<   2019年 07月 ( 19 )   > この月の画像一覧

search/サーチ  Searching

●「search/サーチ  Searching」
2018 アメリカ Screen Gems,Stage 6 Films,Bazelevs Production. 102min.
監督・(共同)脚本:アニーシュ・チャガンティ
出演:ジョン・チョー、デブラ・メッシング、ジョセフ・リー、ミシェル・ラー他

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<評価:★★★★★★★★☆☆+α>
<感想>
全編PC上の画面のみで構成される、と聞いても実際どんな映画になるのか分からなかった。しかし、
見終えて思うことは、「よく出来ているなあ」という事。このアイデアに感服した。思いつくようで
なかなか出来ないと思う。この企画書は読んだだけでは分からないので、チャガンティは全部自分で
表現したオーディション版を制作して製作者に見せたそうだ。思いついただけではなく、スカイプ、
フェイスタイム、グーグル、You Tube、Facebookなどなど、ポータルサイトやSNSを上手く使い、
PC画面を見つめているだけの映画ではない演出となっている。これは感想を書く方も難しいので
ご覧いただくしかないが、これは是非見ていただきたいと思う。ストーリーもちゃんと出来ている。
すごく良いとは言えないかも知れないが、どんでん返しも有り、オチもちゃんとしているし。
作画のアイデア倒れになってしまわなかったところが見事だ。タイトルも自分の娘を探すという意味
と検索という意味がダブルミーニングになっている。

娘の行方が分からなくなった父がPCを駆使して探し出すというミステリーなのだが、このお父さんの
PCの扱いかたが半端なく上手いんだな。まあその手の職業だからなのだけど。会議もPCでのテレビ
電話会議で、在宅勤務だし。娘の交流関係を洗うためにFacebookやInstagramなどを探り歩く。
その検索の様子が映画になっているわけ。テレビのニュースも局のHPのストリーミングを使い、
最初のうちはカリフォルニアのローカルテレビの画像を使い、大団円になるとCNNを使うという手法も
なかなか考えてある。監督は若干27歳! さすがはネット世代だ。次作のアイデアが楽しみだ。

誘拐される娘がいわゆる映画的な美人ではなく、どうしてトラブルに巻き込まれたか見ている人を
煙に巻く効果を生んでいる。日本では馴染みのないSNSが出てきたりしてその点でも面白かった。

色々書いても隔靴掻痒な感じを感想を書く方も免れない。繰り返すけど、見ていただくしか良さは
分からないと思う。 今年の見っけもんの一つになるだろう。

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<ストーリー>
全編PC画面の映像で展開する斬新な手法が話題となり、2018年のサンダンス映画祭で観客賞に輝いた
サスペンス・スリラー。突然、姿を消した高校生の娘の行方を捜す父親が、彼女が利用していたSNSに
アクセスすることで、知られざる一面を目にするさまがスリリングに描かれる。
27歳の新鋭、アニーシュ・チャガンティの長編初監督作。

6歳の女子高生マーゴットが忽然と姿を消し、行方不明事件として捜査が始まる。家出なのか、
誘拐なのかわからないまま37時間が経過。娘の無事を信じる父デビッド(ジョン・チョー)は、
彼女のPCにログインしSNSにアクセスを試みる。インスタグラム、フェイスブック、ツイッター……。
そこに映し出されたのは、いつも明るく活発だったはずのマーゴットとはまるで異なる、
別人のような娘の姿だった……。(Movie Walker)

<IMDb=★7.7>
<Metacritic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:88%>
<KINENOTE=79.5 点>




by jazzyoba0083 | 2019-07-31 23:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男 Trumbo」
2015 アメリカ Bleecker Street Films,ShivHans Pictures,Groundswell Productions. 124min.
監督:ジェイ・ローチ  原作:ブルース・クック「(映画と同名)」
出演:ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、エル・ファニング、ジョン・グッドマン、
   マイケル・スタールバーグ、ヘレン・ミレン他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
マッカーシーの赤狩りと対決したエド・マーローを描いた「グッドナイト&グッドラック」の再見に合わせて、
レンタルで鑑賞した。
終戦後から1960年前半くらいまでのアメリカにおける共産党運動がクルーニー作品と併せて観るとより立体
的に理解出来る。ダルトン・トランボはいわゆる「ハリウッド・テン」と称されるハリウッドの容共過激派と
見做された一派だが、「ローマの休日」を友人名を借りて書いてオスカーを獲り、近年その名誉が回復された
ニュースで知った人だ。今回もそのエピソードは出てくる。

マッカーシズムと言われる共産党とそのシンパの摘発がピークに達する前から、なぜアメリカに共産党員が
多くなったかという部分から本作は始まる。
第二次世界大戦当時まで連合国として枢軸国側と対峙したソ連はアメリカの同盟国で、ファシズムと戦う
その思想はアメリカのアンチ・ファシズムの労働階級に受け入れられ、市民運動と一体化して裾野が広がって
いった。しかし、終戦後は一転、共産主義はアメリカの自由主義を侵食するものとして、特に共和党から
指弾告発されるようになる。
原子爆弾の秘密をソ連に渡したとして有罪となったローゼンバーグ事件も本作に出てくる。実際ハリウッド
にも共産党員はいたし、すでに人気脚本家として活躍していたトランボも一時期アメリカ共産党に属していた
こともある。大体、トランボは大戦前から「ジョニーは戦場へ行った」などの反戦的小説を書いて当局から
睨まれてはいたのだ。

ただ、トランボはハリウッドの経営者が映画の儲けを独り占めしてしまい、スタジオの労働者たちにはその
恩恵が回らない状況を苦々しく思っていた。要するに金持ちの社会主義者だったのだ。
次第に社会主義者に対する締め付けはキツくなり、全国的に密告や告発の恐怖に覆われる暗い時代になって
しまった。
そういう時代を更に悪くしたのが、嘘八百を並べて無実の人を摘発したアル中の共和党上院議員マッカーシー
だったのだ。それを援護したのがニクソンでありレーガンだった。

ハリウッドにもジョン・ウェインを中心とする「アメリカの理想を守る映画連盟」という組織が設立され、
非米活動委員会への協力が推進されていた。ハリウッドの中でも保守派と労働運動を支持する一派が分かれ
ていたが、スタジオの経営者らはジョン・ウェインらの味方となり、トランボたちは次第に仕事を失って
いく。遂にはハリウッド・テンと呼ばれる主要メンバーは議会に召喚され、トランボは証言を拒否したり
反論したため議会侮辱罪として刑務所に入ることになってしまった・・・。

その後、トランボは出所し、偽名で脚本を書いたりして口に糊していたがマッカーシズムもマローや議会、
軍などの力で終焉を迎え、またハリウッドの中でもカーク・ダグラスやオットー・プレミンジャーといった
映画人、キング兄弟のようにB級映画製作者だが反骨精神に満ちた人々が動き出し、ハリウッド・テンや
「ブラックリスト」も次第に有名無実になっていった。

本作ではトランボと彼を取り巻くハリウッドの革新派の仲間たち、トランボに理解を示しながら家を守る
妻(ダイアン・レイン)、娘(エル・ファニング)息子の家族の団結の様子、キング兄弟(ジョン・グッド
マン)の行動、トランボの友人で最初は彼を援助していたが後に議会で彼らの名前を出してしまうエドワード
・G・ロビンソン(スタールバーグ)、保守派ジャーナリスト(ヘレン・ミレン)、それにカーク・ダグラス
やオットー・プレミンジャーの行動を描き、トランボとその時代、また家族の団結を映画いていく。
キモになるところに重要なキャスティングがなされていて映画が引き締まっていた。

結局トランボはローバート・リッチ名義でキング兄弟のスタジオで製作した「黒い牡牛」でオスカー
脚本賞を受賞、彼はリッチは自分であるとカミングアウトし、それをカーク・ダグラスらが援護し、
ハリウッドの赤狩り旋風は収束していく。カーク主演、プレミンジャー監督の「栄光への脱出」はトランボの
名前がクレジットされていた。トランボの死後、「ローマの休日」のオスカーも渡され、映画の
クレジットもトランボの名前が追加された。

トランボの正義に関わる信念と、家族の様子が一番、響いた。前半はテンポ良く背景を説明し、後半は
トランボの苦悩と時代の変化を人間味いっぱいに描いていく。個人的にはヘレン・ミレン演じた保守派の
女性ジャーナリストがもう少しギャフンとなったら良かったのに、と感じた。トランボを熱演したブライアン・
クランストンが良かったし先述のようにキモに名優と呼ばれる人たちを配したのも効果的だった。

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<ストーリー>
1940年代から50年代にかけてアメリカで猛威をふるった赤狩りによってハリウッドを追われながらも、
偽名で活動を続け、「ローマの休日」など数々の名作を世に残した不屈の脚本家ダルトン・トランボの
苦難と復活の軌跡を映画化した感動の伝記ドラマ。いわれなき汚名による迫害に屈することなく己の
信念を貫いた男の物書きとしての矜持を、愛する家族との強い絆の物語と共に描き出す。
主演はTV「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストン。監督は「ミート・ザ・ペアレンツ」
のジェイ・ローチ。

 第二次世界大戦が終結し、米ソ冷戦体制が始まるとともに、アメリカでは赤狩りが猛威をふるう。共産
主義的思想は徹底的に排除され、その糾弾の矛先はハリウッドにも向けられる。
売れっ子脚本家だったダルトン・トランボは、公聴会での証言を拒んだために議会侮辱罪で収監され、
最愛の家族とも離ればなれとなってしまう。1年後、ようやく出所したトランボだったが、ハリウッドの
ブラックリストに載った彼に仕事の依頼が来ることはなかった。そんな中、家族を養っていくためにB級
映画専門のキングス・ブラザース社から格安の仕事を請け負い、偽名で脚本を書きまくるトランボだったが…。
(allcinema)

<IMDb=★7.5>
<Metacritic=60>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:74% Audience Score:79% >
<KINENOTE=80.6点>





by jazzyoba0083 | 2019-07-30 23:10 | 洋画=た行 | Trackback | Comments(0)

●「クリミナル・タウン November Criminals」
2018 アメリカ Black Bicycle Entertainment,Lotus Entertainment.85min.
監督:サーシャ・カヴァシ サム・マンソン:『クリミナル・タウン』(ハヤカワ文庫刊)
出演:クロエ・グレース・モレッツ、アンセル・エルゴート、デヴィッド・ストラザーン、キャサリン・キーナー他

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<評価:★★★★★☆☆☆☆☆+α>
<感想>
クロエ・グレース・モレッツは「キック・アス」以降、ほとんど見るようにしているのだが、伸び悩み
だなあ。というか良い作品に恵まれていない。
本作も、ミステリーとしての出来は良くなくて、そこそこいいキャスティングが活かしきれていなかった。
「ベイビー・ドライバー」で好演したエルゴートとモレッツは高校3年の同級生で、共に大学進学を目指して
いる。彼らの親友と言っても良い黒人がコーヒーショップでバイト中に射殺される、という事件が勃発する。

その時二人は初めて体の関係になっていたのだ。モレッツの母親は政府の高官っぽいセレブ、片やエルゴート
の父(ストラザーン)は落ちぶれた作家?彼らは最近母親を病気で失っていた。その時に自分は何も出来な
かったという責めがエルゴートをして友人の時は何とか自分ができることをしたいと思っていた訳だ。

エルゴートが友人の殺害を警察が単なるギャングの抗争と見ていることに腹を立てた彼は学校にビラを張っ
たり警察にねじ込みに行ったりヤリ過ぎの行動を取る。モレッツは彼のやり方はちょっとまずいなあ、と感じ
ながらも、こころで理解はしていた。モレッツが旧友から殺された生徒がヤバイやつらと付き合いがあった
と聞く。彼の普段からは想像が出来ないのだが、エルゴートは止めるモレッツを振り切って危ない裏社会に
犯人探しに乗り込むのだった。

この後は結局友人はヤクをやっていたということが判明、売人と揉めていたとう情報を入手し犯人探しに
行き、撃たれたが間一髪モレッツが警察に通報してエルゴートは怪我をしたが、一命をとりとめ事件は
解決した。そして二人はモレッツはイエール大へ、エルゴートはシカゴ大に進学した。彼はこれを機に
別れることになるのか、と覚悟したが、モレッツからはシカゴとボストンを結ぶ列車の時刻表が
プレゼントされたのでした・・・。

というお話なのだが、友人がヤクをやっていたというオチは何だか安直だし、時間が1時間半もないので
機微については描ききれないのだろうけど、モレッツ、彼女の母、エルゴート、彼の父という関係が
濃く描かれていたらもう少し何とかなったかなあ。でも友人がヤクをやっていたというのは如何にも
安直で、救いがたい。

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<ストーリー>
「ベイビー・ドライバー」のアンセル・エルゴートと「キック・アス」シリーズのクロエ・グレース・
モレッツが共演した犯罪サスペンス。警察をはじめ街中が親友の銃殺事件に動こうとしないことに疑問を
抱いたアディソンは、フィービーと独自捜査に乗り出す。
監督は「ヒッチコック」のサーシャ・ガヴァシ。
2010年にアメリカで発表されたヤングアダルト小説『NOVEMBER CRIMINALS』を原作にしている。

ワシントンD.C.に暮らす優等生のケビンが銃殺される。警察は、事件はチンピラの黒人少年が麻薬を巡る
ギャング同士の抗争に巻き込まれたものであり、犯人は組織内で始末されたとして、早々に捜査を畳もう
とする。
しかしケビンが麻薬に関わって殺されたなどありえないと考えた親友のアディソン(アンセル・エルゴート)
は、彼の名誉を取り戻すため、恋人未満の幼なじみフィービー(クロエ・グレース・モレッツ)と一緒に
独自に事件を追い始める。

しかし警察は証言を取り合わず、学校は大学への推薦状を餌に捜査を牽制するなど、まるで街中が事件から
目を背けているようであり、ケビンの両親も息子はこの街に殺されたと口をつぐむ。
違和感を抱いたアディソンとフィービーは、やがて戻れぬところへ踏み込んでいく。(Movie Walker)

<IMDb=★5.3>
<Metaciritic=31>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:0% Audience Score:23%>
<KINENOTE=No data>



by jazzyoba0083 | 2019-07-29 22:45 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「天気の子 Weathering with You」
2019 日本 コミックス・ウェーブ・フィルム 114分
原作・脚本・監督:新海誠 音楽:RADWINPS
声の出演:醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、梶裕貴、平泉成、倍賞美津子、小栗旬他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
「君の名は。」以来の新海誠作品ということで、前作に大変感動し、関心も持ったので、夏休みで
お子様たちで混雑するシネコンに行ってきた。「君の名は。」ほどの熱狂はなかった。が、公開
一週目は興収1位だ。「君の名は。」の1週目を超えているというが、前作はブレイクするまでにやや
時間がかかった。今回は前作を受けての公開なのでハードルはかなり高いと見た。

新海誠ワールドというのだだろうか、地球規模の壮大なファンタジーと少年少女から大人になっていく
男女の恋心を描くボーイミーツガールという本筋は共通のもので、前作より、時制をいじくっていない
部分、観ている方は分かりやすい。が、異常気象にちょっと無理が感じられた。前作の隕石の落下と
いうとんでもない事象ではなく、気象という現実に分かりやすいテーマを持ってきたところに難しさが
出たような感じだ。
ラストの持っていき方は前作と通底するものを感じた。舞台が東京しか出ないので前作のような舞台の広がり
という意味では画の「広がり観」は前作より少ない。RADWINPSの音楽が前作より前に出るので、好みが
分かれるだろう。帆高の声を担当した醍醐虎汰朗の声変わりし立ての割れたような声と小栗旬の声が私には
心地悪かった。

一方で、作画のレベルは前回より更に上がり、細かいリアリティに溢れる描写はもちろんだが、(今回も
聖地巡り現象が起きるのだろうな)、立体的なズームとか、アニメではあまり観ないダイナミックな
映像が見事だった。360度パンとか、回転しながらのビル群のズームバックとか。また画そのものも
パンフォーカス有り、ナメの画ありで多彩。そうした作画だけを観ていても結構楽しい。
空から主人公の二人が落ちて来るシーンでは「未来のミライ」に同じようなシーンがあったなあ、などと
思っていた。

タイトルの「天気の子」ってどういうことなのだろうか、と思っていったのだが、ああいう事だったのね。
水没した東京は200年前の江戸時代のようになってしまたままだけど、それで良かったのかな。若干
無邪気過ぎるのではないか、という感じを受けた。ストーリーとして成熟が今ひとつというか。

相変わらずタイアップの使い方が上手く、JR東日本、サントリー、マクドナルド、日清食品、アルバイト
ニュース、などなど。これでもか感はある。そのあたりの企画の抜け目なさは川村元気の仕掛けか。

前作の超ヒットを受けての本作なので何かと比べられてしまうが、本作がダメではない。物語も作画も
いいとは思うのだが、「君の名は。」という強烈な一作があったが故に新海誠監督は自らに高いハードルを
かしてしまったのだ。さて、本作どこまで興収を上げるのか、楽しみである。

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<ストーリー>
大ヒット・アニメ「君の名は。」の新海誠監督が再び川村元気プロデューサーとタッグを組んで贈るファンタジー
長編アニメーション。天候の調和が狂っていく時代を舞台に、不思議な能力を持つ少女と出会った家出少年が
運命に翻弄されながら繰り広げる愛と冒険の物語を描く。
声の出演は主人公の少年少女に醍醐虎汰朗、森七菜。小栗旬、本田翼、倍賞千恵子、平泉成ら豪華キャストが脇を
固める。
 
 天候が不順で雨が降り続く夏の東京。離島の実家を家出した高校生の森嶋帆高は、なかなかバイト先を見つけられず、
東京の厳しさに打ちのめされかけていた。そんなとき、小さな編集プロダクションを経営する須賀圭介に拾われ、
住み込みで働くことに。さっそく事務所で働く女子大生の夏美とともに、怪しげなオカルト雑誌のための取材を
任された帆高。
やがて彼は、弟とふたりで暮らす明るい少女、天野陽菜と出会う。彼女にはある不思議な能力があった。なんと彼女は、
祈るだけで雨空を青空に変えることができるのだったが…。(allcinema)

<KINENOTE=79.6点>




by jazzyoba0083 | 2019-07-27 11:10 | 邦画・新作 | Trackback | Comments(0)

●「早春 (4Kデジタルリマスター版)」
1956 日本 松竹 144分
監督:小津安二郎  脚本:野田高梧、小津安二郎
出演:池部良、淡島千景、岸恵子、笠智衆、山村聡、杉村春子、浦辺粂子、東野英治郎、加東大介他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆+α>
<感想>
小津作品は10本以上観ていると思うが、その中でも異色な内容だと思う。松竹専属の小津だが、本作では
池部良、淡島千景という東宝スターを起用し、「君の名は」で国民的スターとなった松竹の若手看板女優
岸恵子と組ませた。後は一連の小津組の常連さんたちがずらりと顔を並べた。小津の公開作品としては最長の
144分。いささか長すぎの感あり。モノクロ作品。

キャストと内容を眺めると、戦後も10年を超えてまだまだ敗戦の影響がそこかしこにみえるものの、次第に
生活にも変化が生まれ、男女の恋愛にも新しい描き方が出てきたな、という印象を受けた。小津といえば、
嫁に行く娘と父親に代表される古い恋愛、親子の愛情の描き方をしてきたな、というい感じなのだが、ここでは
いわゆる「不倫」を題材とし、新しい考えの娘(岸恵子)と古いタイプの嫁(淡島千景)の愛情に対する
比較を描いた。また会社の多数の同僚という設定も小津としては新しい感じを受けた。
刺激を求めて会社の若い娘と浮気をしたものの、嫁の元へと帰っていくという池部良の立場が今ひとつ
はっきりしていない。感情の起伏が少ない男なのだが、それにしても淡々とし過ぎな感じだった。
女性陣でいえば「ドライ」な岸恵子対「ウェット」な淡島千景という構図。これに昔ながらの女性観を語る
淡島の母、浦辺粂子のセリフが何気ないが結構重要だったりする。子供が生まれることが食っていけるか
どうかで悩むことになるという当時の社会、恐らく大学は出たけれど、という時代だっと思うが、厳しい
世相も伺い知れる。

小津の画像の作り方だが開巻のファーストカットが落ち着かない都会や町の風景なのだが、本作もそれで
始まる。また部屋数の少ないアパートや店舗が舞台なので、いくつもの襖を開けてパースペクティブを
演出するというシーンが少ない。一方で、トラックショットが多いのと、ワンショットのカメラ正対では
ないカットが多用され、台詞回しもあの独特の繰り返しが印象的な台詞が少ないなと感じた。

キャスト、キャメラ、台詞、設定と小津としては新鮮な感じを受けはしたが、内容的には、この後に製作
される「東京暮色「彼岸花」から「秋刀魚の味」くらいまでの作劇のほうが個人的には好みだ。
とはいえ、本作はこれはこれで醸し出される世界観は嫌いではない。

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<ストーリー>
杉山正二は蒲田から丸ビルの会杜に通勤しているサラリーマンである。結婚後八年、細君昌子との仲は
倦怠期である。毎朝同じ電車に乗り合わせることから、いつとはなく親しくなった通勤仲間の青木、辻、
田村、野村、それに女ではキンギョという綽名の金子千代など。退社後は麻雀やパチンコにふけるのが
このごろでは日課のようになっていた。

細君の昌子は毎日の単調をまぎらすため、荏原中延の実家に帰り、小さなおでん屋をやっている母の
しげを相手に、愚痴の一つもこぼしたくなる。
さて、通勤グループとある日曜日江ノ島へハイキングに出かけたその日から、杉山と千代の仲が急速に
親しさを増した。そして杉山は千代の誘惑に克てず、ある夜、初めて家をあけた。それが仲間に知れて、
千代は吊し上げを食った。その模様を千代は杉山の胸に縋って訴えるが、杉山はもてあますだけであった。

良人と千代の秘密を、見破った昌子は、家を出た。その日、杉山は会社で、同僚三浦の死を聞かされた。
サラリーマンの生活に心から希望をかけている男だっただけに、彼の死は杉山に暗い後味を残さずには
いなかった。仕事の面でも家庭生活の上でも、杉山はこの機会に立ち直りたいと思った。丁度、地方工場
への転勤の話も出ていることだし、千代との関係も清算して田舎へ行くのも、一つの方法かも知れない。

一方、昌子は家を出て以来、旧友の婦人記者富永栄のアパートに同居して、杉山からの電話にさえ出よう
としなかった。杉山の赴任先は岡山県の三石だった。途中大津でおりて、仲人の小野寺を訪ねると、
小野寺は「いざとなると、会社なんて冷たいもんだし、やっぱり女房が一番アテになるんじやないかい」
といった。
山に囲まれたわびしい三石に着任して幾日目かの夕方、工場から下宿に帰った杉山は、そこに昌子の姿を見た。
二人は夫婦らしい言葉で、夫婦らしく語り合うのだった。(Movie Walker)

<KINENOTE=76.0点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-22 23:30 | 邦画・旧作 | Trackback | Comments(0)

エド・ウッド Ed Wood

●「エド・ウッド Ed Wood」
1994 アメリカ Touchstone Pictures. 124min.
監督:ティム・バートン
出演:ジョニー・デップ、マーティン・ランドー、サラ・ジェシカ・パーカー、パトリシア・アークエット
   ヴィンセント・ドノフリオ、ビル・マーレイ、ジェフリー・ジョーンズ他

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<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
こういう映画人が実在したとは、寡聞にして知らなかった。「史上最低の映画監督」と言われながらもとことん
映画を愛したエド・ウッド。彼を好演したジョニー・デップと相方となるベラ・ルゴシを怪演したマーティン・
ランドー(オスカー助演男優賞獲得)がすこぶる良い。もちろん映画に対する愛情とゴシックな演出が見事な
ティム・バートンも讃えなければなるまい。

まともな人がほとんどいない映画で、エド・ウッド自身女装愛好家(ゲイではない)だし、見た目がほとんど
ドラキュラな(映画でもそういう扱い)ルゴシが痛々しくも哀愁漂う愛すべき存在。エドの友人たちや俳優たちも
ひとくせもふたくせもある役柄で喜怒哀楽が伝わりやすいキャラクター設定となっている。どこか憎めないと
いうか愛すべき存在として描かれている。たとえケチなプロデューサーだとしても。

主にエド・ウッドの伝記映画ではあるが、サラ・ジェシカの演じる恋人やその後、妻となる恋人の存在、ゲイの
友人やヴァンパイラ、最低の監督が自分と並ぶと考えているオーソン・ウェルズの存在さえ、微笑ましくも
温かい。そうした点でコメディであり、友情モノでもあり、映画界の内幕モノでもある。
ティム・バートンの映画愛が詰まった一作となった。残念ながら私はエドの映画(ラストで出てくる
「プラン9・フロム・アウター・スペース (1959)」なんかも観てみたい。マーティン・ランドーの愛娘が
300ドルの出資で主役を射止める役で登場しているのもなんかほのぼのしていてこの際、許せてしまう。

しかし、こんな無茶苦茶な映画のとり方で劇場用の映画が撮れてしまう時代だったのだなあと変な感心をして
しまった。4日で撮り上げるというのは考えようによっては異才といえるのかもしれない。本作で描かれるエドは
熱意だけの人、という表面上のことだけではなく、ハリウッドで映画を作ることの苦労と彼のその後の没落を
予感させて悲哀も感じるのである。
ラストで主要人物のその後が字幕で出るが、エドは54歳で失意のうちにアルコールが原因で命を落とす。
最初のガールフレンドだったドロレスはその後作曲家として名を上げ、プレスリーの「ロッカフラベイビー」
「スイムで行こう」を作曲したと説明され、びっくりした。

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<ストーリー>
史上最低の監督と言われた男、エドワード・デイヴィッド・ウッド・ジュニア、通称エド・ウッドの愛すべき、
奇想天外な半生を描いた伝記映画。ルドルフ・グレイの評伝『Nightmare of Ecstasy』(邦訳・早川書房刊
『エド・ウッド 史上最低の映画監督』)を、“エドの同類”を自認する「バットマン リターンズ」のティム・
バートンの監督で映画化。(以下略)

30歳のエド・ウッド(ジョニー・デップ)は、“オーソン・ウェルズは26歳で「市民ケーン」をとった”を座右
の銘に、貧しいながらも映画製作の夢に燃えていた。ある日、性転換した男の話を映画化する、と小耳に
はさんだ彼は早速プロデューサーに売り込む。「これは僕のための作品です。僕は女装が趣味だから、人に
言えない辛さが分かる」と力説するが、バカ扱いされて追い返された。その帰り道でエドは往年の怪奇スター、
ベラ・ルゴシ(マーティン・ランドー)と運命的な出会いを果たす。

ベラの出演をエサに監督になった彼は友人のオカマ、バニー(ビル・マーレイ)や恋人ドロレス(サラ・
ジェシカ・パーカー)らの協力を得て、監督・脚本・主演した性転換の話「グレンとグレンダ」を完成させた。
これを履歴書代わりにいろいろ売り込むがうまく行くはずもなく、自分で資金を集めることに。その間にも
エドの元には、頭の足りない巨漢プロレスラーのトー・ジョンソン(ジョージ“ジ・アニマル”スティール)、
インチキ予言者クリズウェル(ジェフリー・ジョーンズ)など、一風変わった仲間たちが集まってきた。

次回作「原子の花嫁」がクランク・インするが、アンゴラのセーターと女装に執着するエドにあきれた
ドロレスは怒り爆発し、彼の元を去った。失意のうちにテレビで人気の妖婦ヴァンパイラ(リサ・マリー)に
出演のアプローチをするが、けんもほろろ。そんな中、麻薬中毒のベラの病状は悪化する一方で、エドは彼を
入院させた。その病院で彼は心優しい女性キャシー(パトリシア・アークェット)と出会うが、彼女は彼の
女装癖も受け入れてくれるのだった。

一方、エドは心からベラの容体を心配していたが、入院費用が払えず、彼に嘘をついて退院させねばならな
かった。「原子の花嫁」が配給会社により「怪物の花嫁」と改題されプレミア試写が行われた。ブーイングの
嵐だったが、エドは満足だった。そして数フィートのフィルムを残してベラが死んだ。傷心の彼の前に、
バプテスト教会の信者という新たなカモが登場。早速資金を調達した彼は、史上最悪の映画と後世に名を残す
「プラン9 フロム・アウタースペース」に着手。ついにヴァンパイラの出演も取り付け、ベラの形見の
フィルムや多くの仲間たちと共に意気揚々と撮影に入った。

ところが、今回の出資者はあれこれと撮影に口を出し、エドは爆発寸前。お気に入りのアンゴラを着ても
心が落ちつかない彼は撮影所を飛び出すが、入ったバーで尊敬するオーソン・ウェルズ(ヴィンセント・
ドノフリオ)と遭遇する。彼から「夢のためなら闘え。他人の夢を撮ってどうなる?」と教え諭されたエドは
胸を張って撮影所に戻り、自身の納得のいく作品を堂々完成させた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Metacirtic=70>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:92% Audience Score:88%>
<KINENOTE=68.3点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-21 22:30 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル I,Tonya」
2017 アメリカ AI-Film、Clubhouse Pictures (II) and more. 120min.
監督:クレイグ・ギレスピー
出演:マーゴット・ロビー、セバスチャン・スタン、アリソン・ジャネイ、ジュリアンヌ・ニコルソン、ボビー・カナヴェイル他

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル I,Tonya_e0040938_13220777.jpg
<評価:★★★★★★★★☆☆>
<感想>
シネコンに行こうと思っているうちに見逃した一作。やっと観ることが出来た。面白かった。脚本、演出が
良い。(若干小賢しい気もするけど、面白さが勝っていた)
やはり、母親を演じたアリソン・ジャネイの存在感が圧倒的。

コミカルな味付けの中に、本質が浮かび上がってくるという作りはなかなかなものだ。つまり、トーニャは
消費されるゴシップ、スキャンダルとして本人たちが思っている異常にクローズアップされていくという
社会事情があぶり出されるのだ。今ならネットがあるからこれ以上の騒ぎになるだろう。
今の日本でもワイドショーで連日放送されるゴシップネタは、大衆受けを狙って脚色され、同調圧力の中で
吊し上げにも似た環境を作り出す。世の中はヒールを求めている。それをみんなで叩いてうさを晴らして
いるのだ。ネット炎上と違わない構図だろう。

たしかに、トーニャの母の屈折した愛情、元夫のこれまた屈折した愛情は共に暴力を伴ってトーニャを襲う。
幼い頃からイジメに近い扱いを受けてきたトーニャの性格がネジ曲がるのも仕方がない。一方でスケートの
技術は確かに天賦の才能があったのは間違いない。
もし、というのは無い話だが、もしあの実力が良い環境下で鍛えられたら金メダルを獲っていたかも知れない。
しかし、である。あの実力は、あの母親の育て方があったからとも考えられる。母親自ら「怒らすと火がつく」
という彼女の性格を見抜いての、あの仕方だった部分もある。だが、果物ナイフを投げてそれが腕に刺さるに
及び、トーニャの中でも何かが切れた。

映画は実在の人物にインタビューした光景を役者が演じてドキュメンタリー風の中に役者のカメラ目線のセリフが
あったり、スポーツチャンネルの記者(役者)が「バカばっかり」と呆れたり、コミカルな味付けが楽しい。
本作で語られることが全部真実でないことは、冒頭字幕で説明される。「だいたい事実に基づく、ほとんどは
当たっていると思う」と人を食った感じで。母親を除く周囲の人々が本当に「バカ」ばっかりで、本人や夫の
求心力かも知れないが、回りがもう少し賢かったらあの事件はなかったかも知れない。

関係者の殆どが裁判沙汰となっているとはいえ、まだ皆さん健在な時期に、よくこんな映画を作れたな、と
感じた。ナンシー・ケリガンは本作は観ていないそうだ。事件について本作ではトーニャは知らなかったのに
巻き添えを食った雰囲気にまとめていた。しかし彼女の描かれ方はヒールである。セリフの殆どにF○UKINが
付くという下品さ。

オーストラリア出身のマーゴット・ロビーはアイスホッケーの選手であったため基本は出来ていたがフィギュア
スケートについてはコーチについてみっちりレッスンしたのだそうだ。プロスケーターの吹き替えとCGがあると
はいえ氷上での頑張りは加点ポイントだろう。また彼女を捉える映像も上手いこと表現できていて見ごたえが
あった。
リアルタイムで靴紐が切れたと言って泣きべそをかくトーニャを観ているが、脚本、演出、キャスト、全体と
してよく出来た映画だと思う。

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル I,Tonya_e0040938_13221878.jpg
<ストーリー>
1994年のリレハンメルオリンピックへの出場権を巡って、元夫らにライバル襲撃を命じたと疑われ、一躍時の
人となったフィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディング。彼女に多大な影響を与えたと言われる母親と
の関係や衝撃的な事件の経緯などを追った人間ドラマ。『スーサイド・スクワッド』のマーゴット・ロビーが
トーニャを演じる。

貧しい家庭に生まれたトーニャ・ハーディング(マーゴット・ロビー)は、幼少の頃から厳しく育てられた。
幼くしてスケートを始めた彼女は、天賦の才と努力により、1991年に女子選手として伊藤みどりに続き史上
2人目となるトリプルアクセルに成功。1992年のアルベールビルオリンピック代表選手に選出された。

1994年1月6日、リレハンメルオリンピック選考会となる全米選手権を前に、練習を終えたナンシー・
ケリガンが何者かに襲撃される事件が発生。膝を殴打され負傷したナンシーは全米選手権欠場を余儀なくされる。
トーニャの元夫ジェフ・ギルーリー(セバスチャン・スタン)の指示による犯行と判明し、トーニャ自身にも
疑惑の目が向けられた。
一度は栄光を掴みアメリカ中から愛された彼女のスケート人生は、この事件を境に一変し、転落していく。
(Movie Walker)

<IMDb=★7.5>
<Metaciric=77>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:89% Audience Score:88% >
<KINENOTE=77.4点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-16 23:10 | 洋画=あ行 | Trackback | Comments(0)

●「キリング・フィールド The Killing Fields」
1984 イギリス Goldcrest,International Film Investors,Enigma (First Casualty) .141min.
監督:ローランド・ジョフィ 原作:シドニー・シャンバーグ
出演:サム・ウォーターストン、ハイン・S・ニョール、ジョン・マルコヴィッチ、ジュリアン・サンズ他

キリング・フィールド The Killing Fields_e0040938_15541320.jpg
<評価:★★★★★★★★★☆>
<感想>
恥ずかしながら、今頃観ています。ジョン・レノンの「イマジン」が、こういう風に使われていたのを
今日まで知らなかった。恥じ入るばかりだ。もっと「地獄の黙示録」っぽい観念的な作品かと、思い込んで
いた。こんな史実をベースにしたハードな作品だとは知らなかったなあ。もっと早くに見れば良かった。
何故今になってから、というと先日、韓国映画の「タクシー運転手 約束は海を超えて」という実話物を
観た時(ブログは後日アップします)、感想の一つに「韓国版キリング・フィールド」というのがあり、
そうだ、と思った時にWOWOWで放映してくれたので録画して鑑賞した次第だ。

ベトナム戦争時のカンボジアの出来事を、NYタイムズのシドニー・シャンバーグ記者と現地記者で通訳を
努めてくれたカンボジア人プランの苦闘を描く実話ものだ。前半はカンボジアから米英仏などの欧米軍が
撤退し、クメール・ルージュが支配するまで。ここでシャンバーグ記者はプランを伴えず、帰国する。
プランはクメール・ルージュに捉えられ、洗脳の日々。しかし収容所から脱走し、国境を超えて米軍の
キャンプに駆け込み、二人が再会するまでを描いている。シャンバーグはピュリッツァー賞を受賞している。

本作のハイライトはなんと言ってもクメール・ルージュに捕らえられたプランの地獄の日々の描写だろう。
これは再会後にシャンバーグがプランから取材して纏めたものだろうが、狂気の集団のカルトな恐怖が
支配する洗脳の世界。まさにオーム真理教の世界だ。特に純真な子供らは簡単に狂気に染まり、躊躇なく
殺人に手を染めていく。それが後に全世界に知られる大量虐殺の一部なのだろう。

映画は米軍の知らないふりしたカンボジア爆撃から、特派員たちの苦闘、さらに現地住民のありさまを
丁寧に描き、さらにクメール・ルージュの恐怖支配も細かく描写した。目を覆いたくなるような光景も
出てくる。描かれる世界のリアルさとドラマ性が相まって迫力のある、説得性のある作品となったと
感じた。ポル・ポトのジェノサイドの全貌を明らかにしていないという批判もあるが、この映画を作った
ことだけでも凄いことだと思う。

冒頭からキャメラの塩梅がとてもいいなあ、と思っていたら、やはりオスカーの撮影賞と編集賞を獲って
いた。またプランを演じたカンボジア人ニョールは助演男優賞を獲ったのだった。産婦人科医だった彼は
実際に4年間クメール・ルージュに捕らわれた経験を持つ。その後アメリカに移った。本作以降、数々の
映画に出演したが、96年、LAの自宅近くでコカイン代欲しさの黒人3人組に銃で撃たれて死亡してしまう。
クメール・ルージュから生き抜いたのに、新天地でヤク欲しさの賊に殺されるとは、何という皮肉というか
悲劇なんだろう。そう思う時本作がいっそう重く感じられる。
実際のプランはベトナム軍がポル・ポト派を一掃するまでの4年間、収容所の暮らしを耐え、80年に渡米、
NYタイムズの報道カメラマンとして活動したという。
シャンバーグは2016年に亡くなっている。

なんとも重いテーマだが、観なければいけない作品だろう。

キリング・フィールド The Killing Fields_e0040938_15543051.jpg
<ストーリー:結末まで書いてあります>
1973年8月。ニューヨーク・タイムズの汽車シドニー・シャンバーグ(サム・ウォーターストン)は、特派員
としてカンボジアの首都プノンペンに来た。
当時のカンボジアはアメリカを後楯にしたロン・ノル政権と、反米・救国を旗印に掲げた革命派勢力、クメール・
ルージュとの闘いが表面化した時期でもあった。カンボジア人のディス・プラン(ハイン・S・ニョール)が、
現地で彼の通訳・ガイドとして仕事を助けてくれることになった。

翌74年に入って、革命派のプノンペン進攻は目前に迫った。外国人や政府関係者は、必死に国外へ出ようと
かけずりまわり、プランの家族も、シャンバーグの手を借りて、無事にアメリカへ旅立った。
同年4月、プノンペン解放、ロン・ノル政権はついに崩壊、新しくクメール・ルージュを率いるポル・ポト政権が
誕生した。シャンバーグ、プラン、そしてアメリカ人キャメラマンのロックオフ(ジョン・マルコヴィッチ)、
イギリス人記者のジョン・スウェイン(ジュリアン・サンズ)は、病院に取材に行くが、クメール・ルージュの
兵士に逮捕される。プランは三人の命の恩人となったのである。

四人は最後の避難所であるフランス大使館へと逃げ込むが、やがて、カンボジア人であるプランだけが、クメール・
ルージュに引き立てられ、どこかへ連行されていった。数日後、シャンバークたちは無事、国外へ避難することが
できた--。

ニューヨークに戻ったシャンバークは、プランの身を案じながらも、カンボジアの取材記事でピューリツッァー賞を
受賞した。この栄誉はすべてプランのおかげだった。受賞式の日、ロックオフがシャンバーグを訪れ「あの賞が
欲しくてプランを脱出させなかったんだな」となじるのだった。--

その頃、プランは、過去の身分を隠し、クメール・ルージュの監視下で労働していた。町の住人たちは農村で強制
労働させられ、子供が親をスパイするという惨状の中で、数え切れないほどの人々が殺された。
やがて、辛くも脱走したプランは累々たる屍を踏み越えて、とある村にたどりつき、村の長の家でハウスボーイと
して働くようになる。しかしその主人もクメール・ルージュに殺されたため、託された少年とともに村を脱出。
途中、地雷で少年は死に、プランが死ぬ思いをしながら、タイの難民キャンプにたどりついたのは、79年も秋に
なったころだった。
プラン生存の連絡を受けたシャンバーグは、タイの難民キャンプへ飛んだ。「許してくれ」とシャンバーグ。
「許すことなどないよ」とプラン。抱き合う二人をカーラジオから流れるジョン・レノンの“イマジン”が優しく
つつみ込んでいた。(Movie Walker)

<IMDb=★7.9>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:92%>
<Metacritic=No Data>
<KINENOTE=76.9点>



by jazzyoba0083 | 2019-07-13 23:15 | 洋画=か行 | Trackback | Comments(0)

●「ゴールデン・リバー The Sisters Brothers」
2018 フランス/スペイン/ルーマニア/ベルギー/アメリカ Why Not Productions.120min.
監督・(共同脚本)ジャック・オーディアール 
原作:パトリック・デウィット・『シスターズ・ブラザーズ』(創元推理文庫刊)
出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、ジェイク・ジレンホール、リズ・アーメッド他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
ジレンホールは最近出過ぎの感じだが、4人の渋いキャスティングに釣られて劇場へ。フランス製ウェス
タンな座組であるが、出来はまるっきりアメリカンだ。どこかコーエン兄弟の匂いがした。不条理ではないの
だが、科学者ハーマンが作った川の中の金を輝かせる薬品て、硝酸だか硫酸だかが混じっているんじゃないの?
観ながら、「ヤバイなあ」とは薄々分かったが、やはりか!という感じだ。これが映画の大きな山場だ。
そこに至るまでが若干たるかったのと、相関関係が明確にならず(個人的にだが)時間が経つのが重かった。

原作にあるように、主役はシスターズという苗字を持ったライリーとフェニックスの兄弟であり、二人が
オレゴン準州の提督(と称されるボス)に命じられて追う化学者アーメッドに同業者ジレンホールが加わると
いう形。
そしてシスターズ兄弟の中でも、この映画権を買ったプロダクションを経営するライリーがメインという
立ち位置となっている。

殺し屋兄弟が、金を見つけやすくするという化学式(フォーミュラ)を発明したインド系ぽい男と彼に
くっついて金を獲りたいジレンホールを追うのだが、終盤に来て、4人はチカラを合わせて、
兄弟がメイフィールドという町の女ボスをやっつけたために追ってきた男たちと対決し全滅させ、
さらに4人で化学者ハーマンが作った液体を堰き止めた川に流し、いくつかナゲットを獲得することに
成功する。しかし、あせった弟チャーリー(フェニックス)が原液を川に入れてしまい、自らも川に
転落したため、全員大ヤケドを負うことになってしまう。

この事故で化学者は死亡、大ヤケドを負ったモリス(ジレンホール)は銃で自殺、チャーリーは片腕を
失うことになる。散々な結末で、怒りを提督に向け、オレゴンに戻ったら、提督はすでに病気か何かで
死んでいた。二人の兄弟は母親の元に戻っていったのだった。ラストシーンは実家のベッドでそよ風に
吹かれる兄イーライの姿。
しかしそこそこ集めた金のナゲットはどうしたのかな。あれだけあればそこそこ良い目をみられるのじゃ
ないかな。人間、欲張るとろくなことな無い、ということなのかしら。

化学者ハーマンが金を売って目指すものは理想の民主主義の世界。その組織を作るための軍資金としたい
のだった。そこに今日性を感じるが原作にあるのだろうけど取って付けた感が・・・。それに共感してしまう
提督の連絡係モリス(ジレンホール)だった。

1850年代の銃がリボルバーを脱着させて弾の交換をする、というところとか、イーライの愛馬が厩舎の
火事で火傷を負い、結局死んでしまい、イーライがひどく気落ちするところとか、イーライの口に毒蜘蛛が
入り中毒症状が出るところとか、チャーリーの片腕を糸鋸で切り落とすところとか、妙にリアルな面もあり、
一体何を表現したかったのか良くわからない感じも受けたのだ。リアルな表現がその後に結びつかない感じ。
これがヴェネチア国際映画祭の監督賞かなあ。異色の西部劇であることは確かだけど。

4人はそれぞれキャラクターが立ちやすい役者ではあるが、4人の組み合わせが何かを生み出したかといえば
なかなか難しかったのではないか。劇薬で金を採るという、ひょっとしたら本当にあったかもしれない現象が
活かしきれてなくて、女豪傑が出てきたり、ドラマの前半と後半がちぐはぐになってしまっていたと感じた。
兄弟愛、友人愛を汲み取るべきなんだろうか。私の観方が浅かったか。うーむ!

ゴールデン・リバー The Sisters Brothers_e0040938_17255422.jpg

<ストーリー>
1851年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ、オレゴンのとある町。普通の平穏な暮らしに憧れる兄イーライ
(ジョン・C・ライリー)と裏社会でのし上がりたい弟チャーリー(ホアキン・フェニックス)は、最強と
呼ばれる凄腕の殺し屋“シスターズ兄弟”だった。

あるとき、彼らの雇い主である提督から、連絡係モリス(ジェイク・ギレンホール)が捜し出すウォーム
(リズ・アーメッド)という男を始末するよう依頼される。兄弟がサンフランシスコに南下しているころ、
モリスは数キロ先のマートル・クリークでウォームを見つける。
2日後、次の町ウルフ・クリークで、モリスはウォームから声をかけられる。うまい具合に話が進み、
モリスはウォームと一緒にジャクソンビルへ砂金を採りに行くことになる。ウォームはモリスに、黄金を
見分ける化学式を発見したと打ち明ける。だがジャクソンビルに到着すると、モリスの正体がばれてしまう。

雇い主の目的は化学式を奪うことだと知ったモリスは、翌朝、ウォームと連れ立って逃げ出す。道中、ウォーム
は手に入れた黄金で理想の社会を創る計画を語る。その話に心酔したモリスは、父の遺産を資金に、その夢に
加わることにする。メイフィールドまで来た兄弟は、その町に自分の名前をつけた権力者がウォームの化学式を
奪おうと部下を放ったと聞き、モリスの裏切りに気づく。
サンフランシスコで兄弟は二人の居場所を突き止めるが、二人に捕えられる。しかしメイフィールドの部下も
現れ、兄弟の力を借りて彼らを撃退する。ウォームからの提案で、4人は手を組んで黄金を採ることに。
だが、4人の思惑が交錯し……。(Movie Walker) 兄と弟の名前を入れ違うミスを発見したので訂正して転載。

<IMDb=★7.0>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:87% Audience Score:67%>
<Metacritic=78>
<KINENOTE= 73.4点>





by jazzyoba0083 | 2019-07-12 14:00 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)

●「さらば愛しきアウトロー The Old Man & The Gun」
2018 Wildwood Enterprises and more. 93min.
監督・脚本:デヴィッド・ロウリー 原作:デヴィッド・グラン「The Old Man & The Gun」
出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイセク、ダニー・クローヴァー
   トム・ウェイツ、チカ・サンプター他

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<評価:★★★★★★★☆☆☆>
<感想>
レッドフォードの俳優引退作品ということで、敬意を評して鑑賞にでかけた。配給の関係でメジャーな
シネコンには掛からない。スクリーンでレッドフォードを拝めるのはこれが最後、ということではあるが
そこは彼一流の考えで、愛すべき掌編で纏めた感じ。レッドフォードが以前から演じてみたいと思って
いた実在の泥棒フォレスト・タッカーを自らプロデュースして主演。

監督と脚本はケイシー・アフレック繋がりっぽい起用。全編小洒落た感じで、テロップを上手く使って
ユーモアも演出していた。レッドフォードとスペイセクの高年齢者コンビの顔の皺が気になったが、
スクリーンのレッドフォードを観ていると、過去の名作の数々が思い浮かんできて途切れなかった。
アメリカでの批評が異常に高いのはレッドフォードに対するリスペクトかしら。愛すべき作品では
あるが映画としての出来を言えばそう驚くものではないと思ったのだが。

フォレスト・タッカーは80年代の2年間に92件の強盗を働き、生涯に16回の脱獄を成功させたが、強盗時に
チラリと見せる拳銃は一度も使ったことがないという紳士強盗。被害にあったほうが、「紳士だった」と
言ってしまう程。その憎めない(本当はどうかは知らないが)キャラクターを、レッドフォードは気負わ
ないでしみじみと演じていた。
事件の最中、パトカーから逃れるのに利用したエンストトラックの持ち主だったジュエル(スペイセク)と
のロマンスもいい塩梅。スペイセクの鼻が上を向きすぎていて気になっちゃったけど。
17回目の強盗でも逮捕され、ジュエルの忠告で刑期を勤め上げ彼女に家に住ませてもらうが、スマートな
強盗をすることに幸福感を感じる(ほとんど病気な)フォレストは、その後4回も強盗を続けることになる。

現在83歳のレッドフォードが83歳で亡くなったフォレストを演技するにはちょうどいい年回り。流離う
癖のある二人のキャラクターが自然と重なってきて、好感の持てる一品となった。彼を追う刑事を演じた
ケイシー・アフレックも若いのにどこか枯れた味を醸し出し、大スターの引退興行に花を添えていた。
フォレストの犯罪記録を見る時に過去の若いレッドフォードと対面することが出来るという工夫もされて
いる。実際のフォレスト・タッカーは服役中、刑務所で亡くなっている。
原作のタイトルは「老人と海」のもじりだろうか。

さらば愛しきアウトロー The Old Man & The Gun_e0040938_16112427.jpg

<ストーリー>
名優ロバート・レッドフォードが、実在した伝説の銀行強盗を演じる俳優引退作。80年代アメリカ。
紳士的な犯行スタイルで強盗と脱獄を繰り返したフォレスト・タッカー。ジョン・ハント刑事が彼を追う
なか、フォレストは仲間と共に金塊を狙った大仕事を計画する。
共演は「歌え!ロレッタ 愛のために」のシシー・スペイセク、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」の
ケイシー・アフレック、「リーサル・ウェポン」シリーズのダニー・グローヴァー、
「Dr.パルナサスの鏡」のトム・ウェイツ。

1980年代、アメリカ。ポケットに入れた拳銃をチラリと見せるだけで、微笑みながら誰ひとり傷つけず、
目的を遂げる74歳の銀行強盗フォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。被害者のはずの銀行の
窓口係や支店長は彼のことを「紳士だった」「礼儀正しかった」と口々に誉めそやす。
一度も人を傷つけず、2年間で93件もの銀行強盗を成功させたフォレスト。事件を担当するジョン・ハント
刑事(ケイシー・アフレック)も、追いかければ追いかけるほど、彼の生き方に魅了されていくのだった。

そして、フォレストが堅気ではないと感じながらも、心を奪われてしまった恋人も……。
そんななか、フォレストは仲間のテディ(ダニー・グローヴァー)とウォラー(トム・ウェイツ)と共に、
金塊を狙った大仕事を計画、まんまと成功させる。しかし、“黄昏ギャング”と大々的に報道されたために、
予想もしなかった危機にさらされてゆく……。(Movie Walker)

<IMDb=★6.8>
<Rotten Tomatoes=Tomatometer:93% Audience Score:60%>
<Metacritic=80>
<KINENOTE=76.8点>(7月12日現在)



by jazzyoba0083 | 2019-07-12 11:10 | 洋画=さ行 | Trackback | Comments(0)