●「ヒトラーに屈しなかった国王 The King's Choice」
2017 ノルウェー Paradox. 136min.
監督:エリック・ポッペ
出演:イェスパー・クリステンセン、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン、カール・マルコヴィクス、カタリーナ・シュットラー他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<監督>
昨年映画館に見に行くつもりが機を失ってしまい見られなかった作品。この度WOWOWが放映してくれたので
録画して鑑賞した。個人的にノルウェーという国をよく知らない。ビートルズの曲と村上春樹の小説、ノーベル賞
冬季スポーツのノルディックくらだろうか。その国の第二次世界大戦時にこうした秘話があったことを知り得たことが、
まずこの映画を観たことの収穫。スカンジナビア半島の帽子のように北極海に面した横に細長い国である。首都は
オスロ。

映画の冒頭で説明されるが、ノルウェーは長らくデンマークとスウェーデンの属国状態であったが、20世紀の初頭
独立の機運が盛り上がり、国民投票で君主制が選ばれ、議会は投票の結果デンマークのカール王子(デンマーク国王
フレデリク8世とその妃でスウェーデン=ノルウェー国王カール15世の娘であるロヴィーサの次男。兄はデンマーク王
クリスチャン10世。)を国王に選出し、カール王子はホーコン7世として、オスロに入り、ノルウェーは立憲君主国で
主権国家となった。この映画はホーコン7世の治世の1940年4月、突然侵攻してきたナチスドイツとの戦いの物語で
ある。4月9日から3日間を描く。

当時、破竹の勢いであったヒトラー率いる第三帝国は、版図を急激に広げつつ有り、ドイツの周辺国に次々に侵攻して
いった。ノルウェーも例外ではなかった。本作では、オスロ駐在のドイツ大使がヒトラー直々の命令で国王に謁見し、
ナチスが認めた人物を首相に据えて、無血的に国を明け渡せと主張してきたのに対し、断れば、軍事侵攻を招き
(既に始まっていた)国民に犠牲を強いる、しかし、主権国家として、国民に信を問わない政体はありえないと考える
国王は、王宮から北へ北へと逃げる道すがら、悩みに悩む。息子の皇太子は国民の苦難を看過できないとして軍に
入ると主張する。 国王は謁見にやってきたドイツ大使に対し、国民の信を得ていない人物を首相に任じることはで
出来ない、とドイツの交渉を断ってしまう。悩んだ末に、国王は国民に艱難を舐めさせることになっても主権国家
たる挟持を捨ててはならない、と思ったのだ。その後ホーコン7世と皇太子はロンドンに亡命し、対独抗戦を励まし
続ける。当のノルウェーはドイツの本格的な侵攻に3日間で降伏した。皇太子の家族(ホーコン7世の孫たち)は
アメリカに避難していた。ドイツの敗戦とともに、家族はロンドンに集合し、オスロへと戻ってきたのだった。

本作では以上のような経緯をホーコン7世、駐オスロドイツ大使ブロイアーとその妻、皇太子、そして前線の
まだ少年のような兵士セーベルの目を通して描いていく。原題になる通り、「国王の選択」は、自分をノルウェーの
国王に選んでくれた国民を捨てる訳にはいかない、やすやすとヒトラーにくれてやることはしない、という決断は
身を捩るような苦しい決断だったに違いない。しかし、主権国家としてのノルウェーを決して売らないという決意は
末端の兵士やドイツ大使にも伝わる力強さを持っていたのだった。国民から愛される国王であり、国民を心から愛した
国王の決断だったのだ。物語を3日間という短い時間に押し込めたことにより、より映画から伝わるメッセージが
濃く感じられたのだった。画面がいささか単調だったかなあ。

この映画の中には今の世の中でも通じるセリフがたくさん出てくる。ということは、原題が第二次世界大戦前夜の
ような状況になっている、ということではないか、そう思ってこの映画を見る時、本作がただの歴史伝記映画では
ない、と思えてくるのだった。

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<ストーリー>
第二次世界大戦当時、ナチス・ドイツに抵抗し、国の運命を左右する決断を下したノルウェー国王の3日間を描いた
ドラマ。1940年4月、ナチス・ドイツ軍がノルウェーに侵攻。降伏を拒否したノルウェー国王ホーコン7世は、
首都オスロを離れるが……。

1940年4月9日、ナチス・ドイツ軍がノルウェーの首都オスロに侵攻。これに応戦するノルウェー軍だったが、
圧倒的な軍事力によって、主要都市が相次いで占領されてしまう。ドイツ軍は降伏を求めてくるが、ノルウェー
政府はその要求を拒否。
ノルウェー国王のホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)は、政府閣僚と共にオスロを離れる。
だが、ドイツ公使は再び降伏を要求し、ノルウェー政府に国王との謁見の場を設けるよう求めてくる。
翌日、ドイツ公使と対峙した国王は、ナチスに従うか、国を離れて抵抗を続けるか、国の運命を左右する選択を
迫られる……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.2>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:84% Audiece Score:81%>
<KINENOTE=70.3点>




by jazzyoba0083 | 2019-01-30 23:15 | 洋画=は行 | Trackback | Comments(0)

●「マクファーランド 未来への疾走 Mcfarland,USA」
2015 アメリカ Mayhem Pictures,Walt Disney Pictures.129min.
監督:ニキ・カーロ
出演:ケヴィン・コスナー、マリア・ベロ、モーガン・セイラー、マルタ・イガレータ、マイケル・アグエロ、セルヒオ・アベラル他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
貧困層の子供らが通う中学や高校、やる気の無さ、暴力、家の事情での不登校などが蔓延する程度の低い学校。
ここを舞台にし楽器、音楽やスポーツを通して、少年少女のやる気を出させ、相応の結果を出す、というプロットの
映画はたくさん見てきた。こうした映画は実話に基づいていることが多く、本作もまさにそれである。製作が
ディズニーだし、安心して見ていられる上、ハイライトは感激のシーンなので、誰でも胸が熱くなるだろうし、
涙が溢れるかも知れない。当たり前のような(予定調和っぽい)ストーリー(実話なんだけど)に驚くことはない
けど、そこは実話が持つチカラ、最後が大体分かっていても、感激して見終えることが出来る。本国での評価も高い。
アメリカではこうした話はゴロゴロしているんだろうなあ。

本作のユニーク(魅力)な点は、カリフォルニアの移民農家の子どもたちが主人公で、普段から登校前、下校後に走って
畑に行って過酷な収穫作業を手伝っていることから、「持久走」には普段から鍛えられていて、そこに目を付けた新任の
コーチ、ケヴィン・コスナーが「クロスカントリー部」を作った。7人の青年たちを鍛え上げてく様子が描かれて行くの
だが、子供らが好むと好まざるとに関わらずやらなくてはならなかった家の仕事と学校のスポーツが不可分であったことだ。
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前任の高校でやる気のないアメフト部の部員に体罰を加えたことからクビになり、カリフォルニア州のマクファーランド
高校にやっと採用されたジム・ホワイト(ケヴィン)。
カリフォルニアの地図を見ると分かるが、LAのちょっと北にベイカーズフィールドという大きな街がある。そこから
さらに北にいくとマクファーランドがある。住民の殆どはメキシコ系で、地元のアーモンドとかキャベツやアーティ
チョークなどの大農場に働く貧しい農業従事者が主な住民で、英語が通じない、という奇妙な環境だ。

こうしたいくつもの映画の例に漏れず、やる気のない生徒、荒れる生徒、親の事情で学校に来たり来なかったりする
生徒など問題児だらけ。その中でジムは本来のアメフトのコーチ補佐になるが、主任コーチと意見が合わず、辞めて
しまう。体育の時間にグランドを走らせてみると、やたら早い子供がいる。そこに目をつけたジムは自分も経験のない
クロスカントリー部を作ることを決心する。7名の部員が必要なのだが、部員集の紆余曲折も描かれる。
子供らは一家の収入を支える一人として期待されている労働者でもあったのだ。だがジムはスポーツでいい成績を挙げ
れば、大学に行ける、大学に行けば農業も勉強できるし、更にいい収入も約束され、家族を安心させられるぞ、と
部員を必死に集める。

こうして凸凹ではあるが7人のチームが出来た。コーチも選手も経験のないジャンルのスポーツに手探りで挑む。
交流大会でメタクソにやられると、やはり部員には悔しさが溢れる。そのチカラで州大会予選をなんと4位で
通過。こうなると街でも放っておかず、ヒスパニック系の陽気さも手伝って、お祭り騒ぎとなっていった。
一方、治安の悪いやさぐれた街に引っ越してきたことに妻や子供は早く引っ越したいと思っていたのだが、長女が
15歳の誕生日を迎えると知ると、地元の人達は総出で、ジムの家で長女の成人(メキシコでは女子は15で成人)式
をマリアッチn生バンドも入れたり料理を手伝ったり、大きなパーティーを開いてくれた。
感激するジム一家。マクファーランドの人たちを見直した一瞬だ。しかし、そのパーティーのあとで長女がよそ者に
暴力を振るわれる、という事態が発生、激怒したジムは、ライバル校で、ジムをコーチに誘っていたパロアルト高校に
職場を移そうと決心した。

その後に開かれた州大会本戦。揃いのジャージが作られ街中が応援に着て見守る中、7人の生徒は、お互いに補い
会い、見事にカリフォルニア州の高校対抗第一回クロスカントリー大会で優勝してしまう。ジムと7人の子供らの
奮闘、そして親の理解がこの偉業を達成させたのだった。ジムはライバル校へ行くのを止め、マクファーランド校に
残ることに決めた。

映画では7人のその後が実際の今の人物を紹介する形で描かれるが、7人はいずれも大学に進み、それぞれひとかどの
人物になっていた。そしてマクファーランド高校はその後カリフォルニア州でクロスカントリーの強豪校になったの
だった。
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底辺にいる生徒と優秀な(というより子供思い)の教師との成長の話は、繰り返すが、珍しくないが、いまアメリカが
抱える多様性という問題や、貧富の差という問題、教育の問題など、示唆に飛んだ内容で、アメリカにはまだ知らない
部分があるんだな、と勉強もさせてもらった。7人の生徒役がみな生き生きとしていた良かったし、ケヴィンの抑制の
効いた演技も全体のバランスの中で良かったと思う。日本の中学生や高校生に見てもらいたい作品である。
女流監督のニキ・カーロはこのあと「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」という話題作をモノして
いるが、本作でも丁寧な作り込みが感動を呼ぶ。
日本では劇場未公開となってしまったので、是非DVDなどで学校上映会があるといいかなあ、と。

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<ストーリー>
コーチも部員も経験ゼロからスタートした高校の陸上クロスカントリー部が、やがて全米屈指の強豪チームとなった
奇跡の実話を映画化。「ドラフト・デイ」などのK・コスナーが、貧困の中で希望を失っていた生徒たちに正面から
ぶつかり、やる気を引き出していく主人公役を熱演。人種も文化も言葉すら違う教師と生徒たちが、衝突しながらも
やがて信頼を築き上げていく姿が爽やかな感動を呼ぶ。
エンドロールでは実際のコーチや部員たちの姿、そしてマクファーランド高校クロスカントリー部の栄光の記録も
映し出される。(WOWOW)

<IMDb=★7.4>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:80% Audience Score:88%>
<KINENOTE=71.6点>




by jazzyoba0083 | 2019-01-29 22:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「涙のメッセンジャー 14歳の約束 Ithaca」
2015 アメリカ Apple Lane Productions and more. 90min.
監督:メグ・ライアン  原作:ウィリアム・サローヤン「ヒューマンコメディ」/「人間喜劇」
出演:アレックス・ニューステッター、サム・シェパード、ハッシュ・リンクレイター、メグ・ライアン
   トム・ハンクス他

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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆☆>
<感想>
メグ・ライアンの初監督作品で、4本目の共演となるトム・ハンクスも友情出演ぽく出てくれて
いるんだけど、なんだかインパクトのない映画になっていた。戦時下の田舎町の市民の悲しみを
少年の目を通して描きたかったのだろうか。

サローヤンの原作は未読だが、おそらく文章で読んだほうが感動が伝わるたぐいの文学ではない
だろうか。言わんとしたいところは分かる。1942年の夏。カリフォルニア州の田舎町イサカ。
14歳の少年ホーマーは、父を戦争で亡くし、兄もまさに今戦場にいる。カリフォルニアの田舎町
には戦争の影は薄い。ホーマーには幼い妹と弟がいる。そこでホーマーは、年を偽って町の
電報屋で配達員として働き、家計を手伝いたいと考えた。夏休みのことだ。

電報屋の先輩はホーマーが16歳と言っているが本当は14歳だと分かっていて、その真面目さに
惹かれ採用する。しかし、戦時下の電報といえば、ほぼ「戦死通告」だ。ホーマーの最初の仕事が
まさにそれ。制服を着て、勇躍電報を持ってある夫人の家に行く。しかしヒスパニック系の彼女は
英語が読めない。ホーマーに読んでくれ、という。しかたなく読むが、すべてを読み終わらない
うちに彼女は事態を把握し、泣き崩れてしまった。逃げるように事務所に戻るホーマー。
遠いと思っていた戦争が身近に感じた瞬間だ。

そして、戦場にいる弟思いの兄からは、ホーマーこそ、立派に生きて、家を守ってくれと書かれた
手紙がさかんに届く。そして自分も必ず帰るから、と。
そして、予想がつくことだが、ある日、電報屋の受信機に「兄が戦死した」と陸軍長官が伝える
電文が来ていたのを見つけた。受電した老電信士は机に突っ伏して事切れていた。
愕然とする心を抑え、制服を着て、母のもとに届けるため自転車に乗る。その頃、家には帰還した
戦友が、家の外に立っていた。彼は兄の戦死を伝えに来たのだった。ホーマーが母に電報を
届けに来たタイミングとドンピシャに合ってしまった・・・。静かに戦争の悲しみを訴えた作品と
言えるのだろうが、ホーマーの立ち位置やトム・ハンクスの存在(亡霊のようなものだけど)、
電報屋の老電信士の言いたいこと、ホーマーの兄の本心、特に母たるメグ・ライアンの心中など
具体的に明らかになることはなかった。どのキャストもその存在と主張が中途半端な状態で終わって
しまった感じ。もう少し、ビシッと何か一本主張が通ったものがあると締まったのになあ。
これだけ地味だと日本では劇場未公開もうなずけてしまう。

設定は少し異なるが、2009年にベン・フォスターとウディ・ハレルソンの主演でイラク戦争を
舞台にして製作された「The Messenger」のほうがニュアンスは違うけど訴えるメッセージ性は
強いだろう。

涙のメッセンジャー 14歳の約束  Ithaca_e0040938_19031975.jpg
<ストーリー>
第二次世界大戦中の米国の小さな田舎町イサカで家族と暮らす14歳の少年ホーマーは、父を亡くし、
兄も従軍中のため、家族を養うために郵便配達員として働き始める。様々な人や景色に出会えるとして
希望に胸を膨らませていたホーマーだったが、戦死した兵士の訃報を遺族に届ける仕事に、現実の
厳しさを思い知らされて思い悩むようになる。そんなホーマーを上司であるトムやベテラン電信士の
グローガンは優しく見守る。
ある日、かねてより酒に溺れる生活をしていたグローガンが仕事中に急死する。そこにはホーマーの
兄マーカスの訃報を知らせる電報が残されていた。激しいショックを受けるホーマーをトムは慰める。

一方、ホーマーの家にマーカスの戦友トビーがマーカスの訃報を知らせにやってくる。そこにホーマーが
帰宅し、家族は全てを理解した上でトビーを家に招き入れる。(wikipedia)

<IMDb=★5.5>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:13% Audiece Score:e31%>






by jazzyoba0083 | 2019-01-28 22:40 | 洋画=な行 | Trackback | Comments(0)

●「アウト・オブ・サイト Out of Sight」
1998 アメリカ Universal Pictures,Jersey Films.123min.
監督:スティーヴン・ソダーバーグ 原作:エルモア・レナード
出演:ジョージ・クルーニー、ジェニファー・ロペス、ドン・チードル、ヴィング・レイムス、デニス・ファリナ
   キャサリン・キーナー、スティーヴ・ザーン、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
クルーニーにとっても、ジェニロペにとっても、更にソダーバーグにとっても大きな転換点になった作品だ。
NHKBSで放映(味なことするなあ)してくれたので永久保存として録画して鑑賞した。

ソダーバーグらしさ、とでもいうのだろうか、どこか肩の力が抜けたようでいてスタイリッシュ、でも
タランティーノのような奇抜な暴力性も魅せるという、彼のいい感性が上手く原作を料理できた佳作だ。
それに、ズバリとハマったクルーニーと、ジェニロペのキャスティングが、雰囲気的に圧倒的である。

クルーニー、30代後半、ジェニロペ20代後半。男女とも一番いい時期にこうしたキャスティングが出来た
ソダーバーグは幸せだったと言わなくてはなるまい。
かっこいいんだか悪いんだか、名うての犯罪者なのかそうでないのか、よく分からないのが本作における
クルーニーの魅力。すべての行動の原点に、惚れてしまったFBI捜査官であるジェニロペへの思いがあり、
その辺りの男の弱さを魅力として昇華して描かれているからここでのクルーニーは余計にかっこいいんだな。

一方のジェニロペもバリバリの女捜査官ではないのだが、どこかスキがあり、加えて知的なナイスバディの
美女ときているからクルーニーが虜になってしまうのは当たり前としても、観客も彼女が画面から放つ
「女」としての魅力にノックダウンされてしまうだろう。このころのジェニロペは綺麗かったなあ。

ストーリーもコミカルな味付けも有り、若干時制があっちこっち行って描かれるので戸惑いはあるが
難しいものではなく、オチもニヤリとさせる。映画は原作と脚色と監督と出演者が高度にバランスされて
いると、とても心地よいものになるという典型のような映画だと思う。

クルーニーとジェニロペがくっつつきっかけとなる車のトランクの中での二人の会話は、アドリブなのかな
と思わせるほど、フランクにして自然。映画のキーになるシーンだ。だが、男女ってこんなに簡単にくっつく
ものかなあ。強盗とFBIなのに。かようにそこかしこにご都合主義的な強引感は散見されるが、そんなことを
ふっとばしてしまうテイストを持った映画だ。善悪とか、正義とかではなく、クライムムービーの中に
スタイリッシュなロマンスがある雰囲気を味わい尽くすべき映画だろう。

アウト・オブ・サイト Out of Singht _e0040938_19264806.jpg
<ストーリー:結末まで触れています>
プロの銀行強盗と女連邦保安官の恋愛をスタイリッシュに描いたラヴ・サスペンス。「ジャッキー・ブラウン」の
原作者エルモア・レナードの同名小説を「セックスと嘘とビデオテープ」「蒼い記憶」のスティーヴン・ソダーバーグ
監督が映画化。脚本は「ゲット・ショーティ」に次いでレナード作品を脚色したスコット・フランク。

銃を持たずに銀行を襲うプロの銀行強盗ジャック・フォーリー(ジョージ・クルーニー)は、逃走用の車の故障で
運悪くフロリダの刑務所に収監される。ジャックは相棒のバディ(ヴィンク・レイムス)と脱獄し、刑務所内で
知り合った株屋のリプリー(アルバート・ブルクッス)が自宅に隠し持つダイヤモンドの原石を盗んで足を洗うと
計画をした。ところが脱獄しようとしたところを、召喚のため刑務所に立ち寄った連邦保安官のカレン・シスコ
(ジェニファー・ロペス)と鉢合わせ。ショットガンでジャックの脱獄を阻止しようとするカレンだが、バディに
捕まりジャックとともに車のトランクに押し込められ逃走に付き合うはめに。

ジャックとカレンは車のトランクの中で会話するうち互いに好意を抱き始める。カレンはハイウェイで二番目の
逃走車を準備していたグレン(スティーヴ・ゼーン)の車に乗せられ、ジャックたちはまんまと逃走に成功。
デトロイトへと向かった。ジャックを追ってきたカレンは、ホテルのバーでジャックと再会し、互いの立場の違いに
戸惑いつつも互いに恋に落ちたことを認め、ベッドへ。

元刑務所仲間のスヌーピー・ミラー(ドン・チードル)とともにリプリーの屋敷へ盗みに入るが、スヌーピーの
仲間たちのせいで大騒動になり、そこにカレンが現れた。迷いながらもジャックの足を撃ち逮捕するカレンだったが、
刑務所へ護送するためふたりはもう一度再会する。護送車にはジャックのほかに脱獄のプロも乗っており
「9回脱獄した」と自慢する。ジャックたちの会話を聞きながらカレンは意味ありげに微笑むのだった。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:74% >
<KINENOTE=64.2点>





by jazzyoba0083 | 2019-01-27 23:15 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アパルーサの決闘 Appaloosa」
2008 アメリカ New Line Cimema. 113min.
監督・(共同)製作、脚本:エド・ハリス   原作:ロバート・B・パーカー「アルパーサの決闘」
出演:エド・ハリス、ヴィゴ・モーテンセン、レニー・ゼルウィガー、ジェレミー・アイアンズ、ティモシー・スポール他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
評価が別れている作品。私はNHKBSでエド・ハリス監督、主演ということだけで観てみた。日本では劇場
未公開。これだけ淡々と山場も少なく盛り上がらない西部劇も珍しいんじゃないか。原作があるのでそれに
忠実なのかどうかは分からないが、個人的には出てきたキャラクターが全て中途半端に感じた。というか
なんだか「締まらない」なあ、という感じ。物語自体も人物設定も。

アパルーサ、というニューメキシコ準州の街に、お仕掛け(押し売り)保安官として乗り込んできた
エド・ハリスと助手のヴィゴ・モーテンセン。エドの役回りの男ヴァージル・コールは、頭がいいんだか
悪いんだか、暴力的なのか紳士的なのか良くわからない。喋っているうちに単語はわからなくなり、永年の
相棒であり保安官助手に収まるヒッチ(ヴィゴ)に助け舟を出してもらうような状況。ヒッチは極めて真面目で
正直で、しかも銃が上手い。そしてコールから絶対的な信頼を得ている。この間の二人の友情について
触れられることはない。

もともとアルパーサという街はブラッグ(ジェレミー・アイアンズ)とその手下の恐怖の支配にあったのだが、
コールとヒッチの登場に街の実力者は彼らの出した条件をすべて飲んで保安官になってもらった。
そして、街の殺しの犯人をブラッグの根城に捜索にいった前の保安官と助手二人を射殺した罪でブラッグは
逮捕される。共犯にされたくない、と思った若造が証人になると出てきたのだ。で、裁判の結果、ブラッグは
処刑されることになるのだが、護送の途中で、ブラッグの部下が、コールと一緒に暮らすようになっていた
アリソン・フレンチ(レニー)という女性を人質にして、コールらを脅し、ブラッグを逃亡させてしまった。

アリソンという女性は、アパルーサにやってきた未亡人らしき女で、コールに惚れて、二人はこの街に家を
立てて暮らすつもりになっていたが、アリソンは根っからの男好きで、ヒッチにもちょっかいを出すし、
護送の途中で逃げ出したブラッグらとも結構宜しくやっている。コールは好きらしいのだが、体が自然と男を
欲している根っからの男好きなのだった。

逃亡したブラッグを追うコールとヒッチだったが、ブラッグは時の大統領と知り合いで、恩赦が出され、無罪
放免となって、またアパルーサに戻ってきた。自分は改心した、というがどうだか。
前の保安官殺しであることは間違いないので、許せないヒッチはブラッグに決闘を申し込み、ブラッグは殺され
てしまう。ブラッグが心底から改心していたのかどうかは分からない。そして、永年の盟友コールと別れヒッチは
一人、街から去っていった。

エド・ハリスはこの西部劇をどういうテイストで作りたかったのだろうか。オフビートとは違うし、友情ものでも
ないし、ましてや派手なガンファイトが売り物でもない。スタイリッシュに描きたかったのかなあ。そうだとすると
スタイリッシュじゃないし。
コールとヒッチの人間関係、またそれぞれの人間性、アリソンという女性が本当は何を考えているのか、そして
最期にヒッチに殺されるブラッグは本当に改心したのかどうか。またまたヒッチは、ブラッグを殺してなぜ一人で
街を離れていったのか、なんだかすべてのプロットがブツッ、ブツッと切れてしまっているようで、見ていてとても
落ち着かないというか、尻がもぞもぞするすっきりしないまま終わってしまったと私には感じた。これだけの俳優
さんたちが出ていて、こんなんでいいのかなあ、と。
出てくる人の誰かの心の琴線に触れてカタルシスを得られるということでもないんだなあ。
とにかく不思議ない映画だった。(コールとヒッチは一度ひどく撃たれるのだが、ヒッチは無傷、コールは膝を
やられただけで死なないしなあ) コールとアリソンがアパルーサで幸せに暮らしましたとさ、ではいかんよねえ。

アパルーサの決闘 Appaloosa_e0040938_17014510.jpg
<ストーリー>
 人気ハードボイルド作家ロバート・B・パーカーの同名ウエスタン小説を、これが監督2作目となるエド・ハリスが
豪華キャストで映画化。主演はエド・ハリスとヴィゴ・モーテンセン、共演にレネー・ゼルウィガー、ジェレミー・
アイアンズ。
無法の町アパルーサを舞台に、新保安官として雇われた2人の男が町を牛耳る悪と対決するさまを熱き男の友情を
軸に描き出す。
 
 悪がのさばる町アパルーサ。名うてのガンマン、ヴァージル・コールは町に正義を取り戻すべく保安官として雇
われる。彼は相棒のエヴェレット・ヒッチと共に、牧場主のブラッグ率いる悪党一味と対峙していく。そんな中、
この町にやって来た美しき未亡人アリソン・フレンチ。やがてコールは、この謎めいた未亡人に惹かれていくが…。
(allcinema)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:76% Audience Score:54%>  
<KINENOTE=62.1点>



by jazzyoba0083 | 2019-01-26 22:50 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

日日是好日

●「日日是好日」
2018 日本 東京テアトル=ヨアケ配給 製作委員会製作 100分
監督:大森立嗣  原作:森下典子『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫刊)
出演:黒木華、樹木希林、多部未華子、原田真由、山下美月、鶴見辰吾他
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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ホノルルからの帰国便、最期に選んだ作品がこれ。最前から映画好きの後輩に、一度観て感想を聞かせてください、と
言われていた作品だ。どこか小津作品に通底するような観念性を持つ作品で、見る人によっては「だからどうした」と
思えちゃうようなものだろう。描かれる世界は黒木華と多部未華子の日常と通うお茶の先生、樹木希林の物語という
ごくごく小さい宇宙だ。まるで描かれるお茶の世界の投影のようでもあり、四季の移ろいに敏感で、そこに美や文学を
見出し、侘び寂びが好きな日本人向きの感性を持った作品ということもできるだろう。
これ英語の字幕が付いていたけど、西欧人が観てもよく分からないのではないかなあ。

私はお茶の世界は「一期一会」くらいしか知らない門外漢だが、おそらく茶道の世界は人の生を投射したもの、または
暗喩的なもの、小宇宙的なものなのではないか。そこら辺を理解しておかないと、「毎年同じことを繰り返すことが
出来る幸せ」という一種の悟りのような観点に立てないのではないか。ただし、本作はお茶のことを知らない人でも十分に、
いや知らない人のほうが面白く見られるように仕上がっている。

ストーリーとしてはまったく驚くことはない。
大学生だった黒木華がイトコの多部未華子とおばさんである樹木希林のもとにお茶を習いに行くところから始まる。
茶道の習得と四季の移ろいが繰り返され、黒木華が結婚して主婦になるまでの時間を巻物を開くように物語られる。
親が亡くなることもまるで自然の摂理のように作品の中に取り込まれていく。
大きな変化があるわけではない。
黒木華は小さな挫折を味わい、一足先先に行く多部未華子を眩しく思いながら、地道に人生を歩む。お茶の
先生になるのか、と思ったが、そのセンスはないようだ。平凡な結婚をして、毎年正月に先生のところで「初釜」を
祝う。10年近くも同じことを繰り返してきた黒木が「毎年健康で同じことが出来る」とはなんて幸せなことなんだろう、
と悟るのだ。おそらく日本人のほとんどの人が本作の映画の主人公のような人生を歩くのだろう。

黒木華の生き方悟り方を観て、「なるほどね」と思うか「こんな平凡な人生ではいやだ」と思うかは観た人次第。
樹木希林の遺作となった本作だが、いつもの自然体の彼女の演技は演技とも思えないほど作品に溶け込んでいた。
黒木華はこういう立ち位置にはぴったり。多部未華子もまああのおきゃんなイメージがよかったのではないか。

いい映画だとか面白くない、とかの表現の彼方にある作品のような気がする。

<ストーリー>
お茶の魅力に気付き、茶道を習うことで日々成長していくヒロインの姿を描く人間ドラマ。黒木華が20歳でお茶と
出会い、さまざまな体験をするヒロインの10年を演じる。
また、2018年9月に亡くなった樹木希林がヒロインの師匠となるお茶の先生を演じ、味わい深いドラマにエッセンスを
加える。監督は『さよなら渓谷』の大森立嗣。

真面目で理屈っぽい20歳の大学生・典子(黒木華)。おっちょこちょいな自分に嫌気がさす典子は、ある日、母親
(郡山冬果)から「お茶、習ったら」と突然勧められる。意味がわからず困惑する典子だったが、同い年の従姉妹・
美智子(多部未華子)からも誘われ、二人は自宅近くにある茶道教室の先生を訪ねる。

その先生は大きな家にひとりで暮らし、巷で“タダモノじゃない”とうわさの武田のおばさん(樹木希林)だった。
稽古初日。典子と美智子を茶室に通した武田先生は、挨拶もほどほどに稽古を開始。折り紙のような帛紗さばき、
ちり打ちをして棗を『こ』の字で拭き清める。茶碗に手首をくるりと茶筅を通し『の』の字で抜いて、茶巾を使って
『ゆ』の字で茶碗を拭く。お茶を飲み干すときにはズズっと音をたてる。茶室に入る時は左足から、畳一帖を六歩で
歩き七歩目で次の畳へ……。意味もわからない所作に戸惑うふたり。

毎週土曜、そんなふたりの稽古は続いた。鎌倉の海岸。大学卒業を間近に控えたふたりは、お互いの卒業後を
語り合う。美智子は貿易商社に就職。だが典子は志望の出版社に落ちて就職を諦めていた。就職後、美智子は
お茶の稽古をやめてしまったが、出版社でアルバイトをしながらお茶に通う典子には後輩もできた。

お茶を始めて2年が過ぎる頃、梅雨どきと秋では雨の音が違うことに気付く典子。冬になり、お湯の“とろとろ”と
いう音と、“きらきら”と流れる水音の違いがわかるようになった。がんじがらめの決まりごとに守られた茶道だが、
その宇宙の向こう側に、典子は本当の自由を感じ始めるのだった。お茶を習い始めて10年。いつも一歩前を進んで
いた美智子は結婚し、ひとり残された典子は、好きになったはずのお茶にも限界を感じていた。中途採用の就職試験
にも失敗。お点前の正確さや知識で後輩に抜かれ、武田先生には、そろそろ工夫というものをしなさいと指摘される。
大好きな父(鶴見辰吾)とも疎遠な日々が続いていたある日、典子に転機が訪れる……。(Movie Walker)

<KINENOTE=78.0点>



by jazzyoba0083 | 2019-01-21 15:50 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「MEG ザ・モンスター The Meg」
2018 アメリカ(・中国)Apelles Entertainment,Di Bonaventura Pictures,and more 113min.
監督:ジョン・タートループ  原作:スティーヴ・オルテン「MEG」
出演:ジェイソン・ステイサム、リー・ビンビン、レイン・ウィルソン、ルビー・ローズ、マシ・オカ他

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<評価:★★★★★★☆☆☆☆>
<感想>
これもホノルルからの帰国の機内での鑑賞。IMAXのでかい画面で観ないと魅力の半分は伝わらないだろうなあ。
家のBlue-rayで観て同じようなものだろうけど。
さて、過去に「Jaws/ジョーズ」という大傑作がある巨大ザメ映画。これを超えるために超大型のどでかいサメを
登場させてみた映画。潜水艇の戦い、海水浴場への出現(これは「ジョーズ」のオマージュかパロディか)など
など、想定の範囲を超えるものではなく、目新しい驚きは無かった。加えて、一度一頭のメガドロンを仕留めて
やれやれという中盤、明らかにそれよりでかいものが登場するだろうことは推測できるし、中休み感が出てしまい
緊張が削がれる。もっとテンポを上げて全体を短くして仕上げたほうが緊張感が出たのではないかな。
主演のジェイソン・ステイサムにウラミも何もないけれど、個人的に今の中国が好きでないので、チャイナ資本が
もろに出てくる作品は私としては楽しめない。(チャイナ資本が入った映画は今やハリウッドでは珍しく無くなって
しまったが、物語の根幹にチャイナが関わっていることは早々ないと思う。)この映画、中国でヒットしたのかしら
ねえ。潜水艇の日本人クルー、トシ(マシ・オカ)は早々に死んじゃうし。

最期はジェイソン・ステイサムとメガドロンの一騎打ちwwなのだが、目にモリを一本打ち込むとサメは一瞬にして
即死。あっけない最後だ。そんな弱点があるのなら、最初から目を狙う作戦を全体で取り入れればよかったものを。

結局大画面で無かったゆえ、ストーリーに面白さがあるわけではないので、私としては退屈な二時間でありました。
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<ストーリー>
かつて地球上に存在したとされる巨大ザメ、メガロドン(=MEG)の脅威にさらされる人々を描く、ジェイソン・
ステイサム主演の海洋パニック・アクション。未知の領域に足を踏み入れたがために、古代の怪物と戦うはめに
なった男をステイサムが熱演。人間など簡単に飲み込んでしまうほどの巨大なサメに体ひとつで立ち向かっていく。

人類未踏の地とされるマリワナ海溝を超える深海が発見された。沖合に海洋研究所を構えた探査チームが、最新の
潜水艇で早速調査に乗り出す。生物がほぼ存在しない冷たい深海を超えると、そこには温かな海域が存在し、
幻想的な未知の生物世界が広がっていた。世紀の発見に心躍らせる研究チーム。
だが、巨大な“何か”に襲われ、身動きが取れなくなってしまう。救助に向かったのは、深海レスキューのプロ、
ジョナス・テイラー(ジェイソン・ステイサム)。ところが、彼の目に飛び込んできたのは、200万年前に絶滅
したと思われていた巨大ザメ“メガロドン”だった……。(Movie Walker)

<IMDb=★5.7>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:45% Audience Score:46%>
<KINENOTE=67.4点>



by jazzyoba0083 | 2019-01-20 10:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

マイル22 Mile 22

●「マイル 22 Mile 22」
2018 アメリカ STX Entertainment,Huayi Brothers Pictures and more. 95min.
監督:ピーター・バーグ
出演:マーク・ウォルバーグ、ローレン・コーハン、イコ・ウワイス、ロンダ・ラウジー、ジョン・マルコヴィッチ他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆☆+α>
<感想>
ホノルルから帰国の機内で鑑賞。短めで痛快な分かりやすいやつないかな、とこれを見つけて観てみた。
ピーター・バーグとウォルバーグの諸作はみんなみているんじゃないかな。でもこれが一番分かりづらかった。
ラストのどんでん返しのどんでん返しでなんとなくそういうことなのね、ということが分かるから、まあ
いいか、という程度の映画ではあるが。

東南アジアのある国からプルトニウム(だったかな)が盗まれ、その行方を知っている軍人をCIAが
市内から22マイル離れた空港へ護送する道中のドンパチが主な見どころなのだろう。昨今のハイテク戦らしく
アメリカのドローンが上空からライブ中継し、適宜攻撃もこなす。しかし地上での戦いはあくまで人対人の
銃撃戦。たしかに映像は迫力あるし、考えられている編集だとは思うけど、カットが短く誰が誰だが分からない
状況で、ストーリーが銃撃戦の硝煙の彼方に霞んでいる状態だ。
Rotten Tomatoes のtopcriticの一人が「You have no idea what's going on. This movie is so overly edited,
it's all shaky cam.」と評している通り、過ぎたるは及ばざるが如しの状態なのだ。

護送するリー・ノアという男がクンフーの超絶名人で、まあそのアクションの華麗で強いこと。ここは観ていて
痛快であった。なんかアクションとダブルのどんでん返しありきの作品だなあ、という感じで、シチュエションは
違うが同じような戦い方をしたヘレン・ミレンの「アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦争」のほうが
ずいぶんと出来が上だ。(比較としてちょっと違うかも知れないけど)それに映画の主張がよく伝わっていた。
本作はアクション娯楽作であり、思想性はない。だから飛行機の中で暇つぶしに観るにはいいということでチョイス
されていたのだろう。上映時間も1時間30分そこそこだし。
マーク・ウォルバーグ、多作の人だが、映画のサムネイルが同じようなカットが多い。この当たりで少し出演作を
選んだほうがいいのではないかなあ。ニコラス・ケイジみたいになっちゃうよ。オスカーを獲ろうよ!応援して
いる男優さんだけに、いい作品に出てほしいな。年齢的にも脂が乗り切っているし。
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<ストーリー>
『ローン・サバイバー』など、現実にあった事象を基にした作品を作り上げてきた、マーク・ウォールバーグと
ピーター・バーグ監督が4度目のタッグにして初のフィクションに挑んだアクション。
東南アジアの某国を舞台に、世界を揺るがす“危険な物質”の行方を知る男を亡命させる危険な任務に挑む特殊
部隊の戦いが描かれる。

世界を揺るがす危険な物質が盗まれた。その行方を知る唯一の男リー・ノア(イコ・ウワイス)が重要参考人と
して保護される。男を抹殺しようと多数の武装勢力が送りこまれるなか、彼を国外に脱出させるためジェームズ・
シルバ(マーク・ウォールバーグ)率いるCIAの機密特殊部隊は、アメリカ最高機密『オーバーウォッチ』作戦を
発動。アメリカ大使館から空港までの22マイル(35.4km)を護送する究極のミッションを遂行する。
周囲を敵に囲まれる極限状態のなか、彼らは無事に脱出をすることができるのか……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.1>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:23% Audience Score:45%>
<KINENOTE=68.9点>



by jazzyoba0083 | 2019-01-19 16:30 | 洋画=ま行 | Trackback | Comments(0)

●「天才作家の妻 ー40年目の真実ー  The Wife」
2017 アメリカ Silver Reel 101min.
監督:ビョルン・ルンゲ
出演:グレン・クローズ、ジョナサン・プライス、クリスチャン・スレーター、マックス・アイアンズ、アニー・スターク他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想:結末まで触れています>
主役のグレン・クローズがゴールデングローブ賞で主演女優賞を獲得し、俄然注目を浴びた本作、それを知って
観たのでいささかのバイアスを排除できないのだが、たしかに、原題の「The Wife」にある通り、ノーベル賞を
獲った夫の影にいた「妻」の心の動きがクローズの体や顔の表情を通して実に良く表現できていたと感じた。
グレン・クローズのワンマンショー(今はジェンダーの問題でこうは言わないのかな)である。というかそれを
味わう作品である。日本では比較的アンダーレイテッドな女優さんだが、オスカーに6回ノミネートされている
実力派であり、舞台出身ということもありトニー賞も3度受賞している女優さんだ。

ストーリーが平易なので、余計にクローズ演ずる妻の想いが画面を通して伝わってくる。映画はスェーデンの
ノーベル賞委員会から文学賞受賞の連絡が夜中にジョーン(クローズ)の夫ジョゼフのところに入るところから
始まる。手を取り合ってベッドの上で飛び跳ねて喜ぶ二人。この屈託の無さがラストの暗転と非常に対照的なのだ。

実はジョーンは才能ある作家の卵であったが、女性作家を蔑視する当時の風潮や、ジョゼフに惚れ込んだこともあり
文学をすて結婚の道を選んだ。しかし、ジョーンの担当教授で妻子ある身であったジョゼフは恋に落ち、ジョーンは
略奪婚のようにジョゼフの妻の座に収まったのだった。
作家であったジョゼフが妻の文才を認めていて、彼女に自分の作品の校正を頼むようになる。しかしそこだけでは
とどまらず、ジョゼフの作家活動にとってジョーンは欠くことができない存在となっていたのだ。

それを嗅ぎ回るのがジョゼフの伝記を書こうとするルポライターのナサニエル(スレイター)だった。彼は二人の
過去を綿密に調べ上げ、ジョゼフがジョーンと結婚したころから文体に変化が出てきたことに気がついていた。
このスレイターの役どころが、長男の存在と相まって映画にテーマを投げかける重要な役割を担っている。
「彼の影で旦那さんの業績づくりに疲れているのではありませんか」というようなことをジョーンに語りかけて
くるのだ。一方作家でもある長男は父にコンプレックスをもっているが、彼の才能を的確に見抜いているのは
ジョーンであったりするのだ。

自分の才能より愛する男性との結婚を選んだが、ジョーンはジョゼフの作品にコミットすることで捨てたはずの
作家としての才能を実現していたのではないか。
ストックホルムでの授賞式、ジョゼフのスピーチを聞いていて、ジョーンの中の何かが切れた。夫にノーベル賞を
「獲らせてあげた」という自負や自分の才能を本来の形で表現できなかった何十年の溜まったものが破裂して
しまったのだ。確かに若き日は担当教授であったジョゼフを心から愛して、文学を捨てることに何も抵抗はなかった
はずなのだが、夫の影で夫の才能のコアたる部分を支えてきた自分への評価がなされないこと、それに対して夫の
自分に対する思いの程度(相当妻に感謝している言葉を並べてはいるのだが)に愛想が尽きてしまったのだった。

「別れてください」これはジョーンが今後自分の人生を自ら切り開く宣言にほかならない。これは天才作家と
その妻というポジションでなくても容易に起きる事態だろう。そのことを思うと戦慄せずにはいられないのだ。
そこに原題が持つ意味があるのだ。

以上のようなジョーンの思いをグレン・クローズが円熟した演技で魅せる。

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<ストーリー>
ノーベル賞授賞式を背景に、人生の晩年に差しかかった夫婦の危機を見つめる心理サスペンス。
世界的な作家ジョゼフと彼の創作を慎ましく支えてきた妻ジョーン。理想的なおしどり夫婦に見えるふたりの関係は、
夫のノーベル文学賞受賞によって静かに壊れ始める。
ジョーンを「危険な情事」のグレン・クローズ、ジョゼフを「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズの
ジョナサン・プライス、ジョゼフの経歴に疑惑を持つ記者ナサニエルを「ニンフォマニアック」のクリスチャン・
スレーターが演じる。
監督は、スウェーデンで芝居の演出なども手がけるビョルン・ルンゲ。脚本を「あなたに降る夢」のジェーン・
アンダーソン、音楽を「アイズ・ワイド・シャット」のジョスリン・プークが担当。
原作は「ディス・イズ・マイ・ライフ」のメグ・ウォリッツァー。

アメリカ・コネチカット州。現代文学の巨匠ジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン
(グレン・クローズ)のもとに、スウェーデンからノーベル文学賞受賞の吉報が届く。友人や教え子らを自宅に
招いたジョゼフは、スピーチで最愛の妻に感謝の言葉を告げる。
満面の笑みを浮かべて寄り添うふたりは、誰の目にも理想的なおしどり夫婦に見えた……。

授賞式に出席するため、ふたりはストックホルムを訪れる。旅に同行した息子デビッド(マックス・アイアンズ)は
駆け出しの作家で、父に対し劣等感を抱いている。そんななか、ひとりホテルのロビーに出たジョーンは、記者
ナサニエル(クリスチャン・スレーター)から声をかけられる。ジョゼフの伝記本を書こうとしている彼は、夫妻の
過去を事細かに調べていた。ふたりが大学で教授と学生という関係で出会い情熱的な恋に落ちたこと。既に妻子が
あったジョゼフをジョーンが奪い取る形で結ばれたこと。作家としては二流だったジョゼフがジョーンとの結婚後に
次々と傑作を送り出してきたこと……。そしてナサニエルは、自信ありげに核心に迫る質問を投げかける。
「“影”として彼の伝説作りをすることに、うんざりしているのでは?」実は若い頃から豊かな文才に恵まれていた
ジョーンだったが、出版界に根づいた女性蔑視の風潮に失望し作家になる夢を諦めた過去があった。
そしてジョゼフとの結婚後、ジョーンは彼の“影”として、自らの才能を捧げ、世界的な作家の成功を支え続けて
きたのだ。そして授賞式当日。複雑な感情をひた隠し、華やかに正装した夫妻は、人生最高の晴れ舞台が待ち受ける
ノーベル賞授賞式の会場へと向かう...。(Movie Walker)

<IMDb=★7.3>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:84% Audience Score:78%>
<KINENOTE=70.0点>(母数少なし)





by jazzyoba0083 | 2019-01-19 14:35 | Trackback | Comments(0)

散り椿

●「散り椿」
2018 日本 東宝 112分
監督:木村大作 脚本:小泉堯史 原作:葉室麟「散り椿」
出演:岡田准一、虹島秀俊、黒木華、池松壮亮、麻生久美子、緒形直人、新井浩文、柳楽優弥、石橋蓮司、富司純子、奥田瑛二他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
山田洋次も演出した藤沢周平の「海坂藩」シリーズなどの一連の時代劇を彷彿とさせた。監督はご存知、黒澤組の
撮影助手を努めその後、宮川一夫や斎藤孝雄らの薫陶を受けた日本を代表する名キャメラマン。本作でも自身で撮影
監督を努めている。脚本を任せたのはこれも黒澤組の小泉堯史だ。小泉は本作の原作となっている葉室麟の本に
基づく時代劇「蜩ノ記」を監督している。こうした日本の時代劇を作ってきたといってもいいメンバーが集まり
どういう物語を作ってくれるのか、ましては主演が我が国の映画界で確実に自分のポジションを築いている岡田准一と
来ているから、期待はいやが上にも盛り上がる。

実は、本作を見る前に、木村がNHKラジオの「深夜便」にトークゲストとして出演し、製作裏話を語っていたので
一つ一つのシーンを見る時、なるほど、こういうことになっていたわけだな、と理解は早かった。こだわりの
キャメラマンらしく、四季の移ろいは本物でなければいけないと、雪山や夏景色、紅葉などは、自分で事前に撮影して
撮っておいたのだそうだ。それと役者がスケジュールの関係で抜けたり入ったりするのが嫌で、3週間ならその時間
べったりスケジュールを押さえられる役者を使い、天候待ちも含め、満足の行く撮影ができたと語っていた。

そんな意気込みで木村監督が作った作品は、まずキャメラマンらしく1つ1つのカットが一幅の絵画のように美しい。
これは様式美ともいえるようなもので、フィクスだけでなく動く映像でも計算された画が作られている。そこは
誰も文句は付けられない点だろう。先にも書いたように、季節の移ろいも美しい。

また自らも携わった岡田の殺陣も見事。その他の出演者もそれぞれに健闘していたといえよう。
問題は原作があるとはいえ、ストーリーだ。時代劇の常道としての仇討ち、悪家老の専横、などこれと言って
目新しいものはなく、またこの映画のメインテーマである男女の思いの行方など、いささか陳腐であった。
前知識は少なめに見たのだが、散り椿の前で、岡田と西島が何かの因縁で切り合わなくてはならず、どちらかが
落ちた椿の中で朱に染まる、というようなものを想像したが、さにあらず、重要な配役である西島(岡田の親友でも
ある)が討たれるシーンがあまりにもあっけなくて、あれれ、という感じ。もう少し脚色しても良かったのでは
ないだろうか。当然のことながらラスボス奥田瑛二もあっけなく斬られてしまう。

主題としては封建の世の中での男女の想いを描いた時代劇風「恋愛劇」と観ることが出来よう。テレビの水戸黄門の
ような顛末で、劇場で見る映画としての「綾」がもう少し描きこまれていたらなあ、と思ったのだった。
主役、岡田准一の存在感は光っていた。

みなさん書かれているが、タイトルを出演者それぞれが自筆で書いたものが使われる。達筆の人はいいけど、金釘流の
時は観ていて失笑してしまう。アイデアだろうが、これはやらないほうが良かったと思う。

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<ストーリー>

直木賞作家・葉室麟の時代小説を岡田准一主演で映画化した人間ドラマ。妻の願いを叶えるために故郷へ戻った男が、不正をただす

ための戦いに挑む姿が描かれる。カメラマンとして数々の名作を手がけてきた名匠・木村大作が3度目の監督業に挑戦。『蜩ノ記』

などでメガホンを握った小泉堯史が脚本を務める。


享保15年。藩の不正を訴え出たために、時の権力に負け藩を追われた瓜生新兵衛(岡田准一)。追放後も連れ添い
続けた妻・篠(麻生久美子)が病に倒れ、死を迎えようとするなか、最期の願いを新兵衛に託す。
それは、藩に戻って榊原采女(西島秀俊)を助けてほしいというものだった。新兵衛にとって采女は、かつては
良き友であり良きライバル、篠を巡る恋敵であった。そして新兵衛の藩追放に関しても、大きな因縁を持つ男……。

妻の最期の願いを叶えるため、新兵衛は藩の過去の不正事件の真相と、その裏に隠された篠の本当の思いを突き止め
ようと決意。篠の妹・坂下里美(黒木華)とその弟・藤吾(池松壮亮)は、故郷へ戻った新兵衛に戸惑いをみせるが、
亡くなった篠を一筋に想う姿や、不正を正そうとする凛とした生き方にいつしか惹かれていく。
そんななか、ある確証を得た新兵衛は、采女と対峙する。そこで過去の事件の真相や、妻が遺した願いの苦しく切なくも
愛に溢れた真実を知る新兵衛。だが、その裏で大きな力が新兵衛に襲いかかろうとしていた……。(Movie Walker)

<KINENOTE=74.2点>





by jazzyoba0083 | 2019-01-11 02:30 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)