●「ゴールデン・リバー The Sisters Brothers」
2018 フランス/スペイン/ルーマニア/ベルギー/アメリカ Why Not Productions.120min.
監督・(共同脚本)ジャック・オーディアール 
原作:パトリック・デウィット・『シスターズ・ブラザーズ』(創元推理文庫刊)
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ジレンホール、リズ・アーメッド他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ジレンホールは最近出過ぎの感じだが、4人の渋いキャスティングに釣られて劇場へ。フランス製ウェス
タンな座組であるが、出来はまるっきりアメリカンだ。どこかコーエン兄弟の匂いがした。不条理ではないの
だが、科学者ハーマンが作った川の中の金を輝かせる薬品て、硝酸だか硫酸だかが混じっているんじゃないの?
観ながら、「ヤバイなあ」とは薄々分かったが、やはりか!という感じだ。これが映画の大きな山場だ。
そこに至るまでが若干たるかったのと、相関関係が明確にならず(個人的にだが)時間が経つのが重かった。

原作にあるように、主役はシスターズという苗字を持ったライリーとフェニックスの兄弟であり、二人が
オレゴン準州の提督(と称されるボス)に命じられて追う化学者アーメッドに同業者ジレンホールが加わると
いう形。
そしてシスターズ兄弟の中でも、この映画権を買ったプロダクションを経営するライリーがメインという
立ち位置となっている。

殺し屋兄弟が、金を見つけやすくするという化学式(フォーミュラ)を発明したインド系ぽい男と彼に
くっついて金を獲りたいジレンホールを追うのだが、終盤に来て、4人はチカラを合わせて、
兄弟がメイフィールドという町の女ボスをやっつけたために追ってきた男たちと対決し全滅させ、
さらに4人で化学者ハーマンが作った液体を堰き止めた川に流し、いくつかナゲットを獲得することに
成功する。しかし、あせった弟チャーリー(フェニックス)が原液を川に入れてしまい、自らも川に
転落したため、全員大ヤケドを負うことになってしまう。

この事故で化学者は死亡、大ヤケドを負ったモリス(ジレンホール)は銃で自殺、チャーリーは片腕を
失うことになる。散々な結末で、怒りを提督に向け、オレゴンに戻ったら、提督はすでに病気か何かで
死んでいた。二人の兄弟は母親の元に戻っていったのだった。ラストシーンは実家のベッドでそよ風に
吹かれる兄イーライの姿。
しかしそこそこ集めた金のナゲットはどうしたのかな。あれだけあればそこそこ良い目をみられるのじゃ
ないかな。人間、欲張るとろくなことな無い、ということなのかしら。

化学者ハーマンが金を売って目指すものは理想の民主主義の世界。その組織を作るための軍資金としたい
のだった。そこに今日性を感じるが原作にあるのだろうけど取って付けた感が・・・。それに共感してしまう
提督の連絡係モリス(ジレンホール)だった。

1850年代の銃がリボルバーを脱着させて弾の交換をする、というところとか、イーライの愛馬が厩舎の
火事で火傷を負い、結局死んでしまい、イーライがひどく気落ちするところとか、イーライの口に毒蜘蛛が
入り中毒症状が出るところとか、チャーリーの片腕を糸鋸で切り落とすところとか、妙にリアルな面もあり、
一体何を表現したかったのか良くわからない感じも受けたのだ。リアルな表現がその後に結びつかない感じ。
これがヴェネチア国際映画祭の監督賞かなあ。異色の西部劇であることは確かだけど。

4人はそれぞれキャラクターが立ちやすい役者ではあるが、4人の組み合わせが何かを生み出したかといえば
なかなか難しかったのではないか。劇薬で金を採るという、ひょっとしたら本当にあったかもしれない現象が
活かしきれてなくて、女豪傑が出てきたり、ドラマの前半と後半がちぐはぐになってしまっていたと感じた。
兄弟愛、友人愛を汲み取るべきなんだろうか。私の観方が浅かったか。うーむ!

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<ストーリー>
1851年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ、オレゴンのとある町。普通の平穏な暮らしに憧れる兄イーライ
(ジョン・C・ライリー)と裏社会でのし上がりたい弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は、最強と
呼ばれる凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”だった。

あるとき、彼らの雇い主である提督から、連絡係モリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム
(リズ・アーメッド)という男を始末するよう依頼される。兄弟がサンフランシスコに南下しているころ、
モリスは数キロ先のマートル・クリークでウォームを見つける。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはウォームから声をかけられる。うまい具合に話が進み、
モリスはウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになる。ウォームはモリスに、黄金を
見分ける化学式を発見したと打ち明ける。だがジャクソンビルに到着すると、モリスの正体がばれてしまう。

雇い主の目的は化学式を奪うことだと知ったモリスは、翌朝、ウォームと連れ立って逃げ出す。道中、ウォーム
は手に入れた黄金で理想の社会を創る計画を語る。その話に心酔したモリスは、父の遺産を資金に、その夢に
加わることにする。メイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者がウォームの化学式を
奪おうと部下を放ったと聞き、モリスの裏切りに気づく。
サンフランシスコで兄弟は二人の居場所を突き止めるが、二人に捕えられる。しかしメイフィールドの部下も
現れ、兄弟の力を借りて彼らを撃退する。ウォームからの提案で、4人は手を組んで黄金を採ることに。
だが、4人の思惑が交錯し……。(Movie Walker) 兄と弟の名前を入れ違うミスを発見したので訂正して転載。

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:67%>
<Metacritic=78>
<KINENOTE= 73.4点>





by jazzyoba0083 | 2019-07-12 14:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「さらば愛しきアウトロー The Old Man & The Gun」
2018 Wildwood Enterprises and more. 93min.
監督・脚本:デヴィッド・ロウリー 原作:デヴィッド・グラン「The Old Man & The Gun」
出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイセク、ダニー・クローヴァー
   トム・ウェイツ、チカ・サンプター他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
レッドフォードの俳優引退作品ということで、敬意を評して鑑賞にでかけた。配給の関係でメジャーな
シネコンには掛からない。スクリーンでレッドフォードを拝めるのはこれが最後、ということではあるが
そこは彼一流の考えで、愛すべき掌編で纏めた感じ。レッドフォードが以前から演じてみたいと思って
いた実在の泥棒フォレスト・タッカーを自らプロデュースして主演。

監督と脚本はケイシー・アフレック繋がりっぽい起用。全編小洒落た感じで、テロップを上手く使って
ユーモアも演出していた。レッドフォードとスペイセクの高年齢者コンビの顔の皺が気になったが、
スクリーンのレッドフォードを観ていると、過去の名作の数々が思い浮かんできて途切れなかった。
アメリカでの批評が異常に高いのはレッドフォードに対するリスペクトかしら。愛すべき作品では
あるが映画としての出来を言えばそう驚くものではないと思ったのだが。

フォレスト・タッカーは80年代の2年間に92件の強盗を働き、生涯に16回の脱獄を成功させたが、強盗時に
チラリと見せる拳銃は一度も使ったことがないという紳士強盗。被害にあったほうが、「紳士だった」と
言ってしまう程。その憎めない(本当はどうかは知らないが)キャラクターを、レッドフォードは気負わ
ないでしみじみと演じていた。
事件の最中、パトカーから逃れるのに利用したエンストトラックの持ち主だったジュエル(スペイセク)と
のロマンスもいい塩梅。スペイセクの鼻が上を向きすぎていて気になっちゃったけど。
17回目の強盗でも逮捕され、ジュエルの忠告で刑期を勤め上げ彼女に家に住ませてもらうが、スマートな
強盗をすることに幸福感を感じる(ほとんど病気な)フォレストは、その後4回も強盗を続けることになる。

現在83歳のレッドフォードが83歳で亡くなったフォレストを演技するにはちょうどいい年回り。流離う
癖のある二人のキャラクターが自然と重なってきて、好感の持てる一品となった。彼を追う刑事を演じた
ケイシー・アフレックも若いのにどこか枯れた味を醸し出し、大スターの引退興行に花を添えていた。
フォレストの犯罪記録を見る時に過去の若いレッドフォードと対面することが出来るという工夫もされて
いる。実際のフォレスト・タッカーは服役中、刑務所で亡くなっている。
原作のタイトルは「老人と海」のもじりだろうか。

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<ストーリー>
名優ロバート・レッドフォードが、実在した伝説の銀行強盗を演じる俳優引退作。80年代アメリカ。
紳士的な犯行スタイルで強盗と脱獄を繰り返したフォレスト・タッカー。ジョン・ハント刑事が彼を追う
なか、フォレストは仲間と共に金塊を狙った大仕事を計画する。
共演は「歌え!ロレッタ 愛のために」のシシー・スペイセク、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の
ケイシー・アフレック、「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー、
「Dr.パルナサスの鏡」のトム・ウェイツ。

1980年代、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、
目的を遂げる74歳の銀行強盗フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。被害者のはずの銀行の
窓口係や支店長は彼のことを「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。
一度も人を傷つけず、2年間で93件もの銀行強盗を成功させたフォレスト。事件を担当するジョン・ハント
刑事(ケイシー・アフレック)も、追いかければ追いかけるほど、彼の生き方に魅了されていくのだった。

そして、フォレストが堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人も……。
そんななか、フォレストは仲間のテディ(ダニー・グローヴァー)とウォラー(トム・ウェイツ)と共に、
金塊を狙った大仕事を計画、まんまと成功させる。しかし、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、
予想もしなかった危機にさらされてゆく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:60%>
<Metacritic=80>
<KINENOTE=76.8点>(7月12日現在)



by jazzyoba0083 | 2019-07-12 11:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)