●「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス Maudie」
2016 カナダ・アイルランド Painted House Films,Parallel Film Productions and more.116min.
監督:アシュリング・ウォルシュ
出演:サリー・ホーキンス、イーサン・ホーク、カリ・マチェット、ガブリエル・ローズ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
いい映画を観たな、と思える作品だった。実在した人たちの話だが、こんなに心が美しい夫婦が
いたんだなあ、と見終わった後しみじみしてしまう。カナダでは知らない人がいない画家(フォーク・
アートというらしい)で、油絵の具で主に自然界にあるものや動物、風景を描いたモード・ルイスの
半生を描いたものだ。

貧しい家の出身で、若年性リウマチを患い体が不自由であった。早くに父母を失い、自宅は借金
まみれの兄が売り払ってしまったため、叔母の家で生活していた。しかし理解が薄い叔母の家を
出たかったモードは、雑貨屋で家政婦募集の張り紙を見つけ、応募する。
これが将来の夫となるエベレットだった。彼は主に魚の行商をしていたが、他にも解体木くずを
売買したり、施設の清掃したり、一人で必死に暮らしていたのだが、女手が必要で、家政婦が
欲しかったのだ。そこに現れたのが、障害者のモード。ろくな仕事が出来ない女性の登場に、
「帰れ」と言うが、帰る場所がないモードは居座って動かない。そして自分なりに必死に仕事を
こなそうとする。そうした態度にエベレットもきついことを言えなくなっていく。

二人の暮らしは世間からは好印象を持たれず、モードはエベレットの慰みものになっているという
噂さえ流れていた。モードは誰から習った訳ではないが、絵が上手く、不自由な手を使って家の壁や
窓ガラスに花や小動物を描いていた。最初は怒りこそしないものの、冷ややかだったエベレットが、
行商に行く先で彼女が書いた絵葉書を買う人が出てくるに及び、絵の具を買い与え、エベレットに絵を
描かせるようになった。そうこうしているうちに二人の間には分かち難い愛情が生まれるようになった。

そしてついに二人は結婚。家の前に「絵画売ります」という看板も立てた。彼女の絵は評判になり
新聞、雑誌、そしてテレビまで取り上げられるようになり、彼女自身も有名になり、絵も高価に
売れるようになった。が、モードとエベレットは暮らしを変えることはなかった。

モードもエベレットも正直で嘘が言えないタイプの人間で、欲というものから遠い。特にエベレットは
障害者のモードを、世界一の妻、と言い、深く愛した。モードに押しかけられたのに。そして
モードも、多少粗野ではあるが、自分の事を思い(ひどい喧嘩をしたエピソードも描かれる)、
描きたい絵を描かせてくれるエベレットを心から愛していた。

しかし、生来丈夫でないモードは肺気腫を患い、病院に運び込まれる。彼女の生はそこで燃え尽きた。
亡骸を静かに抱きしめるエベレット。彼はこのときがいつかは来ることを予想していたのだと感じた。

自然が厳しいカナダ東部のノーバスコーシャ地方の風景をバックにそこで育まれたモードの絵と、不器用
だけど純粋で深く偽りのない一組の夫婦の愛情が、ひしひしと胸に迫る。「シェイプ・オブ・ウォーター」
で主演女優賞候補になったサリー・ホーキンスと、朴訥だけど愛情深い男を演じるイーサン・ホークの
二人が実にしみじみしていて良かった。特にサリーはもともとイラストレーターを志していたというくらい
絵が上手く、その上に素朴派の絵を半年も勉強し、映画に臨んだという。

公開された当時は「シェイプ・オブ・ウォーター」公開前であり、日本では恐らく単館上映だったと思う。
こういういい映画と出会えるのもWOWOWの魅力の一つだ。

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<ストーリー>
色彩豊かで素朴なタッチの絵柄で人気の女性画家、モード・ルイス。カナダで最も有名な画家と言われる
彼女の半生を描く、サリー・ホーキンス主演の人間ドラマ。孤独だった男女が出会い、夫婦の絆と確かな
幸せを手に入れようとする姿がつづられる。
無骨だが、妻を懸命に支えようとするモードの夫をイーサン・ホークが演じる。

カナダ東部の小さな町で、絵を描くことと自由を愛するモード(サリー・ホーキンス)は厳格な叔母と
暮らしていた。ある日、町の商店で買い物をしていたモードは、家政婦募集の広告を貼り出した男に興味を
持つ。その男、エベレット(イーサン・ホーク)は町はずれで暮らし、魚の行商を営んでいた。叔母の束縛
から逃げるため、モードは住み込みの家政婦になることを決意し、エベレットが1人で暮らす小屋を訪れる。

モードは子供のころから重いリウマチを患い、一族から厄介者扱いされてきた。一方、エベレットは孤児院で
育ち、学もなく、生きるのに精いっぱいだった。そんなはみだし者同士の同居生活はトラブル続きだったが、
モードが作った熱々のチキンシチューを食べたエベレットは、孤独だった心が温まるのを感じる。

やがて、お互いを認め合った2人は結婚する。ある日、ニューヨークから避暑に来ていた顧客のサンドラが、
エベレットを訪ねてくる。彼女はモードが壁に描いたニワトリの絵を見て一目で才能を見抜き、絵の制作を
依頼する。サンドラの期待に応えるため、モードは壁に、板に、請求書の裏に、夢中で絵を描く。そんな彼女を
エベレットは不器用ながら応援していた。
やがてモードの絵は評判を呼び、アメリカのニクソン大統領から依頼が来るが……。(Movir Walker)

<IMDb=7.6 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:89%>
<Metaciritic=65>
<KINENOTE=80.3点>



by jazzyoba0083 | 2019-05-29 21:21 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)