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ボーダー The Border (1982)

●「ボーダー The Border」
1982 アメリカ Universal Pictures,RKO Pictures,Efer Productions.109min.
監督:トニー・リチャードソン
出演:ジャック・ニコルソン、ハーヴェイ・カイテル、ヴァレリー・ペリン、ウォーレン・オーツ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
今も昔も貧しいメキシコから自由の天地アメリカを目指す人々は変わらない。最新版の同名映画の出来は
良かったのだが、本作、独特の味わいはあるのだが、今ひとつピリッとしないというか、結局ニコルソンの
人情噺になっていいのか、良くわからない作品だった。主役二人の名前に惹かれてNHKBSの放映を録画して
鑑賞したが、半ばあたりから早見モードとなった。大きくフィーチャーされた時代を反映している
ライ・クーダーの音楽も、中身を上手く反映できていなかったように感じた。
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ロスの警官から国境警備隊に転職したニコルソン。エルパソにかなりの家を買って引っ越した。
だいぶ借金もしたようだ。警備隊の先輩カイテルは、不法入国を手助けする一味から金を貰って
お目こぼしをしている。隊長がその元締めのような悪の組織として描かれる。悪の巣窟として描かれる
NY市警の構図とそっくりだ。ニコルソンは悪いこと、と分かっていてカイテルに引っ張られて悪い世界に
足を突っ込んでいた。
そこに赤ちゃんと弟を抱えた若い女性を見つける。ニコルソンは罪滅ぼしのように、誘拐され転売されそう
になっている赤ちゃんを助け、女性と弟に金を渡して国境を超えるように手引する。
しかし川を渡って国境を超えたところで弟は撃たれて瀕死の重傷を負い、メキシコ側に戻り同じく
メキシコに戻った女性の腕の中で絶命した。ニコルソンは仲介人のボスをとっちめて赤ちゃんの行方を
探し、川を渡って女性のもとに赤ちゃんを届けるのだった。
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という物語なんだけど。国境を挟んで展開されるニコルソンと妻、そしてたまたま目にしてしまう美しい
あどけなく幼い母親、警備隊を覆う悪行などを絡めて描く。ニコルソンのキャラクターが立たなければ
ならないタイプの映画だと思うが、根っこはいいやつだと最後に描くことでオチとしたが、プロセスが
弱いと感じた。ライ・クーダーの音楽はそれを補いきれず、雰囲気をバックアップしただけで終わった。
悪に手を染めているカイテルの背景も分からずじまいだし。
銃の音も昔の西部劇の効果音みたいに貧弱な上、夜間の光景がそれこそ昔の西部劇を撮影するときみたいに
日中の撮影にくもりガラスを使った手法なので、全体に古さを感じてしまう。

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<ストーリー:結末まで書かれています>
ロサンゼルスの警官チャーリー・スミス(ジャック・ニコルソン)は、妻のマーシー(ヴァレリー・ペリン)
の望みでテキサスの国境の町、エルパソヘ引っ越すことになり彼女の親友サバンナと夫のキャット(ハーベイ・
カイテル)を頼って新しい生活へと旅立った。

一方国境をこえたメキシコでは乳のみ子をかかえた母親マリアが弟のファンと共に苦難の生活から何とか
立ち上がろうと努めていた。キャットと共に国境警備隊員として働くことになったチャーリーは、故郷を
すて未知の国に希望を託して不法入国する人々の悲惨な状況を知り激しいショックを受ける。

その国境地域の実状の厳しさを彼に教え案内してくれたチャーリーの相棒が何者かに殺された。不信を抱いた
彼は、警備隊の隊長レッド(ウォーレン・オーツ)に会った。
同じ頃彼は赤ん坊を抱きかかえたマリアを川で見かける。声をかけるが、侮蔑に満ちた表情を返すマリア。
浪費家の妻に嫌気がさしていたチャーリーは、家では安らぎを感じられなかった。そしてキャットが不法入
国者たちをコントロールする立場にあり、彼らを北部に送っては日銭をとっている事実を知って唖然とする
チャーリー。さらに彼らの手先のメキシコ人がマリアの子供をさらい英国系の家庭に売ろうとしていた。
キャットに批判を溶びせるチャーリーは、やがてマリアたちの味方についた。様々な防害をはらいのけ、
キャットら一味との撃ち合いの末、遂に赤ん坊を救い出したチャーリーに、マリアははじめて笑顔を送る
のだった。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Metacritic=66>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:53% >
<KINENOTE=64.8点>






by jazzyoba0083 | 2019-11-29 23:00 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「復讐のドレスコード The Dressmaker」
2015 オーストラリア Screen Australia (presents),Film Art Media,White Hot Productions. 119min.
監督・(共同)脚本:ジョスリン・ムーアハウス
出演:ケイト・ウィンスレット、リアム・ヘムズワース、ジュディ・デイヴィス、ヒューゴ・ウィーヴィング他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ハリウッド製とはちょっと違うテイストはあるかな。意外といったら失礼だが、面白く見せて貰った。
どこかコーエン兄弟とかティム・バートンのブラックな匂いもしたりするのでその辺りのニュアンスは
嫌いじゃないので。しかしながらドレスメーカーというポジションが、新鮮であると同時にどうも
スカッとしないという感じがした。ケイト・ウィンスレットの演技はそんなキャラクターを上手く演じ
ていたと思う。

サスペンスであり、コメディであり、不条理劇でもあるようなてんこ盛り感があり、親子の結びつきの
ややこしい綾もあったりでちょっとストーリー的にも欲張ったかな、という感じもあった。
とはいうものの結局引っ張られて観ちゃったわけで作品にそれなりのチカラはあった、という事なのだ
ろう。単館・名画座系で上映されそうな感じでもあるが、配給の関係か、日本では劇場公開されなかった。

基本的にはケイト・ウィンスレットが少女時期に犯したといわれている少年殺人事件の真相を探る物語と
一流のドレスメーカーになって故郷に戻りその腕前を使ってかつて母と自分に冷たかった故郷に復讐を
遂げるという物語がメインになっている。

時代は1950年代半ばのオーストラリアの田舎町。自分は果たして25年前に犯したという少年殺人の
犯人なのか、あるいは真犯人は別にいるのか。田舎町に帰ってきたハデハデなウィンスレットはたちまち
注目されるが、昔の事件を皆覚えていて、遠巻きにする。そんな彼女を暖かく見つめるのは女装趣味のある
警察署長と、貧乏青年リアム・ヘムズワース。
ある日彼女は冴えない娘を自分のドレスを着せ、メイクをすると見違えたように美人になり、良縁を得る。
これを見た田舎のお姉ちゃんやおばちゃんらがウィンスレットのもとに押し寄せる。

一方、真犯人探しだが・・・。備忘録的に結末を書いておくと、少年は闘牛ごっこをして彼女を壁に
追い詰めようとして、彼女が身をかわした時に壁に自らの頭を激突させて、死んだのだった。その様子は
知恵遅れの彼女の弟がはっきり目撃していた。更に、その少年の父は自分の父親(市長)であったことも
判明。市長一派は、疎ましい愛人とその子供を町から放逐したかったらしい。俄然復讐にでるウィンスレット。

町の人らが揃って演劇に出かけたスキに、自分の家に火を放ち、その火が町に延焼するような仕掛けを作り
一人パリに引き上げていったのだった!
独特の味わいを持つ本作、WOWOWで観たのだったが、ケイト・ウィンスレットの名前に惹かれて観たの
だったが、通りすがりで観た割には満足度は高い映画だった。

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<ストーリー>
「愛を読むひと」で第81回アカデミー賞の主演女優賞に輝いた人気女優ウィンスレットをはじめ、
「ハンガー・ゲーム」シリーズのL・ヘムズワース、「マトリックス」シリーズのH・ウィーヴィン
グなど、英国やオーストラリアの出身である豪華キャストがそろった充実作。
過去の殺人事件の謎に迫るミステリーと、ブラックユーモアコメディという2つの異なるテイスト
が同居するオフビート編。やはりオーストラリアの出身で、「キルトに綴る愛」などでも知られる
J・ムーアハウスが監督。WOWOWの放送が日本初公開。

オーストラリアの田舎町ダンガター。25年前の少女時代、同世代の少年スチュワートを殺したと
疑われながら町を去ったティリーが、久しぶりに町に帰って来る。認知症にかかった母親モリーの
面倒をみるためだが、ティリーの帰郷をよく思わない者も大勢いた。やがてティリーが服作りが上手な
デザイナーだと知った町の女性たちは次々と彼女にドレスを作るよう頼むようになるが、ティリーは
自分と同世代の男性テディと親しくなり……。
(WOWOW)

<IMDb=★7.1>
<Metacritic=47>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:56% Audience Score:66% >







by jazzyoba0083 | 2019-11-28 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

ブレイン・ゲーム Solace

●「ブレイン・ゲーム Solace」
2015 アメリカ New Line Cinema and more. 101min.
監督:アルフォンソ・ポヤルト
出演:アンソニー・ホプキンス、ジェフリー・ディーン・モーガン、アビー・コーニッシュ、コリン・ファレル他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
WOWOWのメッケモノの一つ。出演者に釣られて観た所、これがなかなか面白かった。
脚本がいいんだろう。それとやりすぎ感もある画作りも魅せる。しかしこれだけのメンツが
揃いながら、あまり評判にならなかったと記憶する。配給の問題だろうか。
主役級の4人がいずれもいい。安定の演技で、ともすると陳腐になりがちなストーリーを
支える。

物語を構成する人物の背景や動きが分かりやすく、ミステリー&サスペンス&ホラーで
ありながら進行が滞らず、上映時間も適切で冗漫な感じがないところも評価点だろう。
FBI捜査官ジェフリー・ディーン・モーガン、相棒アビー・コーニッシュ、霊感のある
医師で捜査協力者アンソニー・ホプキンス、サイコキラー、コリン・ファレルという配置。

共通した事柄を持つ人物が連続して殺されるという事件が起きる。FBIに捜査協力してきた
医師ジョン・クランシーは自分の娘が白血病で亡くなり、その後、妻とも疎遠になってしま
ったことから捜査協力とは距離を置いていた。しかし、長い間共に事件を解決してきた捜査官
ジョー・メリウェザーの依頼とあっては断れず、協力することに。
ジョーの相棒はやる気満々のキャサリン。

共通する事柄とは、殺された人物が老若男女問わず、死病に侵されているということだった。

犯人は「苦しんで死ぬことが自分にも見える。放置は出来ないので殺した。苦しむ姿はみて
いられない。これは慈悲深い行為だ」というチャールズという男。クランシー医師と同じく
人の将来が見えてしまう特殊な能力を持っていたのだった。
クランシー医師とチャールズの対決が迫る。そしてラストのどんでん返し・・・。

観ている人に予断を与えるように、途中で別の殺人事件と犯人を登場させてみたり、
キャサリンといざこざがあったクランシー医師が彼女の過去を全部暴いてしせたり、
親友とも思うメリウェザー捜査官が実は末期のガンであったとか、いろんなエピソードを
挿入し、凝った映像を見せて飽きさせない。

ラストのどんでん返しは、ありがちなので、もう一捻りあると絶品だったがなあ、と思った。
アンソニー・ホプキンスはこうしたキャラはどうしても「羊たちの沈黙」が重なってしまうが、
ナチュラルな演技はさすがだ。そして紅一点ともいうべきコーニッシュ、いつも体の線が
ミエミエのピタピタシャツを着ているのは、ウケ狙いかなあ。良かったけど。

本国の評価はメタ低いし、監督の狙うスタイリッシュな感じが鼻につく人は嫌だろうけど、
私はそこそこ面白く観ました。

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<ストーリー>
連続殺人事件の捜査に行き詰まったFBI捜査官(ジェフリー・ディーン・モーガン)とその若き
相棒(アビー・コーニッシュ)は、引退した元同僚のアナリストで医師のジョン・クランシー博士
(アンソニー・ホプキンス)に助けを求める。博士は娘の死をきっかけに世間から閉じこもり、
隠遁生活を送っていたが、この事件には特別な感情を抱き、捜査に協力する。
しかし、並外れた予知能力を持つ博士は、この事件の容疑者(コリン・ファレル)が、自身以上の
能力を持っていることに気づく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.4>
<Metacritic=36>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:25% Audience Score:43% >
<KINENOTE=67.9点>


by jazzyoba0083 | 2019-10-31 22:55 | 洋画=は行 | Trackback(1) | Comments(0)

●「判決、ふたつの希望 L'insulte」
2017 レバノン・フランス Ezekiel Films (presents). 113min.
監督・(共同)脚本:ジアド・ドゥエイリ
出演:アデル・カラム、カメル・エル・バシャ、カミーユ・サラメ、リタ・ハイエク、クリスティーヌ・シューイリ他

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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
単館上映を見逃していた一作。。WOWOWでの放送を機会に鑑賞。レバノンの映画は初めて観た。これが
なかなか良かった、というか考えさせる映画で作劇としても上手いと感じた。

ストーリーは単純なのだが、ユダヤとパレスチナ人、またレバノン国内でのパレスチナ人の立場などの史実と
現状を知らないと物語が見えづらいという難点はある。特に日本人には。だがそれを予習して見れば更に
理解とこの映画が持つ意味の深さを感じ取ることが出来るであろう。また本作で描かれている状況はレバノン
国内の、またパレスチナ人とユダヤ人の問題に矮小化することなく、世界のどこにも普遍的に転がっている
問題なのだ、ということに想いを致さねば監督の狙いは理解できないのであろう。私は特に最近の日本と
韓国の問題に置き換えて考えていた。

パレスチナ難民を始めとする中東地区の問題の多くはかつてのイギリスの三枚舌外交の弊害が大きい。さらに
宗教的な対立が絡んで、その解決は十字軍の昔からはて無く続いているだけで簡単ではないだろう。だが
本作では、人間のこころの中の「善なるもの」の普遍性に希望を見出し、訴えかけている。

個人的ないざこざが法廷で民族を背負った弁護士同士のクライアントそっちのけの論議となり、これが更に
民族対立を煽り、遂には大統領が出てくる大問題へと拡大していく。それは抜き差しならぬ民族の尊厳とか
個人の誇りという目に見えないものを解決することの難しさを指摘しているのだが、一方で、先に述べた
ように「人間の善なるもの」「赦し」の可能性に、和平への緒(いとぐち)を見出し、提示していたのでは
ないかと見たのだった。

最初のトラブルとなるベランダから違法排水をした自動車修理会社を経営しているレバノン人トニー。
これを修理しようとするパレスチナ難民で現場監督ヤーセル。舞台はレバノンの首都ベイルートだ。
この個人的な二つの民族の個人の対立が発端となる。せっかく排水管を直したのにトニーはこれを破壊し
てしまう。これに怒ったヤーセルは「クソ野郎」と言い残して去る。この言葉に激怒したトニーは、
ヤーセルに謝罪を要求するが、ヤーセルは悪いのはヤツだとして謝罪を拒否。だが上司に説得されて
謝罪にトニーの工場へ出向くが、トニーから「シャロン(イスラエルの国防相だった将軍)に殺されて
いればな!」と言ってしまう。民族の自尊心を著しく傷つけられたヤーセルはトニーの腹を殴り、肋骨を
二本折ってしまったのだった。

これが裁判になり、弁護士は二人の個人が「謝罪」レベルの要求だったのが民族の対立を煽るような
裁判になってしまう。トニーの弁護士はレバノン人の権利を守ろうとする有能な弁護士が無料で担当。
ヤーセルには人権派の女性弁護士が付くがこの弁護士同士はじつは親子だったのだ。

次第に事件は個人のレベルを超えて民族の対立となり、レバノン内戦のほじくり合いになり、個人の
プライベートも次々とほじくり出される。これにメディアが乗っかり最後には大統領が二人を呼び出す
ことに。
国のために「恩讐を乗り越えて欲しい」と大統領の願いを受け止めた二人だが赦すつもりはない。

しかし、この帰り、エンストしたヤーセルのボルボをBMWで帰ろうとするトニーが戻ってきて修理して
やるという行動に出る。二人は周囲のこともあり引き下がれなくなったが、人間の根本としては悪いやつ
ではないのだ。映画はこことラストシーンの二人の微笑み合いに希望を託しているな、と感じさせる。
またヤーセルはトニーの元を訪ね敢えて悪口を言って自分を殴らせる。そして「謝るよ」と一言残して
去っていく。

大荒れの裁判(控訴審)も、「双方の行動を見るとどちらも悪い。喧嘩両成敗も考えたが、被告ヤーセル
は無罪」との判決を下した。負けた被告のトニーも弁護士もどこかさっぱりしていた。
二人は別れ際微笑みを交わし合っていたのだった。

この二人の背景にある怒りや憎しみを、私たちの普通の暮らしの中での出来事に置き換えることが出来る
ほど単純ではないことは理解できる。しかし、人間同士のいがみ合いの根っこは、意外に「体面」だったり
「尊厳」だったりする目に見えないものが大きいのであり、それは決して乗り越えられないものではない
のではないか、と監督は単純な構図の中で提示してみたのではないか。

冒頭でも書いたように、お互いの立場や想いを真剣に考え理解することが大事なんだという理屈が
いかに世界で通じていないか、とも汲み取れよう。人間「怒ってばかり」では決して楽しくないし、
平和でもないのだ。一方でそれを妨げる政治や宗教対立があるのは確かな現実なので、現状はそうそう
簡単ではないとは分かるのだが・・・。

本作は上記のような思いもそうだが物語のススメ方、プロットの置き方が誠に上手で、観ていて飽き
なかった点は立派なものだと感心した。

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<ストーリー>
アカデミー賞でレバノン作品として初の外国語映画賞にノミネートされたヒューマン・ドラマ。
宗教や政治が複雑に絡まりあったパレスチナ情勢を背景に、最初は個人と個人のささいな諍いだった
はずが、いつしか国中を巻き込んだ泥沼の法廷闘争へと発展していくさまを描き出す。
主演はアデル・カラムとカメル・エル・バシャ。監督はレバノン出身のジアド・ドゥエイリ。

 レバノンの首都ベイルート。パレスチナ難民でイスラム教徒のヤーセルは現場監督として住宅の
補修作業にあたっていた。するとアパートの住人でキリスト教徒のトニーとトラブルになってしまう。

翌日、ヤーセルは上司に伴われ、トニーのもとへと謝罪に赴く。神妙なヤーセルだったが、トニーの
放ったある一言に感情を抑えられず、思わず手を上げてしまう。ついに2人の対立は法廷へと持ち込
まれるが、弁護士同士の激論は火に油を注ぐ結果に。
そこにメディアが飛びつき、事態はトニーとヤーセルの思惑を超えてレバノン全土を巻き込んだ
巨大な政治問題へと発展してしまうだったが…。(allcinema)

<IMDb=★7.7>
<Metacritic=72>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:86% Audience Score:88%>
<KINENOTE=80.9点>





by jazzyoba0083 | 2019-09-17 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ヒストリー・オブ・バイオレンス A History of Violence」
2005 アメリカ New Line Cinema. 96min. 
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート、アシュトン・ホームズ、
   ピーター・マクニール他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
クローネンバーグの作品て、このブログ内を検索すると3本鑑賞していた。「マップ・トゥ・ザ・スターズ」
「危険なメソッド」「イースタン・プロミス」。「ザ・フライ」は未見だ。過去に観た作品はどれも個人的な
評価は高くない。個人的な嗜好に合わないということだろう。で、本作は4作目の鑑賞ということになる。
Amazon Primeでの鑑賞。

短めの映画で面白くないわけではない。特にアクションや銃撃のカタルシスはタランティーノに通じるものを
感じた。悪いやつは徹底的にやっつけるという。
ストーリー全体はどこかオフビート感もただよう。冒頭の2人組が主人公か、と思わせておいてさにあらず、
彼らは前フリであり、イントロダクションなのだ。主人公が冒頭の二人を痛快にやっつけることでこの映画の
物語が動き始める。フィラデルフィアの闇社会では相当の存在であった主人公は二重人格というやつ。
3年前に事件を起こして以来、悪の方(ジョーイという名)は封印させて、今はトム・ストールと名乗り、
弁護士の奥さんと結婚し、恐らく奥さんの連れ子の高校生の長男と結婚してから産まれたと思しき3歳くらいの
娘がいる。街でダイナーを経営しているのだ。

そこに冒頭の二人組が現れて銃をみせて強盗となる。トムはとっさにもっていたコーヒーサーバーで一人を
殴り、銃を奪って若いヤツに3発。そして年かさの男にも一発。かくしてトムは全米の有名人になった。
(もうひとりの人格、ジョーイが出てきてしまったシーンだ)

その事件後、謎の二人組の男がやってくる・・・。

そいつらはフィラデルフィアの闇社会の男らで3年前にジョーイにやられて復讐に来たのだ。ジョーイの兄こそ
彼らのボスだった。

トムは自分の周りに関わるジョーイの時代の悪者を兄と言わず手下と言わず、殺しまくる。自分はトムとして
今の生活を守りたいのだ、と決意して。フィラデルフィアから帰ってきたトムを、食事中だった妻と二人の
こどもは受け入れてはくれた。だが妻の笑顔は歪んでいたのだ。まだジョーイが残っているかもしれないトムの
全部を受け入れることが出来てはいなかったのだ・・・。

という悪はやっつける!(長男が学校の悪をやっつける部分も含めて)というカタルシスの連発で溜飲が下がる
し、ラストの決してハッピーエンドではない終わり方もなかなかだ。
しかし、長男の学校でのチンピラの存在とか、意味が良くわからない長い夫婦のセックスシーンとか、今ひとつ
釈然としないところもあった。これがクローネンバーグの持ち味なのかもしれないけど。

ヴィゴは終始ポーカーフェイスで訳のわからない人物を好演。妻を演じたマリア・ベロも(弁護士らしくない
けど)良かった。フィラデルフィアからやってきた片目のギャング、エド・ハリスの早々の退場ももったいない
けどさっぱりいていてよかった。保安官サムのピーター・マクニールが脇で存在感があった。
フィラデルフィアの兄との対面はあっけなさ過ぎ。全体にプロットのつなぎが宜しくないというか。
これがアカデミー賞の脚色賞にノミネートされたんだよねえ。面白いんだけどちょっとなあという感じだった。
クローネンバーグファンの皆様には申し訳ないけど。

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<ストーリー>
ある事件をきっかけに夫の過去を巡る黒い疑惑が浮上、平穏だった一家が暴力と罪の渦に呑み込まれていくさまを、
リアルでショッキングな暴力描写とともに綴る衝撃のサスペンス・ドラマ。
同名グラフィック・ノベルを鬼才デヴィッド・クローネンバーグ監督が映画化。
主演のヴィゴ・モーテンセンをはじめ、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハートら実力派俳優陣による
迫真の演技合戦もみどころ。

 インディアナ州の田舎町で小さなダイナーを経営するトム・ストールは、弁護士の妻と2人の子どもとともに
穏やかな日々を送っていた。そんなある夜、彼の店が拳銃を持った2人組の強盗に襲われる。しかしトムは驚く
べき身のこなしで2人を一瞬にして倒してしまう。店の客や従業員の危機を救ったトムは一夜にしてヒーローと
なる。
それから数日後、片目をえぐられた曰くありげな男がダイナーに現われ、トムに親しげに話しかける。人違いだと
否定するトムだったが、トムの過去を知るというその男は、以来執拗に家族につきまとい始める。
(allcinema)

<IMDb=7.4>
<Metacritic=81=Must See>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:76%>
<KINENOTE=73.3点>



by jazzyoba0083 | 2019-09-12 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「プーと大人になった僕 Christopher Robin」
2018 アメリカ Disney. 104min.
監督:マーク・フォスター
出演:ユアン・マクレガー、ヘイリー・アトウェル、ブロンテ・カーマイケル、マーク・ゲイティス他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
A・A・ミルンの世界的ヒット童話「くまのプーさん」については、先日日本では劇場未公開ながら、よく出来た
ドキュメンタリー的アプローチの童話誕生秘話と息子クリストファー・ロビンとの相克を描いた「グッバイ・
クリストファー・ロビン」を鑑賞した。こちらもとても面白く観た。(以下に当ブログに書いた感想のリンクを
貼っておきます)

一方、こちらはそうした実話をベースにしたものではなく、小さい頃に森で遊んだプーさんや仲間たちと、
クリストファー・ロビンが再会し、心を通わすいかにもディズニー映画らしい、寓意をたくさん含んだファン
タジーだ。

中でも「何もしないは最高の何かになる」というプーの哲学が、大人になって忙しいばかりで純粋さ、こどもの
無邪気さ、屈託の無さを失っていった人々への「何もしない」ことから生まれる「人としての本来の優しさ」への
回帰を訴えてきます。

100エーカーの森で想像力豊かだったクリストファーは、プーやティガーらと遊んで暮らしていました。しかし、
クリストファーが大人になり、就職し、戦争に行き、結婚し、子供が生まれると、彼の回りは子供の頃の純粋さ、
創造性の豊かさを失って行きます。そこでクリストファーはまた森へと出かけ、プーたちと再会。彼らと触れ合う
事により、次第にクリストファー自身が本来持っていた想像力人を思う優しさが戻ってくるのだった。

ロンドンの鞄会社の開発担当であるクリストファーが大切な書類が入った鞄を巡り一騒動起こしたり、寄宿舎
暮らしが嫌でたまらない娘のマデリンとの心の交流を復活させる騒動があったり、これらをプーらが助けて行き
しばらくプーとその仲間と疎遠になっていたクリストファーは再び森に戻ることにより、「何もしないは最高」
を実践するのだった。

時代は第二次世界大戦の頃なのだが、「何も市内は最高の何かになる」というこの映画を貫く思想は、今の
社会に対する警鐘、提案にほかならない。それは簡単に分かるので、プーたちの存在がその価値を思い出させる
効力を持つわけだ。観ていてほのぼのしていてとてもいい。
ぬいぐるみも、有り体に言って可愛いというものではないが、時代のモノとして考えればそれなりの質感だろう。
クリストファーがぬいぐるみたちとの触れ合いを再開し、人間性を回復する物語。ユアン・マクレガーがハマり
役だった。中国では習近平がプーに似ているということで公開が中止になったとか。馬鹿じゃないの?ww
楽しい映画ではあったが、私の趣向の向きとは若干違うかな、という雰囲気ではあった。

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<ストーリー>
世界中で愛され続けるA・A・ミルンの児童文学『くまのプーさん』に登場するプーさんの大親友クリストファー・
ロビンのその後を映画化したファンタジー・ドラマ。大人になり仕事に追われるクリストファー・ロビンが、プー
さんや森の仲間たちと奇跡の再会を果たしたことで、忘れていた大切な何かを思い出していく姿を描く。
主演はユアン・マクレガー、共演にヘイリー・アトウェル、ブロンテ・カーマイケル。
監督は「ネバーランド」のマーク・フォースター。

 少年クリストファー・ロビンは“100エーカーの森”で親友のプーやその仲間たちと楽しい毎日を送っていたが、
やがてロンドンの寄宿学校へ転校することに。“きみのことは絶対に忘れない”と固く誓ってプーと別れたクリスト
ファー・ロビン。

月日は流れ、大人になった彼は妻のイヴリンと娘マデリンとともにロンドンに暮らしていた。しかし仕事が忙しく
て家族とはすれ違いの日々が続いていた。そんなある日、なぜかロンドンで途方に暮れていたかつての親友プーと
驚きの再会を果たす。
森の仲間たちのもとに戻れなくなったプーの頼みを聞き入れ、一緒に“100エーカーの森”へと向かったクリスト
ファー・ロビン。ピグレットやティガーら森の仲間たちとも再会でき、少年時代の懐かしい日々を思い出すクリス
トファー・ロビンだったが…。(allcinema)

<IMDb=7.3>
<Metacritic=60>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:73% Audience Score:83%>
<KINENOTE=75.0>

※以下はドキュメント的ドラマ






by jazzyoba0083 | 2019-08-20 22:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「パール・ハーバー Pearl Harbor」(3回目)
2001 アメリカ Touchstone Pictures (presents),Jerry Bruckheimer Films.183min.
監督・製作:マイケル・ベイ  製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、マコ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
3回目の鑑賞。終戦記念日の翌日に鑑賞するのも意味あることかと。前回は5年前。その後、実際にアリゾナ記念館、
フォード島、太平洋航空機館など、真珠湾に関する見学も経ているので多少は詳しくもなっているんじゃないか、と
考え、それを補足できるかどうかもあり観てみた次第だ。

全体の評価は5年前と大きく変わらない。とにかく色んなものを詰め込みすぎて3時間を超える映画になってしまい、
締りが無くなっているなあ、と改めて感じた。幼い頃からの親友が一人の女性をめぐる恋物語、真珠湾攻撃と米軍、
日本軍司令部の葛藤、ドゥーリットルによるローズベルト大統領の命を受けた空母からの東京空襲と中国着陸と
それぞれが1本の映画になりそうなストーリが3つ交差しながら話が進む。

それぞれのパートの脚本はそれなりによく書かれてたと思うが、大盛りご飯は三杯は食べられない。特に出だしの
40分ほどは恋愛話なので、いつ戦闘シーンが出てくるのかイライラする。

真珠湾攻撃が始まるまでは1時間以上を要する。恋模様の中にも日米和平交渉の緊張などを挟み込んだらもう少し
テンポは上がったんじゃないか。
それぞれの話を10分ずつ縮め、せめて150分ほどにまとめたらまだよかったと感じる。あいかわらず日本軍の考証
不足は噴飯ものだが、連合艦隊(海軍)の、真珠湾奇襲が成功しても、すぐに和平に持ち込まないと持たないという
ニュアンスが出ていたのは良かったと思う。故に★を前回より1つ増やした。オアフ島での日本のスパイ活動なども
本当の話だ。

流石にマイケル・ベイだけあり、欧州の空戦を含め、真珠湾の戦闘は迫力があった。一つの戦闘シーンにも物語性を
持たせ、たんなるドッカンボッカンにはなっていないのはさすがだし、この時期のCGの使い方も上手いと思う。
これでもか、という真珠湾の日本軍の徹底した攻撃(3波攻撃は中止されたが)は地獄絵図であり、この作戦だけを
見れば、やり方は卑怯だが、戦略、戦術としては完璧だったといえるだろう。

複数機のP-40戦闘機が飛び立ってゼロ戦や97式艦爆を撃墜し帰還した話は実話に基づいているが、離陸したのは
ノースだかベローズにあった日本軍の知らない滑走路からの発進ではなかったかな。

もう少し短かったら本当に良かったのにと残念だ。これを「ダンケルク」を作ったクリストファー・ノーランに
作らせたら面白いんじゃないか、と観ながら思っていた。しかし、ベン・アフレック、ジョシュ・ハートネット、
ケイト・ベッキンセイル、アレック・ボールドウィン、ジョン・ボイトに加え、若き日のマイケル・シャノン、
キューバ・グッディング・ジュニア、トム・サイズモアが観られるのはめっけものだ。

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<ストーリー>
「アルマゲドン」のジェリー・ブラッカイマー製作、マイケル・ベイ監督コンビが、同じく同作に出演し
たベン・アフレックを主演に迎えて描いた戦争映画。日本軍の真珠湾攻撃をフィーチャーし、史実に
とらわれることなく、甘いメロドラマと戦闘シーンが展開される。

1941年。兄弟のように固い絆で結ばれた若者レイフとダニー。レイフは恋人イヴリンをダニーに託し、
ヨーロッパの戦地へと向かう。やがて、軍からハワイ転属命令を受けたダニーとイヴリンのもとにレイフ
戦死の報が届く。二人は互いの心の傷を癒すべく支えあい、いつしか結ばれる。
しかし、戦況が逼迫し始めた12月6日、イヴリンの目の前に死んだはずのレイフが現われた……。
(allcinema)

<IMDb=★6.2>
<Metaciritic=44>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:24% Audience Score:66%>
<KINTENOTE=60.3点>



by jazzyoba0083 | 2019-08-16 23:45 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「はじめてのおもてなし Willkommen bei den Hartmanns 」
2016 ドイツ Wiedemann & Berg Filmproduktion,Sentana Filmproduktion.116min.
監督・脚本:ジーモン・ファーフーヘン
出演:センタ・バーガー、ハイナー・ラウターバッハ、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ、パリーナ・ロジンスキー他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ドイツにおける2016年の興収1位になった作品ということで、劇場に見に行こうとしていたら終わって
しまっていたのをWOWOWが放映してくれたので観てみた。
作られた頃、欧州は難民問題で大騒ぎだった時期。ドイツでも受け入れ、排斥で国論が大きく分かれて
いた。折しもトランプ現象に象徴されるように、不寛容なムードと右傾化が世界を覆う中、こういう映画が
作られ、国内で興収1位を獲ったという事実にドイツ国民がまだまだ健全だな、と感じた一方、日本でも広く
こういう映画が観られるといいのに、とも感じたのだった。配給の関係でシネコンにはかからない映画と
なってしまったが、チャンスがあれば一度観ておくことをお勧めしたい作品だ。監督はセンタ・バーガーと
本作のプロデューサーとの夫婦の息子だそうだ。

リタイア時期になりしかも心臓に爆弾を抱えるも現場を離れない頑固な医師である父、元教諭にして今は
専業主婦、旦那との間は冷え冷えとしている。長男はケイタイが話せないワーカホリックの国際弁護士。
彼の一家も結構危うい。長女は30歳を超えてもまだ大学に残り続けていれ、自分がどうしたいのか分からず
もがいている。4人家族のハートマン一家に、アフリカ系の移民がやってくる。自分の国の状況を鑑み
母親がリードし、父もしぶしぶ承諾、面接などもやってみた。

登場人物が全員、「いるよなあ、こういう人」というタイプで感情が移入しやすい。こういうのは国際的に
不変なんだろう。子供も一家を構えるようになる一方で長年連れ添った夫婦の間には隙間風が吹いている。
子供もそれぞれ問題を抱えている。四分五裂になりそうなハートマン一家を救ったのは実は移民として
ホームステイするようになったディアロであったのだな。

ディアロ君がいい人過ぎるのが難点ではあるが、彼はハートマン一家から一歩引いて家族を見るので良く
関係が分かる。で、それぞれに偽らざる意見を吐くのだが、それがアドバイスとなっているという構図。
移民側の問題点、それを受け入れる、受け入れない(ネオナチまで登場するのだが)住民たち。それぞれ
相手の事を理解しようとしない態度=移民問題を置いても家族間の問題として普遍的なテーマ=を乗り越え
理解しあって家族や地域が再生していく。

ドタバタもあるが、重いテーマをエンタメに落とし込んで2時間弱にまとめ上げた力量は買うべきものがある
だろう。一方でややステレオタイプに進行しエンディングを迎えるので、深みに欠けるかな、という
恨みが残るが、こうした映画を作ること自体が尊いのだろう。そしてそれをたくさんの国民が観るということが
尊いのだろう。本来家族の間で解決し再生しなければならない事柄を移民のディアロ君を投入することで
一枚多層的な表現にはなっていたと思った。結果、ディアロ君の存在と家族再生の2つのミッションを完遂
することは出来ていた。トランプに是非観てもらいたい映画だ。(観ないだろうけど)

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<ストーリー>
難民の青年の受け入れをきっかけに、バラバラだった家族が人生を見つめ直してゆく様を描いたドイツ製コメディ。
ミュンヘンに暮らすハートマン家の母アンゲリカはある日、難民の受け入れを宣言し、ナイジェリアから来た
青年ディアロに自宅を提供するが……。
主演は「戦争のはらわた」を始め、ヨーロッパやハリウッドで長年活躍してきたオーストリア出身のセンタ・
バーガー。監督のサイモン・バーホーベンは息子に当たる。

ミュンヘンの閑静な住宅地に暮らすハートマン家。ある日のディナーの席で、母アンゲリカ(センタ・バーガー)
が難民の受け入れを宣言する。教師を引退して生き甲斐を失った彼女は、夫リヒャルトの反対を押し切って、
ナイジェリアから来た難民の青年ディアロ(エリック・カボンゴ)のために自宅を提供。初めてのおもてなしに
張り切る一家だったが、大騒動が起きてしまう。
さらに、ディアロの亡命申請も却下に。果たして、崩壊寸前の家族と天涯孤独の青年は、平和な明日を手に入れ
ることが出来るのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:No Data Audience Score:20%>
<Metacritic=No Data>
<KINENOTE= 75.9点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-11 22:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ビューティフル・デイ You Were Never Really Here」
2017 アメリカ Why Not Productions,Film4 and more.90min.
監督・脚本:リン・ラムジー  原作:ジョナサン・エイムズ『ビューティフル・デイ』(ハヤカワ文庫刊)
出演:ホアキン・フェニックス、ジュディス・ロバーツ、エカテリーナ・サムソノフ、ジョン・ドーマン、アレックス・マネット他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
1回目でよく分からず、二回見たけど、監督が言いたいことは分からじまい。コーエン兄弟の不条理作品から
具体性を更に引き算したような、観念的作品といえるのだろう。こうした映画を観る時、アメリカの批評サイト
Rotten Tomatoesの批評家と一般の評価の差を見ると面白い。本作は批評家は88%が満足に対して、一般の方は
64%に留まっている。つまり映画鑑賞感性に優れ、芸術的側面を理解出来るプロから見たらよく出来た映画だが、
普通に映画館に足を運ぶ客にとっては、あまりピンとくる映画ではなかった、ということを示している。
大体「カンヌ」で賞を獲る映画というのはアメリカでの評価はこうしたものだ。

90分という短い時間に出ずっぱるのはホアキン・フェニックス演じるジョーという雇われ殺し屋。彼は子供の
頃にハンマーを持った父親に追い回されるというトラウマを持つ。「背筋を伸ばせ。猫背は女の子みたいだぞ」
という父親のセリフが繰り返し使われ、ジョーのトラウマの深さを語る。

一方ジョーは中東かアフガンかの戦争でもPTSDになっているらしく、とにかく感情のコントロールが上手く
行かず、激情に走りやすい。その分、ハンマーを使った殺しは徹底していて残忍だ。そのジョーが頼まれて
上院議員の娘を助けに行く。成功するが、上院議員は自殺、後ろにいる知事を殺そうと出かけるも、知事は
既に何者かにクビを掻かれて死んでいた。見えざる権力の影がチラつく。
父を亡くした娘とジョー。喫茶店で寝込むジョーに娘は「ジョー、起きてよ。外はいい天気よ」と呼びかけて
映画は終わる。

まともでない主人公は自分のアイデンティティを父親に復讐するかのようにハンマーで依頼された人物を
撲殺することでかろうじて生のバランスを得ているという、極めて歪んだ人生を歩んでいる。ラストで少女に
掛けられた言葉は恐らく彼の人生で初めて掛けて貰えた、豊かな感情がこもった言葉だったのだろう。
映画はそこに一筋の希望を見せて終わる。(事件が終わっているわけではない)

監督リン・ラムジーはインタビューの中で、「ジョーが少女を救ったのではなく、少女がジョーに人生を
取り戻してやった物語」と語っている。そのように見ると、全体の細かいことはさておいても大意として
映画の全体像は掴めそうな気がする。後述のようにラストシーンもそうだが、母を殺され、遺体を湖に
沈めようとし、自らも喪服のポケットに石を入れて自殺を目論むも、少女の幻影を見ることで自殺を
思い留まる。

映像は凝っている。全編フィルムで撮影したそうだが、殺しの瞬間は見せず、流れる血や倒れる男らの姿で
表現しているほか、(撮影時間がなかったという点もあるそうだが)娼館に少女を救いに行くシーンは
防犯カメラのモノクロ映像をそのまま使っている。
先に書いたラストカットでは、喫茶店で少女がトイレに立つシーンの連続した画面の中でジョーが自分の頭を
撃って自殺するカットが入る。観客は、あっと思うだろう。ジョーの強さの反対側にあった弱さが出たな、と。
しかし次のカットでトイレから戻って来た少女の目線は、テーブルに突っ伏して寝ているジョーの姿だったり
する。そのあたりの映像の「綾」とでもいうべき使い方(演出)は上手いなあ、と思った。

自殺したジョーの「イメージ」とそれに続く少女のラストのセリフ。この数秒こそ、本作の本筋ではなかったか、
とさえ思えたのだった。「生きる意味」を見失った男が「再生」のきっかけを掴む話。
映画に具体的カタルシスとか具象的エンタメを望む人には向かないタイプに映画だろう。

またアップの映像が多いとか、とにかく全編、映像と編集だけを見ていても飽きない映画ではある。
ラジオヘッドの音楽も効果的だ。

それにしても、本作、ホアキン・フェニックスの怪演(快演)が映画のインパクトのほとんどだと言い切れるの
ではないか。

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<ストーリー>
第70回カンヌ国際映画祭脚本賞と男優賞を受賞したスリラー。行方不明者捜索のプロのジョーは、州上院議員
ヴォットの十代の娘ニーナを売春組織から取り戻してほしいと依頼を受ける。ジョーは無事にニーナを救出するが、
思いがけない事件に巻き込まれていく。監督は、「少年は残酷な弓を射る」のリン・ラムジー。

行方不明者の捜索を請け負うスペシャリストのジョー(ホアキン・フェニックス)は、人身売買や性犯罪の闇に
囚われた少女たちを何人も救ってきた。彼はその報酬で、年老いた母親(ジュディス・ロバーツ)と静かに暮ら
している。ジョーは海兵隊員として派遣された砂漠の戦場や、FBI潜入捜査官時代に目の当たりにした凄惨な
犯罪現場の残像、そして父親の理不尽な虐待にさらされた少年時代のトラウマに苦しんでいた。

ある日、新たな仕事の依頼が舞い込む。選挙キャンペーン中で警察沙汰を避けたい州上院議員のアルバート・
ヴォット(アレックス・マネット)が、裏社会の売春組織から十代の娘ニーナ(エカテリーナ・サムソノフ)を
取り戻してほしいという。ジョーは売春が行われているビルに潜入し、用心棒を叩きのめしてニーナを救出するが、
彼女は虚ろな目で表情一つ変えない。深夜3時、ニーナを連れて行った場末のホテルのテレビで、ここで落ち
合う予定だったヴォット議員が高層ビルから飛び降り自殺したことを知る。

その直後、二人組の制服警官がホテルの受付係の男を射殺し、無理やりニーナを連れ去っていく。窮地を脱した
ジョーは、ヴォット議員からの依頼を仲介したマクリアリー(ジョン・ドーマン)のオフィスを訪ねるが、
彼は何者かに切り刻まれて死んでいた。嫌な予感に駆られて自宅に戻
ると、2階で母親が銃殺されていた。
ジョーは1階にとどまっていた二人の殺し屋に銃弾を浴びせると、ニーナがウィリアムズ州知事のもとにいる
ことを突き止める。ニーナはウィリアムズのお気に入りで、ヴォットは日頃から娘を政界の権力者に貢いでいた
のだった。

ジョーは喪服に着替え、母親を葬るために森の奥の美しい湖に向かう。生きる気力を失った彼は母の亡骸を抱え
て入水するが、ニーナの幻影に引き戻される。ジョーは一連の事件の黒幕であるウィリアムズを尾行し、ニーナが
監禁されている郊外の豪邸へハンマー片手に踏み込んでいく。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:88% Audience Score:64% >
<Metacritic=84>
<KINENOTE=72.6点>



by jazzyoba0083 | 2019-06-06 22:35 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「パリ・嘘つきな恋 Tout le monde debout 」
2018 フランス Gaumont and more. 107min.
監督・脚本:フランク・デュボスク
出演:フランク・デュボスク、アレクサンドラ・ラミー、ジェラール・ダルモン、エルザ・ジルベルスタイン他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想:ラストのネタバレまで書いています>
人気コメディ俳優フランク・デュボスクが自ら初めてメガフォンを取ったラブロマンス。フランスでは大ヒットした
のだそうだ。観ると、なるほど、フレンチな香りがする色気とヒューモアとペーソスで出来上がった一遍。
ストーリーとしては大層なことは無いと思うのだが、大人の趣味の良い恋を意外なアイデアを持ってきて、ハッピー
エンドで適当な上映時間で纏めたところが心地よく、観た人は基本だれも嫌な思いをしない、というところがヒット
の要因ではないのか。 
それと全般に貧乏の匂いがしないので、ある種夢心地の時を過ごせる、というところも客を集める要素になっていそう
な感じだ。

主人公のジョスランはスポーツ用品の会社を経営し、世界を飛び回るセレブなのだが、お調子者というか、口から
でまかせの悪気のない嘘を付くクセがある。(けっこう危ない嘘を付くのだが、セレブ故に許されてしまうところは
嫌な描き方だが)それと根っからの女好き。そんな男が、車椅子の美女と恋に落ちるのだ。
ジョスラン、亡くなった母のアパートの整理に来ていて、たまたま母の車椅子に座っていたところを、向かいの部屋の
美女の訪問を受け、思わず自分も車椅子の身である、と言ってしまった。そんな美女が、郊外の実家で姉を紹介すると
いうので、ポルシェの前トランクに車椅子を積んでいそいそと向かう。現れたのは、車いすテニスの選手にして
プロバイオリニストとしても世界を巡業するフロランスだった。

恋に落ちてしまったジョスランだったが、どうしても自分の車椅子が嘘だと切り出せない。医師の友人も、弟も
早く真実を告げろ、傷が深くなる、ホントのことを知った時の彼女の心の傷は深くなる、と盛んに忠告するのだが
どうしても勇気が出ない。これまで不自由ない暮らしをし、口からでまかせの付き合いをしてきたジョスランに
してみれば、真剣な恋を目の前にして、どうしたらいいのか分からない、というのが本音なのだろう。

彼女の後を追いかけ、食事をし、付き合いが深くなるほどホントの事が言いづらくなる。ジョスランの家には
プールの底が水面の上までせり出してくる特殊なプールがあるのだが、そこで浮力を利用したセックスまで
してしまうのだった。

観客は、にっちもさっちもいかなくなる一方のジョスランの様子に、観客はどういうオチにしてくれるのだろう、と
ハラハラする。自分からはどうしても言えない。

事は意外な方面からバレる。ジョスランの弟と、フロランスの妹が急接近。弟は妹に、「実は兄は身障者なんか
じゃない。車椅子は嘘」と言ってしまう。これを聞いて激怒した妹は「48時間以内に姉に本当のことをいわないと
私が言うわよ」といわれてしまう。妹とて姉を傷つけなくない。そこでフロランス以外の全員で一計を案じた。
それは全員でルルドの泉(奇跡をもたらすという)へ行き、奇跡を願おうというもの。そこでジョスランが奇跡で
立つことが出来たことにすればいいと。

作戦は上手くいきそうな状況だった。ルルドからの帰り、トラックにはねられそうになった車椅子のフロランスを
ジョスランはとっさに立ち上がって助けたのだ! これこそ「奇跡だ!」と皆で囃し立てるが、フロランスの
表情は冴えない。ジョスランはフロランスの前でたどたどしく歩けるように振る舞ってみせるのだが・・・。

そう、フロランスは、出会った時からジョスランは健常者だ、と分かっていたのだ。障害者は、分かるものなのだ
なあ。「嘘つきはキライ」と云われていたジョスランは、フロランスとはもうだめだとフロランスの元を去って行った。

そして日頃から鍛えていた自分の会社の靴を履いて出たマラソン大会。途中でくたばったジョスランのところに
来たのは車椅子のフロランスだった。フロランスは彼を自分の膝の上に載せ、残りの距離を車椅子で走り、ゴール
したのだった。二人は車椅子の上で熱いキスを交わしたのだった。

こんなお話なのだが、狂言回し的に登場するゲイで医者の友人と、密かにジョスランに想いを寄せていた(ように
見えた)秘書の存在が素敵だった。洒落たセリフと、仕掛け、特に車椅子の身を少しも嘆かないフロランスの
笑顔が終始、眩しくて、身障者を描いている暗さとか、重さを全く感じない。それが悪い方向に働いていない
演出が良かった。下手すると日本辺りでは身障者を笑い者にしている、おちょくっているとか云われそうだが、
この映画については、その辺りを突っ込んで来る人は少ないのではないか。下手をするとスノッブな感じに流れ
そうなところを寸止めにしているというか。

原題が凄く意味が思いと思う。ラストでも字幕で大文字で示されるのだが、「Tout le monde debout」という
のだが、「みんな立っている!」という意味だと思うが、特にフロランスの立場として、そうなんだろうなという
ことだろう。「自立している」ということ。車椅子の生活だが、「心は立って歩いている」という風に捉えると
この映画のニュアンスとぴったり来ると思うのだが。

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<ストーリー>
フランスの人気コメディアン、フランク・デュボスクが監督・脚本・主演の3役を務めたラブ・コメディ。
女性の気をひくため、車椅子生活だと嘘をついたイケメン男性が、1人の女性と出会い、真実を隠したまま本気の
恋に落ちていくさまが描かれる。
コミカルな演技を得意とするアレクサンドラ・ラミーがヒロインのフロランスを演じる。

パリの大手シューズ代理店で働くビジネスマンのジョスラン(フランク・デュボスク)は、イケメンでお金持ち、
女性にもモテるが、恋愛に求めるのは一時的な楽しさだけという軽薄な男だった。ある日、亡くなった母の家を
訪ねたジョスランが、部屋に残されていた母の車椅子に座っていたところ、偶然その場を訪ねて来た美女ジュリー
(キャロライン・アングラード)と遭遇。彼女の気をひくために「自分は車椅子生活を送っている」と嘘をついて
しまう。

すっかり信じたジュリーは、姉のフロランス(アレクサンドラ・ラミー)を彼に紹介。彼女は、以前事故に遭い
車椅子生活を送りながらも、ヴァイオリニストとして世界中を飛び回る快活でユーモア溢れる女性であった。
親友のマックス(ジェラール・ダルモン)には興味無いと言いながら、ジョスランはフロランスが出場する車椅子
テニスの試合を観戦したり、彼女が演奏するコンサートを観るためにわざわざプラハを訪れるのだった。

会うたびに新しい一面を見せてくれるフロランスに、本気で恋に落ちていくジョスラン。やがて、ふたりはデートを
重ね距離を縮めていくが、ジョスランはまだ本当のことを言えずに車椅子に乗ったままだった。そんなある日、
ついにジュリーに車椅子の嘘がばれてしまう。マックスや秘書のマリー(エルザ・ジルベルスタイン)を巻き込み、
奇想天外な計画を立てて嘘を切り抜けようとするジョスランだったが、実はフロランスの方も彼に隠し事がある
ようで……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:33% Audience Score:73%>
<Metacritic=No Data>
<KINENOTE= 74.6点>

by jazzyoba0083 | 2019-05-24 12:10 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)