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●「眠れぬ夜のために Iinto the Night」
1984 アメリカ Universal Pictures.115min.
監督:ジョン・ランディス
出演:ジェフ・ゴールドブラム、ミシェル・ファイファー、ダン・エイクロイド、デヴィッド・ボウイ、リチャード・
   ファーンズワース他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ジョン・ランディスというと枕詞のように使われるのが本作製作の前年公開の「トワイライトゾーン/超次元の体験」の
製作にあたってヘリコプター事故でヴィク・モローと子役が亡くなったといこと。また本作と同じ時期にマイケル・
ジャクソン「スリラー」のPVを監督してもいること。

情報によれば、ハリウッドの映画界はランディスに同情的で、本作にもカメオ出演で名だたる監督があまた出演して
いる。デヴィッド・クローネンバーグ、ドン・シーゲル、ポール・マザースキー、ロジェ・ヴァディム、ジョナサン・
デミ、ローレンス・カスダン、ジャック・アーノルドが出演している。みなさんなかなか個性的な役どころ。
ただどこに出ていたか分からない監督さんもいたな。みなさん、事故後のランディスを応援するために出たという。

閑話休題。本作は「ハエ男」ゴールドブラムが不眠症(インソムニア)の男を演じる。仕事は失敗するわ、妻は
上司と浮気するわで、たまらず夜中に空港へ来てみたら、ボンネットに一人の若い女が振ってきた。これが
宝石の運び屋でいろんなところから行方を狙われている女性。追手に狙われる彼女を助けているうちに男は事件に
巻き込まれていく。(自分からコミットしていくところも大きいのだけれど)
この辺り、追手のイラン人四人組の動きとか、眠れぬ男などは「トワイライトゾーン/超次元の体験」や「ブルース
ブラザーズ」のランディスっぽい演出。

映画全体は80年代の雰囲気プンプンで、音楽もクロスオーバー風(懐かしい言葉!)ブルース。シリアスとギャグが
ないまぜになるのはランディスお得意のパターンではあるが、どうも事故を引きずっているのか、しっかりと
笑えない。失笑レベルになっちゃっているんだよなあ。ストーリーの落ちもどうもしっかり落ちてない感じで
完成度から言ったら残念な出来というしかない。若いミシェル・ファイファーは美しいのだが、キャラクターが
なく、存在感が薄い。イギリス人の殺し屋デヴィッド・ボウイ、なかなか演技が上手い!その他の監督さんも
さすがに名監督だけあって、「怪しい」演技が面白かった! ちょっと途上人物が多すぎてストーリーがややこしい
難点もある。

全体的に評価が低いのはしょうがないとしても、どこか憎めない作品。ランディスはこの後も主にテレビの世界に
引っ込んでしまっている。もったいない才能だと思うけどなあ。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
不眠症に悩むエド(ジェフ・ゴールドブラム)は、ある晩、当てのないドライブに出た。彼の不眠症は、妻の
浮気を目撃したこともプラスされて一層深まっていたのだ。いつの間にか空港に向かっていた彼の車の前に、
突然見知らぬ美女(ミシェル・ファイファー)が出現した。「追われている」と焦る彼女を車に乗せた彼は、
共に4人の殺し屋に追われる身となった。ダイアナと名のった彼女を家に送ろうとするが、エドは、彼女が帰る
べき家がないことを知る。彼女が頼りにしている友人で女優の卵クリスティ(キャスリン・ハロルド)を撮影の
現場に訪れるダイアナ。プロデューサーのバド(ポール・マザースキー)の恋人であるクリスティは、ダイアナ
から大事な品物だから預かって欲しいと、小さな包みを受けとる。これこそダイアナが密輸してきたイラン王家
伝来の秘宝、6つのエメラルドだった。

ダイアナは、この宝石を国際密輸組織の運び屋として、一味の1人に渡すことになっていたが、その直前で彼は
イラン秘密警察に暗殺され、彼女も生命を狙われていたのだ。ダイアナは、国際シンジケートの大物に保護して
もらおうと考え、エドはその使者として話しをまとめた。
途中、エドは、コリン・モリス(デイヴィッド・ボウイ)という殺し屋に銃をつきつけられるが、無事にきりぬ
ける。しかし、ダイアナもコリンにつかまり、エドはコリンとの死闘の末、ダイアナを救い出す。

そのころ、クリスティが殺された。2人はコリン一味のメルヴィル(ロジェ・ヴァディム)に捕えられるが、
そこでも逃走に成功し、国際組織の陰の実力者だったダイアナの愛人ジャック(リチャード・ファーンズワース)
のもとへ向かった。彼にエメラルドを秘密警察の女ボス、シャヒーン(イレーネ・パパス)に売りつけることを
勧められた2人は、まんまとそれに成功する。空港では、秘密警察もメルヴィル一味も彼らを待ちうけ、彼らに
狙いを定めた。しかし、そこに居合せたFBIのおかげで、その銃撃戦から逃げ出すことに成功するのだった。

<IMDb=★6.5>
<Metacritic=No Data>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:38% Audience Score:49%>
<KINENOTE=63.2点>




by jazzyoba0083 | 2019-08-21 16:49 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「ナチュラルウーマン Una Mujer Fantastica」
2017 チリ/ドイツ/スペイン/アメリカ Particpant Media.104min.
監督・(共同)脚本:セバスティアン・レリオ
主演:ダニエラ・ベガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニエッコ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ハードなトランスジェンダーの物語。これは事前にどういう映画か知っているひとは相当の覚悟を
持って観たほうがいいし、前知識無しで観たひとは相当のショックを受けるのではないか。
私はトランスジェンダーの話だとは知っていたが、ここまでハードな映画だとは思わなかった。
どなたかも書いておられたが、実際にトランスジェンダーであり俳優・歌手であるダニエラ・ベガさんが
いたから出来た(発信出来た)作品ということも出来よう。
面白い、というものではなく、胸にずっしり来る感覚が残った。17年度のオスカー外国語映画賞獲得
作品である。

舞台はチリのサンチャゴ。開巻、イグアスの瀑布である。これが物語の最初のネタフリになっていくし、
映像として主人公のトランスジェンダー、マリーナの人生のなにかのメタファーのような気もした。
さて、マリーナはサンチャゴのクラブで唄う歌手。そして本格的なクラッシクアリアを学ぶトランス
ジェンダーである。彼女は繊維業社長のオルランドと愛し合い、同棲している。ある日マリーナの
誕生日を祝って帰った夜、オルランドが突如具合が悪くなり、意識不明になる。マリーナは必死に
クルマを運転し、病院へ連れて行くが、オルランドは動脈瘤破裂で亡くなってしまう。病院へ行く際、
オルランドが階段から転落して怪我をしたことがマリーナの立場を悪くした。警察が事情を聞き始めた
のだ。マリーナが説明してもトランスジェンダーということで信用してもらえない。

そこからマリーナの苦闘が始まる。オルランドの遺族からは告別式にも葬儀にも来るな、と言われ、
息子からは早くアパートから出て行けと怒鳴られ、性犯罪対策班の女性刑事からは根掘り葉掘り
調べられ、遂には全裸となっての身体検査まで受けさせられる。これは苦痛だったろう。
マリーナは姉夫婦の家に転がり込む。

この一連の過程で大変印象的だったのは、皆一応に、マリーナがトランスジェンダーだということを
「一応理解したように見せかける」ことである。表面上は「あなたのことは理解している。助けたい」と
か言うのだが、言うこととやっていることは全然違う。だからオランドの親族の男のようにあからさまに
「バケモノ、オカマ野郎」と罵るより更に陰湿だ。。これは私たちの普段の生活の中で障害者や
LGBTに対して、そういう態度をとっていないだろうか、という「ナイフ」を突きつけられた感じが
した。

だが、少なからず味方もいる。オルランドの実弟や実姉は数少ない理解者だ。しかし、マリーナは
強い。告別式にも葬儀にも行き、結局追い返される。舗道を凄い向かい風に晒され、体が前に45度
くらいまで曲げてもなお前に進む様子は自分一人で逆境に立ち向かう、まさにその象徴だったろう。

すべてを受け入れてくれていたオルランドの死を自分なりに受け入れ、そしてアリアのステージに
立つアリーナの姿は、「一人の人間」としての美しさと勇気に輝いていた。

映画の素材がたまたまトランスジェンダーだったが、監督の主張は世界中に蔓延する「不寛容」に
対する警告であろう。人は見かけで判断は出来ない。自分でないものに嫌悪する心の狭さを排除
しなくてはならない、ということを。

ナチュラルウーマン Una Mujer Fantastica_e0040938_11452813.jpg
<ストーリー>
第67回ベルリン国際映画祭脚本賞受賞のヒューマンドラマ。トランスジェンダーでナイトクラブの
歌手マリーナは、歳の離れたボーイフレンドのオルランドと暮らしている。ある夜、オルランドが
突然亡くなり、マリーナは思いもかけないトラブルに巻き込まれる。
監督・脚本は、「グロリアの青春」のセバスティアン・レリオ。
出演は、トランスジェンダーの歌手ダニエラ・ヴェガ。

チリ、サンティアゴ。トランスジェンダーでナイトクラブのシンガーのマリーナ(ダニエラ・ヴェガ)は、
歳の離れたボーイフレンドのオルランド(フランシスコ・レジェス)と暮らしている。マリーナの誕生日を
祝った夜、自宅に戻ると突然オルランドの意識が薄れ、亡くなったことで、彼女は思いもかけないトラブルに
巻き込まれる。
最愛の人を失った悲しみの最中に不躾で容赦のない差別や偏見が浴びせられるが、それでも女性として生きて
いく権利を胸に、自分らしさを守るための闘いに挑むことを決める。(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:78% >
<KINENOTE=73.8点>






by jazzyoba0083 | 2019-03-24 22:55 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「眺めのいい部屋 A Room With a View」
1986 イギリス Goldcrest Films International and more. 114min.
監督:ジェームズ・アイヴォリー  原作:E・M・フォスター
出演:ヘレナ・ボナム=カーター、デンホルム・エリオット、マギー・スミス、ジュリアン・サンズ、ジュディ・デンチ
   ダニエル・デイ=ルイス他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
ジェームズ・アイヴォリーは生粋のアメリカ人でありながら、78年に活動の基盤を英国に移し、英国等欧州を舞台に
した文芸ものを得意とした。この後にはカズオ・イシグロの「日の名残り」や、昨年はオスカーノミニーとなった
「君の名前で僕を呼んで」で見事脚色賞を獲得している。今年90歳になるがカクシャクとしている。

さて、本作、19世紀初頭でのイギリス人男女の恋愛話を描いているのだが、一見、茫洋としてテンポもなく
何を言いたいのか分からないように感じ退屈かもしれないが、原作にある当時の英国の身分制度や、使われる
音楽、上流階級が厭味ったらしく使う「キングズイングリッシュ」などの背景を知らないと、面白さは半減というか
ほとんど分からないだろう。それだけハイブロウ、言い方を変えればスノッブな作品といえる文芸作品である。
背景が分からない日本人にはタフな部分がある映画だ。

タイトルは冒頭とエンディングに活きる仕組みがある。英国ロンドン郊外に住む中流階級の娘ルーシー(ヘレナ・
ボナム=カーター)と独身の年配の従姉妹シャーロット(マギー・スミス)を付き添いとしてフィレンツェを観光
していた。
ところが入ったペンションは約束とは違い、フィレンツェの眺めを楽しめるものではないものだった。
食堂での夕食の時にそんなことを愚痴ると、同じホテルに滞在していた同じイギリス人旅行客のエマーソン氏が
自分らの部屋は眺めがいい、男は眺めなどどうでもいいので、部屋を交換しましょうか、と息子のジョージと
共に申し出る。が、シャーロットは言下に断ってしまう。ルーシーは失礼なこと、と責めるのだが。

さあ、この辺りから読み解くものが出てくる。声を掛けたエマーソン氏は労働階級の人物(と思われる)。その
人から、中産階級の女性たちから部屋を譲って貰うなどありえないことだったのだ。それが英国の階級制度
なのだな。この上に貴族階級がいるのではあるが、そういう人はペンションなどには泊まらない。
結局、牧師のとりなしで部屋は交換することになるのだが。その後2人はフィレンツェでの暴力事件を目撃し
卒倒したルーシーをジョージが助けるなどあるのだが、このフィレンツェの広場での暴力事件はイタリア
労働階級の粗暴さを描いて、それに対するルーシーの反応を描いたもの。いやに生々しい描きかたなのだが、
それはルーシーのリアクションを得るための設定だったのだろう。

さて、舞台はロンドン郊外の田園地帯へ。ルーシーは帰国後、上流階級のセシル(ダニエル・デイ=ルイス)と
いう読書以外に趣味がないというつまらない男と婚約する。自分を欺いている。けどそういうものだと信じこま
せていた。ところが彼女らが暮らす辺りにエマーソン親子が引っ越して来るに及び、ルーシーの心に波が立つ。

結局ルーシーは、形式だけで自分と婚約したセシルとの婚約を解消し、迫ってくる野性的なジョージらも追い出し、
今度はギリシヤに旅をすると言い出す。ルーシーがセシルに婚約を解消したいと言う時に口にするセリフは
自分がジョージに言われたセリフだった。それは、畢竟「自分に嘘をつくな。心に正直に生きろ。愛は思い込み
ではない」などとする、階級社会のタガから抜け出さなければ、見方を変えなければ、真の愛情は掴めない、と
いうことに気が付き始めたのだ。そしてルーシーはギリシャに向かうのだが、途中で寄ったフィレンツェには
ジョージが待っていた。そして2人は最初と同じペンションに泊まった。今度は眺めのいい部屋だった。

映画の中ではプッチーニの「私のお父さん」や「つばめ」からその詩の内容も含め効果的に使われていることも
知っているといないとでは全然訴えるものが違う。またルーシーが弾くピアノ曲が禁欲的なベートーヴェンである
こともなにかの暗喩である感じだ。そして従姉妹や母やセシルが使う正統なキングズイングリッシュ。
また、「聖なる池」でルーシーの弟、ジョージ、牧師が全裸で水浴びしてじゃれ合うところに、ルーシーと母らが
通りかかるのだが、その奔放さ(神職さえ)の表現は、階級社会の堅苦しさの裏返しに他ならない。それにしても
長いボカシの入ったシーンであった。

かように、突き詰めれば一組の男女カップルの出来上がるまでを描いたものではあるのだが、その裏にある19世紀
初頭の大英帝国の階級社会を皮肉を持った目でみながら構成したもので、そこから一人の女性が心の自由を獲得し
真の愛情を得た話に仕上がっている。が、ラストシーンでルーシーが従姉妹に宛てた手紙を読むところでの彼女の
表情を見るとき、この2人に階級社会のイギリスに於いて幸せが待っているのかどうかは未明である、という暗示を
汲み取ることも出来るのだ。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
中世の面影を残す美しい街・フィレンツェを舞台に、イギリスの良家の令嬢と奔放な青年との恋の行方を格調高く
描き出す。出演はヘレナ・ボナム・カーター、ジュリアン・サンズほか。2001年にニュープリント・改訂字幕版で
公開。

1907年。イギリスの良家の令嬢ルーシー・ハニーチャーチ(ヘレナ・ボナム・カーター)は、年上の従姉
シャーロット(マギー・スミス)に付き添われ、イタリアのフィレンツェを訪れる。イギリス人観光客がよく
利用するペンション“ベルトリーニ”についた二人は、部屋が美しいアルノ河に面した側でないことにがっかりする。

シャーロットが苦情を言いたてるのを聞いたエマソン(デンホルム・エリオット)は息子のジョージ(ジュリアン・
サンズ)と共に泊っていた眺めのいい部屋と交換してもいいと申し出てくれるのだった。イギリスの階級意識に
束縛されない自由な考えの持ち主であるこの親子に奇異な眼を向けるイギリス人観光客たち。
一度はためらったシャーロットであったが、偶然に同宿していたハニーチャーチ家の教区のビーブ牧師(サイモン・
カラウ)に説得され、申し出を受ける決心をする。

翌朝一人で町を見物していたルーシーは、サンタ・クローチェ寺院でエマソンとばったり出会い、一緒に礼拝堂の
壁画を見て回った。シニョーリ広場を通りかかったルーシーは喧嘩で胸を刺された男が血だらけになっている場面を
目撃しその場で失神した。そんな彼女を介抱したのは、通り合わせたジョージであった。二人の心に、この時から
特別な感情が芽生えはじめた。

ある日ピクニックに出かけたルーシーは、同行したジョージと、青い麦畑の中で情熱的なキスを交わした。二人の
仲に気づいたシャーロットは、急遽、ルーシーをイギリスに連れ帰ってしまう。数ヵ月後、ルーシーは、高い教養の
持ち主であるシシル・ヴァイス(ダニエル・デイ・ルイス)と婚約する。
そんな矢先、偶然にもロンドンの美術館でエマソン父子と会ったシシルは、ルーシーの家に近い貸家の世話をする。
やがてルーシーはジョージと再会。ルーシー家の人々とテニスに興じるジョージ。傍でラヴィッシュ女史(ジュディ・
デンチ)の書いた小説を読み上げるシシル。再びジョージから熱いキスを受けたルーシーは、シシルとの婚約解消を
決意する。秋、フィレンツェ。ペンション“ベルトリーニ”の眺めのいい部屋に、ルーシーとジョージは再びやって来た。
窓をあけると、美しい風景が広がるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:85%>
<KINENOTE=72.0点>




by jazzyoba0083 | 2019-03-04 22:50 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「ノー・マンズ・ランド No Man's Land」
2001 フランス/イタリア/ベルギー/イギリス/スロヴェニア 98min.
監督・脚本・音楽:ダニス・ダノヴィッチ
出演:フランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラヤツ、フイリプ・ショヴァゴヴイツチ、カトリン・カートリッジ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
この監督の作品は去年「汚れたミルク/あるセールスマンの告発 (2014)」を観た。実話に基づいた
シリアスな告発映画で、見応えがあったのを記憶している。その監督のデビュー作がこれだ。
本作で、ゴールデングローブとオスカーの外国語映画賞を取り、注目された。私もタイトル名は聞いていたが
今回初めて鑑賞した。ブラックユーモアではあるけれど描かれる世界は過激に辛辣で、皮肉で、告発的である。

1993年のボスニア紛争を舞台に、戦争の愚かしさ、不条理、さらには人間の愚かしさを徹底して皮肉る。
描かれるのはほぼ塹壕の中。ボスニア兵とセルビア兵が対峙する。かつては同じユーゴスラビア国民として
同じ言葉を喋り、一つの国歌を歌っていた人間たちだ。東欧は民族と宗教が複雑に重なり合い組み合わさり
複雑な政治状況を持ち、かつての同じ国民同士が殺し合う、という惨劇が繰り広げられ、これに大国の思惑が
からみ、さらに自体を複雑にしていた。こうした状況下、ボスニアとセルビアの中間地帯(ノー・マンズ・
ランド)で、たった3人の兵士と、(突き詰めれば、ボスニア兵のチキとセルビア新兵ニノの二人)の
やりとりに、更に両国の戦いに関与しない国連保護軍(UNPROFOR:フランス軍やドイツ軍が中心)の
いい加減な立場と、他人の国なんてどうでもよくて、事なかれ主義、それより早く帰りたい勢力が加わる。
またこの事態を報道する、功名心だけのマスコミの記者やカメラマンが絡み、三者三様の国際紛争との
関わり合い方から、戦争の愚かしさ、人間の愚かしさを透かしてみせる。それはお金がかかった戦闘シーンが
あるわけでも大掛かりなセットがあるわけでもないのだが、描かれる皮肉な世界は強烈なインパクトを持つ。

塹壕の中のチキのニノ。「セルビアが戦争を仕掛けたと言え」とお互いに言い合う。銃を持ったほうが立場は
上になり、「ボスニアが仕掛けた」と銃の取り合いの中で両方が言う結果となる。実際はどっち?
できれば関わりたくない国連軍、怪我をしたボスニア兵の下に重さに反応する地雷が仕掛けられ、ドイツ軍の
地雷専門家が来るが、「これは手に負えない」とギブアップしてしまう。スカート姿の秘書を連れた上官が
やってきて、マスコミ受けをすることを言い、地雷の上の兵士を放置して帰ってしまう。マスコミは扇情的
シーンのみ欲しがり、国連軍に無理を言い、現地兵士に頓珍漢な質問を浴びせる。

塹壕の中の二人の敵対する兵士は戦争全般の象徴であり、国連軍も、マスコミも、当事者意識のないお客様。
自分たちの立場さえ良ければそれでOKなのだ。そして一番強烈なのが、ラストシーン。全員塹壕から
引き上げたあとに一人取り残された地雷の上に横たわる負傷したボスニア兵。動けば地雷は爆発する。
これはもう、今の世界そのものなのだ。自らの愚かしさの上に動くに動けない世界。一応関わって見せる
国際社会。功名心だけのマスコミ、今の世界情勢をこれだけ堂々と皮肉ってくれた映画はそうそうあるまい。
「人間て、こんなに愚かしい」と。救いの無い映画ではあるが、マスコミを含め権力を持つ人々を最大限皮肉って
見せてくれた。コメディの要素も含むだけに、笑うに笑えないのが逆に辛辣さに重みを加えていた。

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<ストーリー>
ボスニア紛争真っ直中、“ノー・マンズ・ランド”と呼ばれるボスニアとセルビアの中間地帯に取り残された、
敵対する二人の兵士を中心にそれを取り巻く両陣営、国連軍、マスコミを登場させ、笑いの中で戦争を痛烈に
皮肉り、その不条理や愚かさを見事にあぶり出した辛辣な戦争コメディ。

紛争当時、自らカメラを手に最前線に立ち、数多くの映像を撮り続けたダニス・タノヴィッチ監督の長編
デビュー作。周到に練られた脚本は各国で絶賛され、2001年のカンヌ映画祭で脚本賞を受賞したほか、
2002年のゴールデングローブ賞とアカデミー賞の外国語映画賞もW受賞。

 1993年6月。ボスニア紛争の最前線。霧で道に迷ったボスニア軍の兵士たちは、いつの間にか敵陣に入り込み、
気づいたときにはセルビア軍の攻撃が始まっていた。
唯一の生存者チキは、なんとか塹壕にたどり着き身を隠す。そこは、ボスニアとセルビアの中間地帯
“ノー・マンズ・ランド”。偵察に来たセルビア新兵ニノと老兵士はボスニア兵の死体の下に地雷を仕掛けて引き
上げようとする。その瞬間、隠れていたチキが二人を撃ち、老兵士は死に、ニノは怪我を負う。

チキとニノの睨み合いが続く中、死んだと思われていたボスニア兵が意識を取り戻す。しかし、少しでも体を
動かせばさっき仕掛けた地雷が……。チキはまさに身動きできない仲間を気遣いつつも敵兵ニノに眼を光らせ
るのだったが……。

 戦争の不条理を描き出した作品は数あれど、かつてこれほどまでに辛辣な内容があっただろうか。たしかに、
中間地帯に取り残された兵士たちのにっちもさっちも行かないシチュエーションはまさにコメディの王道であり、
極限状況で彼らがとる行動もまたおかしみに満ち、随所に笑いの要素が溢れてはいる。
しかし、そんな彼らのすぐ横に厳然と横たわっている(!)一個の命の重みの前には、そうそう簡単には
笑い声にするのを躊躇させてしまうのもまた事実である。たしかに、ブラック・コメディではあるのだろうが、
そのブラックさがハンパじゃないのである。
これがデビュー作となるダニス・タノヴィッチ監督の“悪意”は、これを観ている観客にも向けられているのかも
知れない? ともかくも必見の傑作である。(allcinema)

<IMDb=★8.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:93% >
<KINENOTE=75.7点>






by jazzyoba0083 | 2019-02-06 22:55 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「涙のメッセンジャー 14歳の約束 Ithaca」
2015 アメリカ Apple Lane Productions and more. 90min.
監督:メグ・ライアン  原作:ウィリアム・サローヤン「ヒューマンコメディ」/「人間喜劇」
出演:アレックス・ニューステッター、サム・シェパード、ハッシュ・リンクレイター、メグ・ライアン
   トム・ハンクス他

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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆☆>
<感想>
メグ・ライアンの初監督作品で、4本目の共演となるトム・ハンクスも友情出演ぽく出てくれて
いるんだけど、なんだかインパクトのない映画になっていた。戦時下の田舎町の市民の悲しみを
少年の目を通して描きたかったのだろうか。

サローヤンの原作は未読だが、おそらく文章で読んだほうが感動が伝わるたぐいの文学ではない
だろうか。言わんとしたいところは分かる。1942年の夏。カリフォルニア州の田舎町イサカ。
14歳の少年ホーマーは、父を戦争で亡くし、兄もまさに今戦場にいる。カリフォルニアの田舎町
には戦争の影は薄い。ホーマーには幼い妹と弟がいる。そこでホーマーは、年を偽って町の
電報屋で配達員として働き、家計を手伝いたいと考えた。夏休みのことだ。

電報屋の先輩はホーマーが16歳と言っているが本当は14歳だと分かっていて、その真面目さに
惹かれ採用する。しかし、戦時下の電報といえば、ほぼ「戦死通告」だ。ホーマーの最初の仕事が
まさにそれ。制服を着て、勇躍電報を持ってある夫人の家に行く。しかしヒスパニック系の彼女は
英語が読めない。ホーマーに読んでくれ、という。しかたなく読むが、すべてを読み終わらない
うちに彼女は事態を把握し、泣き崩れてしまった。逃げるように事務所に戻るホーマー。
遠いと思っていた戦争が身近に感じた瞬間だ。

そして、戦場にいる弟思いの兄からは、ホーマーこそ、立派に生きて、家を守ってくれと書かれた
手紙がさかんに届く。そして自分も必ず帰るから、と。
そして、予想がつくことだが、ある日、電報屋の受信機に「兄が戦死した」と陸軍長官が伝える
電文が来ていたのを見つけた。受電した老電信士は机に突っ伏して事切れていた。
愕然とする心を抑え、制服を着て、母のもとに届けるため自転車に乗る。その頃、家には帰還した
戦友が、家の外に立っていた。彼は兄の戦死を伝えに来たのだった。ホーマーが母に電報を
届けに来たタイミングとドンピシャに合ってしまった・・・。静かに戦争の悲しみを訴えた作品と
言えるのだろうが、ホーマーの立ち位置やトム・ハンクスの存在(亡霊のようなものだけど)、
電報屋の老電信士の言いたいこと、ホーマーの兄の本心、特に母たるメグ・ライアンの心中など
具体的に明らかになることはなかった。どのキャストもその存在と主張が中途半端な状態で終わって
しまった感じ。もう少し、ビシッと何か一本主張が通ったものがあると締まったのになあ。
これだけ地味だと日本では劇場未公開もうなずけてしまう。

設定は少し異なるが、2009年にベン・フォスターとウディ・ハレルソンの主演でイラク戦争を
舞台にして製作された「The Messenger」のほうがニュアンスは違うけど訴えるメッセージ性は
強いだろう。

涙のメッセンジャー 14歳の約束  Ithaca_e0040938_19031975.jpg
<ストーリー>
第二次世界大戦中の米国の小さな田舎町イサカで家族と暮らす14歳の少年ホーマーは、父を亡くし、
兄も従軍中のため、家族を養うために郵便配達員として働き始める。様々な人や景色に出会えるとして
希望に胸を膨らませていたホーマーだったが、戦死した兵士の訃報を遺族に届ける仕事に、現実の
厳しさを思い知らされて思い悩むようになる。そんなホーマーを上司であるトムやベテラン電信士の
グローガンは優しく見守る。
ある日、かねてより酒に溺れる生活をしていたグローガンが仕事中に急死する。そこにはホーマーの
兄マーカスの訃報を知らせる電報が残されていた。激しいショックを受けるホーマーをトムは慰める。

一方、ホーマーの家にマーカスの戦友トビーがマーカスの訃報を知らせにやってくる。そこにホーマーが
帰宅し、家族は全てを理解した上でトビーを家に招き入れる。(wikipedia)

<IMDb=★5.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audiece Score:e31%>






by jazzyoba0083 | 2019-01-28 22:40 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「ナチスが愛したフェルメール A Real Vermeer」
2016 オランダ・ベルギー・ルクセンブルグ Rinkel Films and more. 115min.
監督:ルドルフ・ヴァン・デン・ベルフ
出演:ユルン・スピッツエンベルハー、リゼ・フェリン、ルーラント・フェルンハウト他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
折しも上野の森美術館では、世界中から8点もの作品を集めて「フェルメール展」開催中。
この画家が好きな私も、先日行ってきた。アムステルダム国立美術館に展示されている
ものに日本で再会したり、なかなか魅力的な展覧会だった。
世界に真贋が決定していない2点を含めても37点しかその画の存在が知られていない
フェルメールは「光の魔術師」と称され、日本にも多くのファンを持つ。

本作はそのフェルメールの物語ではなく、彼の贋作を制作し、戦後世界中を驚かせた男、
ハン・ファン・メーヘレンの物語である。
映画は、彼がフェルメールの画をナチスに売った罪で告発された裁判から始まる。彼は
「あの画はフェルメールではない。私が描いた。私は贋作者であっても売国奴ではない」と
無罪を主張、検察は国家反逆罪で死刑に持っていきたいところ。そのあたりに興味を置きつつ
話は過去に戻っていき、その後法廷と過去と時制が行き来しながら進んでいく。

当時は今ほどフェルメールは有名ではなく、知られた画以前に彼が描いた、と称してメーヘレンは
主に宗教画を中心に贋作を描き、フェルメール好きで有名なナチスのゲーリングに高価な対価で
売ったのだった。その他、「エマオの食事」(1936年)は、当時のフェルメールの研究家たちから
「本物」と認められ、ロッテルダムのボイマンス美術館が54万ギルダーで買い上げたという。
この画は、贋作への戒めとして、今でもボイマンス美術館に展示されている。

映画はメーヘレンがいかにして贋作者となったか、また彼を応援してくれていた画廊経営者の妻を
横取りした色恋沙汰も含め、史実に忠実に描いていく。大きな破綻なくなかなか上手く描かれて
いると思う。惜しまれるのは、忠実過ぎるという点と、画廊経営者の妻との恋愛がいささかクローズ
アップされすぎで、売国奴と言って責められる彼が、法廷で実際にフェルメールの贋作を描いて
見せるまでのドラマチックな展開に、水を指した感じがした。色恋沙汰もメーヘレンの一生の一部で
あったことは確かだけど、ちょっと大きなテーマ2つを追いすぎたのではないか。

メーヘレンは裁判後ほどなくして心臓発作で亡くなり、あまり話題に上らなくなってしまうのだが、
フェルメールの贋作を作るとは、よほど自分の腕に自身があったに違いなく、また17世紀の画に見せる
ため、科学的な処理をしたり芸術面だけではなく、「贋作者」として天才・一流であった。

裁判は結局、確かにメーヘレンがフェルメールの画を描いたということがレントゲン写真の判定なども
あり証明され、詐欺罪(国やナチスから多額の売買代金を詐取した)でも訴追されたが無罪となり、
フェルメールの署名を偽造した罪のみ問われ懲役1年を言い渡された。世論も「売国奴」から一転、
「ナチスを騙した英雄」となったのだった。

映画はこうした数奇な人生を歩いたメーヘレンについて知るにはいい参考書であろう。ただ映画としての
出来は、先述のようにいまひとつな感じ。実際、日本では封切られておらず、ビデオスルーになっている。
フェルメールがお好きな方は一度見てみるといいかもしれない。

<ストーリー>
自分の画家としての才能を認めない母国オランダに復讐すべく、フェルメールの名画を何度も贋作した実在の
画家ファン・メーヘレンの数奇な半生を、“真実に限りなく近い”とうたって再現した異色の伝記ドラマ。
実は贋作であるフェルメールの絵画をナチスドイツの高官たちに売ったことで訴えられたファン・メーヘレンの
実像に、ふんだんな回想場面を駆使して肉薄。ファン・メーヘレンと愛し合った人妻、ヨーランカ役の
L・フェリンがとても美しく、彼女のヌード姿も大きな見ものだろう。WOWOWの放送が日本初公開。

1945年、オランダ。画家ファン・メーヘレンは戦時中、ゲーリングらナチスの高官たちにフェルメールのものと
される絵画を売ったことを問題視され、反逆罪と詐欺罪の両方で訴えられる。
1920年代、若かりし日のファン・メーヘレンは才能をなかなか認められず、フェルメールなどの贋作で生計を
立てる。一方、そのころ出会った貴族の妻で女優でもあるヨーランカの美貌に魅了され、彼女をモデルにし、
彼女との関係を深めていく。(WOWOW)

ナチスが愛したフェルメール A Real Vermeer_e0040938_17134413.jpg
<IMDb=6.1>




by jazzyoba0083 | 2018-10-19 22:30 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 Free State of Jones」
2016 アメリカ Bluegrass Films and more. 140 min.
監督・脚本:ゲイリー・ロス
出演:マシュー・マコノヒー、ググ・ンバータ=ロー、マハーシャラ・アリ、ケリー・ラッセル

ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 Free State of Jones_e0040938_13492429.jpg
<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
日本でいうと、ペリーが浦賀に現れた10年ほど後、アメリカでは1861から65年まで
アメリカ唯一の国内戦争である「南北戦争」が起きた。これはリンカーンの登場により
南部7州が権益を守るために「アメリカ連合国」として独立を宣言し、これに対し北部
13州からなる軍隊と全面戦争となった事件だ。歴史の教科書でも名高い。

だが、この背景に、南部に北軍とも南軍とも距離をおいた「自由州」を作ろうとした
男がいたとは初めて知った。実話の史劇が好きな私としては、本国では制作費すら
回収できなかった不作となった本作ではあるが、面白く観させて貰った。

主人公は南軍の脱走兵ニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)である。彼は
「金持ちの戦争を貧乏人がさせられる」ことに戦いの意義を見いだせず、また幼い
甥が戦死したりしていくなかで、軍を脱走。同様に逃走していた黒人奴隷たちと
ある種のコンミューンを形成し、原始共産制のような共同体を作っていった。その
彼の半生を描くものだ。

「南北戦争」が北軍の優勢に進む中、南軍からも逃亡者も増え、農民から食料や
物資を強制的に調達していく南軍から離反していく白人も多くなり、ナイトの
コンミューンは大きく膨れ上がっていく。ついにはミシシッピ州の三分の一を
支配するまでの勢力となる・・・。そして戦争は終わり、黒人にも参政権が
与えられるようになるのだが。

こうした歴史の流れの中で、クレオールのレイチェルという女性、本妻セリーナ、
集団の最初から仲間だった黒人奴隷モーゼズ(マハーシャラ・アリ)とその家族の
逸話などが語られ、また集団を率いるナイトの立場などが綴られて行く。

歴史家によれば、実在のニュートン・ナイトは毀誉褒貶のある人物らしく、最後は
州の連邦保安官代理を務めていたらしい。この映画はナイトの大枠の事実はベースに
してあるものの、相当な脚色が入っていそうだ。

その1つがナイトが活躍していた頃から85年ほど後のミシシッピ州のある裁判の
話がパラで進む構成。(裁判自体は実在と思う)それは、ナイトの孫が白人女性と
結婚したのだが、州の法律で有色人種と白人の結婚は禁じられていて、孫は逮捕され
裁判となったのだ。
その血の割合は八分の一に過ぎないが、それでもミシシッピでは有色人種となって
しまうのだ。彼が罪を逃れるためには離婚して州を離れ無くてはならない。
決定的だったのはナイトがクレオールの娘レイチェルの子どもだと自分の家の
聖書に宣誓したものが見つかったことだ。これにより、離婚を選ばなかった孫は
投獄され5年の懲役を受けた。映画は85年たってもナイトらが血と汗で掴みとった
はずだった「神の子としての自由」は、実現していないということ。作品はナイト
自身の晩年に触れずむしろ、孫の裁判の行方を押し出して終わっていく。たんなる
人物譚で終わらせなかった監督の演出は好きだった。

その裁判がラストに向かって同時進行する。つまり、奴隷解放され黒人参政権が
認められても、南部諸州ではKKKなどの妨害を始め、法律が朝令暮改であったり、
連邦法が無視されたり、これは現代にも繋がることなのだが、根本的な黒人差別は
解消されていない、真の自由はアメリカにはあるのか、という問いを提示するための
演出であるのだ。
夢の国アメリカ、その背後には暗黒の歴史が脈々と続いているのだ。
そしてそれらを告発するような映画もたくさん作られるところがまたアメリカの良さ
でもある。

オスカー男優二人、マコノヒーとアリの演技は安定的であり、安心して観ていられる。
ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男 Free State of Jones_e0040938_13473112.jpg
<ストーリー>
19世紀のアメリカで、リンカーン大統領よりも早く奴隷解放を実現するなど、真の自由を求めて戦った実在の人物、ニュートン・ナイトをマシュー・マコノヒーが演じる歴史ドラマ。南北戦争に疑問を抱き、500人の奴隷と農民たちを率いて100万人の南部軍に反旗を翻す姿が描かれる。監督は『シービスケット』のゲイリー・ロス。

1862年、南北戦争の最中、南軍の衛生兵ニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)は、奴隷を20人以上所有する農園の長男は兵役を免除されるという新法に憤る。甥ダニエル目の前で戦死すると、ニュートンは遺体を家族に渡すため軍を脱走する故郷ミシシッピ州ジョーンズ郡では、物資を徴収する南軍が女たちを苦しめていた。幼い娘を抱えた母親を脅す騎兵隊追い払ったニュートンは将校に目をつけられ、妻セリーナ(ケリー・ラッセル)と赤ん坊を置いて逃げることに。
ニュートンは、酒場の女主人サリーの手引きで“沼”に向かう。イーキンズ家の使用人レイチェ
ル(ググ・ンバーター=ロー)の案内で沼の奥の湿原に入ると、そこは逃亡奴隷たちの
隠れ場所だった。モーゼス(マハーシャラ・アリ)が傷を治療してくれ、ニュートンは
逃亡奴隷たちと心を通わせる。
反撃を決意したニュートンは銃を手配し、脱走を繰り返したためにつけられたという
モーゼスの鉄の首輪を外す。その大きな音を聞いて駆け付けた捜索隊を迎え撃ちにすると、
黒人を助けるために白人を撃ったニュートンに逃亡奴隷たちは驚く。

1863年、沼の自由反乱軍には逃亡奴隷や脱走兵、元南軍のウィルやジャスパーも加わって
いた。南軍に資産を奪われた村人たちも集まり、黒人と白人が平等な村が生まれた。
ジョーンズ郡の自由民と名乗り、騎兵隊から物資を奪い返す反乱軍に、南軍は農場を焼き
払うという手で降伏を求める。ニュートンは拒否するが、農場を守ろうと降伏した父親ら
4人が見せしめに吊るされる。怒りで一つになった反乱軍は南軍を攻撃し、1864 年に
エリスビルの司令部を占拠、さらに隣接する3つの郡を奪う。
北軍に援助を断られたニュートンは、北部にも南部にも属さないジョーンズ自由州の設立を
宣言する。1865年、南北戦争は終結するが、新たな戦いが始まった……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:46% Audience Score:63% >



by jazzyoba0083 | 2018-03-21 23:15 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「ナイスガイズ! The Nice Guys」
2016 アメリカ Misty Mountains,Bloom and more. 116min.
監督・(共同)脚本:シェーン・ブラック
出演:ラッセル・クロウ、ライアン・ゴズリング、アンガーリー・ライス、マット・ボマー
   キム・ベイシンガー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
面白い! 前知識無しで観たのだが、作品中のエピソードの「あり得なさ」加減のアイデアや
描写が工夫されていて、画面から目が離せない。細かいギャグも散りばめられ、それに乗って
オスカー俳優の二人が見せる、バディもの、という仕立てだ。

時代設定は1970年代。タイトルロゴや音楽・衣装もバッチリ70年代している。現代から
見れば既に分かっている過去を描くアイデアだ。当時カリフォルニアを中心に自動車の排ガス
規制は厳しさを増し、「マスキー法」という法律も出来てくる。そうした時代背景を上手く
利用しスモッグに霞んだLAを舞台に、二人のポンコツ探偵が活躍するのだ。

主役の二人はもちろん安定した演技なのだが、ゴズリングの娘ホリーを演じた
アンガーリー・ライスが大人びた演技でなかなか良かった。彼女、最近作ではニコール・
キッドマン主演の「ビガイルド」に出演するなど、これからが楽しみな女優さんだ。
彼女がこの本作でもキーになっている。(賢いという点でね)

開巻、道路の下に建つある家の中。夜である。家人の不在をいいことに、一人の少年が
エロ雑誌のグラビアを眺め悦に入っている。と、そこに上の道路からクルマが突入し家の
中を通過し、庭で大破する。少年が駆けつけると、中には全裸の瀕死の女性が一人・・・。
「私に乗りたい?」と言って絶命する。少年が観ていたのは彼女のグラビアだったに違い
ないのだ。
このシーンだけでも「あり得なさ加減」は相当なものだけど、この事故が起きる直前、
少年がエロ本を眺めている背後の窓にクルマが道路から落下してくる小さい映像が
写っている。すべからく、そういう細かさのある映画だ。そうした丁寧さがきちんとした
面白さに繋がっている。

ポンコツ探偵二人のうち、ギャグ担当はゴズリングなのだが、彼のカラダを張った
「あり得なさ爆発」のギャグの出来もいい。例えば、ドアガラスを手にハンカチを巻いて
割って鍵を中からあけようとするも、ガラスで手首を切り、出血多量で救急車を呼ぶハメ
になった、とか、高層ビルでのアクションで悪いやつと二人で落下するも、自分はプールへ、
悪党はプールサイドでグシャグシャになる、とか。仕掛けがよくできていて笑えるわ、
痛快だわ。また自動車排気ガスの規制を巡る陰謀のネタあかしでは、告発映画の上映に
まつわる老女の証言なども良く出来ていたと感じた。

やっていることは下卑ていて粗野だけど、映画としての面白さのツボをちゃんと押さえて
あるので、面白いわけだ。手を抜いていない、ということだね。
最初にも書いたが、今を知っているから面白い70年代ギャグ、排ガス規制を厳しくして
アメリカの車メーカーを潰すわけにはいかないのだ、とするキム・ベイシンガー扮する
司法省の偉いさん。そう、実際はその後、ビッグスリーはいずれも国からの資本を注入される
ほどに弱まるわけだ。そしてゴズリングが「5年後には日本製の電気自動車で溢れているさ」
とご託宣を述べるのだが、それはプリウス旋風の事であることが僕らは既に知っているから、
ニヤリと出来る仕掛けだ。

全体として、まとまりがよく、吹っ切れているし、アクションもいい。そして演者たちの
役どころを抑えた演技も良い。(個人的には)まったく死角に入っていた作品だったが
十分に楽しませて貰った。
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<ストーリー>
ラッセル・クロウとライアン・ゴズリングが演じる凸凹コンビが、少女失踪事件の捜査を
機に巨大な陰謀に巻き込まれていく様を描くサスペンス・アクション。『スパイダーマン:
ホームカミング』にも出演する新鋭アンガーリー・ライスがヒロイン役を務めるほか、
キム・ベイシンガーやマット・ボマーらが脇を固める。

1970年代、ロサンゼルス。13歳の娘ホリーを抱えるシングルファーザーのマーチ
(ライアン・ゴズリング)は、酒を飲んでばかりの情けない私立探偵だった。
ある日、示談屋のヒーリー(ラッセル・クロウ)に強引に相棒にさせられ、彼と一緒に
失踪した少女を探す羽目に。車の運転もこなすホリーを加え少女を捜索するうちに、
ある映画に関する連続不審死事件、さらに国家を揺るがすような巨大な陰謀に行き当たり、
次々に殺し屋が現れ狙われていく。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:78% >




by jazzyoba0083 | 2018-03-11 15:30 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

「人間の値打ち Il capitale umano(Human Capital)」
2013 イタリア Indiana Production Company,Motorino Amaranto. 109min.
監督:パオロ・ヴィルズィ
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ファブリッツィオ・ベンティヴォリオ、ヴァレリア・ゴリノ、
   ファブリツィオ・ジフーニ、ルイジ・ロ・カーショ、ジョヴァンニ・アンサルド、マティルデ・ジョリ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
面白かった!ロバート・アルトマンとかポール・ハギスが作りそうな、ある出来事が伏線となり様々な人間の心の
中身を剥ぎ取って見せて行き、一点に収束していく群像劇。それぞれの登場人物にまつわるプロットが上手く
出来ていて、重なる部分をきちんと見せて関連性を認識させるという丁寧な作り方も良かった。内容がいかにも
イタリア的で、アメリカ映画が描く俗物像とは少しシニカルに、アイロニカルに表現されている感じだった。

人間の実相はこんな感じ、という、嫌な言い方をすれば「あからさまな身も蓋もない」表現で、金銭にまつわる、
見栄にまつわる、嘘にまつわる、愛憎にまつわる「嫌な面」をたっぷりと見せてくれる。まさに欲望と打算である。
映画は3人にハイライトを当てつつ進み、最終章で全てを回収する仕組みとなっている。

原題Human Capital とは死亡保険金を算出するときなどに使われる経済用語で、「人的資本」と訳される。
このタイトルが絶妙だ。ラストに最初に出演者の誰かに撥ねられて死んだ男の補償金についての説明が
淡々となされるのだが、彼の残りの人生や社会的地位や労働によって得べき金額などを合算し出す金額が
示される。死んだ男は顔さえ映らない。だが金持ち連中は、そのことよりも我が身可愛さであたふたとする。
この死んだ男は何かのメタファーなのだろう。邦題の「人間の値打ち」も良く付けたと思う。このタイトルも
アイロニカルだ。

いわば「人間のいやらしさ」を浮かび上がらせた作品。その描き方が一流で見事。だが、きちんとカタルシスを
置くことも忘れてはいない。が、金持ち、そこそこ、貧乏というそれぞれの居場所において彼らが取る行動に
いろんなことを考えさせられる。自分の嫌な部分に手を突っ込まれるような「素敵な」映画だった。
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<ストーリー>
イタリア・アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞など7冠に輝いたミステリー。クリスマス
イヴ前夜、イタリア・ミラノ郊外で一件のひき逃げ事故が起こる。この事故をきっかけに、経済格差のある3つの
家庭に隠された秘密が浮かび上がる。

イタリア・ミラノ郊外。町で小さな不動産屋を営むディーノ(ファブリツィオ・ベンティボリオ)は娘のセレーナ
(マティルデ・ジョリ)、後妻で心療内科医のロベルタ(ヴァレリア・ゴリノ)と暮らしている。

ある日、ディーノは富豪のボーイフレンドの家に遊びに出かける娘を送り届ける。そして、屋敷の主人である
ジョヴァンニ・ベルナスキ(ファブリツィオ・ジフーニ)に近づき、ベルナスキが手がける投資ファンドへの
参加をほのめかす。出資金額は総資産の20%以下が出資の条件であるにも関わらず、一攫千金を目論んだディーノ
は銀行から70万ユーロもの大金を借り、ファンドに参加する。

ベルナスキの妻カルラ(ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ)は何不自由ない生活を送っているが、夫からは
アクセサリーのように扱われ、自分の居場所を見出せず空虚な日々を送っていた。
ある日、カルラは町にある唯一の劇場が老朽化のため取り壊されそうになっているのを知ると、再建のための
出資を夫に頼み、劇作家や評論家を巻き込んで自ら運営委員会を立ち上げる。

金持ちの子女が集まる高校に通うセレーナは、ボーイフレンドはいるが、本当の愛とは何かはまだ知らずにいた。
そんなある日、継母ロベルタの勤務先で不思議な少年と出会う。それから半年後のクリスマスイヴ前夜。
一件のひき逃げ事故が起こる。それをきっかけに、ディーノ、カルラ、セレーナの思惑と欲望が明らかになって
いく。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:82% Audience Score:77% >




by jazzyoba0083 | 2018-03-09 23:03 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

⚫「ノッティングヒルの恋人 Notting Hill」(再見)
1999 アメリカ Polygram Filmed Entertainment,Working Title Films and more. 123min.
監督:ロジャー・ミッシェル 製作総指揮・脚本:リチャード・カーティス
出演:ジュリア・ロバーツ、ヒュー・グラント、リス・アイファンズ、ジーナ・マッキー、ティム・マキナニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
11年ぶりの鑑賞。その時のブログは下にリンクを張っておきますが、感想としてはあまり変わりがない。
凄いストーリーではないのにすごく「居心地の良い」作品。ほのぼのとする、というか心が暖かくなると
いうか。初見も冬だったが、寒い季節に見たくなるような映画なのだろう。

やはり脚本が良いのだと思う。リチャード・カーティスというイギリスの(生まれはニュー・ジーランド)
脚本家、監督は、「ラブ・アクチュアリー」、「フォー・ウェディング」「アバウト・タイム」「ブリジット・
ジョーンズ」シリーズ、「Mr.ビーン」シリーズなどを手がけている。それぞれ観ているが、イギリスの風味を
上手く活かした手堅い作品を創っている。ヒュー・グラントとも数作共にしており、彼の使い所のツボを心得て
いる感じだ。そこに当時勢い最高潮の典型的なアメリカ生まれのハリウッド女優ジュリア・ロバーツを
女優という役柄で放り込む。周りをシュアな演技をするイギリスの俳優たちで固め、舞台も全てロンドンだ。
こうしたシチュエーション(ドラマの設定)とロケーション、イギリス流ヒューモアとウィットそして
配役の妙が、「逆シンデレラの王道的」ストーリーを、観る人に心地よいものにしていると感じる。

この映画を観ていると、「一目惚れ」「住む世界の、価値観の違い」などを感じる。ロンドンにやってきた
ハリウッドの人気女優はロンドンの旅行書専門店を訪れるのだが、その店主(ヒュー・グラント)に
一目惚れ。作品の経過と共に分かるのだが、彼女が置かれた不自由な生活の反動もあったのだろう。
権謀術数渦巻くハリウッド生活で心が荒んでしまった女優にとって、ロンドンの普通な心地よい男性は
心に空いた穴にすっぽりハマったのだろう。

そして気はいいが、ハリソン・フォード似の男に女房を寝取られた、結構チキンな男。住む世界も、持っている
物差しも全然違う女性に恋し、傷つき、悩む。一方の女優も、男を好きになるのだが、周囲の事情がなかかなか
彼女を好きにさせず、その状況が男を傷つけ、また自身をも傷つけてしまう。

初デートが妹の誕生祝いをする友人宅のディナーで、男はそこで結構自分のことを女優に教えるのだが、彼女は
ラストまで、ハリウッド女優としか分からない(観ている人は)。ということは、この映画はどちらかというと
男性側の目線の映画である、といえるのだろう。

男女の抱える落差からお互いが悩む、ぞれぞれの心境に観客はシンパシーを感じつつ、もどかしさを感じたり
共感を覚えたりしていく仕組みだ。さらに、男を取り巻く家族や友人たちが、サイドストーリーを展開しつつ
男を支え、あるいは男に愛情が如何にあるべきかを教え、それがまた心を暖かくしているのだ。ラストには
ちゃんと彼らの幸せも示唆されているところがニクい。

女優は2度めの男のとのすれ違いの後に、オスカーを獲るという設定だが、ジュリア・ロバーツ自身も翌年の
作品「エリン・ブロコビッチ」で主演女優賞を獲得する。
個人的にはあまり得意でない女優さんだが、所見のときも書いたが、本作ではいい味が出ている。キャスティングの
妙、ということかもしれない。イケメン、ヒュー・グラントは彼の持ち味はこうでしょ、という良い側面が
出ている。両者とも年齢を重ね、それぞれベテラン中のベテランになっているが、主役を張るというより、
主役級が集まる映画のメンバー的ポジションとなっている。

女優は、最初のデートの時、老いた女優の惨めさを切々とみんなに披露するのだが、それが現実となりつつある
ジュリア自身、今、どう思うのだろうか。

本作で触れておかなければならないのは音楽だろう。主題歌でありエンディングで効果的に使われる"She"。
冒頭は作者自身でもあるシャルル・アズナブール、ラストはエルビス・コステロが歌い上げる。
また男の心を表現する手段として、ビージーズ「傷心の日々」のアル・グリーンバージョン、などなど
いい曲がいいタイミングで(別の言葉で言うと「ベタな感じで」)効果的に使われている。

また映像の構成としてみた場合、屋内と屋外、アップとロングのリズムがいい。またドローンが無かった時代に
俯瞰のズームバックをどうやって撮ったんだろう?というショットなど、画の方もなかなか魅せた。

ジュリアの役どころが女優なので、デミ・ムーアやパトリック・スウェイジ、メグ・ライアンなどが実名で
出てくるところもニヤリポイント。

ところで、この映画を観た方はみなさん気がつくと思うけど、ヒュー・グラントのアパートの玄関に置かれた
振り袖女性の等身大パネル。誰でしょう?ネットを調べてみると、当時の富士フィルムの「お正月を写そう!」
の宣伝でカメラ屋さんの店頭に置かれたパネルらしく、女性はスティーヴン・セガールの娘さん、藤谷文子さん
らしいですね。それにつけてもこの映画では、サボイホテルのなかなかセンスの良いフロントマンのおじさんの
頬にキスをする「タキヤマ」なる日本人らしき人物も描かれていますが、脚本家は何を意図して日本を
入れ込んだのか、マーケティングなのか、そのあたりはよくわからなかったですね。
ノッティングヒルの恋人 Notting Hill (再見)_e0040938_12285003.jpg
<ストーリー:結末まで触れています>
アナ・スコット(ジュリア・ロバーツ)はハリウッドの大女優。そんな彼女がロンドンのノッティングヒルに
ある書店に足を運ぶ。店主のウィリアム(ヒュー・グラント)は突然のことにびっくり。さらに彼は買物の
帰りに偶然アナとぶつかり、ジュースをかけてしまう。慌てた彼は服を乾かすよう申し出て、アナを家に招く。

何とか彼女を送り出して間もなく、彼女が戻って来てウィリアムにキスをして立ち去る。夢のような時が
過ぎて数日後、ウィリアムに電話があったとルームメイトのスパイク(リス・エヴァンス)から聞かされる。
早速アナが宿泊しているホテルに向かい、雑誌記者と偽り部屋に入る。ウィリアムは妹の誕生日パーティーに
アナを誘い、彼女も誘いに応じる。その後もデートを重ねる二人。

ところがある晩二人がアナの部屋に行くと、有名俳優の恋人が彼女の帰りを待ち構えていた。彼氏の存在に
ショックを受けたウィリアム。そして半年後。マスコミのほとぼりが冷めるまで家に置いて欲しいとアナが
突然やって来る。だがそれも同居人スパイクが口を滑らせたことでマスコミが殺到。アナは二度と会わないと
言い残し、雑踏の中へ消える。
一年後。アナの撮影現場を訪れたウィリアムは気持ちを伝えられない。彼女が店に来てもつれない態度を
取ってしまう。それを見かねた友人たちは一丸となってウィリアムをホテルに送り届ける。記者会見場に
もぐりこんだ彼は、再び記者になりすまし彼女に告白。アナもプロポーズに応え、会場は結婚会見に早代わり。
二人はロンドンでゆったりと時を過ごすのだった。

<IMDb=★7.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:83% Audience Score:79% >





by jazzyoba0083 | 2018-02-15 22:55 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)