ=韓流が
パクっているんだろうけど) 

普通に純愛映画としてみれば、普通に観られる出来ではある。まさにあの時代が本作を名作たらしめたと言えよう。
しかしながら、既に名声は出来上がってしまっているから、これから観る人はバイアスがかかるだろうなあ。
評判の悪い続編は観ません。
e0040938_23571618.jpg
<ストーリー>
オリバー(ライアン・オニール)はニューヨークのセントラル・パーク・スケート場の観覧席で1人想いに沈んで
いた。彼は若い弁護士で、少し前に医者から、妻のジェニー(アリ・マッグロー)に死期が迫っていると聞かさ
れたばかりだった。
初めてジェニーに会ったのは大学の図書館だった。ジェニーはそこの館員で、彼を“坊や”と呼ぶ小ナマイキな
ところがあったが、結局、一緒にお茶を飲みにいく仲になった。とり合わせとしては不釣合いな2人だった。

オリバーは高名な良家の4世で、アイス・ホッケーだけが趣味の世間知らず、ジェニーはイタリア移民の菓子屋の
娘で、バロック音楽好きという共通点のない2人だったが、そのあまりの身分の差が、かえって2人をひきつけた
のだ。オリバーがジェニーのハープシコードの演奏を聴きにいって、モーツァルトやバッハの名を口にするように
なって、ふと気がつくと2人はもう恋の虜になっていた。

ある日、ジェニーは突然、フランスへ行くと言い出した。フランスで勉強したいというのだった。彼女は今の
幸福が束の間のものであり、実らないであろう恋の悲しみから逃げようと考えたのだ。ロード・アイランド出の
貧しい娘と富豪の息子では、あまりに身分が違いすぎるのだ。
しかし、オリバーは問題にしなかった。そして結婚を申し込んだ。オリバーは両親にジェニーを会わせた。
彼と父(レイ・ミランド)との間には深いミゾがあった。母(キャサリン・バルフォア)は息子と夫との間に
入ってとりなそうとするが、オリバーは父を軽蔑しきり、父も彼の身勝手さをなじるため、うまくゆかず、父の、
送金を中止するという脅しも蹴ってしまう。
2人はロード・アイランドにいるジェニーの父(ジョン・マーレイ)に会いに行った。彼は2人を歓迎しながらも、
前途を心配した。そして2人は結婚した。学費や生活費のためジェニーは働き、オリバーは学長トンプソン
(ラッセル・ナイプ)に奨学金を申し込むが、名にしおうバートレット家の御曹司が…と、全然相手にもされな
かった。

生活は貧しかったが、愛し合う彼らは幸福だった。やがて、オリバーが優秀な成績で卒業し、2人はニューヨークの
アパートを借り、オリバーは法律事務所へ勤めることになった。そんな新しい生活が始まったばかりのところだった
のだ。オリバーはジェニーに医者の言葉を伝えなかったが、ジェニーはそれを知っていた。
ジェニーの望みでオリバーはスケート場に連れていった。オリバーが滑るのを見ていたジェニーは、やがて苦しみ
出す。病状は悪化し入院することになった。(解説に誤りがあるので、以下略 Movie Walkre)

<IMDb=★6.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:58% Audience Score:75% >



by jazzyoba0083 | 2018-04-15 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)