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My Best Movie of 2017

My Best Movie of 2017

■口上
今年は、ほぼリタイアとなり映画館に足を運べる機会が増え、なかなか行けなかった単館上映作品にも
多く接する事ができ、実りの多い年でした。
結果、劇場に40回、自宅でWOWOWを中心に鑑賞したものを合わせると、合計213本の映画を観た
ことになります。ここ数年漸減傾向だったのですが、それがストップし、来年は更に劇場に行く機会が
増えることでしょう。年齢的に劇場での鑑賞が安くて済むのが嬉しいですね。

全般の傾向としては前述のように単館上映作品に多く触れたこともあり上位にそれらの作品が顔を出し
て来ました。もちろんブロックバスター作品もせっせと通いました。邦画もこれは、と思えるものはなるべく
劇場でみるようにしました。
加えて日本の名匠たちで、食わず嫌いだった成瀬巳喜男や岡本喜八なども触れる機会が増え、自身の
映画の世界が広がった感じです。

それでは劇場鑑賞作品からベスト10を挙げていきます。
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①「ラ・ラ・ランド La La Land」(★9)
②「パターソン Paterson」(★9)
③「否定と肯定 Denial」(★9)
④「マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the Sea」(★9)
⑤「沈黙ーサイレンスー Silence」(★9)
⑥「ダンケルク Dunkirk」(★8)
⑦「ハクソーリッジ Hacksaw Ridge」(★8)
⑧「女神の見えざる手 Miss Sloane」(★8)
⑨「スター・ウォーズ/最後のジェダイ Star Wars:Last Jedi」(★8)
⑩「ムーンライト Moonlight」(★8)
⑩「ドリーム Hidden Figures」(★8)
⑩「メッセージ Arrival」(★8)
⑩「20 センチュリー・ウーマン 20th Century Woman」(★8)
⑩「ノクターナル・アニマルズ Nocturnal Animals」(★8)
⑩「婚約者の友人 Franz」(★8)
⑩「ギフテッド Gifted」(★8)
⑩「この世界の片隅に」(★8)
⑩「スパイダーマン:ホームカミング Spider-Man:Homecoming」(★8)
⑩「ザ・コンサルタント The Accountant」(★8)
⑳「バリー・シール/アメリカをはめた男 American Made」(★8)
⑳「ジャッキー/ファーストレディ最後の使命 Jackie」(★8)
㉒「美女と野獣 Beauty and the Beast」(★8)
㉒「ブレードランナー2049 Blade Runner 2049」(★7+α)
㉒「人生はシネマティック Their Finest」(★7+α)

<まあまあ=★7>
・「マリアンヌ Allie」
・「パッセンジャー Passengers」
・「Lion/ライオン~25年目のただいま~」
・「夜を生きる Live by Night」
・「ワンダー・ウーマン Wonder Woman」
・「関ヶ原」
・「猿の惑星:聖戦記 War for the planet of the Apes」
・「アトミック・ブロンド Atomic Blonde」
・「マイティー・ソー:バトルロイヤル Mighty Thor:Ragnarok」
・「ジュリーと恋と靴工場 Surquel pied dancer」
・「エイリアン・コヴェンナント Alien:Covenant」
・「ジャスティス・リーグ Justice League」
・「ザ・サークル The Circle」
・「カフェ・ソサエティ Cafe Society」
・「オリエント急行殺人事件 Murder on the Orient Express」

<ちょっと・・・>
・「ジョン・ウィック チャプター2 John Wick:Capter 2」
・「君の膵臓をたべたい」

■総括
今年はいい映画とはたくさん出会えたと思うのですが、これは!という決定的ナンバーワンに
推挙したいものはありませんでした。一位に挙げた「ラ・ラ・ランド」は総合的にエンターテインメントと
して優れていたと思います。オスカーを獲った映画はやはりそれなりの面白さというか実力があります。
改めて振り返ると、およそこれまで私のランキングに出てこないような単館系作品がたくさんはいって
います。これまでシネコンばかりだったのが、単館系にも優れた作品が多くかかっているということを
認識させられました。2位に挙げたl「パターソン」はジャームッシュの作品ですが、映画の別の面の
面白さを教えられました。単純なエンタメ系より、内省的な人間模様を描いた作品に高い評価がついたよう
です。単館系作品、来年はもっと行くことでしょう。

印象に残ったのは男優ではアダム・ドライバー。先の「パターソン」もそうですが、「スター・ウォーズ
最後のジェダイ」のカイロ・レンなど、新作だけでなくたくさんの作品を見ました。
女優さんでは、「ラ・ラ・ランド」のエマ・ストーン、そしてエイミー・アダムズ、ジェニファー・
ローレンスらの作品に多く触れました。これからどんどん成長していくことでしょう。

さて年が明ければオスカーの予想が喧しくなります。来年はどんないい映画と出会えるでしょうか。
楽しみなことです。

<家で鑑賞し、★8つ以上を謹呈した作品は以下のごとし。洋画邦画旧作新作入り乱れてます>

・「ザ・ウォーク The Walk」(★8)
・「オデッセイ The Martian」(再見) (★9)
・「2001年宇宙の旅 2001:A Space Odyssey」(再見 ★9)
・「バック・トゥー・ザ・フューチャー Ⅱ」(再見 ★8)
・「バック・トゥー・ザ・フューチャー Ⅲ」(再見 ★8)
・「サウルの息子 Saul Fia」(★9)
・「真夜中のピアニスト De Battle mon coeur s'est arrete」(★8)
・「エール! La Famille Belier」
・「5時から7時の恋人カンケイ 5 to 7」
・「マグニフィセント・セブン Magnificent Seven」(★8)
・「サヨナラの代わりに You're Not You」(★8)
・「10クローヴァーフィールド レーン 10 Cloverfield Lane」(★8)
・「ボーダーライン Sicario」(★8)
・「パンズ・ラビリンス Pan's Labyrinth」(★8)
・「ズートピア Zootopia」(★8)
・「マン・オン・ワイヤー Man on Wire」(★8)
・「キャロル Carol」(★8)
・「めし」(成瀬巳喜男監督作品 ★8)
・「山の音」(成瀬巳喜男監督作品 ★9)
・「デッドプール Deadpool」(★9)
・「愛の嵐 The Night Porter」(★8)
・「あの日のように抱きしめて Phoenix」(★8)
・「64(ロクヨン)」(★8)
・「モアナと伝説の海 Moana」(★8)
・「マジカル・ガール Magical Girl 」(★8)
・「デス・プルーフinグラインドハウス Death Proof(from "Grindhouse")(★8)
・「サウスポー Southpaw」(★8)
・「めぐりあう時間たち The Hours」(再見 ★8)
・「麗しのサブリナ Sabrina」(★8)
・「トレインスポッティング Trainspotting 」(★8)
・「ひつじ村の兄弟 Rams(Hru tar)」(★8)
・「帰ってきたヒットラー Er ist wieder da」(★8)
・「エクス・マキナ Ex Machina」(★8)
・「血と砂」(岡本喜八監督作品 ★8)
・「日本のいちばん長い日」 岡本喜八監督作品版 (再見 ★8)
・「シン・ゴジラ」(再見 ★9)
・「ロッキー Rocky」(★8)
・「ゴッドファーザー The Godfather」(デジタル4K版)(★10)
・「卒業 The Graduate」(再見 ★10)
・「ジョイ Joy」(★8)
・「ミス・シェパードをお手本に The Lady in the Van」(★8)
・「マイ・ベスト・フレンド Miss You Already」(★8)
・「ある戦争 Kringen」(★8)
・「ブルース・ブラザーズ Blues Brothers」(★9)
・「マラソンマン Marathon Man」(再見 ★8)
・「マスター&コマンダー Master and Commander:The Far Side of the World」(★8)
・「ローグ・ワン/スター・ウォーズストーリー Rogue One」(再見 ★8)
・「アニーよ銃をとれ Annie Get Your Gun」(★9)
・「ラスト・ショー The Last Picture Show」(★8)
・「フェンス Fences」(★8)
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by jazzyoba0083 | 2017-12-30 22:00 | Best of 2017 | Trackback | Comments(0)

●「めぐり逢えたら Sleepless in Seattle」
1993  アメリカ TriStar Pictures. 105min.
監督・脚本:ノーラ・エフロン
出演:トム・ハンクス、メグ・ライアン、ビル・プルマン、ロス・マリンジャー、ロージー・オドネル他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
このブログを書く前に観ていて、記録に残していない名作(とされるものも)を再度見てみて感想を
書いて見ようというこのシリーズ。結構あるんですよ。

ラブコメの古典ともなった本作、当時メグ・ライアンはラブコメの女王と呼ばれ、そのキュートなお姿は
男女を超えて人気がありましたね。そしてこの作品でオスカーノミニーとなった脚本家出身のノーラ・エフロンの
ストーリーテリングと演出も上手いです、というか観客のツボを押さえた創りですね。
ノーラはこの後にも同じ主演コンビで「ユー・ガット・メール」というラブコメを作りますが、個人的には
こちらの方がパンチがあって好きです。 本作にはレオ・マッケリー監督、ケーリー・グラント主演1957年の
名作「めぐり逢い(1957)」がドラマ全体のモチーフとなっていて特にラストのエンパイアステートビルの
シーンは「めぐり逢い」がダブってみえてきます。

このドラマのキーワードは「すれ違い」「子ども」「ラジオ」といったところでしょうか。映画を観ていて
応援したい男女がなんとか最終ゴールに落ち着くというカタルシス。これはラブコメの王道手法であります。
季節設定が感謝祭➡クリスマス➡バレンタインデーと流れるのも、こうした映画の常道。
女性監督らしい決めの細かいメグ・ライアン周りのセリフや演出、アメリカ映画の最大の特徴であるウィットと
ヒューモアに富んだ気の利いたセリフの応酬、観ている方が「ああ、それは違う違うよお!」と身を乗り出して
しまいそうになる、勘違いや行き違い。
そして多くのヒット曲がゴージャズに使われるのも映画の雰囲気を盛り上げるのに大きな力となっていますね。

しかし、一点だけ、ちょっとな、と思うのは、メグの婚約者が、トム・ハンクスこそ運命の人と感じたメグが
婚約解消を言い出すのだけれど、この男、「さあ、いってらしゃい!君の幸せをつかむのだ!」的なことを
おっしゃる。人良すぎじゃない?
それにしても、びっくりするような質の高い映画ではないですが、時々観たくなる魅力が詰まった作品ですね。
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<ストーリー>
ボルチモアの新聞記者アニー・リード(メグ・ライアン)は、カーラジオで偶然聞いた番組に心ひかれた。
それはリスナー参加のトーク生番組で、シアトルに住む8歳の少年ジョナー・ボールドウィンが
「落ち込んでるパパに新しい奥さんを」といじらしいまでに切々と訴えていた。続いて電話口に出た父親サム・
ボールドウィン(トム・ハンクス)の声が、彼女の胸に響いた。
建築技師のサムは、1年半前に妻に先立たれてからのやるせない心境を淡々と語り出し、孤独で眠れぬ夜もあると
告白する声にもらい泣きするアニー。その時から彼女の内部で何かが変わった。

婚約者のウォルター(ビル・プルマン)を相手にしても楽しくない。一方、サムは仕事仲間のジェイ(ロブ・
ライナー)が心配して、女性との積極的な交際をアドバイスされる。やがてサムこそ自分にとって最もふさわしい
相手だと信じたアニーは、ジョナに手紙を書き、データベースでサムのことを調べ始める。
そんなアニーに同僚のベッキー(ロージー・オドネル)はあきれながらも見守る。サムは友人たちの紹介で
ビクトリアという女性とデートするが、ジョナはお気にめさない。パパにふさわしいのはアニーだけだと
考えたジョナはラジオを通じて彼女に呼びかける。アニーはシアトルに向かうが、お互いの顔を知らない彼女と
サムは幾度かすれ違っただけだった。

バレンタイン・デーに、ニューヨークのエンパイヤ・ステート・ビルの展望台でのめぐり逢いの約束する
メッセージをサムに送ったアニー。ジョナも「会ってあげて」と頼むが、耳を貸さないサム。親子の仲は一気に
悪化し、ジョナはアニーとの約束を果たすため単身ニューヨークに向かう。
あわてて追いかけるサム。そのころ、エンパイヤ・ステート・ビルを望むレストランでは、アニーがウォルターに
婚約解消を告げてた。彼女はやはりサムのことが気になって仕方なく、入口が閉まりかかったエンパイヤ・
ステート・ビルの屋上に登らせてもらう。そこにサムとジョナがいた。初めてアニーは何度か顔を合わせ、
気を魅かれた彼がシアトルの男だったとわかり、二人は手に手を取ってビルを後にするのだった。」
(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer: 72% Audience Score:75%>








by jazzyoba0083 | 2017-12-28 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

ジェーン Jane Got a Gun

●「ジェーン Jane Got a Gun」
2016 アメリカ Relativity Media (presents) and more. 98min.
監督:ギャビン・オコナー
出演:ナタリー・ポートマン、ジョエル・エガートン、ノア・エメリッヒ、ロドロゴ・サントロ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
筆頭プロデューサーに主演のナタリーの名前がクレジットされているということは、この映画を
作ろう、という彼女の思いは強かったのだろう。弱い立場ながら時代の逆境に負けなかった女性、という
ものを描きたかったのだろうとは思う。WOWOWの「W座」で鑑賞。シネコンに行かなくて
良かったな、と思えた作品。確かに番組で小山薫堂も指摘していたとおり、女性(母)を主人公に
据えた西部劇とは、珍しいとは思う。けど、一番の弱点が「映画にすべき物語性の弱さ」。
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南北戦争で若き夫が戦死し、他の男と結婚し、こどもも設けた、そこに死んだはずの夫が帰ってくる。
という話のベース。苦労した妻は売春婦をしながら、他人とはかけ離れた遠方の荒れ地で生活している。
苦界に身を沈めた妻を助けてくれたのが、ならずものではあるが、心は優しい彼女に惚れた男。

その男を、商売道具を奪ったとして身内のボスたちが追いかけてくる。助けを求めたのは、かつての
夫。彼は彼女を助けることにする。そしてハイライトのボスとジェーン一家と最初の夫との銃撃戦。
ボスらの追跡の途上で深傷を負った夫は戦いの最中に死亡。いよいよ前の夫とジェーンに危機が迫る。
絶体絶命の前の夫をジェーンが助ける。そして容赦なく射殺。(伏線として西に向かう幌馬車隊に
乗せるといいつつ騙して売春宿に売り飛ばした恨みがある)
殺したボスを始め仲間も賞金首が多かったので、ジェーンは彼らの死体を保安官事務所に持ち込み
賞金を手にすることが出来た。
最初に出来た子どもは実は前の夫の子であったのだ。(ボスが死んだといって売春宿に下働きとして
売り飛ばしていた)その居場所を殺す前のボスから聞き出し、助けに行くジェーンと前の夫。(実の父)
賞金を手にして、元からのあった西海岸を目指すのであった。
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とまあ、そんなお話なのだが、どこかで観たような既視感のあるストーリーをつなぎ合わせたような
山場に欠ける98分。展開に破綻はないのだが、ここだ!というところ(例えば銃撃戦)での迫力が弱い。
ジェーンが銃の名手という訳ではない。西部で女1人生きていくことの難しさを言いたかったのかなあ。
前の夫と恩讐を乗り越えて再び歩み始めた愛情物語にしたかったのかなあ。むしろ原題からすれば、もう少し
ラストの銃撃シーンで(伏線は必要なれど)ジェーンの抜群の射撃やアイデアを見せて欲しかった。なかなか
溜飲の下がりづらい映画であったなあ。一応話の流れとしては見ら得れるのだが各エピソードに迫力がない。
全てに渡って中途半端、ということになるか。
どうしても不思議だったのが、ラストの銃撃戦で二人共撃たれているのに、娘に会いに行くときはピンピンして
いるのはどうして??でそのあとの西海岸に向かう馬車では前の夫は包帯で手を吊っているし。

ユアン・マクレガーがラスボスを演じていたのだが、最後までこいつがユアンだと全然分からなかった。
クレジットを観て、ユアンがどこに出ていた?と確認しても本人とは分からなかった。この役、結構重要な
ポジションで最後にジェーンに殺されちゃうんだけど、雰囲気は持っていたけど、どこかいい人風情。
なんでユアンなのか、なんの意味があってのキャスティングだったのが不思議。友情出演か?

ラスト近くでボスらの銃撃の傷で死んでしまった今の夫の賞金首ポスターを破って賞金を貰わなかったのは
ジェーンの気持ちであったのだ。表現として「うむ」と思えたのはそこだけ。
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<ストーリー>
ナタリー・ポートマンが製作・主演を務めたスペクタクル・ロマン。南北戦争後の荒野を舞台に、夫と娘を守り、
平穏な日常を取り戻すために戦う決意を固めるヒロインの物語がつづられる。
ユアン・マクレガーがヒロインの前に立ちはだかる悪党ビショップを演じる。
監督は『ウォーリアー』のギャヴィン・オコナー。

アメリカ西部の荒野で、ジェーン(ナタリー・ポートマン)は夫ハム(ノア・エメリッヒ)と娘と暮らしていた。
しかしある日、悪名高きビショップ一家の首領ジョン・ビショップ(ユアン・マクレガー)にハムが撃たれ
瀕死の状態となり、穏やかな暮らしが一変する。
強欲で執念深いビショップの恐ろしさを知るジェーンは、家族を守るために、南北戦争のときに活躍した
かつての恋人ダン(ジョエル・エドガートン)にすがる思いで助けを求める。
敵が迫りくる中、それぞれの過去が明らかに。ジェーンは愛のために戦うことを決意し、銃を手に取る――。
(Movie Walker)

<IMDb=★5.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer=41% Audience Score:37%>



by jazzyoba0083 | 2017-12-27 22:40 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「風とライオン The Wind and the Lion」
1975 アメリカ Metro-Goldwyn-Mayer 119min.
監督・脚本:ジョン・ミリアス
出演:ショーン・コネリー、キャンディス・バーゲン、ブライアン・キース、ジョン・ヒューストン他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ジョン・ミリアスって数えてみたら監督は7本だけなんだ。これと「ビックウェンズディ」くらいでしか
花が咲かなかったんだなあ、今のところ。本作も今はVFXでやるだろう馬を使ったアクションシーンは
彼が尊敬する黒澤明色たっぷりでそれなりに観られるものなのだが、物語としては弱いと言わざるを得ない。
脚本も手がけているが、原作があるので脚色といったほうがいいだろう。それにしても、何の前知識も無しに
観はじめて、風がセオドア・ルーズベルト大統領で、ライオンがライズリ(コネリー)だとは最後の最後まで
分からなかった。

 ライズリの一代記でありアメリカの大統領が片方の主人公とは。後半にルーズベルトの扱いが大きくなる
のだが、バランスに欠け全体に締まりのない映画となってしまった。誘拐した婦人イーデン(バーゲン)との
愛情物語も入って、それぞれのプロットは理解できるのだが、一本の映画となると、まとまりに欠けた
印象が強い。またライズリの人となりが十分に浮き彫りになっていたか、というとそうでもなく皮肉なことに
ルーズベルトの考え方の方がよく分かったりした。一つ勉強になったのは、北アフリカ、モロッコを巡る
(というかアフリカ全体の)欧米列強の帝国主義姿勢が勉強になった。20世紀初頭、1904年というと日本では
日露戦争が開戦となり翌年にポーツマス条約で終戦となったころ。モロッコでは領土拡大を目指すルーズベルトと
欧州列強の衝突前夜であった。これに対抗し腰砕けのスルタンを動かして列強を排除しようとしたのが実在した
ベルベル人のリーフ族首長ライズリであった。(ルーズベルトはポーツマス条約締結の労を認められノーベル
平和賞を受賞している)

彼はアメリカ人一家を誘拐し、これをネタに実兄であるものの列強のいいようにやられている太守(サルタン)
を苦境に陥れる作戦に出て、サルタンの目を覚まさせ民族自決の施策を希望していたのだった。
しかし、この誘拐事件は急激に軍事大国化したアメリカに介入の理由を与え、次期選挙対策と領土的野望を
胸に秘めたルーズベルト大統領の思う壺にはまったのだった。

第一次世界大戦(1914~)第二次世界大戦(1939~)でも、非介入姿勢を基本としていたアメリカが、
この時代に北アフリカでこんなえげつないことをしていたのか、という事実を知ったことはショックだった。
タンジールに軍艦多数を入港させた米軍はライフル部隊2個中隊をサルタンの館に侵入させ、一方的な攻撃で
サルタンを捕縛するという、まあ帝国主義丸出しな姿勢。ミリアス監督、何か思いがあったのかこのシークエンスは
異常に長い。結末としてライズリがルーズベルトに出した手紙で幕が閉じられるのだが、ライズリが自らを
ライオンになぞらえ、ルーズベルトを風と称した詩のような手紙は、一見カッコイイけどこの事件の背景を、
また映画が背負っている歴史的意味を正確に伝えているとは思えない。

テディベアで知られるテディというニックネームのセオドア・ルーズベルト大統領は、「ナイトミュージアム」に
出て来る狩猟の衣装を来たあのテディそっくり。グリズリーこそアメリカの国を象徴する動物であることを
信じている人だった。アメリカ歴代大統領の中でも人気の上位にくる大統領であるが、こんなこともあった
のか、とちょっと意外な感じもした。

いずれにせよ、ライズリのパート、誘拐された未亡人イーデン(と二人の子供)のパート、そしてルーズベルトの
パートと大きく3つのプロットからなるのだが、有機的な結びつきが弱く物語性に重みが無くなってしまったと
いうことを言いたかったわけだ。故にショーン・コネリーがカッコイイだけの演技になってしまい、バーゲンが
気丈な女性なれど、次第にライズリに心を寄せていくさまが、今ひとつという演技も、彼らの能力に帰すると
可哀想な気がするのだ。 なんかもう少し考えて作ればいい映画になったと思うのだが。似たような状況の傑作に
「アラビアのロレンス」があるだけに。
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<ストーリー>
コロニアル風の建物を覆う白壁が地中海の光を照り返す正午の港町。街中を疾走する馬群は隘路(あいろ)を
見事な手綱捌きで抜けると、高台の豪邸に侵入し容赦なく家人を殺してまわる。賊はアメリカ人である邸の
女主人と子供2人だけは殺さずに連れ去ると素早く去っていく。
1904年、モロッコの港町タンジールでの出来事である。

鉄道と電信と砲艦が世界を席巻した20世紀に登場した「海賊」たちの頭領はリーフ族(英語版)の首長ライズリで
ある。預言者ムハンマドの血を引く砂漠の王者を自認するライズリは、列強が自治国であるモロッコへ介入する
現実に我慢ができず、国際紛争を誘発させ、甥であるモロッコの太守に外国勢力排撃の号令を出させようと
目論んでいた。

ライズリの世界観は、男同士は面子の絡んだ喧嘩には命を懸けるというものであった。人質の女主人が危険な
火遊びの果てには破滅が待っていると忠告するが、自信家のライズリの耳には入らない。プライドの高い男に
呆れる女だが、共に生活する中で別の感情を持ちはじめていく。

一方、アメリカ国内では世論に押される形をとりながら、自国の勢力伸展をもくろむ野心家達の策謀が動き
始める。アメリカ大西洋艦隊がモロッコに派遣され、海兵隊がタンジールを占領する。
そして、イーデン母子の釈放と引き換えにライズリの免責が約束されたため、ライズリはイーデンを釈放するが、
彼は太守の裏切りによってドイツ軍にとらわれてしまう。裏切りに怒ったイーデンは、アメリカ海兵隊の協力を
得て、ライズリを救出すべくドイツ軍の駐屯地へ向かのだった。互いの流血の末、非情な国際社会の力学は
ルーズベルトを勝者とする。賞賛の嵐の中、一人となった大統領は顔を合わせずに終わった好敵手からの
書簡を読みはじめる。

『あなたは風のごとく、私はライオンのごとし。あなたは嵐をまきおこし、砂塵は私の眼を刺し、大地はかわき
きっている。私はライオンのごとくおのれの場所にとどまるしかないが、あなたは風のごとくおのれの場所に
とどまることを知らない』 -ライズリの声に、何かを考え込むように立ちつくす大統領- 
ラスト、砂漠に落ちていく夕陽を背に不敵に笑うムスリムの族長二人。バックを勇壮なテーマが流れて映画は
幕を閉じる。(wikipedia)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:70% >










by jazzyoba0083 | 2017-12-26 22:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「マラソン マン Marathon Man」
1976 アメリカ Paramount Pictures. 125min.
監督:ジョン・シュレシンジャー  原作・脚本:ウィリアム・ゴールドマン
出演:ダスティン・ホフマン、ローレンス・オリヴィエ、ロイ・シャイダー、ウィリアム・ディヴェイン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
私のオールタイム・ベストに入ってくる大好きな「真夜中のカーボーイ」のシュレシンジャーとダスティン
ホフマンのコンビによる、これも大好きなサスペンス。特にホフマンは「卒業」で銀幕デビューしてから
作品にも恵まれ、シュレシンジャーと7年後に、再び佳作を撮った。今回はキャメラに「明日に向かって撃て」
「アメリカン・ビューティー」などオスカー撮影賞3回獲得の名匠コンラッド・ホールを迎え、映像的にも
非常に優れた作品となった。また原作・脚本のウィリアム・ゴールドマンは「明日に向かって撃て」(脚本)、
「大統領の陰謀」(脚色)で、これまたオスカーを獲得している名作家、ストーリーも非常に2時間の映画向きで
面白いサスペンスに仕上がっている。

WOWOWでTUTAYAとのコラボ「隠れた名作発掘シリーズ」とかでやっていたのだが、個人的には(映画好きなら)
本作はちっとも「隠れた名作」なんかじゃない。堂々とした名作だ。

あたかもジグソーパズルを組み立てるが如く物語が積み上がっていく、また古い映像を使ったり異なるシーンでの
カットバック、映像の遠近感のとり方やアングル、編集手法など、まるでサスペンス映画の教科書のような映画だ。

冒頭、NYセントラルパークを練習走行するベイブ(ダスティン)、ある老人。貸金庫から何やら出して、古い
ベンツに乗り込むもののエンスト、ユダヤらしい老人に絡まれ(いまでいう煽られ)ガソリンタンクローリーとの
衝突爆発。一方パリにおけるヘンリー(ロイ・シャイダー)の怪しげな行動と、ピアノ線を使い殺されそうに
なる,オペラ座での殺人事件とジェーンウェーの登場のシークエンス。(ここ痛い。この映画、痛いところ多くて・・・) 図書館で出会うエルサというスイス人を名乗る学生とベイブとの出会い(デイブ、一目惚れ)、
そしてナチの残党ゼル(オリヴィエ)の登場。さまざまなシークエンスは、それぞれなかなか意味が分からず
隔靴掻痒の気分になるのだが、こららのピースが次第に関連性を持ち、一つの話に収斂されていく。

そこにベイブの父(コロムビア大学の教授だった)がマッカーシーによる赤狩りで自殺に追い込まれた
エピソード、わけも分からずゼルらに追いかけられるベイブ、ゼルに殺される兄ヘンリー。

この事件、ボリビアに潜伏中だったゼルが兄が冒頭の交通事故で死んだため、ダイヤを探しにNYへ出てくる。
どこにある分からないので、ヘンリーの弟であるベイブが知っているのでは、と捕まえて拷問に晒すのだ。
ゼルは歯科医なので、健康な歯をドリルで削るという観ていて非常に痛い拷問を加える。この拷問だけで
この映画が有名になった部分もある。貸金庫にある戦時中ユダヤ人から巻き上げたダイヤをパリに運んで換金
させていた密輸ルートが浮かび上がる。ベイブの兄もこれに関わっていたのだ。そして図書館であった女性
エルサは運び屋だったのだ。

最後はセントラルパークの浄水場(?)にゼルを追い詰めたベイブがゼルの自滅で終わるのだが、パーツが
合わさって全体像が見えて来てからの物語がやや弱い。前半の重厚さが欠ける趣となるのだ。そこがこの映画の
惜しい欠点といえよう。しかしながら全体として映像の美しさ(アングルの工夫も)は十分に伝わる。
特にパリのホテルで兄ヘンリーが中国系と思われる男にピアノ線でクビを締められそうになるシーン。向かいの
アパートの老人がそれを見つけるのだが、室内がよく見えない。すると薄手のカーテンが赤く染まっていく。
このシーンは非常に印象的だった。
本作は「ロッキー」に続き映画でステディカムが使われた2例目だそうだが、主題である走るシーンでは
有効に働いている。

演技陣は不気味なオリヴィエ、大学生を演じてはいるがもう40手前のホフマン、ロイ・シャイダー、どれも
安定した演技で、文句ない。特にオリヴィエの存在感は圧倒的だ。
それにしても登場する主要なメンバーが全員死んじゃうという壮絶なサスペンスなのだな、よく考えると。

ユダヤ人の多いNYの地区で「白衣の天使」とユダヤ人から恐れられたゼルを見つけた、恐らくホロコーストの
生き残りの老女が、「彼を捕まえて!白い天使よ!」と絶叫するシーン。戦後30年も経つと反応が鈍くなる
のだなあ、という印象に残るシーンだった。この時期くらいまではまだナチ残党やホロコーストの生き残りが
まだまだ健在な時代でその点を取り上げた映画も多い。
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<ストーリー:結末まで書かれています>
ニューヨーク。銀行の貸金庫より出た老人は、雑踏の中、出してきた小箱をある男に手渡し、直後交通事故死した。
この事故を近くでマラソン・トレーニング中のベーブ(ダスティン・ホフマン)は見ていた。
彼の崇拝者はあのアベベであったが、ランニング中の事故は不吉なめぐり合わせの始まりだった。

パリは高級ホテルの一室。ベーブの兄ドク(ロイ・シャイダー)はアメリカ政府機関(ディビジョン)の男。例の箱を
売り込もうとしたが、常に命を狙われていた。一方南米ウルグアイにいるナチの残党ゼル(ローレンス・オリヴィエ)は、
ニューヨークでの老人の事故死を知るや、ニューヨークへ飛ぶ。
ある日ベーブは図書館でエルザ(マルト・ケラー)と知り合うが、公園でデート中2人の男に襲われる。ベーブがこの
事件を手紙でドクに書いた数日後、ドクが帰って来、エルザを交えた3人は食事をするが、彼女がドイツ人と知りドクの
態度が変った。その夜ドクはゼルと会う。彼はゼルの運び屋も兼ねていたのだが、弟に手を出すなと言った矢先、
ゼルにナイフで刺され死ぬ。自分の下宿にたどりつき息切れた兄に驚くベーブ。そして、入って来たドクの同僚
ジェニウェイ(ウィリアム・ディベイン)に兄の正体を知らされ再び驚かされるのだった。

やがて公園での2人の男にベーブは誘拐され、地下室に連れこまれ、拷問をうける。銀行の貸金庫にゼル自身が宝石を
受け取りに行っても安全かどうか、ベーブから聞き出そうとしたのだ。あまりの苦痛に気を失ったベーブを
ジェニウェイは助け出すが、それもベーブから秘密を聞き出そうとするワナ。ジェニウェイすらも敵なのだ。
手下のすきをつき日頃のマラソンの訓練を生かしやっとの思いで、脱出に成功したベーブは、エルザの協力の下、
郊外の家に隠れるが、そこはゼルの兄の家。エルザも一味の1人だったのだ。ベーブは彼女の正体を知り驚くが、
再び現われたジェニウェイの一味と死闘をくり返す。
そして勝ち残ったベーブは貸金庫からナチ時代の遺物のダイヤを持ち出したゼルと公園の池の前で対する。
拳銃を彼をむけ、ダイヤを呑ますベーブ。格闘の末、階段からころげおち、自らのナイフで命をおとすゼル。冷然とした
顔のベーブ。いつものマラソンコースを男達が行くのを尻目に去って行く彼だった。(Movie Walker)

<IMDB=★7.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:81% >



by jazzyoba0083 | 2017-12-24 22:55 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

否定と肯定 Denial

●「否定と肯定 Denial」
2016 イギリス・アメリカ BBC Films,Krasnoff / Foster Entertainment,Participant Media and more 110min.
監督:ミック・ジャクソン  脚本:デヴィッド・ヘア 原作:デボラ・E・リップシュタット
出演:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、ティモシー・スポール、アンドリュー・スコット他
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<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
映画を観て得る感想には、一口で「面白い」と言っても、"Fun" であったり、"Interesting"であったり、
"Moving"であったり、"Exciting"であったりと色々だ。だから映画って面白いのだが、本作を観終えて感じたのは
「観てよかった」ということ。

一見粛々と進む法廷劇であるが、その裏にあるものは非常に今日的であり、製作者たちが何故今これを
作ったか、という思いが伝わってくる。実話ということ、ベースになる原作本があることなどを鑑みても
よく出来た脚本(脚色)と、英国俳優たちの抑制の効いた説得力の有る演技、場面の切り替え、テンポ、
どれをとっても文句ない作品だ。本来個人的にこの手の映画が好きだということもあるのだが、今年見た
映画の中では指折りの出来と感じた。

本作はユダヤ人の女性歴史学者デボラ・E・リップシュタットが、その著書「ホロコーストの真実」に
おいて、イギリスの歴史家ディヴィッド・アーヴィングにイギリスの出版社ペンギン社とともに
名誉毀損で訴えられた裁判を描く実話モノ。
アーヴィングは筋金入りのナチ、ヒトラー崇拝者であり、ホロコーストは無かった、と主張する学者だ。

世界が非寛容となり、チカラの強いものの論理が通じ、フェイクニュースに代表されるように、真実の
見極めが難しい世の中にあって、本作は、「嘘を見抜く力を持たなくてはならない」「影響力を持つ人の
嘘や訴える人の信念から出た虚構は真実に見えることを見破らなくてはならない」という今を生きる
私達全てに対しての警告である。今年に入ってから我が国で喧しい「モリカケ問題」「自衛隊文書」など
現政権下のさまざまな「真実のような嘘(おそらく)」や、本家トランプ大統領による、さまざまな
「フェイク」、我が国では未だにこの映画と同じようなことが言われている「従軍慰安婦」「南京大虐殺」と、
いろんな事象がが頭に浮かんだ。

映画ではまずリップシュタットの授業に乗り込んだアーヴィングが1000ドルを手に、「ホロコーストを
命じた命令書があるなら1000ドルやるぞ!」という、分かりやすい差別主義者の主張から始める。

その後は難しい法廷劇だが、平易な論点で上手く問題点を浮き彫りさせた脚本と監督、それに応えた俳優陣の
迫力ある演技。時間が経つのを忘れて見入っていた。イギリスの裁判は被告が無罪立証をしなくてはならず、
推定無罪という概念もない。その中で、リップシュタットは、何故自分が「ホロコーストは無かった」と
立証しなくてはならないのだと理不尽に感じたが、ランプトン弁護士(トム・ウィルキンソン)の誠実で
巧妙な法廷戦術で裁判を優勢に進めていく。対する原告アーヴィングはたった一人で戦っていた。
歴史においては都合のいい虚構を突き崩すのはなかなか大変なことだ。しかしランプトンは冷静に事実・
真実に基づきリップシュタット側の論理を築き、相手側の虚構を崩していく。

リップシュタットの大弁護団は膨大な史料・資料を分析し、原告の主張の矛盾と虚偽を突き、さらに
そこからホロコーストの実態を浮かび上がらせるという戦術を取った。リップシュタットには法廷で
口を開かないこと、証言しないこと、なぜならば、アーヴィングの目的は彼女を貶めることであり、そこから
ボロを掴み、ホロコースト否定論を正当化しようとするから。ホロコーストの生き残りや遺族は証人としない、
とも。生き残りを証人台に立たせたところで、反ユダヤ主義者は、なんの痛痒も感じない。彼らの信念はそんな
ことでどうにかなるものではないからだ。逆に生き残った犠牲者らに、目の前のホロコースト否定論者に
よって傷つけられ、再び辛い思いをさせてしまうことになるからだ。
ランプトンは冷徹な事実の積み重ねで敵の矛盾を1つ1つ突き崩していく、それしかない、だから
リップシュタットにも証言台に立たせないと決めたのだ。

最後に裁判長が、「虚偽を信じ切っているものの主張は嘘といえるのだろうか」という言論の自由に対する
問題を提起してきた。そこは弁護団も詰めていないところで、リップシュタットらは判決に不安を抱くように
なった。原題の「Denial」は「否認」と訳される心理学の言葉の一つで「眼の前の事実(真実)を、自分の
信じるものとは違うとして受け入れない(否認・拒絶)すること」。日本でもそんなことをマスコミでたれ
流している人物、すぐに思い浮かぶと思う。

判決はアーヴィングの主張を嘘と認定し、原告敗訴とした。リップシュタットの判決後の会見での
「表現の自由は説明責任を要求する」という一言は、我が国の政治家やメディアに関わる人、ネット民すべての
心にねじ込んでやりたい言葉だった。 人の話に一切耳を貸さない差別主義者(Denial)と地球上に生きて
いかなくてはならない我々は、この映画から学ぶことは多い。

「ナイロビの蜂」でオスカー助演女優賞を獲ってから12年。更に成長したレイチェル・ワイズの姿がここに
あった。(旦那はダニエル・クレイグなんだよなあ)
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<ストーリー>
ナチスによる大量虐殺はなかったと主張するホロコースト否定論者とユダヤ人歴史学者が裁判で争い、世界中の
注目を集めた実在の事件を映画化した法廷ドラマ。アメリカの法廷での戦い方との違いに戸惑いながらも、
勝利のために歴史の真実に迫っていくヒロインをレイチェル・ワイズが演じる。
監督は近年はドキュメンタリーを数多く手がけているミック・ジャクソン。

1994年、アメリカのジョージア州アトランタにあるエモリー大学で、ユダヤ人女性の歴史学者デボラ・E・
リップシュタット(レイチェル・ワイズ)が講演を行っていた。彼女はイギリスの歴史家デイヴィッド・
アーヴィング(ティモシー・スポール)が訴える大量虐殺はなかったとする“ホロコースト否定論”の主張を
看過できず、自著『ホロコーストの真実』で真っ向から否定していた。

ある日、アーヴィングはリップシュタットの講演に突如乗り込み、名誉毀損で提訴する。訴えられた側に
立証責任がある英国の司法制度で戦うことになったリップシュタットは、“ホロコースト否定論”を崩さな
ければならない。彼女のために英国人による大弁護団が組織され、アウシュビッツの現地調査など、歴史の
真実の追求が始まる。2000年1月、多くのマスコミが注目するなか、王立裁判所で始まった歴史的裁判の
行方は……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.6>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:83% Audience Score:71%>



by jazzyoba0083 | 2017-12-21 12:00 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

宇宙からの脱出 Marooned

●「宇宙からの脱出 Marooned」
1969 アメリカ Columbia Pictures Corporation,Frankovich Productions. 128min.
監督:ジョン・スタージェス
出演:グレゴリー・ペック、デヴィッド・ジャンセン、リチャード・クレンナ、ジーン・ハックマン他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
ジャンル、監督、出演者で観てみた。この年のオスカーの特殊視覚効果賞を獲っている作品なのだが、
現在のVFXを見慣れたものとしては、クロマキーのなんともおぼつかない映像が歯がゆかった。それを
上回る物語性があるか、といえばそうでもない。3人の宇宙飛行士が地球帰還に際し、飛行船が逆噴射
せず、取り残されるという設定で、管制センターと飛行士の見解の相違、飛行士の妻らの悲しみ、
飛行士同士の争い、救出作戦と、よくある話に終始し、その割に各シークエンスが長く、全体の上映
時間も冗漫に長くなってしまった。あのジョン・スタージェスの作品か?と思ってしまう。出ている俳優らも
豪華な割にがっかりな仕上がり。

1968年にこの映像や設定がどのくらい凄かったのかそうでもなかったのか、調べてみたら、前年には
キューブリックの「2001年宇宙の旅」が製作されている。この映画にもオスカーは特殊視覚効果賞を与えて
いるのだが、一年経過して、前年の同様の作品を上回っているとは思えない作品に同じ賞を与えるのは
どうなんだろう。もちろんCGもなく、光学的に処理された映像となるわけだが、「2001年~」の出来の良さ
に比べると、これで同じ賞か?それでは「2001年~」が可哀想じゃないか、と思えてしまう。
一方、「アポロ13号」事件が起きたのが1970年。状況は違うが、3人の宇宙飛行士の生命が宇宙空間で危険に
晒されたわけで、その点でいえば先見性のあるシチュエーションだったともいえよう。
アポロ計画真っ最中のことで、米国空軍、NASAの協力があったとはいえ、飛行服の仕上がりなどには、若干
不出来な感じを覚えた。ただ背負型の小型ジェット移動装置とか、暗闇に浮かぶ宇宙船の美術は観るべきもがある。

wikipediaによれば、本作は1964年に発表されたマーティン・ケイディンの小説が元となっているようで、
小説では、マーキュリー宇宙船を、当時開発中であったジェミニ宇宙船とソ連のボストーク宇宙船が
救助する、という設定だったそうで、映画化するについて、進行中であったアポロ計画にアダプトされた
ということだ。

繰り返しになるが、それぞれのシークエンスをもう少し手短に纏め、冗漫さを消せば、もう少しいい映画に
なっていたのではないかと思うと、勿体無いことをした、と思う。飛行士の1人、若きジーン・ハックマンの
荒々しい演技が観られる。グレゴリー・ペックは存在感はあるものの、もう一つ心に響いてこない。
救助に参加するソ連の飛行士への敬意など、当時の冷戦状況からすると仕方のないことかもしれないが、
素っ気なさ過ぎな感じだ。

因みに原題のMaroonedとは、孤立した、取り残された、という意味だそうだ。
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<ストーリー>
ヒューストン基地から発射された宇宙船アイアンマン1号は、いま順調な飛行を続けていた。この宇宙船には、
プルエット(リチャード・クレンナ)、ロード(ジーン・ハックマン)、ストーン(ジェームズ・フランシスカス)
の3飛行士が搭乗していた。
3人は、地上基地の責任者キース博士(グレゴリー・ペック)と、主任飛行士ダウティ(デイヴィッド・ジャンセン)
から送られてきた指令通り、宇宙ステーション建設のためのすべての作業をすませ、やがて、地球へ戻ることと
なった。

だがここで、原因不明の事故が起き、地球へ戻るための推進ロケットが点火しなくなってしまった。さっそく、
地上センターでは、原因究明のため電子計算機を駆使した。初めのうちは余裕を示していた当の飛行士たちにも、
無限の沈黙の宇宙空間にとり残された、不安と恐怖が、じわじわと迫ってきた。
そのころ地上基地では、テッドを一人乗り宇宙船に乗せ、救助に向かわせることにした。しかし、この救助計画
には、数多くの困難が伴った。数日もかかる軌道計算、宇宙船の食料と酸素の心配等々。その上に、救出船発射
間際に、基地は大暴風雨に見舞われてしまった。そのため、いったん発射を見あわせた基地では、台風対策に
頭を悩ませるのだった。こうして、地上基地があせりを感じていたころ、宇宙空間では、3人の飛行士たちが、
懸命の脱出作業にはげんでいた。しかし、その作業中、プルエットが命を落としてしまい、無辺の宇宙に、
ロードとストーンの2人がとり残されてしまった。救助作業に全力を傾けた地上基地は、しばらくして、
すばらしい考えを思いついた。台風の目の無風状態を利用して救助船を打ち上げようという考えがそれだった。
基地のすべての人々がその成功を祈った。その中で、無事救助船は、宇宙の迷子となった2人を救出すべく、
上昇して行くのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★5.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:100% Audience Score:43% >
※Rotten Tomatoesの批評家の数字は母数があまりにも少なくて信用しない方がいい。むしろ一般の評価が
正しいと思う。



by jazzyoba0083 | 2017-12-20 23:25 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「マスター・アンド・コマンダー Master and Commander:The Far Side of the World」
2003 アメリカ Universal pictures,Miramax,20th Century Fox. 139min.
監督:ピーター・ウィアー   
原作:パトリック・オブライアン『南太平洋、波瀾の追撃戦 英国海軍の雄ジャック・オーブリー』
出演:ラッセル・クロウ、ポール・ベタニー、ビリー・ボイド、ジェームズ・ダーシー、マックス・パーキス他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
この時代の海洋冒険譚は好きなので、とても面白く観た。ラッセル・クロウとポール・ベタニーをミスキャストと
指摘する向きも多いようだが、私は二人とも物語に良くフィットしていたと思う。
とにかくCGではない本物の木造大型帆船(嵐の中とかは当然CGの活躍はあっただろうが)の操船やら乗組員の
過酷な軍務は、ハラハラドキドキ。船名の通り「サプライズ」であった。
特に、今なら小学校6年生か中学1年くらいの軍人見習いが結構乗船していて、片腕をなくしたり戦死してしまったり
往時に思いを馳せた時、厳しい時代だったんだなあとしみじみ思ったのだった。

当然、この手の映画の常道として、天候の問題、食料や水の問題、将校と水兵のいがみ合い、などの問題は
トピックスとして提示されていく。ナポレオン一世の時代、苦境に立たされていた大英帝国軍は、フランス
海軍の太平洋進出を、食い止める必要があった。オーブリー船長(クロウ)が追跡を命じられたフランスの
アケロン号はサプライズ号よりも大型で砲門も多いし速度も早い。しかし、ラッキージャックこと
ジャック・オーブリー船長の巧みな戦術で次第にアケロン号を追い詰めるが。
しかし、途中で事故が起き死者も出たことから、オーブリー船長自身の自己満足だけで、無理な追跡をして
いるのではないか、と親友で船医で博物学者でもあるマチュリン(ベタニー)からも指摘されていた。

ガラパゴス諸島に到着するが、アケロン号を追う方を優先し、物資の積み込みと、アケロン号に破壊された
イギリス捕鯨船の漂流者の救助だけにとどめ、上陸はしなかった。博物学者であるマチュリンは手付かずの
自然を調査したくてたまらず、約束が違うじゃないか、と責めるが、オーブリーは、この船は軍艦だ、軍務が
優先する、と取り合わない。しかし出港してしばらく、洋上で船に近づいた珍しい鳥を撃ち落とそうとした
将校の銃弾が間違ってマチュリンの腹に当たり、オーブリー船長はガラパゴスに引き返し、上陸、マチュリンは
自分で自分を手術するという荒業で銃弾を取り出すことに成功した。そして少年将校らと島を探検したのだった。
だが、飛べない鵜を確保しようとして島の高台から見えたものは、既に遠くに行ってしまっていると思って
いたフランス海軍アケロン号の姿であった。

急ぎ船長の元に帰り報告。オーブリーはマチュリンらが捉えてきたナナフシの擬態にヒントを得てある作戦を
立てた。それは、サプライズ号を捕鯨船に仕立ててて、相手を引き寄せ、横付けして来たところを一気に
砲撃し拿捕しようというものだった。船の名前をセイレーン号に書き換え、船員は捕鯨船の船員の格好をし、
しかし、いたるところに銃やサーベルを忍ばせ、アケロン号が近づくのを待った。

案の定、アケロン号は横付けし、停戦を命じる。鯨油でも積んでいればいい金になるからだ。そこでオーブリーの
命令一下、サプライズ号の側面の大砲が火を吹く。練習通り、素早い砲撃でメインマストを折ることに成功し、
サプライズ号に同乗していた海兵隊も加わり、アケロン号に乗り移り、激しい肉弾戦が始まった。
オーブリーの部下にも9名の死者が出た。その中には海尉に昇進したばかりの少年の姿もあった。
アケロン号の船長は医務室で既に死んでいて、軍医は名誉の象徴である軍刀をオーブリーに差し出し降伏の
意思を示したのだった。(※これはラストシークエンスに繋がる重要な場面)死んでいたのは本当に艦長?
ということ。 鹵獲したアケロン号に、オーブリーは信頼できる副長を船長に指名し、回航を命じたのだ。
アケロン号の艦長にいっぱい食わされ、後を追ったが大丈夫だったのだろうか?

そのような話なのだが、軍艦の中での話はよくあるもので驚くこともあまりなかったが、この年のオスカー
撮影賞を獲ったカメラワークと荒れる海や戦闘のダイナミックな映像は迫力たっぷりで楽しめた。
冒頭の戦闘で片腕の切断を余儀なくされる少年ブレイクニーの存在が、この映画を引き締めている感じだ。
ダイナミックな海洋映画がお好きな方はきっと面白く観られると思う。ラストは分かりづらいかも知れない。
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<ストーリー>
1805年。ヨーロッパ征服を狙うナポレオンの前に、多くの兵士の尊い命が犠牲となり、イギリス軍は兵力を
補うため幼い少年達までも戦場に送らざるをえなかった。弱冠12歳の士官候補生ブレイクニーら少年たちは、
伝説的な名艦長として名を馳せるジャック・オーブリー(ラッセル・クロウ)率いるサプライズ号に乗り込む。

この艦の使命は、ナポレオン率いるフランス軍の武装船アケロン号を拿捕するという危険極まりない大追跡だった。
攻撃力で圧倒的な優位に立つアケロン号を相手に、戦う術も知らない幼い少年達はひたすらにジャック・オーブリー
艦長を信じ、愛する家族に再び会える日を夢見て戦う。
しかし、彼らの前には大海原の脅威という試練も待ち構えていた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:85% Audience Score:80% >










by jazzyoba0083 | 2017-12-19 23:50 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「ローグ・ワン/スター・ウォーズ ストーリー Rogue One」(再見)
2016 アメリカ Lucasfilm,Walt DisneyStudios Motion Pictures and more.
監督:ギャレス・エドワーズ
出演:フェリシティ・ジョーンズ、ディエゴ・ルナ、ベン・メンデルソーン、マッツ・ミケルセン、ドニー・イェン他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
先日、SW最新作「最後のジェダイ」を観て、新世代の物語のスタートに希望を持ったのだったが、たまたま
WOWOWで表記の作品を放映していて、(奇しくも昨年の同じ日に劇場でIMAX 3D版を鑑賞)観た直後の
感想を当ブログで見返してみた。すると、そうとう辛い感想を書いていて、自らの無知とアホさを晒すのを覚悟で
再評価をしてみなくては、と感じ、ここにアップしてみた次第。

フリークではない普通のSWファンであっても、本作は、1977年に封切られた「EPⅣ」に繋がる、いわば
「3.5」のようなスピンオフであることは理解されていることだろう。「帝国軍が完成させたというデス・
スターの(プラネットキラー)設計図を盗み出す」という4のメインストーリーに対して、本作ではそのデス・
スターを作っている(作らされている)ゲイリン・アーソ(マッツ・ミケルセン)とその娘ジン(フェリシティ・
ジョーンズ)が物語のコア。

初見のとき、いろんな新しいキャラクターが出てきて、ごちゃごちゃ話がとっちらかってしまっている、と
したのは、反乱軍の中の過激派ソウ・ゲレラ(フォレスト・ウィテカー)とその部下たちの存在が原因。
彼はジンの育ての親ではあるが、エピソードの1つでしかないので、話に入り込んでくるとややこしく
感じたのだろうし、盲目の剣士チアルートと重機関銃の名手ベイズの参加などでさらに特に彼らの背景が
わかりづらくなった恨みはやはり残った。

だが、冒頭幼かったジンの家に帝国軍が来て科学者である父ゲイリンを拉致、デス・スターを完成させる
ため帝国軍に参加させる。しかし、ゲイリンは「小さいが致命的な弱点」をプラネットキラーのデータに
入れ、その情報をシンパの帝国軍のパイロットに託して反乱軍に届ける。
父の意思を確認したジンは、同盟軍の大勢が、「そんな恐ろしい武器が出来たなら降伏すべき」という
評議会に憤然とし、反乱軍のアンドーとデータのある星に向かう。そこではすでに兵器は完成していて、
ゲイリンは殺されてしまう。そこから決死のデータ回収が始まるわけだ。

さらに、ジンとアンドー、それに率いられた「ローグワン」と称される反乱軍の一隊の行動を確認した
評議会は、ジンとアンドーのもとに援軍を差し向ける。そして反乱軍と帝国軍の激しい戦いが展開。
データは敵側のドロイドながらデータを反乱軍用に書き換えられて味方となった「K」の奮闘もあり
奪取に成功。そこにダースベイダー登場。しかしデータを記録したチップはレイア姫の元へ届けられた。

しかし、怒ったダースベイダーはデス・スターからプラネットキラーを、ジンやアンドーのいる星に向け
発射した。その星で生存できるものはいないのだ。

二度目に観ると、話の整理が簡単で、面白みが前に出てきて所見より十分に楽しむことが出来た。ただし、
最後にチルアートがスイッチを入れるコンソールが、あんな目立ちやすいところにあるか?とか、ジンが
データを送る際に、作業をアンテナから突き出た超高所にあるコンソールで作業するんだけど、あんな
場所に置くか?とかのツッコミは変わらず感じた。

この作品に登場した人物は評議会メンバー以外は4には出てこないわけだから、本作では全員を殺しておく
必要があったのだろうなあ。それにしても、盲目の剣士や自己犠牲を厭わない人間ぽいドロイド「K」のキャラを
初めとして、最後に至るまで、どこか日本の最盛期の黒澤映画の脚本を観ているが如しだった。
初回のときも書いたが、後半の戦闘シーンはよく出来ていると更に確認した。帝国軍の大型軍艦スター・
デストロイヤー同士をぶつけるシーンは白眉であった。

いや、前言撤回も含め、(ジンの存在が曖昧とかいた事は全くの見誤りだった=反省)★を8に訂正させて
頂いた。
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初見の(恥ずかしいけど反省のため晒しておきます)感想はこちらのリンクから。


by jazzyoba0083 | 2017-12-18 23:55 | 洋画=ら~わ行 | Trackback | Comments(0)

●「パシフィック・ウォー USS Indianapolis:Men of Courage」
2016 アメリカ Hannibal Pictures 129min.
監督:マリオ・ヴァン・ピープルズ
出演:ニコラス・ケイジ、トム・サイズモア、トーマス・ジェーン、マット・ランター、ユタカ・タケウチ他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
国内外的に圧倒的に低評価の作品だ。確かに二時間以上の時間に値しない冗漫な表現や稚拙なCGなど
買えない点は多い。残念なのは、アメリカの重巡洋艦インディアナポリスの持っていた数奇な運命を
想う時(それは艦長のマクベイの数奇な運命に重なるので余計に面白いのだが)、これじゃもったいないなあ、と
感じるのだ。スピルバーグとかイーストウッドに監督させたら、もっといい仕上がりになったんじゃないかなあ。
この船は、太平洋戦争において日本軍とのいろんな戦いに登場してくる因縁の深い船なので、日本人にしてみれば
余計にもったいない。

アメリカの重巡洋艦インディアナポリスは、テニアン島に急遽秘密物資を届ける任務を支持され、スピードを
上げるためと日本軍に知られないようにというために普通は付ける駆逐艦の護衛もなく目的地に急ぐ。
秘密物資とは、当然広島、長崎に投下する原爆の部品であったわけだ。任務を無事に終えてレイテ島に向かう
途中、日本海軍の潜水艦イ58号(特攻兵器回天装備)の6本の魚雷攻撃を浴びて沈没。ここでも駆逐艦の
護衛は無かったので、対潜兵器が無く、やられるままだった。
乗組員1199名は300人が攻撃で死亡し、後の900名あまりは海に投げ出され、漂流することになった。
この海はサメが多く、また無線封鎖もあったらしく救援が来るまでに5日を要したため、サメの犠牲に
なったり、精神的におかしくなったり体力が持たなかったり、食料や水が払底したり、乗員同士の争いが
あったりで、結局救助されたのは316名であった。救助が遅れた一因に、マッカーサー(陸軍)とニミッツ
(海軍)の、太平洋上に置ける主導権争いもあったようだ。

戦後艦長のマクベイ大佐はジグザグ航法をしなかった、という罪で有罪となった。第2次大戦中、被害に
あった米海軍の700艘のうち艦長が軍法会議にかけられたのはマクベイだけであった。彼は決して艦長として
劣っていたわけではないが、被害者やその関係者から責め立てられ続け、1968年に自宅で拳銃自殺して
しまった。軍事裁判ではイ58号の橋本艦長も召喚され、ジグザグ航法していても至近距離だったから
被弾はさけられなかっただろう、と証言してくれたのだが。裁判後、二人は裁判所の庭で会い、当時は任務
だったから実行したが、今は人として間違っていたと思う、と語った。マクベイとて同じ気持ちだった。
マクベイ大佐の名誉は(裁判が誤審であったことが判明し)その後クリントン大統領によって回復された。

そんないい話てんこ盛りのこのエピソード、出港前、出港後の潜水艦との対峙、沈没と漂流、そして軍事
法廷と、コアになるシークエンスで無駄だなあと思うシーンがありこれをまずカットし、ゆるい演出を改め
れば、締まった映画になったのではないかと極めて残念だ。ニコラス・ケイジ、ほんとに最近いい作品に恵ま
れないなあ。CGをちゃんとするために制作費も必要だな。
噂によればロバート・ダウニーJrが映画化をするいう。期待したい。
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<ストーリー>
太平洋戦争末期の1945年。アメリカ軍の巡洋艦インディアナポリスを率いるマクベイ艦長(ニコラス・
ケイジ)は、ある極秘任務を受ける。それは、長きに渡る大戦に終止符を打つ最終兵器・原子爆弾の輸送
だった。危険極まりない戦地へ向かったマクベイと兵士たちは、日本軍との激しい戦闘を掻い潜りながら、
なんとか目的地テニアン島にたどり着く。
任務を終え、安堵に包まれながら次の目的地へ出発するインディアナポリス。しかしその時、艦内に爆音が
鳴り響く。橋本少佐(竹内豊)率いる日本軍の潜水艦から発射された魚雷が直撃したのだ。

激しい戦闘の末、沈没するインディアナポリス。何とか脱出したものの、太平洋を漂流する羽目になった
マクベイと兵士たちに、今度は飢えと喉の渇き、そして獰猛な鮫たちが襲い掛かる。極限状態に陥り、
次々と命を落としていく兵士たち。マクベイは、彼らを1人でも多く生きて家族の元へ帰そうと奮闘する。
しかしこれは、マクベイに訪れる非情な運命の始まりに過ぎなかった……。(Movie Walker)

<IMDb=★5.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:9% Audience Score:31%>



by jazzyoba0083 | 2017-12-18 22:20 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)