●「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム Spider-Man:Far from Home」
2019 アメリカ Columbia Pitures,Marvel Studios.135min.
監督:ジョン・ワッツ 脚本:クリス・マッケナ、エリック・ソマーズ
出演:トム・ホランド、サミュエル・L・ジャクソン、ゼンデイヤ、コビー・スマルダーズ、ジョン・ファブロー
   マリサ・トメイ、ジェイク・ジレンホール、アンガーリー・ライス他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:完全にネタバラシをしていますので未見の方は要注意>
「スパイダーマン」こそIMAX3Dで観るべき映画。映画の性格上、3Dが最大限に生きてくる。そして最近の
3Dの出来がまたいいのだ。普通の映画のほぼ倍の料金だが、内容が伴えば高いとは思えない。
本作の3Dは作を重ねるごとに出来が良くなる感じだし、演出側もそれを意識したカットを作るので余計に
楽しい。

また先日の「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」で、アイアン・マン、キャプテン・アメリカ、ブラック・
ウィドウ、ヴィジョンが消えて、シリーズが満了となったが、その後の新しい時代のスタートを告げるため
本作の開巻、亡くなった彼らに「哀悼の意を込めて・・」という字幕とともに写真が映され時代の区切りを
明示する。更にピーターらが通う学校には最終「指パッチン」で5年前に戻った生徒とそのまま進学した生徒
が共存するという事態になっていて「アベンジャーズ/エンド・ゲーム」を観ていないと事態が理解出来ない
かも、という状況もある。(逆に観ていないと同作のネタバラシをされる局面となる)

いろんなヒーローやらエージェントやらが出てきて混乱することもなく、単純なストーリーで楽しませて
貰った!楽しかった!いい出来だったと思ったのだが、例のエンドロールの2つのオマケで混乱してしまい、
隣のお兄さんも「あれ?どう考えればいいのか?」と独り言を言って立ち上がったが、まさに何が本当の
ことなのか分からなくなった。映画の楽しさから言えば★9個を献上しようと思ったのだがラストの後味の
塩梅から一つマイナスした。オマケ2つ目に登場するのはフューリーとマリア・ヒルに変身していた
タロスとソレン(スクラル人=変身が得意。「キャプテン・マーベル」に登場するキャラクター)である
ことがとっさに分からないとどうなったかわからないという仕掛け。
これはコアファン意外には混乱の元だろう。ハードコアファンは1つ目のオマケに登場するフェイクニュース
を読み上げるJ・K・シモンズのジェイムソンに驚きとニヤリを感じるだろう。

本当のヴィランだった「ミステリオ」が死に際に汚い手を使い、自分は「スパイダーマン」に殺された、
彼の正体はピーター・パーカーだ、と禁じ手のネタバラシをしてしまう。さあ、困ったぞ。次作はどうするん
だろう。

新しいアベンジャーズに「ミステリオ」というチカラ強い味方が出来た、と思っていたら、これがとんでもない
フェイクで、壮大なホログラムに多数のドローンを交えて構成されたイリュージョンだったのだ。
「ミステリオ」ことベック(ジレンホール)と仲間たちはかつてスタークの部下の技術者軍団だったのだが、
スタークに冷遇されていた。スターク亡き後、彼の跡を継ぐのは自分たちだと、壮大なフェイクシステムを
作り上げ、スタークがアベンジャーズのリーダーの後継者と目していたピーター・パーカーに接近したのだ。
そしてスタークのメガネ・イーディス(AIの最強アシスタント)を奪おうとしたのだ。

悪いことにシールドのニック・フューリー元長官(ジャクソン)も「ミステリオ」の存在を信じてしまう。
彼がイリュージョンだと理解したピーター・パーカーとのロンドンでの一騎打ちが始まる。

スパイダーマンの大事な要素の一つに青春映画の側面を持つという所がある。スーパーマンとロイス・レインの
関係に似ているが、高校生のピーターと友人、ガールフレンド、叔母さん(トメイ)らとの生活も、これまで
以上に本編に交差して描かれ、ラストではMJ(彼女は以前からピーターがスパイダーマンだと見破っていた
ことも告白する)との愛情を確認出来、彼女を抱えてウェブでNYの街の空の散歩をする、というシーンも出て
くる。
またハッピー(ファブロー)とメイおばさんとの恋の行方も描かれ、楽しさ3倍!加えて親友ネッドと
ベティの恋物語も加わるのだから、ワクワクだ。それぞれのオチも良く出来ていた。個人的にはマリサ・トメイ
のファンなので、あんな美人の叔母さんがいたら最高!と思いながら観ていた。またピーターのガールフレンド、
MJを演じているゼンデイヤが美人というかナイスバディというかそういう方向ではないところに親しみを
感じる。クラスメイトにはアジア系、ムスリム、黒人、インド系いろいろ揃えて神経を使ってるなあという
感じ。プラハ限定「ナイト・モンキー」もいいね。

アベンジャーズの最終ヴィラン、「サノス」との対決が物理的力技のぶつかり合いでの決着であった一方で、
本作では心理的な攻防に重点が置かれ、更に水とか風とか火とか、コブシではどうしようもない敵が登場
したり、まさに今アメリカで問題となって国民を二分すると言われる「真実」を巡る「フェイク」を
表現するような面に足を踏み込んでいる。誰が本物で誰がニセモノか分からない。観ている光景が本物か
フェイクか分からない。「ミステリオ」はそのあたりを突いてくるのだ。なかなか難しい局面へ踏み出したな、
という感想。「バットマン」がダークな観念的世界に走っていったようになるのだろうか。
ラストの「ミステリオ」による正体バラシを受けて、再び真実とフェイクの争いになりそうな感じもする。
「観念」の世界とはちょっと違うと思うのだが、内省的になりすぎないようにしてもらいたいものだ。

ピーターの話の主軸はクラスメイトとのベネチア~プラハ~ロンドンと続く旅行とそれらの都市を舞台に
した「ミステリオ」との戦いが描かれ、とてもシンプル。ただハードコアファン以外は置いてくよーという
姿勢はどうだろう、との思いもした。ここまでシリーズが進むと付いてこれない客は置いていかざるを得なく
なっているのが現状なんだろう。

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<ストーリー>
スパイダーマンこと高校生のピーター(トム・ホランド)は夏休みに、学校の友人たちとヨーロッパ旅行に
出かける。そこにニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)が突如現れ、ピーターにミッションを
与える。炎や水など自然の力を操るクリーチャーたちによって、ヴェネチア、ベルリン、ロンドンといった
ヨーロッパの都市をはじめ、世界中に危機が迫っていた。
ニックはピーターに、ベック(ジェイク・ギレンホール)と呼ばれる人物を引き合わせる。“別の世界”から
来たという彼も、ピーターと共に敵に立ち向かっていく。彼は味方なのか、それとも……?
(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:97% >
<Metacritic=69>
<KINENOTE=83.3点>





by jazzyoba0083 | 2019-07-06 12:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)