●「ビッグ・リトル・ライズ Big Little Lies」
2017 アメリカ HBO 50min×7episodes
出演:リース・ウィザースプーン、ニコール・キッドマン、シェイリーン・ウッドリー、
アレキサンダー・スカルスガルド,アダム・スコット、ゾーイ・クラヴィッツ、ジェームズ・タッパー、
ジェフリー・ノードリング、ローラ・ダーン他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
本作はアメリカのケーブルテレビ用に質の高いテレビシリーズを製作することで知られるHBOが手がけたもの。
ここで感想を書くのは若干筋が違うのだが、映画と変わらないキャスティングと演出で、質が高く、書き残して
置くことにした。Amazon Primeで一気に観てしまった。一気に観させた魅力はうまい演出のサスペンスだ。

初回から、捜査当局に答える関係者を短く(ほんとに一言二言)挟みながら、「何かがあった、殺人事件ぽいな」
犯人は誰だろう、と思わせて引っ張る手法が上手かった。サンフランシスコの南にあるモンタレーが舞台。近くには
イーストウッドが市長をやったカーメルがある。そこのセレブの家族たち。彼らをくっつけているのは小学校の
子どもたち。元弁護士のキッドマンとエリートビジネスマンのスカルスガルド夫婦、彼らの問題はDVだ。在宅で
IT関連の仕事をするアダム・マッケンジーとウィザースプーンの夫婦。ヨガ教室を経営するゾーイ(クラヴィッツ)と
ジェームズ・タッパーーの夫婦。タッパーはウィザースプーンの前の夫だ。高校3年生になった娘はウィザースプーン
夫婦と暮らすがマッケンジーにあまり懐いていない。ウィザースプーンは街の人形劇演出家と浮気をする仲。
そんなセレブのグループに、レイプされて子供を生んだシェイリーン・ウッドリーと息子が引っ越してくる。

その小学校の入学式でいじめが発覚する。そこからセレブらが抱えるDVや浮気、セックス、仕事、子供を挟んだ
いがみ合い、などなど、まあ言ってしまえばDVを除けば金持ちのどうでもいいような問題が次から次へと展開され
ていく。物語の持って生き方や映像の構成が上手い。監督は「ダラス・バイヤーズクラブ」のジャン=マルク・
ヴァレだ。全体としては映画にはなじまないストーリーかなあ。テレビシリーズがぴったりの構成、進行だった。

やはり一流の役者は魅力的だ。音楽の使い方も上手い。去年のゴールデングローブ賞のテレビ映画部門で作品賞を
獲っている。そうとうなセックスシーン(Amazonでもぼかしが入る部分がある)があるけど、どういうチャンネルで
放送しているんだろう。
来年シーズン2が放映されるので、最終話の終わり方は続編ありありの終わり方だったので、楽しみなことである。
なんでも、キッドマンの母役で、なんとメリル・ストリープが出るようだ。ますます豪華になっていくなあ。
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<IMDb=★8.6>



by jazzyoba0083 | 2018-08-30 11:44 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「マンマ・ミーア! ヒア・ウィ・ゴー Mamma Mia! Here We Go Again」
2018 アメリカ Legendary Entertainment,Universal. 114min.
監督・(共同)原案・脚本:オル・パーカー
出演:アマンダ・サイフリッド、ピアーズ・ブロスナン、コリン・ファース、ステラン・スカルスガルド、
   クリスティーン・バランスキー、ジュリー・ウォルターズ、ドミニク・クーパー、リリー・ジェームズ
   アンディ・ガルシア、シェール、メリル・ストリープ他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想・映画の構成上、やむを得ずネタバラシをしていきますのでご注意ください>
個人的なことながら、前作は生まれて初めて外国(カリフォルニアはサンノゼ)の映画館で、字幕なしで
観た作品。あれから10年。初孫も今では10歳になり小学校5年生。いろんなことが変わる。

さて、ハリウッドもネタに苦労しているのか、このヒット作の続編を持ち出した。作り方は、過去に
戻って現在を観るというもの。これまでの「スター・ウォーズ」とか「Xメン」シリーズなどで多用されて
いる手法だ。本作も、メリル・ストリープの若き日と現在を交互に見せるというか、現在のシーンに過去を
カットバックしていくというのか、そういう構成でメリル・ストリープの娘アマンダ・サイフリッドの
人生の哀しみや喜びを中心に描いていく。もちろんABAの音楽は主役の一つ。オリジナルもいいけど、
映画の登場人物が歌う曲は、物語が乗っかっているので、一層心に響く。終映後、迷わずサントラを購入した。

さて、美しいエーゲ海に浮かぶギリシアのカロカイリ島。舞台は初作と同じ。前作で母ドナ(メリル・
ストリープ)と娘ソフィ(アマンダ)の二人はホテルを経営し、ソフィがスカイと結婚式を挙げるという
状況が舞台となった物語であった。
そこに、3人のパパを呼んでしまったことから起きた大騒動、って具合だった。

あれから10年。実はドナは既にこの世になく、ソフィは本作で初登場の謎の多いスペイン人、シエンフエゴス
(アンディ・ガルシア)を支配人に据えて、リニューアルオープンに向けて奮闘中だった。そしていよいよ
セレモニーの日も決まったのだが。旦那のスカイはホテル業の勉強でNYにいて、ソフィに島を出てNYに
来るようにその魅力を語ったりする。でも、ソフィは母との思いが詰まったこの島は去ることなど出来ない。

さて、そこから時代は、母ドナの大学卒業式へと遡る。そして親友二人を加え、どういう経緯で
カロカイリ島にやってきたのか。なぜ3人の男性と付き合うようになったのか、が現在と過去の物語を綾織り
しながら綴られていく。若きドナを演じたリリー・ジェームズがハツラツとして歌もうまく良かった!
これに、アメリカ人の建築家サム(ブロスナン)、イギリス人の銀行家ハリー(ファース)、冒険家で
紀行文作家のスゥエーデン人ビル(スカルスガルド)という前作の3パパもそもまま(10年年を食っては
いるが)登場。(それぞれの若き日の彼らを演じた3人も良かったよ)ドナ&ダイナモスのオリジナルメンバー、
ターニャとロージーも前作のキャスティングで10歳年を取って登場する。
そして本作の最大の目玉の一つである、ドナの母、ソフィのおばあちゃんルビー(シェール)が登場。
アルトの美声を聞かせる。全員歌上手い!ABAの音楽の70年台風曲調もあり私なんかは観て聞いているだけで
涙がこぼれそうになる。

というのも物語が、母ドナがどんな思いでソフィを生んだか、そして育てたかを、ソフィの妊娠出産という
エピソードを入れることで(特にみんな集まっての洗礼のシーンなどは面影のメリル・ストリープが歌うシーン
がありここでみんなやられると思う)、心を熱く打つ作りになっているからだ。
観終わって幸福感に浸れる映画。

ジーンと来る一方で全体としては明るく楽しい作品である。続編は初作に比べて難しいと思うし、監督も
脚本も変わっているし、前作の終わりと本作に辻褄が合わない部分やツッコミどころがないわけではないが、
それらを加味しても、楽しい114分だと思う。前作より登場人物は増えたが、物語に厚み(重層構造)が加わり、
母を思う娘の気持ちが美しく哀しく(メリルを亡き者にしたのは卑怯っちゃ卑怯だが)描いたことで、前作を
超えた楽しさが生まれたと感じた。本国での評価も総じて本作の方が前作よりも高い。

ただABAの楽曲としては前作の方がみんな知っている大ヒット曲のオンパレードだったと思う。ドナ&
ダイナモスの活躍が大きくフィーチャーされていたから仕方がないし、本作はしんみり度が前作より高く、
イケイケの雰囲気がやや抑制的になっているから。

それと感じたのだが、キャメラの映像が良く考えられていて、歌の最中の切り替えに鏡や空を上手く取り入れ
流れを阻害しないように工夫されている点に好感した。

ABAのメンバー、ベニー・アンダーソンがレストランのピアニストで登場していたり、日本のお笑い芸人、
横澤某が出てきたり、そんなトリビアも話題を呼んでいる。アマンダはお年相応なんだろうけど、ちょっと
痩せた?
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<ストーリー>
小さなリゾートホテルを経営するシングルマザーのドナとその娘ソフィの身に起きる騒動を描いた、人気
ミュージカルが原作の家族ドラマの続編。
母娘の念願だったホテルを完成させるも、突然の妊娠発覚に揺れるソフィと、ドナの過去の知られざる
エピソードが明らかになる。前作同様、母をメリル・ストリープ、娘をアマンダ・セイフライドが演じる。

どこまでも青く輝くエーゲ海に浮かぶギリシャのカロカイリ島。母ドナ(メリル・ストリープ)との夢だった
ホテルをついに完成させたソフィ(アマンダ・セイフライド)は、支配人に就任したセニョール・シエンフ
エゴス(アンディ・ガルシア)と共に、オープニングパーティの準備に駆け回っていた。

人生で最高に晴れやかな日。だが、ソフィの心は揺れていた。ニューヨークでホテルビジネスを学んでいる
夫のスカイ(ドミニク・クーパー)が、そこで働かないかと誘われていたのだ。ニューヨークで新たな人生を
始めることに魅力を感じるスカイと、母の夢にこだわるソフィ。2人の間には、かつてない危機が訪れていた。

そんな中、ソフィの妊娠が発覚。思わず、若き日の母と自分を重ねるソフィ。1人で私を身籠った時、ママは
どんな気持ちだったのか?3人のパパたちとはどのように出会い、なぜ別れたのか……?時は遡り、ドナが大学を
卒業した頃。広い世界へ羽ばたこうとしていたドナ(リリー・ジェームズ)は、パリに降り立ち、若き日のハリー
(ヒュー・スキナー)と出会う。だがそれは、彼女の人生を変える三つの出会いの始まりに過ぎなかった……
(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:74% >



by jazzyoba0083 | 2018-08-29 11:25 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

追憶の森 The Sea of Trees

●「追憶の森 The Sea of Trees」
2013 アメリカ Bloom,Netter Productions,Waypoint Entertainment. 111min.
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マシュー・マコノヒー、渡辺謙、ナオミ・ワッツ、ケイティ・アセルトン、ジョーダン・カヴァリス他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆-α>
<感想>
ガス・ヴァン・サントは「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」「ミルク」などで常に注目している
監督の一人であるのだが、最近はめっきりメガフォンを持たなくなってしまった。本作が監督としては
最新作ということになる。現在、ホアキン・フェニックスやジョナ・ヒルを起用した新作を製作中であると
聞いているので公開が楽しみではあるが。

ガスは、人間の内面を描き出すことを得意としている作家だと思うのだが、本作は、そこがスピリチュアルな
面まで行ってしまい、個人的には非常に分かりやすい作品であったのだが、映画としての重さというか出来の
良さはちょっとな、という感じの仕上がりと感じた。

主人公アーサー(マコノヒー)が、アメリカの空港から何も持たず日本を訪れ、青木ヶ原の樹海に入る。自殺
しようとしていることは明らか。その理由はしばらくは語られない。むしろ、妻との折り合いの悪さが原因と
思われるようなミスリードもある。そこに、同じく森を彷徨するナカムラタクミという中年の男性を見つける。
彼も自殺を試みに森に入ったが、止めて森の外に出たいが道が見つからないという。
そこでアーサーは、彼をとりあえず助けるため、樹海を出る努力をしてみる・・・というメインストーリーの
中に、アーサーが岩場から転落して重傷を負ったり、洞窟の中で水に流され、九死に一生を得たり、さまざまな
服を着た遺骸と遭遇したり、昼なお暗い森の中からの脱出は続く。
ナカムラは妻はキイロ、娘はフユという、と自己紹介をしていた。日本人なら、そこれあれ?と思うはずだ。
女性の名前にキイロというのは普通ないから。

二人の脱出行の中で、アーサーがなぜ樹海に来たかが明らかにされていく。それは、折り合いの悪かった妻
(ワッツ)に脳腫瘍が見つかり、摘出手術を受けたが、それは良性であったことがわかり、二人の間にいい
空気が流れ始めたものの、転院する救急車がダンプトラックと衝突し、生きるはずだった妻が亡くなって
しまったのだ。
自分がどれだけ妻を愛していたか、それなのに妻のことを殆ど知らないと愕然としたアーサーは、以前
妻から「死ぬ時は病院以外で。理想的な死に場所を探してね。約束よ」と云われていて、改めて妻を愛して
いたことから絶望の縁にたたされたアーサーは、ネットで日本の青木ヶ原を見つけ、やってきたのだった。

だが、ナカムラとの脱出行で、妻のためにも生き延びることを決意したアーサーは、ケガで動けなくなった
ナカムラを一旦置いて救助を求め、救われたのだった。しかしナカムラの姿はもう森にはなく、掛けたコート
を取ってみるとそこには、ナカムラが言っていた死ぬときに咲く花が一輪咲いていた。

つまり、ナカムラは、アーサーの自殺を止めさせ、森から出そうとする精霊であり、また「千の風になって」
アーサーを見守る妻の精霊であったのだ。「生きろ」と。ナカムラが「生」へのメタファーであったことは
容易に想像がつく。

そしてアーサーはアメリカに帰り、妻の好きだった場所に家を変え、好きだったランの花を育てながら、
研究所に復職して暮らし始めたのだ。

こんな分かりやすい話があるだろうか。たしかに森のなかでの渡辺謙とのことはリアリティも感じるが、
ラストを考えると二人助かって良かったとは絶対にならないわけで、それにキイロとフユ、妻が童話が
好きだったなどという伏線から先々が容易に読み取れてしまった。

悪い映画ではないが、ガス・ヴァン・サントらしい捻りとか心に直球で投げ込んでくる感動という
ものが欠けていたのでは、と感じたのだった。
森のなかの中年男がアーサーと不自由なく英語で会話が出来るということからすでに怪しい(苦笑)。

WOWOWで解説の小山薫堂が紹介していたが、カンヌでは「なぜ日本の青木ヶ原を理想的な死に場所に
選んだのか、まったくその理由が分からないとブーイングだった」そうだ。これは舞台となった日本人が
観るのと西欧人が観るのとでは、初見の捉え方が大きく異なるのだろうな、と思う。
今二つくらいの作品だった。ただ、スピリチュアルな、精神世界の好きなかたは良いかもしれない。
秋山雅史の歌のイメージがお好きな方。
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<ストーリー>
磁石が狂い、携帯電話も通じない樹海で運命的に出会った2人の男が、本来の目的をよそに生き残ろうと
奮闘する姿を描くミステリアスなドラマ。
マシュー・マコノヒーと渡辺謙という実力派が初共演し、深い悲しみを抱えた男たちを熱演する。
グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の名匠ガス・ヴァン・サントがメガホンを握る。

アメリカ人のアーサー(マシュー・マコノヒー)は死に場所を求め、富士山の北西に広がる青木ヶ原樹海に
入っていった。木々が生い茂る森の中を分け入っていくと、タクミ(渡辺謙)という日本人男性と出会う。
タクミは妻子のもとへ帰ろうとしているものの、怪我をし寒さに震えていた。タクミを放ってはおけず、
アーサーは彼とともに出口を探して歩き回るが、方向感覚を失い、森を抜け出すことができない。
自然の厳しさに直面しながらさまよううちに、アーサーはタクミに心を開いていき、彼が樹海へ来た理由を
話し始める。(Movie Walker)

<IMDb=★6.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audience Score:40%>




by jazzyoba0083 | 2018-08-27 23:20 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「女神よ、銃を撃て! Tout nous sépare」
2017 フランス Les Films du Kiosque and more. 100min.
監督・(共同)脚本:ティエリー・クリファ
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ダイアン・クルーガー、ネクフ、ニコラ・デュヴォシェル、セバスチャン・ウバニ他
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<評価:★★★☆☆☆☆☆☆☆>
<感想>
続けてトホホな女性主演映画を観てしまった。別に感想を書かなくてもいいような類の作品だが、何が
だめなのかを考えることもまた映画好きにとっては大事かな、とも思い、忘備録も兼ねて記す。
日本未公開作品を紹介するWOWOWのジャパンプレミアにて鑑賞。(飛ばし観)

第一に脚本・シナリオ・企画がまったくおそ松くん。これってIMDDdで製作会社を調べると、まあぞろぞろと
名前が上がってくる。あーだこーだと言う人が多すぎたのか、せっかくのドヌーブとクルーガーがまるで
活きていない。表現の自由だから、何を描いてもいいけど、観た人が終わった後に何かを感じてもらいたいと
思うでしょう、普通。この映画からは、何も感じない。「母の悲しみ?」 

三人のチンピラの悲しい人生? そんなのどうでもいい感じ。背後に何も感じないから。チンピラの人生を
生き生きと描いた作品はこれまでもたくさんあるよ。大体、コンテナ運搬会社の社長であるドヌーブが3万
ユーロくらいの金を用意できないのがおかしい。そんなに金がなければ秘書にネックレスを質屋に持って行かせ
なくても、豪邸を抵当に入れて銀行から金を借りればいいじゃない。事業との関連を上手く説明してさ。

娘のクルーガーはどうやら母親が起こした交通事故?で足が不自由。ジャンキーになってしまい、チンピラと
付き合っている。そのチンピラが親分のコカインをくすねて売りさばき、バレて返金することになるのだね。
でもこのチンピラ、クルーガーのことを愛してなんかなくて、罵った挙げ句に逆上したクルーガーにレンチで
頭かち割られて死んじゃうの。で死体は母親がメインで処分するんだな。娘は可愛いから。
別のチンピラはクルーガーの母が社長って知っているから、娘が犯人と警察に云われたくなければ金を用意しろ、
となるわけ。「3万ユーロなんてそう簡単につくれるものじゃないわ」とかいいつつも少しずつは金を渡すママ。
改心を見せない娘。哀れ、根はそんなに悪くない娘の彼氏では無かったもうひとりのチンピラは仲間からなぶり殺し
にされてしまった。人の良い彼は、クルーガーがレンチで撲殺した犯人も引き受けて手紙を警察に出して、死んで
くれたわけ。助かった母娘。こいつ死に損じゃんねえ。

で、いつ「女神が銃を撃つ」のかと思ったけど撃たないんだなあ。もちろんこの映画、じっとは観てません。早見と
セリフのないところは更に早送り。

年に200本くらい映画を観るけど、(いい映画を選んでみているつもりなので本作のような作品に出くわす
ケースは稀なのだが)こんなにどうでもいい映画も珍しい。ちなみに原題は「私たちを分かつ全てのもの」ほどの
意味らしいが、大層なタイトルだわ。邦題もすごく投げやりでねえ。
Rotten Tomatoesには評価すら掲載されていない。アメリカでは公開されなかったんだろうね。

<IMDb=★4.9>
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by jazzyoba0083 | 2018-08-26 22:50 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

チェイサー Kidnap

●「チェイサー Kidnap」
2017 アメリカ Di Bonaventura Pictures and more. 94mn.
監督:ルイス・プリエト
出演:ハル・ベリー、セイジ・コレア、クリス・マクギン、リュー・テンプル他
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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆>
<感想>
離婚してウェイトレスをしつつ6歳の男の子フランキーと暮らすカーラ(ハル・ベリー)。勤めがはねて息子と公園で
遊んでいると、息子は誰かに誘拐される。これをどう取り返すか、が見どころの映画なのだが・・。

「激突」風のカーチェイスが全体の70%以上を占める映画で、うまくするとスピルバーグ風に決められるのか、と
期待もしたが、グズグズになって終わってしまった。
全体として構成がチープというか、ありきたりというか、捻りがないと云うか、製作、監督サイドは何を言いたかった
のか(恐らく、最愛の息子を守ろうと必死の母は強し!というところなんだろうけど)上手く伝わってこない。

クルマで逃げる犯人をワンボックスで追いかけるのだが、携帯を落としてしまったりという伏線はあるが、それにしても
警察に連絡する方法はいくらでもあろうかと・・・。目先に必死で見えていなかったのかなあ。二台のクルマに挟まれ
転倒させられた白バイ警官はその後なんのアクションも取らなかったのかな。
とにかく、息子を取り返したい一心の母は、ドラテクは素晴らしいわ、銃に手向かう勇気は凄いわ、やっつけた男の
免許証の住所からカーナビを使って自宅を検索しちゃうわという八面六臂の大活躍。

ラスト、犯人は幼児専門の誘拐犯グループで、助けに来た風の隣の親父もその正体を母に突き止められ、スコップで
ぶん殴られる。結局、カーラがやっつけた男らの背後には国際的な誘拐団がいて、世界各地で摘発が進んだと、
ニュースの声が聞こえて終わり。 う~ん!しょぼかった! 尻すぼみもいいところだった!一にも二にもシナリオの
失敗。
CM時間を入れると丁度テレビの2時間サスペンス枠にピッタリなので、そっちで放送したほうが良かったんじゃ
ないかな。プロデューサーにハル・ベリー自身が入っているので、こうした映画を作りたかったのだろうか。

<ストーリー>
ハル・ベリーが主演・製作総指揮を兼任したアクション・スリラー。
シングルマザーのカーラは、最愛の息子が何者かによって車で連れ去られる現場を目撃。だが地元警察は動いて
くれず、携帯電話も失くしてしまう。彼女は一人で息子を救い出す覚悟を決めるが……。

いつもと変わらない日、いつも訪れる公園でその事件は起こった。シングルマザーのカーラ(ハル・ベリー)は、
一瞬目を離したすきに最愛の息子フランキー(セージ・コレア)を何者かに連れ去られてしまう。必死で追いかける
カーラだったが、息子を乗せた車は走り去る。携帯電話を失くし、犯人の正体も分からず、地元警察も動いてくれない。
カーラは、たった一人で息子を救い出す覚悟を決めるのだが……。(Movie Walker)

<IMDb=★5.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:35% Audience Score:50%>





by jazzyoba0083 | 2018-08-25 22:50 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

検察側の罪人

●「検察側の罪人」
2018 日本 東宝 123分
監督・脚本:原田眞人  原作:雫井脩介『検察側の罪人』(文春文庫刊)
出演:木村拓哉、二宮和也、吉高由里子、平岳大、大倉孝二、酒向芳、八嶋智人、キムラ緑子、松重豊、山崎努他
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<評価:★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
原田眞人監督の作品については、このところ欠かさず観るようにしている。「関ヶ原」「日本の一番ながい日」
「駆込み女と駆出し男」など、世間の評価は分かれるものの、個人的に好みの作品が続いていた。(過去の作品の
中にはなんだかなあ、というものもあったことは確か)それだけに、今回の作品も「骨太のミステリ」と期待して
初日の初回に出かけた。

結論を先に言ってしまうと、「大したことは無かった」というか「期待が外れた」。なぜか。
まず、原作は未読ということをお断りしておかなくてはならないが、原作の大きな流れは把握しているつもりだ。
映画はその原作とはかなり翻案されている。特にエンドについては、評価が大きく分かれるだろうし、原作者が
意図した「検事(人間と置き換えても良い)の持つ正義」とは何か、「罪と罰とは何か」という回答を出して
いないからだ。
勘ぐるに、木村をビジュアル的にも悪役で終わらせることにジャニーズ側、特に藤島ジュリーが反対したのでは
ないか。おそらく原田監督も本意ではなかったのでは、と信じたい。このエンドが映画を大きくスポイルしている。

それと、文庫本で上下600枚を超える長編を、翻案した上に、新しいストーリーも詰め込んだため、幾筋もの
ストーリーが錯綜し、木村対二宮という正義の構図がぼやけてしまった点を指摘しておきたい。加えてその
詰め込み過ぎがセリフの多さを生んでしまい、必死に聞き取ろうとしていても、何を喋っているのか理解できない
部分があった(スクリーンがVive Audioであった点もあろうが)。これが「話題の多層化による空中分解」に拍車を
かけた。
さしずめ、インパール作戦白骨街道のストーリーとそれに結びつく平岳大との部分は、木村の司法修習生同期の
話を発端に持ってこないのならカットしたほうが分かりやすかった。

これらにより、役者として油が乗り切ってきた木村や二宮の演者としての良さが見えてこず、まるでテレビの
二時間サスペンスを観ているような気分だった。

ジャニーズや原田監督がお好きな方はご覧になれば良いが、原作のように木村演ずる検事は、罰を受けなくては
ならない。そうしないと彼との事件を担当する(弁護士となってから)二宮の最後の叫び声が活きないのだ。
畢竟、原作が一番謳いたい「正義を行うことの葛藤」が見えてこないのだ。

映画が終って、帰る人々が、どこか不満そうに見えたのは穿ち過ぎだろうか。しかし、藤島ジュリーのチカラにより
暮れの賞取りレースにはガンガンに出てくるに違いない。ww。
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<ストーリー>
雫井脩介の同名ベストセラーを「無限の住人」の木村拓哉と「ラストレシピ ~麒麟の舌の記憶~」の二宮和也の
主演で映画化したミステリー・サスペンス。ひとつの殺人事件を巡り、容疑者として浮上した男を自らの正義感
からあらゆる手段で追い詰めていくエリート検事と、そんな上司の捜査方針に次第に疑問を抱き始める後輩検事の
対立の行方をスリリングに描き出す。
共演は吉高由里子、平岳大、大倉孝二、松重豊、山崎努。監督は「日本のいちばん長い日」「関ヶ原」の原田眞人。

 東京地検刑事部のエリート検事・最上のもとに、彼に心酔する若手検事・沖野が配属されてくる。さっそく2人で
都内で発生した老夫婦殺人事件を担当することに。すると最上は、被疑者の一人である松倉という男に激しく反応する。
松倉はすでに時効を迎えている未解決殺人事件の重要参考人だった。
最上は今回の事件も松倉の犯行と確信し、なんとしても松倉を有罪にしなければならないとの強い思いに囚われていく。
そんな最上の意を汲み、松倉から自白を引き出すべく取り調べに力が入る沖野だったが…。(allcinema)




by jazzyoba0083 | 2018-08-24 10:40 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

ゲット・アウト Get Out

●「ゲット・アウト Get Out」
2017 アメリカ Universal Pictures. 104min.
監督・脚本:ジョーダン・ピール
出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、ブラッドリー・ウィットフォード、キャサリン・キーナー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆-α>
<感想>
今年のオスカーにダークホースとして複数ノミニーになっていて、観たいな、と思ったら、日本では早くに上映が
始まっていて、気がついた時には周囲で上映している館がなかった。Amazon Primeに会員向けコンテンツとして
アップされたので、飛びついて見てみた。

作品が前後するが、すぐに思いついたのは「カメラを止めるな!」のことだった。低予算で、企画一発でヒットした
あの映画に通底する部分も本作には多いと感じた。映像や演出、演技の出来は圧倒的に本作の方が上だが、ホラーや
ゾンビ映画というものは、ブロックバスターのニッチを突いたアイデアで勝負できる長所がある。それは監督も認めて
いる。さらに「カメラを止めるな!」の上田監督も指摘しているように、ホラー・ゾンビ系の映画は、恐怖と笑いが
同時に表現できるというメリットを持っているということだ。ジョーダン・ピール監督は「恐怖と笑いの根源は同一」と
言い切る。映画を観ていると人間、あまり怖すぎると笑っちゃうんだね。

本作では監督の個人的な体験も大いに生かされているという。アメリカにおける人種問題が主たるテーマであるのだが、
その裏面から見た社会風刺もユーモラスな部分を含めて活きている。たとえば、黒人と白人の立場が逆だったらどうか、
とか。(それじゃ当たり前かww)

映画全体の流れとして、黒人のボーイフレンドを持つ白人女性が、白人家族に彼を紹介するというところから始まる。
家に行ってみると、彼女の一家は黒人礼賛。祖父を顕彰するパーティーに集まる白人たちも、黒人の優位性を口にする。
だが、一家の使用人は黒人である。 母親は精神分析医、父親は神経外科医。親切にされる主人公のクリスであるが、
どこか、何かが変。違和感がありありなのだ。でも何がおかしいのかが分からない。これは映画を観ている人が同時に
体験する恐怖でもある。映画を観ている客は、クリスと同化しながら恐怖を味わうことになる。

そして彼は母親から催眠術を掛けられ、自由を奪われていく。そして明らかになっていく驚愕の事実。

【ネタバレしていきますのでご注意ください】
黒人礼賛という(主に肉体や臓器に対する強さへの魅力)側面は、礼賛ではなく、黒人をパーツと観ているということ。
だが、そこには身体が黒人になってしまっても構わないという、皮肉も加味されている。
クリスのガールフレンド、ローズは、黒人を引っ掛けて家に連れてきて、パーツ取りを誘う係だったわけだ。
で、使用人の若い女性は、若さ?を手に入れた祖母であり、下働きの黒人は祖父だったのだ。ローズにより誘拐
されてきた黒人たちは殺されはしないが、父親の手術により、白人と置き換えられてしまうわけだ。
そしてクリスは、父親の盲目の友人に視力を奪われる手術に巻き込まれることになる。

椅子に縛り付けられたクリスは反撃に出て、父も母も弟も殺し、逃げ出すが、ショットガンを持ったローズに
追いかけられる。そこに、彼の行方不明を心配した親友のTSA職員のロッドに救われたのだった。
(クリスの反撃はスプラッタ系ではあるが、カタルシスとしては十分)

残念だったのは、前半の盛り上げや恐怖の持って生き方に比べ、後半一家の悪行が判明してからの展開がやや
弱かったかなあ、という点。(ツッコミどころもあるけど)設定もエンドの描き方も、もう一捻り欲しかったかなあ。
欲張りかなあ。前半の「なんか変」「なんか変」「どこかがおかしい」という押しがいいだけにねえ。
ジョーダン・ピールは本作でアカデミー賞脚本賞を獲った。まあ、話の流れの描き方、作劇といった部分では
まずまず納得がいくものだ。お笑いコンビが本職のピール監督、ビギナーズラックと言われないような次作を
期待したい。
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<ストーリー>
ニューヨーク在住のアフリカ系アメリカ人写真家クリス(ダニエル・カルーヤ)は、ある週末に白人の彼女ローズ
(アリソン・ウィリアムズ)の招待で彼女の実家を訪れる。若干の不安とは裏腹に過剰なまでに歓待されるが、
黒人の使用人がいることに違和感を覚える。
その夜、庭を猛スピードで走り去る管理人と、窓ガラスに映る自分の姿をじっと見つめる家政婦を目撃し、
クリスは動揺する。

翌日、亡くなったローズの祖父を讃えるパーティが開かれるが、集まった多くの友人が白人ばかりで、クリスは
気が滅入る。そんななか、どこか古風な黒人の若者を発見したクリスは、思わず携帯で撮影する。
しかしフラッシュが焚かれた瞬間、彼は鼻から血を流しながら急に豹変し、「出ていけ!」と襲い掛かってくる。
クリスはローズと一緒に実家から出ようとするが……。

<IMDb=★7.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:99% Audience Score:86%>






by jazzyoba0083 | 2018-08-23 22:50 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ビューティフル・マインド A Beautiful Mind」(名画再見シリーズ)
2001 アメリカ Universal Pictures,DreamWorks,Imagine Entertainment. 134min.
監督:ロン・ハワード 原作:シルヴィア・ネイサー
出演:ラッセル・クロウ、ジェニファー・コネリー、エド・ハリス、クリストファー・プラマー、ポール・ベタニー他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
ロン・ハワードの(今の所の)勲章となっている名作。彼の最近の作品、往時のキレがなくなっているようで
主要な作品は殆ど観ているファンとしては、残念だ。
本作は、2001年のオスカー主要部門を総なめし、日本でも高評価を持って迎えられ、興収も良かったと記憶して
いる。確かに、作劇も上手く、(脚色が上手く)、演出も冴えているし、出演者もラッセル・クロウを初め
オスカー助演女優賞に輝いたジェニファー・コネリーの熱演も光る。脇もエド・ハリスや、クリストファー・
プラマーらを配し、スキのない映画となっている。

この映画を観るまで純粋文系(苦笑)である私は、ジョン・ナッシュの存在を知らなかったし、ましてや「ゲーム
理論」「ナッシュ均衡」などという言葉も、ボキャブラリーストックに入ってなかった。こういう人もノーベル賞を
取れるんだなあ、と思ったのが初見の素直な所。それと、やはり本作をご覧になった方殆どが異論がないところで
あろうが、「統合失調症」の夫を愛し、受け入れ、支えた妻のアリシアの壮絶な半生も大きな見どころの一つであろう。
ジェニファーが賞を獲ったのもうなずけるというものだ。

プリンストン大学院に奨学生として進んできたナッシュは天才ではあるが、どこか変わっている。天才というのは
得てしてそういうものだ。
「世の中のすべてを支配する心理を見つけたい」と、授業にも出ず、一人図書館の窓ガラスに数式を書き込み懊悩
する日々が続いた。

時は戦後まもなくで、彼らの目指す就職先はMITに置かれていたウィラー研究所(軍事研究をする)であった。授業にも
出ず論文も出さないようなナッシュを担当教授も推薦するわけにも行かなかったが、ある数理を証明し、それだけで
ウィラー研究所への推薦入所を獲得した。

こうしてウィラーで主に敵の暗号を解読する作業を担当するようになったナッシュのもとに、パーチャという秘密機関の
男が現れ、ソ連が可搬式の原爆をアメリカに持ち込もうとしている、その場所を特定し、未然に防ぎたいから
協力してくれ、と申し出てくる。このころウィラーでMITの授業も持っていたナッシュは聴講生の一人であった
アリシアと知り合う。「蓼食う虫も好き好きよ」というアリシアと愛し合うようになる。

こうして前半の物語は、ある種の奇人天才とその歩む道が、原作とはかなりかけ離れた脚色らしいが、ロン・ハワード
らしい作劇の中でスリルとサスペンスの要素を織り込んで、観ている人をぐいぐいと引き込んでいく。

ところが、であった。それが後半のナッシュと「統合失調症」との闘い、それを支えるアリシアの壮絶な人生へと繋がる。
「え!そうだったの?」の連続だ。この病気の治療や薬もまだまだの時代にナッシュの苦闘も並大抵ではなかった。
この映画は後半こそ、ナッシュとアリシアの人生の壮絶さが描かれていて、見どころとなっていると言える。
(ラストはちょっとバタバタではあったが)

とにかく本作は、物語そのものの面白さに加え、「統合失調症」を映画的に表現し、ナッシュとアリシアの人生の闇と
光を上手く表現したことが光る。ラッセル・クロウとジェニファー・コネリーも良い。加えてエド・ハリスの存在が
スパイスとして活きている。クリストファー・プラマーはその怪しさが観客にミスリードを誘う風貌で面白い。

本作により「統合失調症」(当時は「精神分裂病」と言われていた)の側面を映像化し、理解を深めたという貢献も
あっただろう。ナッシュは、病が寛解し、プリンストンの教壇に復し、「ゲーム理論」でノーベル経済学賞を受賞する
のだが、その時であっても、ナッシュには妄想・幻影が見えていたのだ。

この映画を、「統合失調症」を抱えながらもノーベル賞を獲得した天才数学者の壮絶な人生に感動して観るか、彼を
支えきった妻アリシアの壮絶な半生を感動して観るか、病気に対して思いを寄せて観るか、さまざまな見方がある
だろう。完成した作品を観たナッシュは「実際とは離れすぎ」と言っていたそうだが。wikipediaなどによると実際は
もっと壮絶だったようだ。

残念なことに2015年夫妻が乗ったタクシーが事故を起こし、ふたりとも天に召されてしまった。
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<ストーリー>
プリンストン大学大学院の数学科から優秀な成績でウィーラー研究所に進んだナッシュ(ラッセル・クロウ)は、
周りに変人扱いされながらも数学の研究に没頭。ある時、諜報員パーチャー(エド・ハリス)にソ連の暗号解読を
依頼される。世界の危機を救うことに喜びを感じ、密かにスパイ活動を続けるナッシュ。

そんな彼にとって講師の仕事はつまらないものだったが、聴講生のアリシア(ジェニファー・コネリー)と愛を
交わすようになり、2人は結婚する。結婚後も極秘でスパイの任務は続いていたが、プレッシャーは大きくなり、
命の危険を感じる出来事も重なる。
やがてナッシュは幻覚に悩まされるようになった。大学に勤めながらの、静かで長い闘いの日々。そして彼は老人に
なり、思わぬノーベル賞の報せを受け取る。幻覚症状は治っていないものの、ナッシュは穏やかな心を手に入れており、
受賞のあいさつで妻への感謝を述べるのだった。(Movie Walker)

<IMDb=★8.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:75% Audience Score:93% >






by jazzyoba0083 | 2018-08-21 23:55 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 Anthropoid」
2016 チェコ・イギリス・フランス LD Entertainment,22h22 and more. 120min.
監督・(共同)製作・脚本:ショーン・エリス
出演:キリアン・マーフィー、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ル・ボン、アンナ・ガイスレロヴァー他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
WOWOWの終戦記念企画、2本めの鑑賞。この事件は割と有名でご存知のかたも多いと思うし、プラハに
行いった折、最期の闘いになった教会に立ち寄った人もおられるのでは無いか。映画化も既に本作を入れて4回目と
なる。折に触れて、こうした歴史上で忘れてはいけない事件を映画化することはとても意味があることだと思う。
日本でも「日本のいちばん長い日」などが何度か作られるのも私は意義深いと思う。ただ、往年の帝国軍のカッコ
良さだけが浮き上がって来てしまうようなものは排除しなくてはならないが。

邦題に使われているハイドリヒとは、ドイツがチェコスロバキアを、チェコとスロバキアに分割し、ナチス
ドイツがチェコ(ベーメン・メーレン保護領)を管轄させたドイツ軍の最高司令官でナチスのナンバースリーとも
いわれ、その容赦ない弾圧の手法から「金髪の野獣」「絞首刑人」などと云われ市民から恐れられていたラインハルト・
フリードリヒ親衛隊大将のことである。彼はユダヤ人ホロコーストを最先鋭的な考えで指導した人物としても
重要である。

歴史的にはナチスの横暴を許した1938年の英仏独伊のミュンヘン会議(結果的にナチスにチェコの割譲を許して
しまう)の結果とか、チェコにはドイツ系の市民が多かったとか、軍事を支える重要な工業地帯であったこと
などの背景がある。それとフリードリヒはナチスに抵抗するインテリ階級には容赦ない即決裁判と射殺で応じる
一方、労働者階級には労働保険を認めるなど融和策もとってアメとムチを使い分けていた。彼は「市民に愛される
総督」を振る舞うため、移動も単独のオープンカーですることが多く、ヒトラーはこれに対し、しばしば苦情を
伝えたが、ハインリヒは言うことをきかず、結果的にこれが彼の命取りになった。

さて、本題。欧州をヒトラーに蹂躙されてしまった1941年、大英帝国とチェコのロンドン亡命政府は、7人の
若者をチェコスロバキア人を選び、パラシュートで侵入させ、ハイドリヒを暗殺するという「anthropoid」
(類人猿作戦)というコード名の作戦を決行した。最期の二名が夜間、チェコに降下してくるところから本作の
物語は始まる。彼らは、地元の抵抗勢力の協力を得て、プラハに入り仲間と合流、ハインリヒ暗殺の計画を
練り始める。

この作戦は相当無茶苦茶で、暗殺のタイミングややり方、後の自分たちの逃げかたなどは全部7人任せであった。
それとこれは映画の中でも、地元のレジスタンスらが主張するのだが「ハイドリヒ」を殺した後、ナチスが必ず
してくるだろう「予測もつかない報復」のことがあった。まだナチス・ドイツの勢いが衰える前で、その時期に
ナンバー3を暗殺したら、ヒトラーは一体どういう行動にでるのか、その辺りをチャーチルや亡命政府首相は
考えなかったのだろうか。この件に関しては今でも論争があり、映画の中では、これで良かったかどうかに
ついての判断は話題にしていない。

パラシュート部隊はハイドリヒの動きがどのようなものか、どのタイミングでどのような武器で暗殺するのか
地元の協力者たちと情報を収集する。そして、決行の日は来た。クルマの前に立ちはだかった男のマシンガンは
弾が詰まってしまい動かない。敵はハイドリヒと運転手の二人だけだ。仲間が必死で投げた対戦車手榴弾が
ハイドリヒのベンツの下で爆発し、彼は重症を負う。作戦は失敗か、と落胆したものの、数日後、ハイドリヒは
負った傷のため死亡した。そこからは頭に血が登った親衛隊やゲシュタポによる壮絶なスパイ刈りが始まり、
一方で、報復として、2つの村の16歳以上の男が銃殺され、女子供は収容所に送られた。結果的には、
チェコ人5000人から1万人以上が報復のために生命を落としたという。
そしてついに地元の一人が捕まり口を割ってしまう。

最後のクライマックスは、7人のパラシュート部隊の、隠れたプラハの聖ツィリル・メトデイ正教大聖堂の
地下納骨堂を取り囲んだ700人のドイツ軍との壮絶な銃撃戦だ。袋のネズミの彼らは最後の一発を自決のために
とっておき、たった7人で果敢に戦った。しかし所詮多勢に無勢であった。この作戦部隊のメンバーは青酸カリ
のような毒薬を渡されていて、地元の協力者を含め捕まる前に自害するメンバーも多かった。

こうした映画の中には殺伐さを削ぐために男女のことが入ってくることが多いのだが、本作でもそれがある。
あまりにも凄惨な事件だけに、そんな話でもないとやりきれない。パラシュート部隊に協力した一家の最後
(バイオリン弾きの少年アタの一家)などは、正視出来ないほどの残虐性で、ナチの本性としてもかなりきつい
画面であった。

役者さんは存じ上げない方が多いが全体として引き締まっていたと思うし、ナチスの横暴さと、無鉄砲な
作戦に応じた7人の勇気と胆力はよく理解できた。ナチが酷いことは分かっていたが、そもそもの暗殺作戦が
適切であったかどうか、そして実行計画もけっこうずさんなこの作戦に驚きを禁じ得ないのだった。

銃撃戦のあった教会には今でも花束が絶えず、ドイツ軍の重機関銃による弾痕もそのままにされている。
そして地下の納骨堂は当時の形を残し記念室となっている。
先日のハンガリーのユダヤ人といい、チェコスロバキア(この国は既に存在すらしない)の悲劇といい、
さらに言えば、つい最近までいや今も混乱が続いている旧ユーゴスラビア、クリミア半島など、東欧の
悲劇にまで思いを致した映画だった。
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<ストーリー>
ナチス・ナンバー3と言われたハイドリヒ暗殺の史実を基に映画化。1942年。イギリス政府とチェコ
スロバキア亡命政府は、ユダヤ人大量虐殺の実権を握るハイドリヒ暗殺を計画。ヨゼフ、ヤンら7人の
部隊を、パラシュートによってチェコ領内に送り込むのだが……。

第二次世界大戦下の1942年。ナチスがヨーロッパのほぼ全土に占拠地域を広げていくなか、ヒトラーの
後継者と呼ばれ、その冷酷さから“金髪の野獣”と渾名されたナチス第三の実力者であるラインハルト・
ハイドリヒは、ユダヤ人大量虐殺の実権を握っていた。

イギリス政府とチェコスロバキア亡命政府はハイドリヒ暗殺計画を企て、ヨゼフ(キリアン・マーフィ)、
ヤン(ジェイミー・ドーナン)ら7人の兵士による暗殺部隊を、パラシュートによってチェコ領内に送り込む。
二人はプラハの反ナチス組織や家族と接触、暗殺計画を着々と進め、やがてそのミッションは実行される。
だがハイドリヒ襲撃に憤慨したナチスは、常軌を逸する残虐な報復を始めるのだった……。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:65% Audience Score:70% >



by jazzyoba0083 | 2018-08-18 23:50 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

カメラを止めるな!

●「カメラを止めるな!」
2018 日本 ENBUゼミナール 96分
監督・脚本・編集:上田慎一郎
出演:濱津隆之、真魚、しゅはまはるみ、長屋和彰、秋山ゆずき、細井学、市原洋、山口友和他
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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
現在(2018年8月)日本の邦画界を席巻しているといっていい作品を、こうした映画はあまり観ない
私だが、まずはともあれ観てみないと論評も出来ないと、シネコンへ出かけた。入りさすがにいい。
こうした形でヒットしてきた作品としては「この世界の片隅に」以来の邦画界の騒ぎ、と言えよう。

なぜにこの映画がかくも大衆の心を掴んだのかを確認する意味もあっでの鑑賞だった。本来私は
ホラーとかオカルトは観ないのだが。しかし、これはホラーという形を借りたコメディなので、怖くは
無い。むしろ後半では客席から笑い声が上がっていた。そしてラストのエンドロールの頃には、なぜ
この映画が客を呼ぶのか分かるような気がした。

まず、低予算を逆手に取った企画の勝利。前半37分のワンカットワンシーンのホラー(らしき)映画の
計算された「大学映研並みの、素人くささと、間の悪さ、出来の悪さ」。そして前半の作品に埋められた
伏線という爆弾が、素晴らしい爆発を魅せる後半の仕掛けの上手さ。これに尽きるのではないか。
殆ど名前を知らない役者が上手いなあ、とも思わせない演技が活きていいる。こんな映画はこれまで
なかったから、評論家を初めとして絶賛されるのだろう。

この映画だけはネタバレは出来ないので、是非映画館に行ってほしいし、その価値はあると思う。
但し、前半37分のワンカットワンシーンの「出来の悪い」オカルトには敢えて辛抱してもらわないと
いけない。そのカタルシスは後半にどっと来るのだから、我慢のし甲斐はあると断言できる。
そして映画好きの映画愛が画面に溢れるのだ。

こうした映画は絶対好きだろうなあ、と思っていた町山智浩氏も、やはり大絶賛。年末に「キネ旬」や
「映画芸術」「映画秘宝」がどういうランキングにしてくるかが見ものだ。「秘宝」は絶対に上位だろう
なあww。

本作はENBUゼミナールという演出家・俳優養成スクールの7作目の作品で、監督の上田慎一郎氏は、舞台で
同様の仕掛けを観て着想し、12人の役者をオーディションなどで招集、俳優からも資金を集めて(250万から
300万)製作。セリフは役者が決まってからの当て書きの部分が多く、前半37分のワンカットもシナリオと
トラブルがないまぜになったできとなっているという。で上田監督は大のホラーファンで、ホラーには映画の
いろんな要素がはいっているでしょ?とのたまっている。その愛や、良し!やりすぎのホラーはお笑いになる
ということをよく知っている人だ。低予算映画あるある、俳優&事務所あるあるも、くすぐったい。

当てた上田監督には大手から大金を注ぎ込んだ作品のオファーが来るだろう。でも絶対にこのいい意味で
チープでアイデアと映画愛に溢れた作品を忘れてほしくない。

だんだん中身が漏れてくる時期になるが、あえてネタバレはしない。それほどこの映画はアイデアがキモ
なのだ。96分、あっという間。
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<ストーリー>
ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2018ゆうばりファンタランド大賞を受賞したサバイバル・コメディ。
山奥の廃墟に来た自主映画クルーはゾンビ映画の撮影を開始。やがて本物のゾンビが現れクルーを襲撃しても、
監督は嬉々として撮影を続行するが……。
ワンシーン・ワンカットで描かれる思わぬ事態に直面する撮影隊の様子と、その裏側をコミカルに描写。
監督・俳優養成スクールENBUゼミナール主催のシネマプロジェクト第7弾として制作された。
監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」内の1編「猫まんま」を手がけた上田慎一郎。
劇中内の作品「ワン カット オブ ザ デッド」は、ゆうばり叛逆映画祭2018特殊効果賞、優秀作品賞を受賞した。

ゾンビ映画撮影のため、山奥にある廃墟にやってきた自主映画のクルーたち。監督は本物を求めてなかなかOKを
出さず、ついに42テイクに至る。と、本物のゾンビが現れ撮影隊に襲いかかった。次々とクルーの面々はゾンビ化
していくが、監督は撮影を中止するどころか嬉々として撮影を続行。
37分ワンシーン・ワンカットで描くノンストップ・ゾンビサバイブムービーを撮った彼らとは……。
(Movie Walker)





by jazzyoba0083 | 2018-08-17 13:20 | 洋画=か行 | Trackback(4) | Comments(0)