カテゴリ:洋画=あ行( 427 )

エヴァ Eva

●「エヴァ Eva」
2018 フランス Macassar Productions and more.102min.
監督:ブノワ・ジャコー  ジェイムズ・ハドリー・チェイス:『悪女イヴ』(東京創元社刊)
出演:イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエル、ジュリア・ロワ、マルク・バルベ、リシャール・ベリ他

e0040938_16520010.jpg
<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
イザベル・ユペールが出ていれば何でも良い作品、というわけにはならない。人の原稿を盗んで
人気作家となり、自滅していくというアイデアは過去にも見た覚えがある。ミステリーの仕掛けが
安直なのと、ギャスパー・ウリエルの影が薄い。エヴァが何をしたかったのか見えてこない、それらは
流石にイザベル・ユペールを主演に据えたからと言って解決するものではない。この手のミステリーは
原作本を読んで想像を巡らすところに良さがあると感じるわけで、それを全部見えてしまう映画に
したら面白さが半減してしまうという例ではないか。

イザベルが日本の大衆に認知されたのは2016年の「ELLE」の頃からだと思う。私もそこから彼女を
認識した。その後注目して見てはいるが、なかなか良作に巡り合っているとは言い難い感じだ。
今年66歳の容色も顔は相当ライトをオーバー目に当ててシワを飛ばしている様子がミエミエだ。
ギャスパーの彼女役の若い女優さんの方が本作に関していえばよほど魅力的だった。
「ELLE」と同様の出来かと思ってみると裏切られるかも知れない。私には残念な出来であった。

e0040938_16521129.jpg
<ストーリー>
「エル ELLE」のイザベル・ユペールが娼婦を演じる官能ドラマ。他人の戯曲を盗んで発表し、
成功を掴んだベルトランは、2作目の執筆のため別荘にやってくる。そこで窓を割って入り込んでいた
男女を見つけ憤慨するが、娼婦のエヴァに一瞬で心を奪われる。
出演は、「たかだ世界の終り」のギャスパー・ウリエル、「殺意は薔薇の香り」のリシャール・ベリ。
監督は、「マリー・アントワネットに別れをつげて」のブノワ・ジャコー。

ベルトラン(ギャスパー・ウリエル)は他人の戯曲を盗んで発表し、一躍成功を掴んだ。しかし
2作目を期待されるがペンは進まず、パトロンから矢の催促を受ける。ベルトランが執筆のための
別荘に着くと、吹雪で立ち往生した男女が窓ガラスを割って家の中に入り、くつろいでいた。
ベルトランは文句を言おうと、バスタブに浸かっていた娼婦エヴァ(イザベル・ユペール)に近寄る
が、一瞬で彼女に心を奪われる。
次作の題材という名目でエヴァに近づくが、冷たくあしらわれる。思うようにならない関係に
苛立ちを募らせると、周囲の人間を巻き込み、官能と破滅の道に向かっていく……。
(Movie Walker)

<IMDb=★4.6>
<Metacritic=38>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:14% Audience Score:No data>
<KINENOTE=60.4点>



by jazzyoba0083 | 2019-08-01 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

エド・ウッド Ed Wood

●「エド・ウッド Ed Wood」
1994 アメリカ Touchstone Pictures. 124min.
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット
   ヴィンセント・ドノフリオ、ビル・マーレイ、ジェフリー・ジョーンズ他

e0040938_21160672.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こういう映画人が実在したとは、寡聞にして知らなかった。「史上最低の映画監督」と言われながらもとことん
映画を愛したエド・ウッド。彼を好演したジョニー・デップと相方となるベラ・ルゴシを怪演したマーティン・
ランドー(オスカー助演男優賞獲得)がすこぶる良い。もちろん映画に対する愛情とゴシックな演出が見事な
ティム・バートンも讃えなければなるまい。

まともな人がほとんどいない映画で、エド・ウッド自身女装愛好家(ゲイではない)だし、見た目がほとんど
ドラキュラな(映画でもそういう扱い)ルゴシが痛々しくも哀愁漂う愛すべき存在。エドの友人たちや俳優たちも
ひとくせもふたくせもある役柄で喜怒哀楽が伝わりやすいキャラクター設定となっている。どこか憎めないと
いうか愛すべき存在として描かれている。たとえケチなプロデューサーだとしても。

主にエド・ウッドの伝記映画ではあるが、サラ・ジェシカの演じる恋人やその後、妻となる恋人の存在、ゲイの
友人やヴァンパイラ、最低の監督が自分と並ぶと考えているオーソン・ウェルズの存在さえ、微笑ましくも
温かい。そうした点でコメディであり、友情モノでもあり、映画界の内幕モノでもある。
ティム・バートンの映画愛が詰まった一作となった。残念ながら私はエドの映画(ラストで出てくる
「プラン9・フロム・アウター・スペース (1959)」なんかも観てみたい。マーティン・ランドーの愛娘が
300ドルの出資で主役を射止める役で登場しているのもなんかほのぼのしていてこの際、許せてしまう。

しかし、こんな無茶苦茶な映画のとり方で劇場用の映画が撮れてしまう時代だったのだなあと変な感心をして
しまった。4日で撮り上げるというのは考えようによっては異才といえるのかもしれない。本作で描かれるエドは
熱意だけの人、という表面上のことだけではなく、ハリウッドで映画を作ることの苦労と彼のその後の没落を
予感させて悲哀も感じるのである。
ラストで主要人物のその後が字幕で出るが、エドは54歳で失意のうちにアルコールが原因で命を落とす。
最初のガールフレンドだったドロレスはその後作曲家として名を上げ、プレスリーの「ロッカフラベイビー」
「スイムで行こう」を作曲したと説明され、びっくりした。

e0040938_21161599.jpg
<ストーリー>
史上最低の監督と言われた男、エドワード・デイヴィッド・ウッド・ジュニア、通称エド・ウッドの愛すべき、
奇想天外な半生を描いた伝記映画。ルドルフ・グレイの評伝『Nightmare of Ecstasy』(邦訳・早川書房刊
『エド・ウッド 史上最低の映画監督』)を、“エドの同類”を自認する「バットマン リターンズ」のティム・
バートンの監督で映画化。(以下略)

30歳のエド・ウッド(ジョニー・デップ)は、“オーソン・ウェルズは26歳で「市民ケーン」をとった”を座右
の銘に、貧しいながらも映画製作の夢に燃えていた。ある日、性転換した男の話を映画化する、と小耳に
はさんだ彼は早速プロデューサーに売り込む。「これは僕のための作品です。僕は女装が趣味だから、人に
言えない辛さが分かる」と力説するが、バカ扱いされて追い返された。その帰り道でエドは往年の怪奇スター、
ベラ・ルゴシ(マーティン・ランドー)と運命的な出会いを果たす。

ベラの出演をエサに監督になった彼は友人のオカマ、バニー(ビル・マーレイ)や恋人ドロレス(サラ・
ジェシカ・パーカー)らの協力を得て、監督・脚本・主演した性転換の話「グレンとグレンダ」を完成させた。
これを履歴書代わりにいろいろ売り込むがうまく行くはずもなく、自分で資金を集めることに。その間にも
エドの元には、頭の足りない巨漢プロレスラーのトー・ジョンソン(ジョージ“ジ・アニマル”スティール)、
インチキ予言者クリズウェル(ジェフリー・ジョーンズ)など、一風変わった仲間たちが集まってきた。

次回作「原子の花嫁」がクランク・インするが、アンゴラのセーターと女装に執着するエドにあきれた
ドロレスは怒り爆発し、彼の元を去った。失意のうちにテレビで人気の妖婦ヴァンパイラ(リサ・マリー)に
出演のアプローチをするが、けんもほろろ。そんな中、麻薬中毒のベラの病状は悪化する一方で、エドは彼を
入院させた。その病院で彼は心優しい女性キャシー(パトリシア・アークェット)と出会うが、彼女は彼の
女装癖も受け入れてくれるのだった。

一方、エドは心からベラの容体を心配していたが、入院費用が払えず、彼に嘘をついて退院させねばならな
かった。「原子の花嫁」が配給会社により「怪物の花嫁」と改題されプレミア試写が行われた。ブーイングの
嵐だったが、エドは満足だった。そして数フィートのフィルムを残してベラが死んだ。傷心の彼の前に、
バプテスト教会の信者という新たなカモが登場。早速資金を調達した彼は、史上最悪の映画と後世に名を残す
「プラン9 フロム・アウタースペース」に着手。ついにヴァンパイラの出演も取り付け、ベラの形見の
フィルムや多くの仲間たちと共に意気揚々と撮影に入った。

ところが、今回の出資者はあれこれと撮影に口を出し、エドは爆発寸前。お気に入りのアンゴラを着ても
心が落ちつかない彼は撮影所を飛び出すが、入ったバーで尊敬するオーソン・ウェルズ(ヴィンセント・
ドノフリオ)と遭遇する。彼から「夢のためなら闘え。他人の夢を撮ってどうなる?」と教え諭されたエドは
胸を張って撮影所に戻り、自身の納得のいく作品を堂々完成させた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Metacirtic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:88%>
<KINENOTE=68.3点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-21 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル I,Tonya」
2017 アメリカ AI-Film、Clubhouse Pictures (II) and more. 120min.
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー、セバスチャン・スタン、アリソン・ジャネイ、ジュリアンヌ・ニコルソン、ボビー・カナヴェイル他

e0040938_13220777.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
シネコンに行こうと思っているうちに見逃した一作。やっと観ることが出来た。面白かった。脚本、演出が
良い。(若干小賢しい気もするけど、面白さが勝っていた)
やはり、母親を演じたアリソン・ジャネイの存在感が圧倒的。

コミカルな味付けの中に、本質が浮かび上がってくるという作りはなかなかなものだ。つまり、トーニャは
消費されるゴシップ、スキャンダルとして本人たちが思っている異常にクローズアップされていくという
社会事情があぶり出されるのだ。今ならネットがあるからこれ以上の騒ぎになるだろう。
今の日本でもワイドショーで連日放送されるゴシップネタは、大衆受けを狙って脚色され、同調圧力の中で
吊し上げにも似た環境を作り出す。世の中はヒールを求めている。それをみんなで叩いてうさを晴らして
いるのだ。ネット炎上と違わない構図だろう。

たしかに、トーニャの母の屈折した愛情、元夫のこれまた屈折した愛情は共に暴力を伴ってトーニャを襲う。
幼い頃からイジメに近い扱いを受けてきたトーニャの性格がネジ曲がるのも仕方がない。一方でスケートの
技術は確かに天賦の才能があったのは間違いない。
もし、というのは無い話だが、もしあの実力が良い環境下で鍛えられたら金メダルを獲っていたかも知れない。
しかし、である。あの実力は、あの母親の育て方があったからとも考えられる。母親自ら「怒らすと火がつく」
という彼女の性格を見抜いての、あの仕方だった部分もある。だが、果物ナイフを投げてそれが腕に刺さるに
及び、トーニャの中でも何かが切れた。

映画は実在の人物にインタビューした光景を役者が演じてドキュメンタリー風の中に役者のカメラ目線のセリフが
あったり、スポーツチャンネルの記者(役者)が「バカばっかり」と呆れたり、コミカルな味付けが楽しい。
本作で語られることが全部真実でないことは、冒頭字幕で説明される。「だいたい事実に基づく、ほとんどは
当たっていると思う」と人を食った感じで。母親を除く周囲の人々が本当に「バカ」ばっかりで、本人や夫の
求心力かも知れないが、回りがもう少し賢かったらあの事件はなかったかも知れない。

関係者の殆どが裁判沙汰となっているとはいえ、まだ皆さん健在な時期に、よくこんな映画を作れたな、と
感じた。ナンシー・ケリガンは本作は観ていないそうだ。事件について本作ではトーニャは知らなかったのに
巻き添えを食った雰囲気にまとめていた。しかし彼女の描かれ方はヒールである。セリフの殆どにF○UKINが
付くという下品さ。

オーストラリア出身のマーゴット・ロビーはアイスホッケーの選手であったため基本は出来ていたがフィギュア
スケートについてはコーチについてみっちりレッスンしたのだそうだ。プロスケーターの吹き替えとCGがあると
はいえ氷上での頑張りは加点ポイントだろう。また彼女を捉える映像も上手いこと表現できていて見ごたえが
あった。
リアルタイムで靴紐が切れたと言って泣きべそをかくトーニャを観ているが、脚本、演出、キャスト、全体と
してよく出来た映画だと思う。

e0040938_13221878.jpg
<ストーリー>
1994年のリレハンメルオリンピックへの出場権を巡って、元夫らにライバル襲撃を命じたと疑われ、一躍時の
人となったフィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディング。彼女に多大な影響を与えたと言われる母親と
の関係や衝撃的な事件の経緯などを追った人間ドラマ。『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビーが
トーニャを演じる。

貧しい家庭に生まれたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)は、幼少の頃から厳しく育てられた。
幼くしてスケートを始めた彼女は、天賦の才と努力により、1991年に女子選手として伊藤みどりに続き史上
2人目となるトリプルアクセルに成功。1992年のアルベールビルオリンピック代表選手に選出された。

1994年1月6日、リレハンメルオリンピック選考会となる全米選手権を前に、練習を終えたナンシー・
ケリガンが何者かに襲撃される事件が発生。膝を殴打され負傷したナンシーは全米選手権欠場を余儀なくされる。
トーニャの元夫ジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の指示による犯行と判明し、トーニャ自身にも
疑惑の目が向けられた。
一度は栄光を掴みアメリカ中から愛された彼女のスケート人生は、この事件を境に一変し、転落していく。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Metaciric=77>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:88% >
<KINENOTE=77.4点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-16 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「女は二度決断する Aus dem Nichts 」
2017 ドイツ・フランス Warner Bros. Pictures,Bombero International,and more.106min.
監督・脚本:ファテ・アキン
出演:ダイアン・クルーガー、デニス・モシット、ヨハネス・クリシュ、サミア・シャンクラン、ヌーマン・アチャル他

e0040938_17192033.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
なんだか、1960年代のフランス映画の邦題みたいなタイトルだが、なにせゴロが悪い。ドイツ語の原題は
「どこからともなく」ほどの意味らしいのでこっちでも中身は良く分からないけど。

ドイツで横行する極右組織の移民外国人を狙ったテロを告発する結果となる狙いがあったのはラストに字幕で
説明されるまで分からなかった。
106分の作品だが、なんだかエラく長く感じたのは、テンポが悪かったからか、不要なシーンがあったからか。
(予想はつくけど)結末はあまり賛成できないが、こういう形にしか持っていけなかった被害者の気持ちも
わからないわけではない。

どなたかも指摘されていたが、ドイツの司法制度がどうなっているのか寡聞にして知らないが、日本でいう
高等裁判所への刑事事件の上訴は、検察がやるんじゃないのかな。被害者と弁護士が「上訴しよう」と言って
いるところを見ると、そうじゃないらしい。

麻薬取引の世界から足を洗ってコンサルタントを努めていたトルコ出身の夫ヌーリと幼い息子ロッコを夫の
事務所の前で爆発させられて、ふたりとも殺された被害者の妻であり母であるカティヤの犯人であるネオナチ
たちとの裁判過程と、その後の彼女の収まらない怒りの始末の付け方を描くものだ。

直前に店の前に荷物置きにカバンを積んだ新品の自転車を放置した若い女を目撃したカティヤは一旦は自殺を
企てるがネオナチの犯人が捕まったことから、裁判に賭けてみることにした。裁判には犯人の父が証人として
出廷し、息子のガレージに爆弾の原料があり、警察に連絡したことなどカティヤに有利に進むが、極右団体の
ネットワークで、犯人とされた二人が当時ギリシアにいたと証言するものが出たり、被告側弁護人がカティヤ
は麻薬の影響下で証言をしたのでアテにならない、などカティヤを貶める陽動作戦に出て裁判は被告人たち
二人のカップルの無罪に終わる。
ギリシアにいたのなら被告人の出国状況をチェックするとか調査は出来なかったのかなあ。EU内は移動自由
だから調べようがないのかもしれないが。裁判の顛末にいささか納得できない観客もいただろう。
カティヤが一番そうだったろうが。

納得できないカティヤはギリシアに飛び、証言した男が裁判に掛けられた二人の若い男女を匿っているところを
発見。自分で肥料と経由と釘をかってきて、爆弾を作り殺された夫と息子と同じ苦痛を味あわせてやろうと
計画した。
一旦はキャンピングカーの下に隠し二人の帰りを待ったが途中でやめ、いろいろと考えた結果、カティヤは
爆弾を抱えてキャンピングカーに乗り込み、自爆。3人共おそらく即死だったろう。そういう結末だった。

カティヤのとった行動は自爆テロと変わりが無いが、彼女をそこまで駆り立ててしまった犯行の理不尽さに
想いを寄せないとならないだろう。彼女は愛する二人と別れて生きる道を失い、犯人を道連れに自分も二人の
いる天国に生きたかったのだろう。現状では彼女に未来はない、と結論つけたのだろう。悲しい結末である。

移民排斥を主張する勢力が拡大し、不寛容な風潮が蔓延するEUや東欧で、こうした映画を作る意味は日本人が
考える以上に強いのかもしれない。ダイアン・クルーガー、本作でカンヌ国際映画祭で主演女優賞を獲得したが、
確かに想像を絶する悲しみに襲われた妻であり母をしっかりと自分のものとし(彼女はドイツ人だ)いい
演技はしていたとは思うけど、カンヌ級なのかなあ、と個人的には感じた。

開巻はヌーリの刑期満了で刑務所内でカティヤとの結婚から始まる。彼がなぜ刑務所にいたか、彼がトルコ人で
あって刑期は麻薬取引に絡むものであったこと、刑務所で起業を勉強し自分で会社を設立したこと、トルコ人
だがクルド人であることなどはおいおい説明されるので、バックグラウンドが一気に分かるわけではない構造だ。
それはそれで監督の本作における演出意図は理解出来た。

一方で被害者としての情緒に引っ張り回される前半と、裁判で犯人が無罪になってからのリアルな表現が上手く
結合出来ていない印象を受けた。それとカティヤの全身を覆う入れ墨は何を目的にしたものか、よく分からなか
った。しかし、全体の出来としてはまずます見られる作品に仕上がっていたのではないか。

e0040938_17193045.jpg
<ストーリー>
愛より強く」のファティ・アキン監督がダイアン・クルーガーを主演に迎え、卑劣な移民排斥テロによって
最愛の家族を奪われた女性が、絶望と怒りの中で立ち向かう理不尽な現実とその顛末を描いた緊迫の復讐
サスペンス。カンヌ国際映画祭ではダイアン・クルーガーがみごと主演女優賞に輝いた。
 
ドイツ、ハンブルク。生粋のドイツ人のカティヤは学生時代に出会ったトルコ系移民のヌーリと結婚し、
かわいい息子にも恵まれ幸せな日々を送っていた。そんなある日、ヌーリの事務所前で爆発事件が起こり、
最愛の夫と息子を一瞬にして失う。
警察はヌーリが移民だったことから外国人同士の抗争を疑うが、カティヤは移民を狙ったネオナチによる
テロに違いないと訴える。やがてカティヤの主張通り、ネオナチの若いドイツ人夫婦が逮捕され、裁判に
かけられるのだったが…。(Movie Walker)

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes:=Tomatometer:76% Audience Score:71%>
<Metacritic=65>
<KINENOTE=75.6点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-01 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

アラジン aladdin

●「アラジン Aladdin」
2019 アメリカ Walt Disney Pictures and more.128min.
監督・(共同)脚本:ガイ・リッチー
出演:ウィル・スミス、メナ・マスード、ナオミ・スコット、マーワン・ケンザリ、ナヴィド・ネガーバン、
   マシム・ペドラド他
e0040938_17360746.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1992年にディズニーがアニメとして製作し、主題歌「Whole New World」(オスカー主題歌賞受賞)を初めとして
大ヒットした古典を、CGたっぷりに実写化した娯楽作。こういうのは理屈を抜きにして楽しむタイプの映画なので、
あれこれいいたくない。Rotten Tomatoesの批評家が57%に対して一般支持は94%となっているのを見ても分かる
通り、専門家からみて映画としては別にどうってことは無いと思う。でも大衆は好きなんだよね、こういうの。
いいんじゃないでしょうか。日本での興行成績も良いようだ。

まあ、ジーニー(魔人)を演じたウィル・スミスの現代的ユーモアを使った存在が目新しく、どっちかというと
ウィル・スミス・ショー的な面が無いではないが、アニメから少しストーリーも変化させ、全体としては家族揃って
楽しく見られるいかにもディズニー的な映画に仕上がっていた。ディズニー作品のオスカー常連アラン・メンケンの
歌も使われて、アニメを楽しんだ親が子供を連れて来るという点でも受けるのではないか。しかし、ハリウッドも
こういう古典をリメイクしないとネタがないのかな。「ライオンキング」も間もなく公開だし。

「不思議な世界」「魔法」「超パワー」「友情」「恋愛」「人生訓」など、ディズニーの古典的が主張をたっぷりと
味わえるが、古臭さを現代風にアレンジすることで削いだ努力は認めたい。冒頭がエンディングとくっついている
演出も良かったと思う。ジーニーのキャラクターのタッチといいガイ・リッチーが手堅く纏めたな、という印象だ。
実際私のような高齢者が観ても楽しかった。3Dで観たらもっと楽しかったかも知れないが、コスパを考えたら2Dでも
いいかな。

ウィル・スミス以外は知らない俳優さんばかり。アラジンもジャスミン姫もそう美男美女とはいえないので、勢い
ウィル・スミスに注目が行きがち。というかそれが狙いなのだろう。そこでウィルが口にするセリフが重要なわけだ。
そのあたりの脚本(セリフの選び方)は上手かった。個人的には王子に化けたアラジンがジャスミンに自己紹介する
場面で、ジーニーから「1000年で一番恥ずかしかったぞ」と云われちゃうところがウケた。

ラストの全員ダンスは「ムトゥ・踊るマハラジャ」を彷彿とさせるインド映画みたいだった。楽しい映画です。
e0040938_17361652.jpg
<ストーリー>
第65回アカデミー賞で最優秀オリジナル作曲賞、最優秀主題歌賞の2冠に輝いたアニメーション作品でも有名な
『アラジン』を実写映画化。貧しい青年と王女、ランプの魔人が繰り広げる壮大な冒険が描かれる。
ランプの魔人ジーニーをウィル・スミスがユニークに演じるほか、アニメーション版の名曲の数々も登場する。
(Movie Walker)

アグラバーの町で猿のアブーとともに暮らす貧しい青年アラジン。市場へ繰り出しては盗みを働いていた彼は、
ある日、変装した王女ジャスミンと出会う。アラジンは侍女のふりをしたジャスミンと心を通わせるが、
アブーが彼女の腕輪を盗んだことで幻滅されてしまう。アラジンは腕輪を返すために城に忍び込み、ジャスミン
との再会を果たすが、衛兵に捕らえられる。国務大臣のジャファーは、ジャスミンが王女であることをアラジンに
教え、チャンスを与えると言って、魔法の洞窟に入って魔法のランプを取ってくるよう命じる。

アブーとともに洞窟に入ったアラジンは、岩に挟まれていた魔法の絨毯を助け、ランプを取ることに成功するが、
洞窟に閉じ込められてしまう。途方に暮れたアラジンだったが、絨毯の指示でランプをこすったところ、ランプの
中から魔人ジーニーが出現。ジーニーはランプをこすりながら願い事を言えば3つかなえると言う。アラジンは
ジーニーの目をごまかして願い事を言ったふりをして魔法を使わせて洞窟から脱出すると、1つめの願いで架空の
国アバブワーの王子となり、ジャスミンのもとへと向かう。(wikipedia)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:57% Audience Score:94%>
<Metacritic=53>
<KINONOTE=82.1 点>






by jazzyoba0083 | 2019-06-19 14:00 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アメリカの友人 Der amerikanische Freund」
1977 西ドイツ・フランス Wim Wenders Productions and more. 126min.
監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース
出演:デニス・ホッパー、ブルーノ・ガンツ、ジェラール・ブラン、ダニエル・シュミット、ニコラス・レイ他

e0040938_22565544.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ヴィム・ヴェンダース3作目の鑑賞。この人の作品は、具体的現象の中に観念性を埋め込むタイプの作家
なので、回りくどいというか、何を言いたいのか良くわからないという側面が、私にはある。よって好んで
見に行くタイプの監督ではない。が、どこか気になる作品を作る人ではある。ましてや、本作は彼の名前を
映画好きの間に知らしめた有名な作品で、評価も高いので、古い映画だけど、NHKBSで放映があったので
観てみた。31歳の時の作品で、この前観た「誰のせいでもない」(2015)よりも、荒削りな面もあるし、
特に前半の1時間は物語が見えてこず、何だかなあ、と思うような自己満足的な作りもある。まあ作家性の高い
監督の作品というのはそういうものだから仕方がないのかもしれないけど。

二人の男の「未来を見失った同志」の偏向した友情みたいなものが見えてくる1時間後くらいからは面白くなる
というか普通の映画っぽくなる。とにかく個の感情を1つ描くのにえらく回り道をするので、イライラもするし
分かりづらい。一方で、走行する列車の中のタイトな画と空撮のロングを一気に切り替えるとかの作画感覚は
若さなのかヴェンダースの嗜好なのか、いい感じだった。パリの地下鉄の駅には今から40年以上前に多数の
監視カメラがあったのには驚いた。

ハイスミスの原作に基づいて、この脚本を書いたのが本人だから、この人はこういう映画で私が感じたような
主張を言いたかったのかな。
原題も「アメリカの友人」だから、デニス・ホッパーとブルーノ・ガンツという二人の男の偏った友情みたいな
ものでいいのだろう。デニス・ホッパーがマフィアの抗争に絡んでいると分かるとか結構なサスペンス性は
持った娯楽的な側面もちゃんとあるんで嫌になっちゃうんだなあ。お、と思わせるところがあるから目が離せ
ないし。ラストのどんでん返し風もなかなか味わい深いし。じゃあ、一体前半1時間のもたつきは何だったのだ
よ、とも言いたくなるわけだ。説明臭くなく説明するから回りくどいと感じてしまうのかな。
デニス・ホッパーの弱さを内包したカウボーイ(アメリカ人)がいい感じだった。ブルーノ・ガンツは終始
神経質で職人肌。だけど知らない男から暗殺を引き受けてしまうような側面もある。この二人の男の魅力に
引きずられた二時間ということだったようだ。

好きな人はもの凄く好きな、駄目な人は恐らく1時間で離脱するようなタイプの映画なことは確かだ。

e0040938_22570339.jpg
<ストーリー:結末まで書いてあります>
カウボーイ・ハットのトム・リプレー(デニス・ホッパー)が、ニューヨークの画家(ニコラス・レイ)を
訪ねる。その画家ダーワットは、贋作画家で、リプレーはそれをヨーロッパで売り歩いていた。
ハンブルグの美術商の画廊で、トムは額縁職人のヨナタン(ブルーノ・ガンツ)を知る。彼は、トムが売り
つけた絵を偽物と気づいた様子だった。トムは、そこの画廊の主人からヨナタンが白血病でそう長くはない
ことを聞く。

夜、トムのもとをミノ(ジェラール・ブラン)と名乗る一匹狼の男が訪ねた。彼はマフィアの男をひとり
殺す為、素人の男を見付け出し、殺し屋に仕立てたいといった。ヨナタンに狙いを定めたトムは、ヨナタンの
仕事場を訪ね、彼と知り合いになった。
自分の病状を不安がっていたヨナタンは、ミノから殺しを頼まれると、25万マルクという報奨金ほしさに、
ついに引き受けることにした。ドゴール空港に着いたヨナタンはミノと医学生の出迎えを受け、病院へ行く。
ミノは、白紙の診断書を病院から盗みだす。ヨナタンは、殺し屋イグラハム(ダニエル・シュミット)を
撃ち殺す。
一方、ニューヨークでは、マフィアのボス(サミュエル・フラー)が敵対するマフィアがパリで殺されたと
電話できいた。

ヨナタンの最近の行動を不審に感じていた妻のマリアンネ(リザ・クロイツァー)は、ヨナタンを問い詰めるが、
彼は何も言わない。ミノは再度ヨナタンを呼び出し、殺しを依頼する。そのことを知ったトムは、ヨナタンに
それは危険すぎると忠告する。

ミュンヘンからの特急でヨナタンは第二の殺人を果たそうとするが、失敗し、トムに助けられる。死体を列車
から蹴り落とすトム。アパートに戻って発作で倒れるヨナタン。そこへミノが訪れ、列車の殺人でトムと一緒
だったことをついヨナタンは告白してしまう。
トムの家で襲撃に備えるヨナタンとトム。夜、忍び込んできた男をヨナタンは殺す。一方、ミノも相手の
マフィアに捕らえられていた。トムは疲れ切ったヨナタンを励まし、死体の始末にとり掛かる。
ヨナタンは、赤いワーゲンでやって来たマリアンネととも海に向かう。その車の中でヨナタンは息を引き取る。
遠くワーゲンを見送るトムの姿があった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91% Audience Score:81% >
<Metacritic=No Data>
<KINEMANOTE=71.7点>





by jazzyoba0083 | 2019-06-17 23:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アメリカン・アサシン American Assassin」
2017 アメリカ CBS Films,Lionsgate and more.112min.
監督:マイケル・クエスタ
出演:ディラン・オブライエン、マイケル・キートン、サナ・レイサン、シーヴァ・ネガー、テイラー・キッチュ他

e0040938_21182394.png
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
CIAと中東の核絡みの復讐劇のよくあるやつ。ストーリーは既視感ありあり。大きく一つ違う点を上げれば
シリアが奪ったロシアの核が地中海の海中で爆発しちゃうこと。だいたい残り3秒くらいで時限装置を主人公が
止めるのが定石としたものだけど、本作は何をトチ狂ったか、爆発させちゃう。いかに核のレベルが低いとはいえ
核爆弾が爆発したんだから、その後の世界の大騒ぎが全然表面化してこなかったのが不思議でならない。
とばっちりで大被害を被った米海軍第六艦隊のこともあったのにね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
冒頭は魅せる。スペインのイビサ島のビーチ。大学院生のミッチは、ガールフレンドのカトリーナにプロポーズ。
ビーチの客に祝福されつつ、乾杯の飲み物を取りにキオスクに向かうと、そこに数人のテロリスト登場。マシンガン
を構えて手当たり次第に客を殺傷した。ミッチは最愛のカトリーナを目の前で失う。

そして18ヶ月後。復讐の鬼となったミッチは体を鍛え、アラビア語を習得し、マーシャルアーツや銃撃の訓練を
受けて、襲撃したテロリストの首魁への復讐の機会を探っていた。自分がアメリカに反感を持つアラーを崇める
人物という設定で聖戦に加わりたいと、偽名でネットを使って組織にコンタクト。ついにリビアのトリポリで
首魁に会うことになった。目隠しをして連れてこられた部屋で後ろ手に縛られて質問を受けていた時、CIAの
急襲部隊が突入。首魁はあっけなく頭を撃ち抜かれ即死。自分の手で復讐を遂げられなかったミッチは死体を
なんどもナイフで刺すが、CIAに止められ、今度はCIAに軟禁される。ここらあたりまでテンポ良し!

CIAはミッチの行動をずっとネット上で見張っていて、首魁の襲撃も前もってミッチの情報から接触をキャッチ、
先回りしていたのだった。CIAの女性高官ケネディはミッチの才能を買って、CIAに入れと誘う。
教官は元ネイビーシールズの鬼スタン(キートン)だった。テロリストに対する復讐にまだ満足していないミッチは
組織に入り、スタンの狂気を含んだ訓練にも耐える。そして新しい任務に就く。
それは国連によるイランの核開発禁止協定に反対する将軍と外務大臣がロシアから盗まれた核爆弾を入手し、これを
買収した物理学者の手で、アクティベイトし、イスラエルに攻撃を仕掛けるという作戦を潰すことだった・・・

トリポリで合流した現地のCIA職員アニカと組んで、作戦を進行するが、ここにゴーストと云われる謎の人物が
登場する。彼はかつてスタンの部下だった男だが、ある作戦でスタンに置き去りされたことを逆恨みし、個人的な
復讐を、イランの核爆弾を利用しようとしていたのだ。 ゴーストはイランの将軍らの仲間を装い、核爆弾の
奪取を計画。途中で彼が作戦に絡んでいるとバレて追いかけていたスタンを捉え拷問するゴースト。
そのうち核爆弾は出来上がってしまった。シリア側に用が無くなったゴーストは外務大臣ら一味を殺し、爆弾を
奪い、地中海にいる第六艦隊めがけて突っ込む計画を進めた。

アニカはイランの外務大臣の姪で、テロリストに父と兄を殺されている。彼女も復讐の鬼だったわけだ。CIAの
ハイテクを借りながら、次第にゴーストを追い詰めるミッチ。ついに隠れ家を発見。まずスタンを救出、次いで
アニカと共にゴーストを追うが、アニカがゴーストに捕まってしまう。アニカは自分を撃ってミッチにゴーストを
攻撃するチャンスを与える。爆弾を背負って逃げるゴーストはついにモーターボートまでたどり着く。

しかし、ミッチも飛び乗り、船中で格闘が始まる。ここのところ、面白かった。波のため大揺れになる船内で
格闘するところが妙にリアルで。格闘中、大揺れで離れてしまうとか。眼の前には第6艦隊。艦隊は照準をボートに
合わせ、最悪海上で爆発させようという考えだった。その頃船中では、二人の決戦に決着が付いていた。
CIAは、ミッチに爆弾を海中に捨てろ、と命令。ミッチはその指示に従い、救助に来たスタンの乗った米軍のヘリに
救出される。しかし、核爆弾は爆発。その衝撃で第六艦隊はかなりの被害を受けてしまった。

イランでは悪徳将軍が核爆発はアメリカの陰謀、イランはアメリカを殲滅する、とか言っている。こいつが
次の大統領か、とスタンとケネディがCIAで話している時に、将軍の乗ったエレベータの後ろにはミッチの
姿があった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

というアラスジ。ありきたりのストーリーなれど、メリハリの効いたアクションに救われ、そこそこ楽しめる
作品にはなっている。毎度のことながら、ロシアってよく核爆弾を盗まれるんだよなあ。それとこの映画
B級の匂いがする割に、中東を初め、ロンドンとか、ローマとか結構贅沢なロケしているんだよなあ。
007かM:Iシリーズみたいな贅沢さ。(冒頭のイビサ島はプーケットだったとか)
それがイーハン付けているかも知れない。それとやはりマイケル・キートンが全体を締めている感じだ。
あ、それと海中での核爆発で第六艦隊がやられるところのCGはまあまあよく出来ていたんじゃない?

e0040938_21183577.jpg
<ストーリー>
ヴィンス・フリンのベストセラー小説“ミッチ・ラップ”シリーズを、『メイズ・ランナー』のディラン・
オブライエン主演で映画化したスパイ・アクション。無差別テロで恋人を失い、復讐に燃える青年ミッチが
CIAのスパイとなり、テロリストに立ち向かっていく。
ミッチを鍛える鬼教官のハーリーをマイケル・キートンが演じる。

旅行中、無差別テロ事件に遭遇して恋人を失った青年ミッチ・ラップ(ディラン・オブライエン)は、凄まじい
怒りと悲しみに駆られ、テロリストへの復讐に人生を捧げることを決意。その潜在能力を高く評価したCIAの
対テロ極秘スパイ・チームにスカウトされた彼は、元ネイビー・シールズの鬼教官スタン・ハーリー(マイケル・
キートン)の下で、ハードな特訓を積んでいく。やがて、最前線で活躍するまでに成長すると、ロシアから
流出したプルトニウムを使って核兵器製造を目論むテロリストの陰謀を阻止するため、ヨーロッパでの
ミッションに身を投じる。だが、神出鬼没かつ正体不明のテロリスト“ゴースト”がミッチを翻弄。恐るべき
核テロのカウントダウンが進む中、自らの真価を試される最大の試練に直面する……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:35% Audience Score:61%>
<Metacritic=45>
<KINENOTE=68.3 点>



by jazzyoba0083 | 2019-05-27 23:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「ウィッチ The VVitch :A New-England Folktale」
2015 アメリカ Parts and Labor,RT Features and more. 93min.
監督・脚本:ロバート・エガース
出演:アニャ・テイラー=ジョイ、ラルフ・アイネソン、ケイト・ディッキー、ハーヴィー・スクリムショー他

e0040938_15344272.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
この手の映画はあまり観ないのだが、内外の評価がとても高いので、時間も短かったため鑑賞してみた。
作り込んだおどろおどろしさ、ではなく、心底「心の恐怖」を感じるタイプの映画だった。

全編ローキーの灰色っぽい映像。そして舞台が1630年(日本でいうと江戸開府直後くらいか)のアメリカ
東部ニューイングランド。イギリスから清教徒たちが「メイフラワー号」でアメリカに到着したのが1620年
だから、まだまだ入植直後であり、人々は貧しく、頼るべきは宗教であった側面が大きい。病にしろ、収穫に
しろ、それは天にましますイエスさまの思し召しであり、原罪意識の強かった当時の人々の、生活上での
宗教の力と強さと恐ろしさがよく表現出来ていた。本作はキリスト教に詳しいかそうでないかで、面白さも
随分変わってくるだろう。日本で公開しても大ヒットするような映画ではない。

アメリカのみならず、17世紀あたりの歴史では、宗教の持つ力は強く、人々は森羅万象は神の思し召しによると
信じて疑わなかったし、それを信じない人間は悪魔の手先であり、地獄に落ちる存在であったわけだ。
そうした信仰にしか生きる糧を見いだせない当時の人々の心のありようが、ホラーという形を借りた本作の
主題なのだろうと感じた。

映画に登場する、黒いウサギ、黒いヤギ、黒いカラス、卵(割れる)、また登場する双子も不吉なものとして
捉えられていたという話も聞いたことが有る。そうした映画に登場するガジェットが、暗喩となり理論では説明の
つかない不吉、恐怖を生み出している。ネタバレだが、父は黒ヤギの角で腹を刺され殺される、トマシンを魔女と
信じて疑わない母はトマシンを殺そうとして逆にトマシンにナイフで殺される、下の赤ん坊は映画の冒頭で消える。
トマシンの弟ケイレブは森で行方不明になるが後に帰宅したものの憑依状態で、亡くなる。トマシンの双子の
兄妹は、父が黒ヤギに殺された時にどうやら豚のような死体がころがっていたところを見ると彼らは悪魔だった
可能性がある。こうしてトマシンは一人になり、黒ヤギと契約を交わすのだ。

貧しくも敬虔なキリスト教徒の一家のトマシンが、家族がとりつかれた恐怖により魔女にされていき、その
家族は崩壊。結局トマシンは悪魔(黒ヤギ)と契約し、森の中で行われるサバト(魔女の集会)に赴く。
その不気味な笑顔のアップで映画はカットアウトして終わる。

短い映画ではあったが、文明化以前の人々の心の拠り所とそれから生まれる疑心暗鬼、それらは魔女を生み出し、
彼女らを悪として滅ぼすことが主の願いに叶うことと固く信じる宗教心。そうでなければ生きていけなかった
そのころの時代を思うと、単に怖がったりするようなタイプの作品ではないな、と感じた。有り体にいうと
「悪魔憑き」の話なので、なんでもありと言えばそうなのだが、舞台になった時代にその場所で生きた人々を
思うとき、こうした閉鎖的な精神状態に生きるしかない人々を思うとき、心に重いものを感じるのだった。

e0040938_15344948.jpg
<ストーリー>
「スプリット」のアニヤ・テイラー=ジョイ主演によるダークファンタジー・ホラー。
1630年、ニューイングランド。敬虔なキリスト教徒の夫婦と5人の子供たちが、村はずれの森近くに移住して
くる。だが突如生後間もない赤子が消え、家族は狂気の淵に陥っていく。
監督・脚本は、本作でサンダンス映画祭監督賞を受賞した新鋭ロバート・エガース。

630年、アメリカ・ニューイングランド。街を追い出されたウィリアム(ラルフ・アイネソン)とキャサリン
(ケイト・ディッキー)夫妻は、5人の子供たちと共に敬虔なキリスト教生活をおくるため、村はずれにある森の
くの荒れ地にやって来る。だが突如、赤子のサムが何者かに連れ去られ、行方不明になってしまう。連れ去った
のは森の魔女か、それとも狼か……。
悲しみに暮れる家族だったが、ウィリアムは美しく成長した愛娘トマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が、
魔女ではないかと疑いはじめる。疑心暗鬼となった家族は、やがて狂気の淵に陥っていく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:91%  Audience Score:57% >
<Metacritic=83>
<KINENOTE=68.0 点>



by jazzyoba0083 | 2019-05-18 22:40 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

RGB 最強の85才  RGB

●「RGB 最強の85才 RGB」
2018 アメリカ Participant Media,CNN Films,Storyville Films,Better Than Fiction Productions.98min.
監督・製作:ベッツィ・ウェスト、ジュリー・コーエン
出演:ルース・ベイダー・ギンズバーグ他

e0040938_16242875.jpg
<評価:★★★★★★★★★☆☆>
<感想>
今年のオスカーの長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、またフェリシティ・ジョーンズ主演の映画
「ビリーブ 未来への大逆転」が封切られ、ちょっとしたRBGブームとなっていた。それはまたトランプの
登場が彼女の存在を際立たせているという点も見逃せない。

縦筋に、ジミー・カーター時代にアメリカで2番目に女性最高裁判事に任命されるにあたり、上院の公聴会に
呼ばれたギンズバーグの語りが置かれ、そこから派生する彼女の一生が挿入されていくという形を取る。
また後半では彼女が手がけた裁判の判決で彼女が何を語ったかを文字を以て紹介していく。

個人的には劇映画の方を先に見ていたので、基本的な知識はあったが、実物たちが紡ぎあげるRGBの生涯は
作りものでない重み、インパクトがあった。1950年代に大学生活を送り、弁護士となり、結婚し、子どもが
生まれ・・・という彼女の半生には常に女性に対する差別、偏見が付きまとっていた。

NYで高名な経済弁護士となる夫が、実に出来た男で、ギンズバーグが子育ての必要な時期は家事全般を引き受け
彼女をもり立てる。一方、ギンズバーグ自身も素晴らしく頭が切れ、一旦喋り始めると弁舌は理路整然、相手を
黙らせてしまう力を持つ。天才肌ではあったが、人より多くの努力ももちろん重ねてきた。

こうして、女性は憲法の下では男性と同等の権利を有する、という判決を次々と勝ち取っていく。アメリカが
ずっと守ってきた、女性は「家にいて良妻賢母であることが一番」という旧習を打破していったのだった。
彼女の努力が、女性が働きやすく、子育てしやすく、暮らしやすい環境を議会に対して整えさせていった。

そしてついに合衆国としては2番目の女性最高裁判事に指名される。夫には先立たれてしまうが、彼女は今でも
筋トレ!を欠かさず体を鍛えている。そして、自分がいよいよ引退だ、というときまで全力で判事を続けると
いう。トランプの出現で最高裁判事の構成は右寄りになっているが、そしたときだからこそ、リベラルな
ギンズバーグの反対意見は力強く響くのだ。彼女はアメリカの良心、と言えるだろう。

本ドキュメンタリーは、基本的にはRBGが生まれてからこの方の伝記的側面を描いてはいるが、ルースという
女性がどういうバックボーンを以て判事に臨んでいるかを、その生い立ちや周りの人々の語りから浮かび
上がらせる。同僚であり、子どもであり、孫であり、ライバルらである。彼らの語りが彼女の人となりを
語っていく。

畢竟、今の時期にRBGが注目されなければならないと言うことはアメリカにとって決して幸福なことでは
ないのだろう。トランプの登場で国民が分断されている不幸な時代だからこそ、彼女が注目されるのだ。
構成としてとても良く綴られたドキュメンタリーで、見ごたえがあった。何よりドキュメンタリーで大事な
RGBという人がよく描けていたと感じた。アメリカ人にこれだけ愛されるのはその芯の強さだけではなく、
結構おちゃめなキャラクターが愛されていて、それがアメリカっぽいなあ、と感じたのだ。

e0040938_16243856.jpg
<ストーリー>
85歳にして現役アメリカ最高裁判所判事ルース・ベーダー・ギンズバーグに迫ったドキュメンタリー。
異例のキャリアを邁進し、女性やマイノリティの権利のために寄与し続け、抜群の知名度と人気を誇る彼女の
半生、そして彼女を支えた信念や愛情を追っていく。
第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞・主題歌賞(ジェニファー・ハドソン『I'll Fight』)にノミネート。

85歳にして現役の最高裁判所判事であるRBGことルース・ベーダー・ギンズバーグ。彼女は1933年に
ニューヨーク、ブルクリンのユダヤ系の家に生まれ、苦学の末にコーネル大学を卒業。コロンビア大学法学部教授、
コロンビア特別区連邦控訴裁判所の判事を経て、1993年ビル・クリントン大統領より第107代アメリカ最高判事に
任命された。
異例のキャリアを突き進み、シャイな反面、巧みな法廷戦術を繰り広げ、女性やマイノリティへの差別撤廃に
寄与し続けてきた彼女が、現在のアメリカを作ったと言っても過言ではない。アメリカでは関連本が何冊も出版され、
Tシャツやマグカップなどのグッズまで販売されるほど人気を博している。ポップ・カルチャーの新しい象徴とも
評される彼女を支えた信念とは。ルース・ベーダー・ギンズバーグにカメラが迫る。

<IMDb=7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:94% Audiece Score:77%>
<Metacirtic=71>
<KINENOTE=82.0点>



by jazzyoba0083 | 2019-05-15 13:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「悪夢の逃避行 Bad Samaritan」
2018 アメリカ Electric Entertainment 111min.
監督:ディーン・デヴリン
出演:デヴィッド・テナント、ロバート・シーアン、ケリー・コンドン、カリート・オリベロ、ジャクリーン・バイヤーズ他

e0040938_17045305.jpg
<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
ときにはこうしたB級スリラーを観たくなる。ストーリーは至極単純で既視感ありあり。故に、
犯人をどう追い詰めていくか、そして最後の仕上げにどうしてくれるか、というところに期待値が
あるわけだ。

本作、残念ながら演出陣もキャストも知らない人ばかり。まあそれがいらないバイアスを排除したと
いえないこともないけど。開巻、馬とそれを厳しく鞭打つ男、そして銃の発砲というシーンが有る。
これが、この映画の真犯人の犯行の心的背景となっているのだけど、あまり説得力はない。

さて、アマチュア写真家にしてガールフレンドとも宜しくやっている主人公ショーンは、レストランの
バレーパーキング係のバイトも、親友としていた。で、こいつらレストランで車の主が食事をしている
間に、ナビの履歴から自宅を特定して、こそ泥にはいるというバイトのバイトをやっていたのだ。

で、ある日、マセラッティで乗り付けた冷たそうな男がいた。ショーンは、彼の自宅に侵入する。そんな
に簡単に入れるのか?というツッコミは置いておいて、金目のものを探っていると、なんと、そこには
椅子に縛り付けられ監禁されている若い女性がいた。なんとかして開放してやろうとするが、時間がない。
そこで彼女の写真をスマホで撮影、その場は一旦引き上げた。

もちろん警察に行って、写真を見せて説明するが、一応おざなりの訪問はするが捜索まではしない。
いらついたショーンは今度はFBIに相談に行く。しかしそこでも追い返されてしまう。だが、応対した
女性捜査官は何かに引っかかった。

その後、ケイルは犯人に逆に付け狙われる立場になってしまう。その反撃は次第に苛烈になっていき、
親友さえ失う結果となる。一方ショーンから提供を受けたFBIはかつての類似事件を当たった結果、
馬に対する性癖を持つ男の犯罪に行き当たり、今回の事件もその男の犯行ではないか、と捜査に乗り出し
てきた。

一方、犯人の手から逃げたショーンと拘束されていた彼女は犯人と対決、犯人をボコボコにした上、
彼女が「それだけでは足りないわ」と語り、FBIが監禁小屋に駆け付けた時、椅子に拘束されていたのは
ボコボコにされた犯人の姿だった。

まあ、ざっと説明するとこういう話だけど、こそ泥の言うことを信用してもらえないショーン、もう自分が
こそ泥をやっていたことまで打ち明け、自分の罪を認めるから、何とか彼女を助けてやってほしいと覚悟する
なかなかのいいヤツぶり、そして先手先手でショーンや彼女を妨害し、更にはショーンらも消そうとする
犯人との対決。ようやく駆けつけるFBI。まあ、ありがちな構成ではあるが、上記に書いた以上のプロットは
もちろんあり、そこそこ観ることが出来た。
先が何となく読めてしまうのが難点かなあ。カタルシスとしては犯人に対する復讐がもう少し描かれても
良かったのではないか。日本劇場未公開となったが、まあ、公開しても客の入りは良くなかっただろう。


e0040938_17050091.jpg
<IMDb=6.4 >
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:54% Audiecne Score:68% >
<Metacritic=42>


by jazzyoba0083 | 2019-05-10 15:44 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)